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二つ名を持つ異能者になって戦うスレ避難所5

989 ◆WS9cBo9MH6:2011/08/08(月) 21:24:24
代理お願いします。

>>33
気付かれた、咄嗟にそう感じた。
刺すような殺気を自分が向かう方向から感じる。
気配を消してもこの距離で敵を察知出来る犯人。相当に戦闘に慣れて居るのだろうが、だとすれば。
だとすれば、何故直ぐに通報されるような派手な盗難事件を起こしたのか。
絶対に捕まらない自信があるのかとも思ったが、だとすれば逃走経路での戦闘で相手の能力者は撃破されてしかるべきだ。
戦闘力に自信を持つ一方で、逃走や潜伏という手段を用い、更に盗難の手口も逃走経路の手配も準備されていない。
これらが意図的なものであったとしたなら、犯人の目的は盗難そのものでは無く、自分を追わせ、スイーパーを集めること。

つまり、ここに居るのは逃走に失敗した盗難事件の犯人では無く、計画を順調に進めた狩人だ。
そして自分はこれからあの廃屋に、――『犯人』」にとって本番のステージに、入っていく事になる。

彼は気配を開放し、廃屋の扉を開いた。どのような理由があれ、彼のやることは決まっている。
犯人を倒す。それだけだ。

居たのは、写真で見た犯人と同一人物だった。後ろでくくった黒髪が、彼女のため息と共に少し沈む。
獲物を見せびらかすような動作に、二神は不快そうに眉をしかめた。
彼にとって、その挑発は無意味だ。彼の目的は宝石の奪還でなく、あくまで犯人を倒す事なのだから。
不快だったのは、犯人の動作それぞれが、スイーパーとしての二神に対しての少しの失望や諦め、妥協などを含んでいた事だった。
これまで生きてきた中での様々な負の感情がそれに伴って、臓腑の底に少し現れていた。侮蔑、嘲笑、etc、etc.

「俺では…不満か」

自嘲気味に二神は犯人に対して声をかけ、羽織っていたコートを脱ぎ捨てる。
学生制服を改造したように見える、黒ずくめの衣装に、白髪が落ちた。

「まぁ、良い。」

軽くステップ。拳の具合を確かめて、――突如、急激な加速、跳躍。
犯人に対しての間合いを詰め、重心を極度に前方にかけた上段廻し蹴りを側頭部を狙って放つ。
バックステップでそれをかわされても、回転を利用して即座に右の貫き手が犯人の脇腹に迫る。
それは回避や防御をほぼ捨てた、無呼吸の動作だった。
格闘の型は自己流のようで非常に荒いが、放つ一撃一撃は全て急所を狙っている。

貫き手を捌かれた時、逆の手は二神の体の背後にまわっていた。
次の瞬間、その手が背後から何かを引き抜く。隠し持っていたのは、稠密な長い鉄の棒。
どこかの工事現場から無造作に引き抜いてきたかのようなカギ型の鉄棒、その先端を、
引き抜いた勢いのまま黒羽の肩口へと振り下ろした。

【二神 歪、黒羽と廃屋にて戦闘開始。】




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