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二つ名を持つ異能者になって戦うスレ避難所5

533ダーさん ◆zh66lkQmK2:2010/09/10(金) 22:43:07
「……」

海部ヶ崎は僕を不思議そうな目で見ていた。2人を助けたのがそれほど意外だったのか…
いや、この街に来てからの表立った父様の行動からすれば無理もないか。

「……あ…」
「ありがとうおにーさん。あの…これ」

何か言いかけた海部ヶ崎を遮るような明るい笑顔と声で、少女が僕に礼の言葉を言う。
そして礼のプレゼントのつもりか、自分の髪に付けていたリボンを僕に渡す。

「…せっかくだから家まで送ってやろう」
「!?」

僕の言動に驚きを隠せなかったのはやはり海部ヶ崎だった。

「な…何を企んで…」
「そうですね。こんな夜道に1人で帰すのは危険ですしね」

阿合は特に疑念も感じず僕の意見に賛同する。
阿合にとっての僕の印象…正確には父様の印象は、自分を助けてくれた人以外になく、好意的なものしかない。

「……あの、ごめんなさい」
「ん?」

気が付くと少女の笑顔は曇らせて俯いていた。

「私…家がわからなくて…」

迷子――この暗がりであの影から必死に逃げていたのなら無理もない。
だが次に少女の発した言葉は、そんな考えに再び"甘さ"を認識させた。

「自分の名前も…わからなくて…」

少女は記憶喪失だった。




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