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ツンデレじゃない長編投下・評価スレ

597/8:2005/08/28(日) 13:35:26 ID:uu.ib/mg
『だったら、無駄口叩いてないで、走るわよ!』
「あ、ちょっと、待てよ!」


『……朝靄……綺麗です……』
「……」
街は、その殆どが朝靄に覆われて、背の高いビルが古木の様にそびえ立っている。
所々、ライトを点けて走る車が、まるで川辺を漂う蛍の様だ。
山田君との距離は、手を伸ばせば届くようで、届かない。
彼は多分、一線を画したのだろう。
幼い少年の様な横顔が、どことなく大人びて見えた。
『……あの』
「ん?何だお?」
自分でも、何を言おうとしたのか分からなかった。
山田君が不思議そうにこっちを見ている。
不意に、後ろから、扉を乱暴に開ける音がした。
「あ、タカシ達だお!」
山田君が笑いながら走っていった。
「遅かったお、心配したお、何かあったのかお?」
「ハァ……ハァ……ああ、かなみがナースの幽霊をミドルキックで沈めて、一緒に院内を走り回ってた」
「何言ってるか全然分かんないお。だけど二人とも無事でよかったお」
山田君は本当に嬉しそうに笑った。
かなみちゃんは少し恥ずかしそうに、タカシさんと繋いでいた手を、そっと放した。


翌日、オレが教室に着くと、山田が飛んできた。
「かなみちゃんが吹っ飛ばした、あのナースの幽霊、正体が分かったお」
「もういいよ、あんな思いは懲り懲りだ。思い出したくない」
「いいから聞くお、あれ、幽霊じゃなかったお」
「じゃあ何だよ、夜勤か?」


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