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二つ名を持つ異能者になって戦うスレ避難所5

496 ◆ICEMANvW8c:2010/08/27(金) 19:39:15
建物の入口に足を踏み入れた海部ヶ崎は、思わず口を押さえずにはいられなかった。
彼女が目にしたのはあらゆる場所に散乱した人間の死体、死体、死体──
それらの血肉によって床は足の踏み場もないという身の毛もよだつ戦慄の光景であった。

「この光景はディートハルトっちゅー男のオーラから読み取った通りやな。
 間違いあらへん。ここでさっきまで、機関とアソナとの間で闘いがあったんや……」

予めこの光景を視ていた不知哉川でさえ、悪魔の所業ともいえる凄惨さの前には目を背けるほどだ。
だが、かといって、いつまでもこうして入口で立ち止まっているわけにもいかない。

「哀さんが倒れてる場所はどこなんですか?」
二人には目的がある。阿合 哀と接触し、情報を得なければならないのだ。
その為にはここを突破し、いち早く瀕死の彼女を救わなければならない。
不知哉川はオーラから得た情報をもとにその場所に続く階段を指で指した。
「えーと……そうや、確か三階や。三階東の医務室近くで倒れてるはずや。
 会話の内容から四天王はもうここにはおらんとみて間違いない。接触するなら今や!」
「いきましょう!」
言うより早く海部ヶ崎は階段に向けて駆け出す。
「あ、あ〜……仏さんを踏んづけて……。祟られても知らんで……」
眉を寄せて不知哉川がそれに続く。
できるだけ死体を踏まないように、慎重に踏み場を見つけながら──。


──三階廊下──。
ここまでくれば、後は前方十数メートル先に見える曲がり角を曲がるだけで彼女のもとへと辿り着ける。
しかし──
「──待った! キサちゃんストップ!」
突然、不知哉川が止まり、海部ヶ崎を手で制止した。
「何事ですか!?」
「あかん……スキャナーに反応があるんや。この先で、それも三つも」
レンズにその三つの反応の数値が表示される。
その数値が大きいものなのか小さいものなのか、
スキャナーを使い慣れていない不知哉川には判断がつかぬところだが、
迂闊に近づいてはいけないとわかるぐらいの殺気だけは感じとっていた。

「しくったわー。まさか先客が居るとは……スキャナーでサーチしとけばよかったわ」
「機関でしょうか?」
「わからへん……んでも、まだ残ってる奴がいるとしてもおかしくないかもしれんな。
 せめて機関の人間やなければええんやけど……」

「それに個人的にもいいところを邪魔されて、貴様らに対して強い怒りを感じている」

角の向こうから男の低い声が聞こえてくる。
誰かと会話をしているように聞こえるが、自分達に向けられているようにも聞こえる。
それだけの激しい怒気が空気を伝って曲がり角の向こうから感じられるのだ。

「バレてるんでしょうか? だとしたら、我々を敵とみなしている」
「えぇい、ままよ! いくでキサちゃん!」

ここまできたら、敵がいようと進むしかない。
二人は決心したように、曲がり角に向かって勢いよく足を踏み出した。




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