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【お題で嫁を】お題で簡単にSSを作ってみようか【自慢するスレ】
240
:
名前が無い程度の能力
:2011/11/24(木) 02:15:14 ID:azqw0TI.0
「布都も屠自古も熱しやすいタチだから」
貴方のところもそうでしょう、と言外に含ませているようだった。ナズーリンとしては苦笑する他にない。
「このまま引っ込みが付かなくなって全面戦争、というのは今は避けたいわね。対外イメージも
あるし、私たちはまだこの地に確固たる地盤を築けていない」
「問題ないさ。そのための霊夢だし、あの二人も本当は分かっているはずだ」
白蓮と神子も落としどころは弁えているし、なんとなれば霊夢が全員ボコボコに
してくれるだろう、と言うナズーリンに青娥は目を見開き、続いてわずかに残念そうな表情を浮かべた。
「信用しているのね」
霊夢と、白蓮と、そしておそらく神子をも。青娥のその表情は、果たしてナズーリンへの羨望か、
それとも失望か。そこまで読み取ることはナズーリンにはできなかった。
「お人よしがうつったのかもしれないな」
嘯くナズーリンを青娥は見つめ、そのまま少し時間が流れた。
「私はね、強い人が好きなの。強い人が私のおかげで成功するのは、もっと好き」
何かが割れるような音が奥から聞こえて来、注意をそらしたわずかなタイミングに
滑り込むように青娥は言った。
「そうかい。まあ私も似たようなものだよ。みんな仲良く、さ」
「仲良く、ね」
「君のボスだって似たようなことを言っているだろう」
「ええ、古今東西、聖人は誰もが似たようなことを言う。けれど、そうはならない。何故か……?」
挑戦的な視線を向けられ、ナズーリンは軽く息を漏らした。
「決まってる。私や君のようなのがいるからさ」
問答に付き合う気は無かった。しかし青娥は、ナズーリンの答えを気に入ったようだった。
「ふふふ、対立を作るのが私たちなら、融かすのも私たちということですわね」
奥が騒がしくなってきた。どうやら乱闘が始まったようだ。
「暇なら酒宴の準備でもしていてくれないかな。私は軟膏や包帯を取ってこよう」
「うまくいくと思っています? かつて外の世界であった冷たい戦争……それを終わらせたのが
結局何であったか、知らない貴方ではないと思いますが」
縁側から腰を上げて、ナズーリンは青娥を見下ろした。その本性を押し隠した澄んだ瞳――
いや、もしかすると彼女は本性を隠してなどいないのかもしれない。どこまでも純粋で、
素直で悪気なく、ひたむきな仙人――目をそらすのを待っていたかのように、青娥は言う。
「まあ、今回は貴方の提案に乗っておきましょう。貴方とは、これからもいい関係を築いていきたいですからね」
「それはどうも」
嘆息して視線を戻すと、来たときと同じように、青娥は忽然と消えていた。
「聖も聖徳王も、私の考えくらいはお見通しだろう。その上で私の提案に乗ってくれたと
いうことは、和解の目はあると思っていいはずだ」
この場にいない青娥へ聞かせるように、ナズーリンは一人呟く。
「君の望む世の中は、ここでは実現させないよ。雪が融ければ、あとは春になるだけさ」
しかし、もしかすると青娥ならば、とナズーリンは思う。そう思うのはナズーリンだからこそ
かもしれない。本当に警戒すべきは個人では大した力を持っていない者である、ということを
知っているナズーリンだからこそ。
「マミゾウにでも相談しておこうか。化かし合いは得意そうだし……」
まったく嫌な役割だ、と思案をめぐらせながらナズーリンは駆け出した。
木枯らしが身を切る。しかし冬が来たならば、春もそう遠くない。
===
雪融けと聞いてまず思いついたのが東西冷戦ネタだったので……
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