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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

843Evie ◆XksB4AwhxU:2015/11/22(日) 19:11:57
すみません、なぜか削れていました……>>839の前にこれが入ります。

「おい、これは一体なんの騒ぎなんだ!」
朗々とした声が響き渡ると、稽古場になんとも言えない静寂が下りた。
岡安がちらっと横目で二人をうかがいながら、「小沢さんが……」と小声で呟く。
それだけで全て理解したのか、石井はずんずん近づいてくると、小沢から相方を引き剥がした。
その後ろから井戸田も入ってきて、あちゃーと頭を抱える。
「大丈夫か?」
「あ……うん」
石井の気遣いに、石塚はちらっと目をそらして答える。その仕草に、井戸田は少し違ったものを感じとった。
「説明してもらおうか。場合によっては、君との関係を考え直さなければならなくなる」
自分より身長の低い石井の、しかし鋭い眼光に射抜かれ、小沢は気まずい空気の中でサマーコートを返す。
「……すいません、でも俺がなんの理由もなくこういうことするように見えますか?」
素直に謝った後の問いかけに、石井は眉をしかめて「いや」と首を横に振った。
小沢の背中を叩いて、「出よう」とうながす。二人が出て行ってしまうと、その後を井戸田も慌てて追いかけた。
「……うわあ、石井さん完全に怒ってるよ」
「あれ、土谷は見るの初めてだっけ?珍しいもん見れたな、あの人怒る時は静かに怒る方だし」
土谷と下池がひそひそ話し合う後ろで、岡安は石塚を手伝って、荷物を入れなおす作業をしていた。
「大丈夫ですか?利き手怪我してるのに……」
「いいよ、こんぐらい左でいけるし」
「でも、小沢さんいきなりどうしちゃったんでしょうね。あの人も夏ボケて変になっちゃったのかな」
「まだ7月上旬でそれはないだろ」
土谷がツッコむと、それもそうだと笑う。その隣で、石塚はさっき階段ですれ違った浅越を思い出した。
向こうはよほど急いでいたのか石塚には気づかず上がって行ってしまったが、浅越がここにいる理由を考えると、
石塚の心に不安がさざなみを立てる。
「……ごめん、なんか疲れちゃった。俺、帰るね」
「しかたないですよ。じゃあまた明後日に」
軽く頭を下げる岡安に手を振って、石塚も速足で稽古場を出る。ドアをそっと閉めると、
石塚は今まで作っていた不安げな笑みを消して、屋上へ続く階段を上っていった。


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