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小説スレ
15
:
スケ…いいタイトル募集。
:2005/06/23(木) 07:03:56 ID:sahCnt5s
「どうして……?」
どうして、まだここに残っているのか。
そう問うと、彼は困ったように頭を掻いた。
ばつが悪そうに、答えを口にする。
「多分、この状況をリクレールはわかってたと思うぞ」
「え?」
思いもよらぬ名前に、スケイルは素っ頓狂な声を上げてしまった。
己の恥に頬を紅く染め、慌てて口を押さえる。
そんな彼女の仕草に軽く笑いながら、彼は続けた。
「身体が消えてからさ、そのまま意識の海に帰ろうとしたんだけど……どこにも出口が無かったんだよ」
「それって……」
嫌な予感がする。
当の本人は、スケイルの葛藤を知ってか知らずか、まだ続ける。
「んで、元の世界には帰れないし、この世界で何もできないしで、しょうがないからずっとここで突っ立ってた」
「えと……」
予感が、次第に現実味を帯びてゆく。
よく見れば、彼の眼もまた不自然に泳いでいた。
お互い、次第に空気が冷めていくのを感じる。
「……見たんですか?」
「いや、見たくて見たわけじゃ」
「見たんですよね?」
「……ひゃい」
予感的中。
つまり、別れに咽び泣いている光景を、しっかり当人に見られていたわけだ。
顔から火が出そうな羞恥が、顔を真っ赤に染め上げる。
「ううううううううう〜……」
ナナシも、もうフォローしようがなくしどろもどろに言葉を紡いだ。
「いや、ほら、あれだけ感動的に別れの演出したのに、すぐほいほいと出てくるわけにもいかないだろっ」
「だからってずーっと見てることないじゃないですかぁっ!」
「だって、帰れないのはただの手違いだと思ってたんだから、勝手に離れるわけにもいかねぇし……」
むくれながらもスケイルは、今この時をゆっくりと噛み締めていた。
――この人となら、大丈夫。
例え、どんな困難があろうとも。
彼もそんなスケイルの意を汲み取ったか、自然と二人は真っ向から見つめあった。
想いは一つ。願いも一つ。
言葉少なく、二人は頷きあう。
「一緒に、行こう。戦おうぜ、スケイル」
「……はいっ!」
――私は、この人と戦う。
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