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二つ名を持つ異能者になって戦うスレ避難所3

67池上 ◆qqu0tZFsYU:2008/09/21(日) 03:35:31
規制されたので代理投稿お願いします。

「……ハァ! ハァ!」

人通りの少ない、薄暗い夜道を一人の白衣を着た老人が息を切らせて走る。
靴音の他に「コツ、コツ」と乾いた音がするのは、彼が持つ杖の音だ。
足腰が悪いのだろう。だが、そんな彼をそこまで急かせる理由は何なのか。
理由は簡単だ。彼は今、追われている。──彼の命を狙う、この俺に。

「──おっと、ここから先は通行止めだ。逃げることはできんよ」

俺は突如彼の眼前に姿を現した。
彼は急ブレーキをかけて、立ち止まった。なぜ先回りされたのかと言いたげな表情を浮かべている。
しかしそれはいささか心外だ。回り道であっても、足腰の弱い老人を相手に先回りできなくては
21歳の若者たる資格はないだろう。

「ハァ……ハァ……! く、くそぉ〜〜〜〜ッ!!」

彼は白衣の下から拳銃を取り出し、構えた。
が、彼が引き金を引くより早く、俺の右足が拳銃を弾き、宙に舞い上がらせた。
拳銃は空中をくるくると回転しながら、その内近くの草むらへと落ちていった。
この暗がりの中ではもはや見つけることはできないだろう。
武器を失った彼は、観念したかのようにその場に膝をついた。
      キルベクヨン
彼の名は『吉白?』。重松らと同じ非異能者でありながら、機関の『No.10』の地位に座る者。
表向きは何をしている人間なのか分からないが、機関では化学兵器の開発に携わっているという。
俺はこの老人の居た研究所、つまり『シナゴーグ』の一つを急襲したことで得た情報だ。
その場所には異能者はおらず、居たのは武装構成員だけだったのが幸いした。
お陰で余計な手間をかけることなくこうして追い詰めることができたのだ。

「こんなことをして……タダで済むと思うなよ……!?」

「分かってるさ。だが、機関の人間を生かしておくわけにはいかないんでね」

俺が手のひらを向けると、彼は必死の形相で命乞いを始めた。

「ま、待ってくれ! 望みはなんだ!? 金か!? それとも……機関の情報か!?
金ならいくらでもやる! 知っていることも何でも話してやる! だから待──」

彼がそう言い掛けた時だった。どこからともなく流れてきた笛の音が、彼の言葉を遮った。
そして驚く間もなく、すぐに暗闇の中から、音の発生源が俺達の目の前へとその姿を曝け出したのだった。

そいつは男。黒服に身を包んで、笛……いわゆるフルートと呼ばれる楽器を吹いている。
髪は黒く、短いが、どことなく女のような顔をしている。
女のようなので年齢ははっきりとはしないが、それでも恐らく30代と言ったところだろう。

「機関の『No.10』ともあろう者が、無様にも敵に命乞いか……。フッ、これだから金で成り上がった者は」

「あっ! あんたは……! な、『No.8』!!」

二人の会話を聞きながら、俺はふと妙な違和感を覚えていた。
(……? こいつどこかで……どこかで見たことが……)
吉白?は乱入者を『No.8』と呼んだ。つまり、機関の人間であるのだろう。
しかも異能者であることは右腕の感覚から明らかであった。
機関の異能者と出合ったのはここ数日の間だというのに、
なぜこの男を遥か昔に見たような感覚を覚えるのか。
頭の中を疑問が駆け抜けている俺を横目に、二人はやり取りを続ける。




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