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二つ名を持つ異能者になって戦うスレ避難所5

331 ◆3LPMHhiq9U:2010/06/03(木) 01:53:57
ガシャアァ!!と、180cmもあるその体は数m先に停めてあった車のドアにキャッチされることになった。
ガラスに少しばかりヒビが入り、その蹴りの威力を物語っている。
海部ヶ崎は蹴られた箇所を片手で押さえ、もう片方の手にある刀を杖にして立ち上がろうとする。
「……紳士というのは、女性をやさしく扱う人種の中で最上級の者だとあの人から聞いていたのですが…
 そうでも無いみたいですね…まぁ、紳士でもいろんな人が居るとも言っていましたが…」
視線は相手に向けたまま、ゆっくりとその場に立ち上がろうとする。
そして彼女にとっては珍しく、戦闘中に意味も無く長々とした台詞を放った。
勿論ゆっくりした動作も長い台詞も時間稼ぎである。普段はこんな事はしないが相手の性格と強さを判断しての行為だ。
その行為によって得た数秒で、これからの事を考える。
(正直ここまで手強いとは……能力は突きの回避と身を削ってまでの立ち回りで使ったあの技から見て影を扱う能力か)
ここまでに1.79秒。
(そうすると、これはこのまま逃げてしまった方がいいかもしれない。影から影へ渡る能力があったとしても、逃げかた次第で
どうとでもなるし。なによりここで大怪我をしてまで戦うのはデメリットが多いし、メリットも0に近い)
3.68秒経過。
(何より最初に仕掛けて来たのは、向こうだ。それを無利益で最後まで付き合うのは、それこそ馬鹿正直な行為だろう。
それに私は戦闘に快楽を感じてるわけでもない。あくまで、目標は『無間刀』のみ…)
4.73秒経過。
考えが纏まると同時に、海部ヶ崎は完全に立ち上がり、刀を両手で構える。
「……決めました。もうあなたと戦う理由が見つかりません。なので、これでさよならです」
棗はその言葉の意味を考える前に、気付いたのだろう。ある“違和感“に。
そしてその違和感の原因――――ギターケースは棗の後方二m付近に落ちていた。
海部ヶ崎は蹴られた時に彼の回転の向きとは逆の方向、つまり彼の死角を使って能力によってあそこに配置したのだ。

(飛花落葉―――!!)

能力で止め具を外すと、ケースの隙間から飛び出したのはフリスビーサイズの両刃斧一本とナイフ二本であった。
その四つの刃は高速回転し、棗の体を切断するべく不規則な軌道を描き飛来する。
だが、これしきは簡単に避けられる…………のは分かっていた。
棗が全て避けきった後、再び海部ヶ崎の方角を向いたとき、棗の視界は複数の飛来する車体によって埋め尽くされていた。

ドガシャァアギャガギャギャガガガ――――!!!!

凄まじい轟音と大量の部品を周囲に撒き散らし、車はスクラップの山となっていた。
そして、そこには当然の如く海部ヶ崎の姿も武器もギターケースも、全てが全て姿を消していた――――――




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