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初めて投下したSSを晒そうぜwwww

141名無しさん:2006/05/18(木) 20:51:20 ID:.4z0rJR6
会話がないまま、十分と少しが過ぎた。今、車内には僕とちなみだけだ。中年の男とおばあさんはニ駅目で降りた。
―――丁度三駅目に到着し、次の駅に向かって電車が動き出した頃だった。
「ぅ・・・ん・・・たか・・・にぃ・・・」
甘えるような声と共に、左の肩に重みが加わる。
左を見やると―――静かに寝息をたてているちなみの頭があった。
「ふぅ・・・。まったく、昔は素直だったのにな・・・」
あまった右手で、静かに頭をなでる。さらさらな髪。なんとなしに上気し、赤らんでいる頬。
あぁ、中学に上がった頃からだろうか。それまでべったりくっ付いてきたちなみが、急によそよそしくなったのは。
終いには僕のことを『先輩』と呼び出す始末。
昔のように『たかにぃ』なんて呼んでくれるのは、今みたいな寝言の時だけだ。
でも、それだけでも暖かい気持ちになれる。
「すぅ・・・・・・すぅ・・・・・・」
そんな僕の心情なんて知らずに、ちなみはかわいらしい寝息をたてている。
「まったく・・・本当に困ったちゃんだなぁ・・・」
そういって、また髪をなでる。
ふと正面の窓を見ると、自身が映っていた。
そして知らないうちに、自分の顔がにやけていたことに気付く。
「はは・・・僕も・・・か」
周りを見る。壁を隔てた向こう側に運転士が居るだけで、この空間には、僕とちなみの二人だけしかいない。
まるで、時間が止まったような錯覚。このまま本当に時間が止まれば、どんなによかっただろう。
しかし、時間の針は刻々と進む。止まることはない。


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