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小説スレ
14
:
スケ…いいタイトル募集。
:2005/06/23(木) 07:02:22 ID:sahCnt5s
あとは、指にほんの少し力を加えるだけ。
大木すらへし折るその腕力にとって、何の造作もないことだ。
――何の造作も無いからこそ。
神は、自分の身に何が起こったのかがわからなかった。
トーテムに戻り、ただ最悪の事態を傍観していたスケイルにも、その光景は信じ難いものだった。
「な……にっ……?」
神の額に、何かが刺さっている。
それはやすやすと脳天を貫き、後頭部から馬鹿みたいにその切っ先を外気に晒している。
そしてその『刀身』は……紅蓮に燃える、朱。
状況理解と共に、文字通り妬け付く激痛が神に襲い掛かった。
「ぐぎゃあああああぁああぁあああぁあぁぁあっ!?」
訳のわからぬまま脳を直に焼き尽くされ、神は一度目の死を迎えた。
肉の崩壊と共にそれは地面に突き刺さり、改めてその姿を眼に焼き付ける。
「太陽の……剣?」
これを使いこなせる人間に、スケイルは一人しか心当たりがなかった。
そういえば、握られていたはずの水晶も、いつの間にか忽然とその姿を消している。
――間に合ったか……
突然、耳元に響いた声。
ほんの微かな音量ではあったが、確かに聞き覚えがあった。
「……魔王、さん?」
自分に肉の身を与えてくれた、最初の『魔王』。
姿が見えるわけではないが、スケイルは『彼』が頷いたように感じた。
微かに笑いながら、魔王は続ける。
――サリム、と言ったかあの若造……粋なことをするものよ。
――彼奴は『もしもの時』の為に、力だけを離別して保管しておった。
「サリム……さん」
自分は、脆く弱い存在だけれども。
支えてくれる人たちが、きっと傍に居てくれる。
――そなたは、私に願ったな。『彼奴の役に立ちたい』と。
――正真正銘最後の力よ。……必ずや、あの馬鹿者を討て。
――私の、いや……我らの願いはそれだけだ――
声が、存在が、消えてゆく。
だが、スケイルは、とある確信を得ていた。
魔王の言った『彼奴』とは、つまり。
スケイルは、希望に満ちた――それこそ待ち望んでいた――予感を確かにするため、『貴方』の名を呼んだ。
「ナナシ様――っ!」
翻る漆黒のマント。
誰よりも、何よりも、正義の怒りと闘志が込められた瞳。
地面に刺さった太陽の剣を引き抜くと、その影はスケイルに振り返った。
その顔には、見覚えがあった。忘れるはずも無い顔だった。
震える喉を押さえ、もう一度『彼』の名を呼ぶ。
「ナナシ様……」
彼は、スケイルに向かって、優しい笑みを浮かべた。
もう二度と見ること叶わぬと思っていた、心安らぐ笑み。
自然と、二の句が漏れ出でる。
「……おかえりなさい」
「ただいま、スケイル」
希望が、そこに居た。
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