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●事情によりこちらでSSを投下するスレ 2●
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最初はそれでよかった。だが予測できなかったことが三つ起きた。
彼が研究に殆ど参加しなくなってから全くといっていいほど研究が進まなくなった。
彼の纏めたレポートを見ても私はこれ以上に技術を改良できなかったのだ。
だから研究は行き詰まり、無意味な時間だけが過ぎていった。
そのせいでクライアントは私たちへの資金を少しずつ減らしていった。
もう一つは彼が私を全く疑っていない、それどころか尚も面倒を見てくれる存在と私を
慕う心を強めていったのもある。
もしも彼が事故ではなく、私の嫉妬で起こった行為なのだと知ったら私は間違いなく彼に
殺されてしまうだろう。
最後の一つは・・・私は彼に恋をしてしまったのだ。
彼の私に対する従順な性格、実験に失敗した時も慰めてくれた彼の優しさに私は惹かれていたのだ。
無論私に彼を愛する資格などある筈がない。彼の才能を封じ込めてしまった私になんて・・・
ある日私はコンピュータの画面に映し出された実験の結果にあまり芳しくない表情を浮かべた。
「・・・・やっぱりこのままじゃだめ・・・」
この物体を透明にする装置の最大の難点は一度使用する度に大量のエネルギーを消費することだ。
何度やってもうまい具合にことが進まない。
ここに彼がいたならば・・・
私がそう思い始めたとき、時間はすでに午後の7時になっていた。
「・・・タカシの夕食の時間・・・作らないと・・・」
私は研究所にある小さなキッチンで簡単な食事を作った。
それを持って地下の彼の部屋前に行き、ドアをノックした。
「・・・・・・・・・・・」
なにも聞こえなかった。普通なら彼の返事が聞こえる筈だ。寝ているのだろうか・・・
「・・・入るよ」
私がそう言ってドアノブに手をかけた時だった。なんの抵抗もなくドアノブが回った。
鍵をかけ忘れた・・・・!
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