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●事情によりこちらでSSを投下するスレ 3●

74312/15:2011/03/20(日) 14:12:11 ID:???
 この場で会長から感想を貰うなど命知らずに等しいが、かといって家で開けられて後か
らなまくら刀でボコスコにされるよりは、いっそ一刀両断に切り捨てられた方がマシだっ
た。会長が丁寧に包みを開けるのを、俺は窒息しながら、ひたすらに見守っていた。
『……これは……イヤリング……よね?』
 会長が手にしたのは、小さな白い真珠のついたイヤリングだった。セール品とはいえ、
俺の小遣いが二ヶ月は軽く吹っ飛んだ代物だ。
「まあな。ちょっと……その……俺もやり過ぎかなとは思ったんだけどさ」
 正直、かなりこっぱずかしい。これで会長にボロクソに批判されたら、マジで死ねる。
『……普通、ホワイトデーのお返しなんて、クッキーやケーキなんかのスイーツにしとく
ものじゃないのかしら』
 怪訝そうに会長が俺を見つめる。俺はまともに視線を受けられず、顔を逸らすとこめか
みを手で掻いた。
「だって、会長そんなに甘いもの好きじゃないじゃん。コーヒーもブラックで飲むし。か
といって、ホワイトデーに辛いものってのも何か合わない気がして、迷ってたらたまたま
それが目についてさ。会長だったら、こういうのでも似合いそうだなって思ったら……勢いで……」
 すると会長は、大げさにため息をついて言った。
『……あのね。別府君にアクセサリーなんて贈られて、喜ぶ女の子がいると思うの? だ
とすれば、思い上がりも甚だしいわ』
「いや……悪かった。俺もそこまで思い上がってはいないんだけど……何つーか、気の迷いだから」
 頭を下げ、手の平を会長に向けてこれ以上の非難は勘弁だという事をポーズで示す。す
ると、もう一つ会長のため息が聞こえた。
『……まあいいわ。元々プレゼントなんて期待してないんだし、貰うと言った以上は貰っ
とくわ。ただし、どう処分されても文句は言わないで。間違っても、私が付けるなんて期
待はしないでよね』
「分かってるよ。いや……十分です。はい」
 やはり、バッサリ斬り落とされると心臓は激痛を覚えるのだなと、俺は実感したのだっ
た。




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