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小説スレ
16
:
タイトル募集。
:2005/06/24(金) 07:06:15 ID:eZJQ3h5Q
じゃり、と地面を踏みしめる音。
そのとたん、ナナシから先ほどまでの柔らかさが抜け、彼の眼に再び闘志が宿った。
「……やっとお目覚めか」
「キサマ……人間風情が我に楯突きおって……」
肉体は完全に再生され、もう一筋の傷も残ってはいない。
その瞳には、ただ憎悪のみが煮え滾っていた。
対するナナシも、その射抜くような視線を真っ向から睨み返す。
「よかろう……楯突くのなら、それ相応の苦痛を身に刻めぃっ!」
刹那、閃光が奔った。
コンマ秒の容赦も無い、完全なる不意打ち。
地面すらも斬り裂き、閃光はナナシが立っていた場所に深いクレーターを刻んだ。
追撃とばかりに、更に閃光を砂塵に向け叩きつける。
――だが。
「どこ見てるんだ?」
耳元に、声。
突如襲った嫌な予感に、神は振り向く間も無く咄嗟に首を下げた。
次の瞬間、ちょうど脳天があった場所を紅蓮の閃光が掠める。
「いつの間にぃっ!」
「術式『幻霧』。……学習しようぜ」
小馬鹿にしながら、ナナシはさらに追い討ちの一撃を放つ。
神も、反射的に爪を振るった。
二つの閃光は真っ向からぶつかり――神はあまりの衝撃に眼を見開く。
ありえない。自分が力比べで圧されるなど……
やがて、限界はあっさりと訪れた。
爪は剣の熱と硬度に耐え切れず、鈍い音と共に砕け散る。
そのまま、威力を殺がれながらも手の甲を半分ほど斬り裂いた。
「ぎぃいいいぃいいぃいいぃっ!?」
燃え上がる刀身は、さらに傷口を焼きつくさんと責める。
文字通り焼鏝の痛みに、言葉にならぬ悲鳴を上げながら神は悶えうった。
無論、そんな好機を逃すナナシではない。
すかさず傷口から剣を抜き、容赦のない紅蓮一閃。
防御叶わず、刀身はやすやすと硬い皮膚を斬り裂いて腕を両断した。
閃光は一滴の鮮血すら蒸発させ、ナナシはそのまま転がりながら距離を取る。
息も絶え絶えに、神は殺意だけ眼光に込め睨みつけた。
「キサ……マぁぁああぁ……」
だが、神とて元は竜人を治めた猛者である。
一連の流れとかつての交戦において、状況分析は既に終了していた。
記憶が確かなら、ナナシ単体では理力対策は皆無。
――空気が鳴る。
この距離この位置ならば、回避など叶うまい。
荒い息を吐きながら術式展開、構築。
五芒の陣が、破壊の術式を寸分の違い狂いなく編み上げてゆく。
「シャアァアアァアアァアアアァアアアァアアアッ!」
怒号一喝。
咆哮と共に、回避不能の術式『波動』が、ナナシを完膚なきまでに砕き尽くす――
だが。
「な……?」
放たれる寸前、術式が霧散。
呆けたように口を開けたまま、神は我が身を襲った『術式』に慄いた。
――この、感覚は。
そう思ったのと、背後から衝撃波が襲いかかったのは同時だった。
反応すらできず、無様にも神は前方へ吹き飛ばされる。
見れば、いつの間にかナナシの姿がどこにもない。
代わりに背後で待ち受けるは――
「あなたの相手は『私たち』、なんですよ?」
初代魔王が与えた、最後の力。
それは願いの水晶を媒体に、一つの肉体において二つの精神を『存在変換』するという、世紀の大術式。
――待ち受けるは、杖を剣の如く構えた、五体満足のスケイルであった。
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