したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。

●事情によりこちらでSSを投下するスレ 3●

74110/15:2011/03/20(日) 14:11:24 ID:???
「いや。喜ぶ訳ないじゃん。早川のは素直に喜んでたけど、俺のはむしろ貰うのが当然っ
て感じだったぜ。おまけに、口に合わなかったらやり直しだからって言われてさ」
 冗談めかした、おどけた口ぶりで言うと、会長は微かに笑って頷いた。
『そうなの。彼女らしいわね。ううん。ある意味、彼女らしくないか』
「何だそりゃ? どういう意味だよ」
 会長の言葉に、ちょっと意味深な意図を感じて俺は聞く。しかし会長は首を左右に振っ
てそれを退けた。
『大したことじゃないから、気にしないで。それより良かったじゃない。別府君も、妹さ
ん以外で始めてお返し出来る女の子が出来て。貴方みたいな何の取り得もない男が、秀美
ちゃんみたいな可愛い子にお返し渡せるなんて、それだけでも光栄に思いなさいな』
 気のせいだろうか。クールな口調で会長は話していたが、その言葉の裏に何だか様々な
思いが渦巻いているように思えてならなかった。だが、それは例え真実だったとしても確
かめる術もないし、何より俺には自分の事を優先させなければならなかった。そう。タイ
ミングなら今だ。
「……もう一人、お返しを渡さなくちゃいけない相手が、俺にはいるんだけどな」
 躊躇いがちに、会長に向かって言う。すると会長の目が一瞬見開いたかのように見えた
が、すぐに元の冷静な顔に戻って、会長はファイルに目を落とした。
『……意外ね。別府君に、バレンタインデーにチョコを渡すような物好きさんが、他にも
いただなんて。貴方、意外と幸せ者じゃない』
 俺はそれには答えず、バッグから紙の手提げ袋を取り出す。そして立ち上がると、会長
の席の真正面に立って、それを差し出した。
「ほれ」
 すると会長は、ゆっくりと顔を上げて俺を見つめる。驚いた風でもなく、嬉しそうな風
でもなく、不快そうでもなく。それから、すぐに視線を横に逸らして、とぼけた様子で言った。
『……私、別府君にお返しを貰うような事を何かしたかしら?』
 何となく予想はしていたが、またとぼけられたかと思う。いい加減ここまで来ると、呆
れるのすら通り越してしまう。
「前に手作りチョコ、くれたろ? 俺にバカにされたから証明するとか何とか言ってさ」
 すると会長は、意外にもすんなりと頷いた。
『ええ。それは覚えているわ。で、それがどうしたの?』




掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板