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●事情によりこちらでSSを投下するスレ 3●
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すると会長は、無言でノートパソコンを弄っていたが、やがて顔を上げて言った。
『円周率の日でしょ? 円周率が三.一四だからそれにちなんだっていう』
「会長。今、検索しただろ?」
すると会長が、もの凄く不満気な顔で俺を睨み付けた。珍しく隙のある行動を見せた会
長の態度に、つい俺は笑ってしまう。
『別にいいじゃない。私にだって、知らない事くらいあるわ』
ムスッとした声で会長が文句を言った。正直なところ、日頃クールな会長がこうして俺
の前では少しでも感情を表に出すのは、副会長としての役得だと俺は思っている。
「何か、別の日をわざわざ検索してごまかそうとする辺り、俺の言わんとしてることは察
してると思うんだがな」
ちょっと意地悪く言うと、会長は変わらぬまま俺を睨んでいたが、やがて諦めたように
視線を外した。
『知ってるわよ。ホワイトデーでしょ? 個人的には縁が無いから、興味もないだけだわ』
素直に認めるかと思いきや、いきなりバッサリと切って落とされた。縁が無いと言うの
は、俺も含めての事なのだろうか。だとすると、先行きはかなり暗い。
「縁が無いって、会長はお返しとか貰ってないのか?」
敢えて聞くと、会長はつまらなそうにそっぽを向いたまま頷く。
『当たり前でしょう。バレンタインのチョコなんて、誰にもあげてないもの。貰いはしたけどね』
「会長は、お返しとかしないのか?」
言葉尻を捉えて聞くと、一切表情を変えずにそのまま会長は頷く。
『だって、そういうのって面倒くさいもの』
また、あっさりと言ってのけた。いや、まあ実に会長らしいとは思うし、バレンタイン
デーにもそんな事は確かに言ったのは記憶しているが。
「確かに気持ちは分かるけどさ…… けど、お返しすれば文村とか喜ぶんじゃないか?
アイツ、会長の事慕ってるんだしさ」
パッと思いつきで口にした後で、即座に俺は後悔する。予想通り、会長の顔が不機嫌に
歪む。
『余計なお世話よ。別府君にそんな事、お説教されたくもないわ』
俺は心の中で自分に舌打ちする。会長から視線を逸らし、渋い顔をして謝罪をする。
「いや。確かにその通りだよな。何か、ちょっと気になっただけで……悪い」
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