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小説スレ

12スケイルエn(ry:2005/06/21(火) 06:54:58 ID:OmkaQSLY
地を蹴る。
迎え撃って鉤爪が奔る。
左肩が斬り裂かれる。まだ駆ける。
連続で閃光が奔る。
右肘が分断。左脇腹が裂ける。まだ駆ける。あと18歩ほど。
あえて急所を外し苦痛を与えんがため、無数の閃光を奔らせる。
右肩が斬り裂かれる。右腿が浅く抉れる。少し脚が鈍ったが、まだ駆ける。あと11歩ほど。
いつまでも苦痛を噛み殺し悲鳴一つ上げぬ彼女に興醒めしたか、先ほどより精密な連続攻撃が奔る。
左腕が肩ごと分断。右胸が裂ける。左脛が裂ける。右膝が分断される。
とうとう地を踏みしめるものが無くなった。スケイルは受身も取れず前のめりに転倒し、前方に投げ出される。
そして、そのまま神の脚に軟衝突し、停止した。
見上げれば、にたりと満面の嗤いを浮かべた神が、自分を見下ろしている。
「どうした? もう終わりか?」
「…………」
言葉を返そうにも、肺を抉られたためただ荒い呼吸音しか喉から漏れない。
神はその光景を、心底満足げに嘲る。
「本当ならもう少し甚振ってやりたいのだが……時間が惜しい」
振りかぶられた鉤爪が、鈍い輝きを闇夜に浮かべる。
スケイルはただ、その光景を他人事のようにぼんやりと見つめていた。
「指でも咥えて、我らの世界を傍観しておるがいいっ!」
衝撃。
刹那に肋骨が砕かれ、それでも勢いは全く殺がれず心臓に到達する。
そのまま、柔らかいそれを難なく鉤爪は切り裂いた。
「ごぷっ……」
吹き上げる鮮血、口から漏れる吐血。
間も無く肉体は、その機能を完全に停止した。
とたんに質量の維持ができなくなり、身体が砂のように崩れだす。
それらは塵となって吹き荒れる風に舞い――願いの水晶だけが、ことりと地面に落ちた。
神はそれを摘みあげ、事のあまりの愉快さに高笑いする。
「これで我の、我ら竜人の悲願が叶う! もう止めることなど叶わない! ぐひゃひゃ、ぐひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!」


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