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小説スレ

6スケイルエンド補完みたいなの:2005/06/17(金) 22:18:50 ID:Z/FPomXM
だが、不幸にも彼女は、回避の際抱えていた結晶を手放してしまっていた。
触手らはそれらを見逃さず、器用に各々で絡めとり、本体の心臓へ引き寄せる。
集った結晶は粒子となり、ゆっくりと意味を組み替え、新たなる質量をこの世に構築してゆく。
スケイルはただ、その最悪の事態を、力入らぬ脚を支えたまま見つめるしかできなかった。
――確かな恐怖が、現実の脅威となる。
先ほどまであれほど瞬いていた星たちはいつの間にか掻き消え、ただ漆黒なる曇天のみが頭上を包んでいる。
そして、視界を流れてゆく、幾千幾万もの白、白、白。
「まさか……」
喉さえ震え、言葉が続かない。
それを見て『奴』は嘲笑を浮かべ、代弁とばかりに小馬鹿にして呟いた。
「その通りだ、神。いや、『旧』神さんよ」
「……魔王だけでは飽き足らず、とうとうこの領域まで踏み込んだのですか」
くっくっくと、魔王――もとい『新』神は、さも楽しげに噛み殺した笑い声を上げる。
「神がキサマに力を分け与えたとき、ちゃっかり何割か吸わせて貰った」
「まだ諦めないのですか……死者は死者らしく、大人しく墓穴に潜ればよかったものを」
ふん、と神は鼻で笑う。
「ならば、キサマに代わりに入ってもらおうか。この世に神は二人も要らないのでな」
神の表情から、笑みが消えた。
同時に、心底まで凍て付くような寒風が、スケイルを煽る。
――この邪神を、倒さないと。
折角手に入れた平穏を、覆させるわけにはいかない。
だが、いくら楽観しようとも、この状況からは微塵の勝算も見出せなかった。
残っていた結晶は9個。これだけの質量の維持には3個必要としても、3度相手を滅さねばならない。
其れに対し我が身は一つ。願いの水晶を砕かれれば、リクレール力無き今最早この地に神を止める術は存在しなくなる。
――それでも。
それでも、対峙せねばならない。
それが、あの人の信念であり、私の想いだから。
覚悟完了。
スケイルは、すっかり手に馴染んだ母なる海の杖を構えた。


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