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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】
878
:
Evie
◆XksB4AwhxU
:2016/01/29(金) 22:57:01
眠り続ける石塚の隣で、石井はまんじりともせず、一夜を明かしていた。
時折__石塚の口元に耳を近づけて、呼吸が止まっていないか、あるいは胸に耳を当てて心臓が動いているか確認する。
生きていることが分かると、ホッとしたようにまた座り直して、を繰り返す。
石塚をここへ運びこんで寝かせてから、彼はスケジュールを調節して、まる2日間ここにいた。
顎にはうっすらと無精髭が生えて、ろくに睡眠もとっていない所為で目だけがぎらぎらと輝いている。
井戸田はため息をついて、部屋に踏みこんだ。
「石井さん、飯くらいちゃんと食べてくださいよ」
励ましのつもりだったが、石井は微動だにしない。
「石井さん!」
ついに焦れた井戸田が叫ぶと、掛け布団の上に投げ出されていた石塚の手がピクッと動いた。
石井はその手を両手で握りしめて、「石塚くん」と呼びかける。
ぼんやりとした目が、天井を泳いだ。何回か瞬きして焦点を合わせると、「……石井さん」と
かすれた声で呼ぶ。石井の支えを借りて体を起こすと、あたりを不安げに見回した。
「ここは白ユニットの基地だ」
口を開く前に、石井が答える。
「治療が終わっても、君が目を覚まさなかったから……浅越くんに運んでもらった。
君は2日間も寝てたんだ」
「……設楽は?」
一番聞きたくない名前を出されて、石井はあからさまに不機嫌な表情になった。
「設楽は……知らない。僕達が路地を出た時にはもういなくなってた。
……ッ、すまな「悪いんですけど」
井戸田は強引に二人の間へ割り込み、石井の謝罪をキャンセルした。湯気のたった皿を床へコト、と置く。
中には野菜や肉の欠片が浮かぶ、ドロっとしたお粥が入っていた。
「これ、介護用の流動食です。2日間動いてない胃腸にはこの方がいいと思ったんで。
……つもる話の前に、まずは飯食ってください」
「あの「ここの所有者は俺達白のユニットです。聞き分けよくしてもらえると助かるんですけどね」
石塚の声をさえぎって、さらに続ける。
「この2日間、……いや、この何ヶ月か、どれだけの人に心配かけたと思ってるんですか。
なんか言いたいんだったら、その後聞きます」
厳しい口調だが、『迷惑』ではなく『心配』という単語を選んだことで、
暗に怒っていないということを伝えている。
石塚はしばらく井戸田の顔を見つめていたが、おずおずとスプーンに手を伸ばした。
「あっ」
指先から力が抜けて、スプーンは床に落ちる。2日間動かさなかった筋肉はこわばって、
思い通りに動かない。また持とうとして、落とす。石井は黙ってそれを見ていたが、
皿を左手に持って、スプーンを取った。お粥を一口すくって「ほら」と目の前に差し出す。
石塚は恥ずかしいのかしばらく石井を睨んだが、空腹には勝てなかったのか、
少しだけ口を開けた。一口食べると、ほとんど咀嚼の必要のない粥を飲みこむ。
「……うまい」
味のある食事をしたのは、かなり久しぶりのような気がした。
思わずふっと表情がゆるんで、肩の力が抜ける。やがて皿が空になる頃には、
二人の間に流れている空気はすっかり元通りになっていた。
「……その、色々と……迷惑かけて、ごめんなさい」
石塚の方から頭を下げると、いいんだというように手を振って、石井も頭を下げる。
「僕の方こそ、悪かった。君の事情も考えないで、一方的に責めたりして……」
石塚はそれを聞くと下を向いて、掛け布団を握りしめた。
「でも、これだけは聞かせてくれ。
君はこれからどうするつもりなんだ」
そう言うとますます殻に閉じこもってしまう。
「そんなの、白に来ればいいだけのコトじゃないですか」
呑気に言った小沢とは反対に、井戸田は渋い顔で成り行きを見守った。
石塚は落ち着きなく視線を動かして、なかなか返事をしない。
「……口を挟むようで悪いけど、僕の意見を言わせてもらっても、いいかな」
そこで、ずっと黙ってた石井が口を開いた。
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