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●事情によりこちらでSSを投下するスレ 3●

7354/15:2011/03/20(日) 14:08:56 ID:???
「いや。今日は生徒会もないだろ。だから、一応こないだのお返ししとかないとと思ってさ」
 そう言いつつ、俺は廊下の方に顔を向けてあごでしゃくる。その先には同じく生徒会後
輩の早川がいた。
「文村さんにはチョコ貰ったからね。感謝の気持ちって事で、はいこれ」
 早川が、手提げのビニール袋を差し出す。すると文村は笑顔でそれを受け取った。
『ありがとう、計君。友チョコだとホワイトデーのお返しはないから、何気に私も貰うの
は初めてだったりとか。あ……でも、計君は他の子からも貰ってたんだっけ』
 ちょっと不満気な顔になる文村に、早川は慌てて言い訳するように言う。
「いや。確かにクラスの子にも返したけど、グループでまとめてだからさ。特定の子にっ
て訳じゃないし」
 そんな早川の困り顔がおかしかったのか、文村はクスッと笑った。
『いいよ、別に。お返し、くれただけでも十分嬉しいから』
 それから横目でチラリと俺に視線を移して言った。
『で、先輩は?』
「ああ。俺もお返し。ほれ」
 紙袋に入ったクッキーは、今朝敬香にあげたものと同じだ。文村は、紙袋を開けて除い
てみてから言った。
『ふうん。クッキーですか。超普通ですね』
「ありゃ? 何か、早川の時と随分態度違くないか?」
 つまらなそうな文村の態度に疑問を呈すると、文村は不満気に俺を睨んで言った。
『当たり前です。先輩はくれて当然なんですから。義理の義理でもチョコ貰えた感謝の気
持ちくらい示して当然です』
 どうしてこうも、俺の評価は低いのか。もっとも文村の場合は一応バレンタインチョコ
ではあったし、口の割には中身はしっかりしたものだったから、多少は我慢しないといけ
ない所もあるだろう。
「まーな。あれ、結構美味しかったし。だから、クッキーだっつっても、一応それなりに
は吟味してんだぞ」
 美味しい、という言葉に文村がピクッと体を反応させた。視線を僅かに外して顔をうつむかせる。




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