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【お題で嫁を】お題で簡単にSSを作ってみようか【自慢するスレ】
255
:
名前が無い程度の能力
:2012/02/11(土) 22:26:11 ID:YnQuYmIY0
>>253
お題『ぬこ』
ぬえちゃんが仔猫を拾ってきました。
ある小春日和の午後の事です。
わたくし、幽谷響子は命蓮寺の門前を雪かきしていました。
「ねぇ、響子。ちょっと来て…」
スノーダンプで雪の塊と奮闘していると、ぬえちゃんが私を呼んで手招きしています。
「? どうしたんですか?」
私は除雪の手を休めて、ぬえちゃんの方へ歩いて行きました。
ぬえちゃんは後ろ手に何かを隠していて、にやにやと不敵な笑みを浮かべています。
「ほら、ぬこ拾った!」
そう言ってぬえちゃんは後ろ手に隠していたモノを私に見せつけました。
私の目の前に、小さな仔猫が姿を現しました。それはそれは毛並みの良い三毛猫でした。
「わぁ! かわい…もがぁ!?」
私が感嘆の声をあげようとした瞬間、ぬえちゃんは慌てて私の口を手で塞いでしまいました。
「しぃー! 響子ったら、大きな声で叫んだらみんなにバレちゃうじゃん!」
ぬえちゃんは腕に仔猫を抱えたまま、そう言って不機嫌そうに苦言を呈します。
「もがぁ、ほがぁ……ぷはぁ、ごめんなさい」
ちょっと鼻詰まり気味だった私は呼吸が苦しくなり、ぬえちゃんの手首を掴んで引き剥がしました。
だけど、さっきのぬえちゃんの声の方がよっぽど大きかったと思うのですが…
「ところで、その子は何処で見つけたんですか?」
私が改めて質問すると、ぬえちゃんはパッと表情を明るくして仔猫に頬擦りしながら答えました。
「へへっ、お寺の縁の下に居る所を見つけたの。きっと母猫が産み捨てたんだわ」
お寺の境内は先週みんなで雪かきしたので、恐らくその後に雪を避けて母猫が潜り込んだのでしょう。
仔猫は円らな瞳でじっと私やぬえちゃんを見つめています。時折、眠たげに欠伸をする仕種はとても愛らしいです。
ぬえちゃんはすっかり魅了されたらしく、顔がデレデレと緩んでいます。それを見て私も和やかな気持ちになりました。
「ねぇ、お寺でこの子飼おう! みんなもきっとOKしてくれるよね!?」
「ええっ、そうですね……あっ」
命蓮寺の仲間になって日の浅い私でも、白蓮様を筆頭に皆さんが優しい方々なのは承知していました。
なので快くこの子を迎え入れると思ったのですが、ひとりだけ反対しそうな人物を思い起こしたのです。
「……ナズーリンさんは鼠なので猫は苦手なんじゃないですか?」
「えっ? 大丈夫だよ、既に虎が居るじゃん。響子だって犬っぽいし、今さら猫が増えても気にしないって」
そうこう言っていると、噂の本人がこちらにやって来ました。隣には茄子紺の唐傘を携えた小傘ちゃんも居ます。
「おぉーい、聖がお茶を淹れたから休憩にしよう……って、何をしてるんだい?」
ナズーリンさんは怪訝な表情を浮かべて私たちを見つめています。小傘ちゃんは何故か嬉々とした表情ですが。
「あっ、丁度良かったナズ。ほら、可愛い仔猫!」
「ぎゃあああぁぁぁ!!?」
その時のナズーリンさんの絶叫は、山彦である私の声量を遙かに凌駕していました。
目を見開き、顔を蒼白にして飛び上がったナズーリンさんは一目散に逃げ出してしまいました。
「やったぁー! なずりんがあんなに驚いてくれてお腹いっぱい! じゃあ、私帰るね!」
隣に居た小傘ちゃんはこうなると予想していたのか、満足げな笑みを湛えて山の方へ飛んで行ってしまいました。
「……ナズーリンさん、戻ってくるといいですね」
「……うん」
どうやら仔猫が受け入れられるにはもうしばらく時間が掛かるようです。
私とぬえちゃんは互いに顔を見合わせ、少し苦笑してからお寺の中に入りました。【終わり】
お題:明晰夢
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