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持ち帰ったキャラで雑談 その二

277転がり墜ちるように:2008/04/09(水) 14:25:40
彼の目から見ても、父はあまりにも愚かな王であった。
無謀な侵略を繰り返し、いたずらに国を疲弊させるその姿を幼い頃から悪い見本として見つめていた。
それでも、父は別の面も持ちあわせていた。
厳しくも優しかったその時の父は彼は一番大好きであった。
成長してからもそれは変わらず、寧ろ王位継承の日が近付くにつれ、
その恩に報いるためにこの国を豊かにしようという気持ちが強くなっていた。



扉の向こうで行われていた惨劇に彼は息を飲んだ。
臣下達が何かを斬っている。 ―何を?
紅い絨毯が更に紅く紅く染まっていく。 ―何で?
ごとり、と床に何かが転がる。 ―あれは、何だ?
「…………!」
扉から後退り、その場から走り出す。
込み上げてくる吐き気を無理矢理飲み込み、がむしゃらに走る。
気付けば、母の部屋の前にいた。
せめて、病に臥せている母だけでも助けなければ。
そう思い、扉を開けた彼は現れた光景を理解出来なかった。
力なく投げ出された裸の肢体にランプの明かりが揺らめく。
部屋に充満している臭いと肌に残されたそれがここで何が合ったかを物語っていた。
「は、ははは…」
その場に膝をつきながら、彼は笑った。
もしかしたら悪い夢でも見ているのではないだろうか、それほどに目の前の光景は理解し難いものであった。


(…復讐したくはないか?)
闇の中でそれがこちらを見つめながら、そう問掛けてきた。
その声に彼はゆっくり立ち上がり、声の方へ歩み寄る。
(侵略者に)
差し出された手を生気のない瞳で見つめる。
(偽りに満ちた世界に)

―ああ、そうしよう。
―自分から全てを奪ったこの世界に。

(世界に)
「破滅と復讐を」

手を掴んだ彼の姿は闇の中へ転がり墜ちるように飲まれ、
後には何も残っていなかった。


悲劇の幕開けはもうすぐ―


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