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二つ名を持つ異能者になって戦うスレ避難所5

485ダーさん ◆zh66lkQmK2:2010/08/21(土) 19:00:53
「アアアァァァ!!!」

>>160からずっと絶叫を挿みながら娘に血を取り入れていると、小瓶に入っていた始祖の血はやがて空になった。
化身の異能者としての圧倒的な回復力で、娘の傷口はだいぶ塞がりかけたが、まだ皮膚の再生まで至っていない。
このまま放っておけば治るとは思うが、念には念を入れておく。

「仕上げだ」

もっとも先述の通り、俺は自分以外を回復させる技も使えないし、オーラを分けて回復させるなどといった芸当もできない。
俺ができるのは精々殺意を抱かないようにして、威力を抑えた炎を浴びせる事。
これから取る手段は、その再生しきっていない傷口を焼き塞ぐ事――

「グアアアァァァアアアアァァァッ――!!!」

――娘は完全に気を失った。俺はそうさせまいと炎を浴びせ続けたが目覚る気配がない。ついに精神が限界を迎えたようだ。
だが、意識のあるうちに始祖の血は全て注入した。ならば愚かな殺人兵器として目覚める事はないだろう…
俺は炎を消そうとするが、その前に傷口を焼く炎が消えていく。娘の掻いた汗が炎を消したように見えた。
火加減してあるとはいえ、汗ごときで消えるような炎ではないはずだが…そう思っていると、生じた水蒸気――毒ガスが俺の鼻を刺激した。

「――エンッ!!!」

ブーッ!!
その毒ガスにやられ、俺は勢いよく鼻血を噴出しながらふらつく。
そうか――これが本来この娘が持つ能力…それが発動したのなら人格の変化は確かに免れたと見ていいだろう。
ふらつく身体で娘を近くのベッドに寝かしつけ、俺は建物の外の様子を探った。先程からゾンビ達が騒がしかったのだ。
>>162-163
建物の外では街の異能者達がゾンビ供と戦っていた。
もう此処に魔水晶は無いのに何故集まってきた?
まさか筆頭が魔水晶をこの建物に残している……ありえないな。
それにあのアリスという女が出て行ったのが証拠…いや、そう言えばあの女は違う理由で此処に来たと言ったいたか?

『懐かしい気配を感じて来たまでよ』

――アリス・フェルナンテ。もしかすると奴は…
考えに耽っていると、外から耳障りな叫び声が思考を阻害した。

「任しとき! 一人残らずただの死体に戻したるわ!」

様子を見ると、先程対峙した2人がそこにはいた。
先程対峙した時、女の方は怪我でまともに戦えない様子だったはずだが、その様子が感じられなくなっていた。
男の方も俺の怒りのオーラで焼かれた後遺症をまるで感じさせない軽い口ぶりだった。
予定が狂い始めた。カノッサはおおよそ思惑通りに動いているが、街の異能者達が思惑を大きく外れている。

「まずいな…生き残りという事で多少期待交じりだったが、街の連中のほとんどがやられている。
 それにあの2人組が無事な様子から、どういうわけか俺の力もかなり弱まっているとみえる。
 くっ、何故せっかく手に入れた始祖の血をこんな女に使ってしまった――いや」

俺は、始祖の血を取り入れて再び人工化身と化したであろう阿合の娘を見る。
その目に映るのは完全に塞がり、先程の焼き跡すら消えている胸の傷口。

「悪い方にばかり予定が狂っているわけでもないか」

そして人工化身の娘は目覚め、俺たちは視線を交わした。

【ダークフェニックス:阿合哀に始祖の血を全て取り入れる】




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