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●事情によりこちらでSSを投下するスレ 3●

6816/7:2011/03/14(月) 01:44:38 ID:???
 すると、会長も驚いたように目を見開く。多分、自分でもあまり意識せずに差し出した
のだろう。それから、ちょっとバツの悪そうに顔を背けて、小さく答えた。
『……ここまでやったんだから、毒を食らわば皿までって思っただけよ。嫌なら、別に結
構よ。自分でやるから』
 しかし俺は、会長が手を引っ込める前に、素早く軟膏を受け取った。
「いや。別に嫌ってほどじゃないし。お望みなら、塗って差し上げますが?」
 会長は、何故か一瞬、目線をそらして躊躇ったが、すぐに小さくコクンと頷いた。
『……じゃ、じゃあ、お願いするわ』
 何故だろう。俺の感覚では、あの会長が何故か恥ずかしそうにしているように思われた。
まさかとは思うが。しかし、俺の前に立って大人しくあごを上げ、鼻腔をさらす会長から、
それ以上の確証を得る事は出来なかった。
「それじゃあ、塗るぞ」
 軟膏を指に付け、会長の鼻に当てて優しく塗る。鼻の下のふっくらした唇とか、形の良
いあごとか、触ってみたい場所はいくつもあったが、ここはグッと我慢の子だ。
「よし。こんなもんか」
 手を離すと、会長が一歩下がってあごを戻す。指で鼻を確認しつつ、俺に向かって聞いた。
『大丈夫? 赤いの、目立ったりしないかしら?』
 俺は頷いて答えた。
「この程度なら、じっくり見ない限り大丈夫だろ。俺はさっきから会長の世話してたから
気付いたけどな」
『それならいいわ。さて、仕事に戻らないとね』
 頷いて、会長は物置から外に出る。続いて出てから、俺は歩きながら会長に一つ気になっ
ている事を聞いた。
「あのさ。会長」
『何? 無駄話なら止めてくれる?』
 鋭い口調に一瞬怯みかけたが、そんな事は何度も経験済みの俺は、構わずに話を続けた。
「いや。何で俺一人の時だと、花粉症の症状が抑えられなくなるのかなって」
 すると会長は、足を止め、肩越しに振り返って答えた。
『さあね。別府君の毒素が花粉と交わって、症状をより酷くさせるんじゃないかしら』




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