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二つ名を持つ異能者になって戦うスレ避難所5
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が──その刹那、二人は違和感にその思考を目まぐるしく変えた。
微かだが足が感じ取った何か物理的な感触──糸のように弾力があり、細いもの。
そして一瞬、目の端で光った鋭利な刃。
これらが意味するものは一つ──すなわちトラップ──!
非異能者であれば不可能なほどの素早い判断力と変わり身の速さをもって、
二人は直ぐに回避行動へと移行した。
それと同時に、コンマ0.1秒の誤差なく上から放たれた無数の刃。
正確には槍とそしてナイフかメスのような刃物だろう。
かわすか弾くか、いずれにせよ数が数である。
そのどちらか一方に行動が偏れば無傷では済まないだろう。
「──!」
二人がとった行動は一致していた。
身を屈めて刃の雨が降り注がないトラップゾーンの外へ踏み出しながら体を反転、
地面をスレスレを滑る回避行動をとりながら命中しそうなものを得物で防ぐというものだった。
刀と鞘で二刀流を形成し、手首を激しく回転させて、上半身前面を防御していく海部ヶ崎。
一方の不知哉川はそのような得物がないが、
器用にも指の隙間で刃を受け止めて、見事に致命傷を防いでいる。
──トラップゾーンに足を踏み入れてから1.5秒──
二人は見事にトラップゾーン外への回避を成功させた。
だが、流石に無事にとはいかなかったようで、
海部ヶ崎は防御の及ばなかった右足に二本、
不知哉川は左の脛と右腕に一本ずつ刃の直撃を許していた。
「あいたたた……ご丁寧にこんなもんを仕掛けてくれるとはなぁ」
「ここを去った四天王が仕掛けていったんでしょうか?」
「そんな情報なかったで? 多分、この先にいる奴が仕掛けたんや」
二人は言いながら刺さった刃物を抜いていく。
「……毒、は塗られてなさそうですね」
「不幸中の幸いってとこやな。即効性の神経毒でも塗られてたらお手上げやったで」
そして不知哉川は自分と海部ヶ崎の傷口に手を当ててオーラを充実させていく。
オーラを受けた傷口は見る見る内に塞がり、ものの1秒もかからずに皮膚は再生されていった。
「大丈夫ですか?」
海部ヶ崎が訊ねる。大丈夫ですかとは、傷の心配をしているのではない。
負傷したことで余分に彼のオーラを消費させてしまい、その分の体力の消耗を心配しているのだ。
だが、当の不知哉川は涼しい顔で答えた。
「さっき大量にオーラを補充させてもらったもん。この程度の浅い傷なら問題ナッシングや。
さ……それより……」
不知哉川は立ち上がってすぐ目の前にまで迫った曲がり角を見据える。
いや、見ているのは、そこから流れてくる目には見えない戦闘の気配だろう。
「どうやら三つの反応は仲間同士じゃないみたいやな。
その内の一つと一つがこれから闘り合おうとしとるようや……」
海部ヶ崎も立ち上がり彼の横に並ぶ。
「このまま進めば間違いなく我々も巻き込まれますね。……かといって」
「終わるのを待っとったらあの少女は死んでまうかもしれん。他にルートもないようやしな。
しかもその内の一方は俺らに気がついとる。もしかしたら両方かもしれへんけど。
いずれにせよ一度行くと決めたんやし、腹ぁくくって行こうやないか」
「いつになく強気ですね、霊仙さん」
「なぁに、痩せ我慢してるだけや。キサちゃんの前やもん。ブレた事言ったら見損なうやろ?」
「……今、決まったって思ってません?」
「……気のせいや」
一瞬の沈黙の後、二人は気を取り直すように前に向き直り、今度こそ角を曲がった。
【不知哉川&海部ヶ崎:角を曲がる。】
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