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別れる者と異世界の小さな旅
25
:
レオン
:2006/09/21(木) 17:04:23 ID:X3oxlF8g
深い森の中に、二人の少女がいた。
彼女等は、木の根が張ってがたがたの地面を難なく歩いていた。
先を歩いていた、こげ茶の髪の少女――フレイムは口を開く。
「・・・あー、ルーはいーなぁ」
場に似合わぬ、のんびりとした声。
ルー、というのはリウという少女の愛称だろうか。
まるで女友達と話すかのような、軽々しい口調だった。
彼女は、リウの返事を待たずに続ける。
「あたしなんていっつもザコのそーじだよ!? たまには強いのとやってみたい!」
そう言う彼女の手に握られているのは、血のこびり付いた鎌。
よく手入れがされてあるようで、その血はつい先ほどついたものと想定される。
衣服にも多少の返り血が飛んでいて、まだ幾分も経っていないのだろうか、湿っていた。
「・・・何が言いたい?」
訝しげに問うリウに、フレイムは笑って答えた。
「んー? 次の戦い、あたしも連れてって? って言いたいの」
もうザコは飽きたし、と付け加える。
その瞳には、どこか狂気的な光が宿っていた。
ね、いいでしょ? と聞いてくるフレイムを見て、リウは少し考える。
戦闘能力としては、彼女――フレイムは高いほうだ。
連発が不可能とはいえ、全ての属性魔法が使えるというのはかなり有利だ。
その上全ての武器、及び格闘術の使い方を知っている。
たとえその威力が低くとも、足手纏いになることは、まずない。
私としては、来たほうがいい。
だが。
「あの方」がそのような事を許すだろうか?
――答えは、否。
だが―――・・・。
「ねえ!」
リウの意識は、突如思考から引き戻される。
彼女にしては珍しい、少し動揺した瞳でフレイムを見る。
フレイムは少し怒ったような、心配したような表情を浮かべていた。
「大丈夫ー? 目、死んでたよ??」
そういって、フレイムは彼女の目をじっと見つめる。
フレイムの、髪と同じこげ茶の瞳と、リウの紅い瞳がぶつかる。
リウは少し心を落ち着かせ、口を開いた。
「大丈夫だ」
そういうと、フレイムは小さく微笑む。
普段男らしい彼女とは正反対の表情に、リウは少し苦笑した。
「別に私は構わないが・・・「あの方」の許しが出るかどうか」
フレイムは、それを聞いて嬉しそうな表情をした。
「だったらOK!あたしもう「アイツ」には了承とってあるから♪
・・・これで、“狩り”に参加できる・・・!」
そういった彼女の顔は、まるで獲物を狙う獅子のような表情だった。
――こいつは、殺戮を楽しんでいる。
リウは、その表情に底知れない恐怖を覚えつつ、無言で彼女の後を追った。
森は、彼女等を戦いへと誘う。
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