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●事情によりこちらでSSを投下するスレ 3●
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「…ラブソング、だな」
「冴えない男筆頭のあんたが休日に本を片手にラブソングって…ぷっ、あはははは!駄目、改めて考えたらなんか笑えてきちゃった!」
お腹を抱えてここぞとばかりに爆笑するかなみ。冷静に考えれば、ひどい女だ。
「…あのなあ。別に俺が何を聞こうと関係ないだろう」
「ふふふ…ま、まあ、そうなんだけどさ。あんまり似合わな過ぎるから」
「俺だっていずれはどこかの麗しき黒髪の乙女と恋に落ちるかもしれない訳だし」
「…無いわね」
「そんな時ばかりハッキリ言うな」
ふふん、と得意げな顔で、かなみは再び台所に立つ。
野菜をとんとんとんと切りながら、こちらを見ずに言い始めた。
「…大体、今のあんたじゃ彼女なんて無理よ。アピールがゼロに近いもの」
「アピールか。確かに異性を積極的に誘うような事は少なかったが…」
「例えば…あんたの好きな映画が駅前の映画館で上映されてました。はい、どうする?」
「初日の朝一に見に行きます、かなみ教授」
「それが駄目なんだってば。そういう時は誰か友達なり、女の子なり誘って行くのが普通でしょ?一人で映画見る人なんて今時少ないわよ」
ふむ、と俺は妙に納得する。確かに、俺にも女性との縁は少なからずあったかもしれない。
なのに今だに親しい彼女が目の前のこいつしかいないのは、ひとえに俺のアピール力不足か。
「なるほど…ねえ。以前からお前の映画鑑賞に付き合わされるなあと思ってはいたが…そうか、アレはお前のアピールだったと言う事か」
「なっ…!?」
言っておくが、かなみをからかったつもりは毛頭ない。断片的な情報が組み合わさり、推論を導き出しただけだ。
しかし彼女はそうは捉えなかったようで──その言葉の最終的な帰結を感じ取ったかなみは感情の赴くままに激情をぶつけた。
端的に言えば、俺の鼻っ柱に大根が飛んできたのだ。
「グッ!?」
「何言ってるのよ馬鹿っ、自惚れるのも大概にしときなさいっ!」
俺はあまり出した事のない声を上げ、鼻を押さえてうずくまる。
どうにも綺麗すぎるラブソングの歌詞は、どたばたとした俺の日常をあざ笑うように、頭の中で飛びまわっていた。
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