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966名無しになりきれ:2012/04/17(火) 23:00:01
―――そもそも存在感の薄いルナはアイドルのように注目を浴びたかった。
そのためにはササミに鬼ごっこで勝ち抗体を手に入れる必要があった。
救世主として学園に名を轟かせて有名人になるために。

でも、事情は変わってきていた。ルナはリリィがペンギンになってしまっていることを知ってしまった。
目を閉じれば瞼の裏にリリィの優しい眼差し。(ぐるぐるめがねの奥深く)
リリィは存在感のないルナをじっとりと見てくれる一番のお友達。
だから、どんなことをしてでも守りたいと決意を新たにする。

ルナはササミの一部の視界が奪われたことに気がついていない。
だからこのままリリィがササミにくっ付いていた状態では炎道もフリードも思い切ったことができないと思案する。
二人もつむじと背中の顔の気絶に気がついていないとしたら、
焼きペンギンか蒸しペンギンが出来上がってしまうかもしれない。
どうにかしてササミからリリペンギンを引き剥がさなければ。

(にしてもあのパンモロには考えらせられちゃったなあ。ローライズとミニスカートが同時に流行っちゃったみたい。
もうスカートの定義が破綻しちゃってるもの。つか今のササミの姿を男の人に変換したらあの格好はやばい。特に手ブラが……。
男の人のものの根元がみえてるくらいに匹敵してる)

と決意してすぐにルナがどうでもいいことを考えているとリリィのテレパシーが飛んでくる。
リリィはペンギンの姿になっているというのにテレパシーで皆にお得なササミ情報を伝えようとしてくれているのだ。
その献身的な姿勢にまるで一喝されてしまったかのようにルナは思考を元に戻すと
厨房の冷蔵庫から巨大な大タコを持ってきてササミに抱っこしているリリィに突き出した。

「リリィ…こっちへおいで。このタコはきっと美味しいよ。それにササミに抱っこしてると危ないから」
袖に隠したタクトの先端からタコにむけて、ジジジと静電気のように魔法が流す。
もちろんそれはワディワジだった。

「ササミもリリィのことを大切に思うのなら離してやれよ。
それとも困ったときに盾にするつもりかよ?ほんと、魔族らしい考え方だぜ」
そう言い終えた刹那、ササミの視界の一部は漆黒に染まるかもしれない。
ルナは詰め込み先を指定せずにタコの墨袋にワディワジをかけて、ササミにむけて適当に噴出させた。




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