したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。

二つ名を持つ異能者になって戦うスレ避難所5

689 ◆21WYn6V/bk:2010/11/22(月) 10:07:34
>>166>>167>>168
「やるしかないのか!? しかたない…勝てる訳ないけど…“劣化空間(ネガティブルーム)”!」

鎌瀬からオーラによる空間が広がっていく。その空間が菊乃を捕らえるのにさしたる時間はかからなかった。
そして菊乃はまたしても疑問を感じていた。
――先程とは違って、ちゃんと重力を操作しているのに何故立っていられる?
――それにこの空間、何か嫌な感じがする。
鎌瀬の『劣化空間』の中に入った瞬間、菊乃は言いようのない感覚を覚えていた。
軽く脱力感を覚える。まるで体が少しずつ腐食していくような感覚。
――…対象を弱体化させる類の能力と推定。長時間の戦闘は不利になる。
そう考えた菊乃は、少しずつ重くなっていく体に鞭を入れるためにオーラを充実させる。

「『重力減少』…」

呟くと同時に体が軽くなる。
そして足に力を入れ、強く地面を蹴って跳躍する。
その速度についていけなかった鎌瀬は、遅れて上空を見上げる。
鎌瀬上空の菊乃を視界に捕らえた時、菊乃は次なる一手を繰り出していた。
鎌瀬がこちらを見つけた時、菊乃は既に鎌瀬に向かって落下を始めていた。落下しながら呟く。

――『重力の戦槌』(ミョルニル)――

次の瞬間、菊乃の落下速度が劇的に変化した。
初めは自由落下だったので、大した速度ではなかった。
しかし今は凄まじい速度で落下している。

『重力の戦槌』――自身にかかる重力を瞬間的に最大にし、あらゆる攻撃に利用する技である。
今回の場合は、落下速度をプラスして自身を砲弾のように突撃させる方法をとっている。

菊乃が地面に激突する。
およそ人が落下したとは思えない音を発し、地面に巨大なクレーターを作る。
その大きさは、先程無意識の内に使っていた『重力増加』の比ではない。
まるで隕石が落下したような巨大なクレーターを作り出していた。
そのクレーターが『重力の戦槌』の威力を物語っている。
中心で膝をついていた菊乃は、立ち上がって辺りを見回す。
すると、クレーターの外にある建物のそばに鎌瀬の姿を発見した。
倒れているが死んではいないようだ。僅かに身じろぎしている。
どうやら直撃は避けたようだ。――もっとも、直撃していれば跡形もなくなっていたので、姿が確認できる時点で直撃はしていないのだが。
止めを刺そうと鎌瀬に向かって歩き始める。
しかしその直後、菊乃は何かに躓いたように転倒しそうになった。
足元には何もない。首を傾げる菊乃。
――そう、彼女は気付いていなかったが、『重力の戦槌』は諸刃の剣なのである。
着地時の衝撃で三半規管をやられていた為、平衡感覚が一時的に麻痺しているのだ。
しかし今の菊乃には当然それすらも分かるはずがなく、首を捻りながらも一歩ずつゆっくりと歩いていく。
そして今までの一連の動作の間に菊乃の瞳から流れ出る涙はその量を増していたが、菊乃がそれに気付くことはなかった――。

【神宮 菊乃:鎌瀬 犬斗に止めを刺すべく歩いて接近中】




掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板