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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

817Evie ◆XksB4AwhxU:2015/11/07(土) 19:12:21
ちょこっと修正して落とします。時間軸的には05年6月ごろをイメージしていました。
>>146で児嶋が番組終了からしばらく経つのにまだ愚痴ってる、というのを踏まえて、
05年2月の終了からワンシーズン後くらいだろうか、と思ったので。ところで、熔錬水晶の発動条件に「体に触れる」って
ありましたっけ……そこは直していないので、もし違うのでしたら次から修正しておきます。

【ekou-3】

金髪の男が、ぎょっとしたように振り返った。その隙を逃さずに膝で背中を押して地面に引き倒す。
「な、なんだよお前っ……まさか、黒の!?」
それには答えず、暴れる男のポケットを探る。要は石を回収さえすればいいのだから、石だけ素早く抜き取ってしまえばいい。
(あーもう、なんでボタンつきなんだよ!)
指先がからまって、うまく外せない。それでもなんとかズボンのポッケを調べ終わると、ジャケットに手をかける。
石塚は実際、戦闘経験も浅かった。完全に補助系の能力だったからというのもあるかもしれない。
男が最後のあがきとばかりに拳を振り上げさえしなければ、上手く行ったはずだった。
「……うッ」
ガッと鈍い音がして、頬に衝撃が走る。軽い平手打ち以外のパンチを、しかもエルボーをくらうなど初めての経験だった。
目の前が一瞬ぶれて、体から力が抜けていく。
(……え、俺……今、殴られた?)
その隙を逃さず、男はもう一発、頬に拳を叩き込んできた。
頬が熱を持って腫れてくる。歯が二本ぐらついていた。呼吸をするごとに口の中に鉄の味が満ちる。
(……痛い。ていうか熱い……)
石塚は頬を押さえてその場に膝をついた。痛みよりなんとも言えない惨めさのほうが勝った。
目頭が熱くなる。どうしてこんなことになった?自分はただ、石井と平凡な日常を生きていたいだけなのに。
不覚にも涙がこぼれた。袖口で拭っても、後から後からあふれて止まらない。
「畜生!」
男は立ち上がると、ペッと唾を吐いて背中を向けた。待ってと手を伸ばそうとして、薬指にはまった熔錬水晶が目に入る。
(これを使ったら……使っちゃったら、俺は本当に)
黒ずんだ結晶が、ぼんやりと昏い光を放った。耳の奥で、設楽の声がリフレインする。
『石井の身に何かあっても、それは黒とは“何の関係もない”……俺の言葉の意味は分かるね』
石塚は人さし指を伸ばして、残りの指を内側に折り曲げた。
一を数える時のようになった指の先はまっすぐ、男の背中に狙いを定めている。
(……それでも、俺は石井さんに無事でいてほしいんだ。だから、そのためなら)
非常に小さな小粒の光球が集まり、一つの光になった。男は気配に立ち止まり、振り返る。

「俺が、悪者にもなってやる」

無意識の手の震えが、照準をわずかに狂わせた。光の弾丸が、男の肩をかすめて背後の壁に孔を空ける。
「チッ……しつけえ野郎だな!」
男は、背中のリュックからコーヒー缶を取り出してタップを開ける。そのまま一文字を描くように動かすと、道路に
点々とコーヒーがこぼれ落ちた。男は指で丸を作ってくわえると、「ピッ」と指笛を吹く。
瞬間、石塚の足元から青い光が放たれる。後ろに飛びのいて避けるのと、道路がまるで地震の時のようにボコッと
隆起して割れるのは、ほぼ同時だった。
「ぐっ……!」
右手にぬるりとした感触。見ると、手の甲が爆破で飛んできた破片で裂けたのか、斜めに切れて血が滲んでいた。
布で血の流れをせき止めようとするが、あっという間にパーカーの裾が真っ赤に染まる。
「……ははっ、どうよ俺の石は?……まだ終わりじゃねえぞ、俺を襲った分は倍にして返してやる!」
すっかり逆上した男は一歩ずつ近づきながら、コーヒー缶を振り回す。
点呼のように吹かれる指笛が響くたびに、予測不可能な箇所から爆発がおこった。石塚も避けながら狙撃するが、
元々素人なところに持ってきて、動いている的を狙い撃つのは難しく、まったく見当はずれの場所に当たる。


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