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ツンデレじゃない長編投下・評価スレ

34保守代わり長編23〜end (16/30):2005/08/27(土) 17:18:29 ID:8dR622LE
 魔王は、それをしたのだろう。
 魔王は人間に乗り移っても、大抵はその肉体の本来の持ち主である人の魂が邪魔をする。
そのため魔王は本来の力を発揮することはできない。20年前、人間のエドが魔王を滅ぼ
すことができたのも、ミントによる邪魔があったおかげだ。
 しかし、これは違う。完全に空っぽの人形に入り込んだのだ。
 邪魔などない。
 完全な自由。
 それは、最悪の事態。
 突然、爆発的な魔力の渦が森を包み込んだ。
ド「ぐっ!」
 吐き気がする。邪のオーラ。普通の人間ならそれだけで死んでしまいそうな、強烈な邪
のオーラ。
 が・・・・・・何なんだろうか?
 この違和感は。確かに邪のオーラは桁外れの大きさ。なのだが、何だか弱い。
 言葉で表現するのが難しい・・・・・これは・・・・・・そう、邪は邪なのだけれども、
そこにそれ以上のものが何もない。ただ、気持ち悪い。ただそれだけの、何とも弱々しい
感じのオーラ。
 ドランドは魔王を見た。そして把握した。
 魔王の・・・・そこに魔王の意思はなかった。
 それはただの力だ。魔王という力しかそこにはなかった。意思など20年前に完全に消
えてなくなっていたんだ。今のあれは、ただ本能に従って破壊をもたらすだけの存在。
 拍子抜けだ。
 邪の大きさに驚いていたが、よく見てみると、魔王の魔力の大きさはそれほどでもない。
 むしろしょぼい。
 どうやら、魔王はまだ以前の力を戻していないのだろう。実際、眼下の魔王は再び大気
中から魔力を吸収し始めている。
 考えなんて何もない。ただ、本能に従って降臨し、待遇の良いところに流れ込んで、そ
して回復している。
 ラスティンに魔王が移った時、僅かに生まれた興味も、すぐに失せた。
 失望だ。


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