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あと3話で完結ロワスレ
588
:
Ep.322「最後の分岐点」1
◆uuKOks8/KA
:2013/07/03(水) 13:21:57
軽い足音が去って数刻。
ぱきり、と何かが割れた音がした。
その直後、激戦を物語る砕け荒れ果てた石畳の上に横たわっていた遺体の片割れがのそりと起きあがる。
「(―――)」
彼は酷く汚れた金の髪を指で払うことなく、ただぼんやりと虚空を見つめる。
男は死んだ、死んでいた、…死んだ筈だった。
太陽の王子が差し違いに放った一突きは心臓を確実に貫いていたし、その妹姫の弾丸は眉間の真ん中に芸術的とも思えるくらいに綺麗に吸い込まれていったのだ、生きている方がおかしい。
それでも男が死ななかったのは幸運が幾つも重なっていたからだろう。
例えば夜の紋章による吸血鬼化―それに伴う身体能力の上昇、例えば真の紋章が所有者を守るため自動的に貼られた結界、例えば星辰剣での斬撃が結界により急所に当たらなかったこと…そして『身代わり地蔵』の所持。
ひとつでも欠けていたら男は冥府に降っていた。
しかし最早この殺戮以前の面影はくすんだ金の髪だけだったとしても男は今なお生きている。
代償に彼の思考回路は完全に麻痺し、ただひとつの想い以外は獣の如く理性がない状態になっていたが。
そんな男の虚ろにさ迷う視界に映ったのは一度自分を殺した銀の王子。
既に冷たくなっている青年の遺体を見ても憎しみも恨みも抱くことはない。ただ、浮かんできたのは
『美味そう』
黒く変わりつつあるがまだ新鮮な血も、固いだろうが若く瑞々しいであろう身体も、満足とはいえないだろうが乾いた喉を空腹の胃を満たしてくれるだろう。
彼の本能がそう告げる。微かに鼻に届いた血の匂いに餓えは膨れ上がる。
『ああ、待っていてください、全てを終わらせて必ずや皆さんの待つ家に帰ります』
唯一残った己の『願い』を叶えるべく、男は不自由な身体を這いつくばわせ…そして餌に覆い被さると食らい始めた
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