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小説スレ
27
:
帰ってきたスケイル幻想譚
:2006/08/15(火) 20:24:23 ID:BXF0vllc
至近距離で全てを受けたスケイルはぼろぼろだった。
すがるものがあれば立ち上がることならできたろうが、生憎すがるものがなかった。
……そう、すがれるものは、もう粉々だった。
内なる魔力だけを使用した剣と違い、外部の魔力も回収した杖は限界を突破したらしい。
だが、今となっては、粉々だろうと健在だろうと、彼女らには必要のないものだった。
未だに目は満足に機能していない。だが、地面の振動を感じないということは――
「やりました……か?」
『砂煙で俺にも見えないが……動きはない』
「そうですか……あ、はは」
最後の力も抜け、ぐったりと彼女は地に伏した。
だが、それは彼女が最も望んだ……安堵によるものだった。
「ナナシ様」
『ん……』
スケイルは、なんとなく、今伝えなければならないと思った。
……いや、違う。伝わっている。わかっている。
これは確認だ。これは誓いだ。誰だって相応の場で、わかりきったことを、第三者から誓わされるだろう?
「……ずっと、私と」
あと、もう少し。もう少しで、私たちは――
「……甘いわ、小娘」
――え?
不相応な声だった。ありえない声だった。
スケイルの身体は衝撃と共に宙を舞い、やがて無様に墜落する。
「かは……っ! な、な、げほっ、なんでっ!?」
気管に雪が入り噎せ返っても、彼女はそう叫ばずにいられなかった。
確かに、間違いなく、この手で打ち砕いたはずなのに――
足りなかった? バカな! 伝説の武器が砕けるほどの一撃なのに!?
だが彼は、そんな焦る彼女と対照的に、冷静だった。
「まあ、聞け、な?」
「……なんで」
くく、と神は嗤った。
「まあ、なんだ。カラクリなんて言ってしまえば簡単だ」
それっきり、神はただにやにやと笑みを浮かべるだけで押し黙った。
……挑発か、違うのか。どちらにせよ、不快ではあった。
ふと、神が、なんだ、おかしいと気づいた。
さっきまでは、確かに醜悪な肉の塊だった。だが今の彼は、どう見ても、普通の竜人の姿だった。
結晶を一つだけ残していた? いや、違う。感触でわかる。
そして彼女は、神の足元に展開された術式の魔法陣を目にすることになる。
これは。
彼女は全てを悟った。神もそれを悟った。だから、いっそう嗤った。
「お前と同じだ。いや、一枚上手になったか……どちらにせよ、幸運だったな」
それは。彼女も使った、ある術式。
「……『再生』」
「ご名答、くくくくくくくくっ……」
強固な意志が、全てを砕くと、全てに打ち勝つと、信じていたのに。
神のほうが、神の生きたいという汚い願いのほうが、純粋で強固だったのだ――
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