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小説スレ

11スケイルエn(ry:2005/06/21(火) 06:53:12 ID:OmkaQSLY
「……今度は我の番か」
傷は眼に見えて深いものであったが、かろうじて急所を外していたらしい。
止め処無く溢れる鮮血を滴らせ、改めて神は鉤爪を構える。
――刹那、閃光が幾筋スケイルに奔った。
無論、死力を尽くしたスケイルに、回避どころか防御すら叶わない。
まともに爪を浴び、身体が錐揉みながら吹き飛ばされる。
「――っ!」
声にならない悲鳴。
更に、追い撃ちとばかりに閃光の幾つかが無防備なスケイルを非情に襲う。
焼鏝のような熱さと共に、左腕が斬り裂かれ離別したのを理解した。
続いて他の筋が、右脚を根元から分断する。
そして最後の一筋が、左胸を寸分の違い無く貫いた。
「か……はっ……」
舞い散る鮮血と、零れ落ちる血反吐。
スケイルは着地できるはずも無く、それらと共にもんどりうって墜落した。
だが、間も無く『再生』が発動。
斬り落とされた四肢が再び身に縫合され、胸の穴は塞がり、失血感が徐々に薄れてゆく。
何とか立ち上がったものの、現状理解と共に酷い絶望を覚えた。
Willが尽きた。再生も尽きた。杖は遥か前方に転がっており、拾う間もありそうにない。
それでも、スケイルは構えを取った。
せめて、もう一太刀。
眼でも胸でもなんでもいい。とにかく、もう一太刀。
そして、そんな時でも想いを馳せるは、愛しき貴方の名だった。
――ナナシ様……ごめんなさい。
――今から、ナナシ様から頂いた大切なこの身体を、捨てることになっちゃいました。
――……馬鹿なトーテムで、本当にごめんなさい。


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