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●事情によりこちらでSSを投下するスレ 3●
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俺を睨み付けながら、クッキーの箱を大事そうにしっかりと抱えて言い返す敬香。もっ
とも、俺だって自分の言葉を信じてはいない。頭の良い敬香がそもそもバレンタインデー
の事を忘れてるなんて事そのものを信じていないのだから。
「ま、それは冗談だけどな。で、いるのか? いらないのか? はっきりしろよ」
すると敬香は僅かに顔をうつむかせて黙り込む。少し経ってから、顔を上げて俺を憎ら
しそうに睨み付ける。しかしその頬が僅かに赤らんでいたのを、俺は見逃さなかった。
『別に、兄さんからのお返しなんて嬉しくありませんけど。でも、兄さんなんかに買われ
たクッキーが不憫ですから、これは貰っておきます』
「……貰うなら、素直にそれだけ言ってくれた方が俺としてはいいんだけどな」
相手は妹だし、もう慣れていてはいてもたまには嬉しそうな顔も見てみたいなと思いつ
つ言うが、逆に敬香は俺を思いっきり睨み付けた。
『冗談言わないでください。下手に兄さんに勘違いされたら、私が……その……困りますから』
「困るって、何が?」
直球で聞き返すと、さらに敬香は顔を赤くして怒鳴った。
『困ると言ったら困るんですっ!! これ以上深入りして聞かないでくださいっ!! も
う……用が済んだんだったら、とっとと私の部屋から出て行ってください!!』
プイ、と体ごとそっぽを向かれてしまったが、俺はまだ敬香に用があった。グズグズし
ていると叩き出されそうだったので、急いで話を進める。
「いや、あの……参考までに一つ聞きたい事があるんだが、いいか?」
『何ですか? その、参考までって』
肩越しにジロリと睨み付けられる。若干気圧されつつも、怯まないよう気を強く持って、
俺は言葉を続けた。
「あのさ。バレンタインにチョコあげたつもりのない奴から、こうやってお返し貰うのっ
て、やっぱり迷惑か? いや。嬉しくないとかは分かるんだが」
すると敬香は、クルリと俺に向き直ると、唐突に詰め寄ってきた。
『何でそんな事を聞くんですか? 私の他に、バレンタインにたまたまチョコをくれるよ
うな人が兄さんにいるんですか?』
「あー、いや。参考までだって言ったろ? 来年に備えてって事もあるし」
『来年は、私は兄さんに間違ってもチョコなんてあげませんよ?』
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