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あと3話で完結ロワスレ

60reserve hunt ◆nucQuP5m3Y:2012/12/18(火) 03:22:29
相手は仙人ゼクレアトル。
人より次元の高い存在だ。
この場合の次元とは、強さが途方もないとか、防御が破れないとか、そういう話ではない。
紙の中に描かれた絵は、描いている人間を攻撃できない。
そういう意味での次元の違い。
奴がもし果てしなく遠い場所にいるだけなら、いつかはたどり着くだろう。
では、どこにもいないとすれば?いることを認識できないとすれば?
ありもしないゴールに向かっては走れない。
今の彼らにはそのゴールを手繰り寄せる何かが必要なのだ。
だというのに、彼ら六人の手にあるものといえば、殆どが現地で調達できる程度の日用品の類。
使い方次第で武器になるものかもしれないが、どう使っても武器にしかならないものと比べるようなものではない。

かつては、このゲーム会場にはもっとずっと強力な武器や防具、アイテムが溢れていた。
妖怪を殺すための槍。
斬った相手の妖力を吸収する大刀。
オリハルコンで作られたナイフ。
攻防一体の多機能マント。
精霊「ジン」を宿した金属器。
星すら破壊する暗黒の魔剣。
etc...
どれか一つくらいは、次元を超えて仙人に届きそうな、超常の力を秘めたアイテムの数々が確かにあった。
しかし、それは全て消えうせた。
正確には、生き残った六人の世界にあるものと、もともとこの島にあったもの。
それ以外は消失(デスアピア)したのだ。

しかし、生き残った六人ですら、自分達がかつて何を持っていたか思い出すことは出来ない。
消えたのはアイテムだけではないのだ。
人も、世界も、想いも、記憶も、誓いも、祈りも、嘆きも、恐怖も、悲しみも、何もかもが消失(デスアピア)したのだ。
だから、ゼクレアトルかた伝えられた「参加者が全員死んだ世界は消える」という情報に基づいて漠然と、「自分が何かを失ったこと」だけを抱えて、先ほどの蝉のように言い知れぬ不安と役立たずの武器を抱えたまま扉を開けられないまま佇んでいる。


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