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【お題で嫁を】お題で簡単にSSを作ってみようか【自慢するスレ】

242名前が無い程度の能力:2011/11/24(木) 19:31:56 ID:3Pt1zmagO
>>226から、お題:靴

「お、なんか面白いことかい?」
旧都の居酒屋でちくわぶをつついていたヤマメは、後ろから声をかけられた。
「あ、勇儀姐さん」
熱いの一本ね、と言いながら勇儀は当たり前のようにヤマメの隣に座った。
「なんとも曰くありげじゃないか。そりゃ何だい?」
勇儀の言う「それ」とは、ヤマメが卓に乗せて眺めていた木箱だ。
一抱えほどの大きさがある。上蓋には仰々しく「奉」と記されていた。
「おとついになりますけども、人間の童が風穴に迷い込んでましてね」
要領を得ない話しぶりだったが勇儀は急かしたりはしなかった。お通しと熱燗が出てくる。
「縦穴に落っこちてびーびー泣いてるんですよ」
勇儀は手酌でスイスイと呑み始めた。
「あんまり五月蝿くされてもかなわんと、こう、天井に糸引っ掛けてですね」
「ははーん、するするっと抱え上げてやったわけね。お前さんの十八番だ」
「ええ、ただ向こうさんにしてみりゃ妖怪にとっ捕まってるわけで」
「そりゃ怖いわな」
「大暴れされて靴がどっかにすっ飛ばされました」
「で、裸足で外まで送ってやったと。人がいいねぇ」
「童の親御が気ぃつかったのか、次の日この箱が風穴の口に置いてあったって次第で」
「お礼の奉納って奴だねぇ。社でも建てた方がいいんじゃないかい?」
「よしてくださいよ。これ以上大袈裟に誤解されたくないんですから」
「いいと思うけどねぇ。お供え物付きの年に一回ヤマメの日」
「いえね、人間のおっかながってる時の想像力てぇか妄想力てのは凄いじゃないですか」
「おん?」
「例えば姐さんなんかは金棒担いだ大男ってことになったり」
「うん、まあそうさね」
「古明地さんちは毛むくじゃらとか」
「アレをどう見間違えたのかねぇ」
「でまあ私はやっぱり大蜘蛛に見えたらしいんで」
そう言うとヤマメは木箱の蓋を外してみせた。中には真新しい革靴が四足、きれいに収められていた。


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