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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

777Evie ◆XksB4AwhxU:2015/05/20(水) 18:15:54
「なんでお前らだけで勝手に動いた?」
「そ、それは……白は、黒に比べて統率がとれてないというか……」
助けて!と隣の嵯峨根に目で訴えるが、太田の追求は止まらない。
「白をまとめるのはお前らの石にしかできねえって、言ったはずだよな?
 この有り様はなんだ?」
「で、でも今回はなんとか無事で戻れたんですし……」
「たまたまだ、バカ!安全かどうかは俺が決めんだよ!!」

ひとしきり怒鳴った太田は、気持ちを落ち着かせるために深く息を吐くと、加賀谷を手招きした。
「とりあえず、お前らの出番は最後に回してもらうから安心しとけ」
「えっ……そ、そんなの」
「いーって、全然大変じゃねえしよ。そん時になっても松本が寝こけてたら、俺らで即興の大喜利でもやるわ」
「でも……」
「オメーに心配されるほど落ちぶれちゃいねえよ、いいからついててやれ」
田中を促し楽屋を出て行く太田の背中に、加賀谷は深々と頭を下げる。
「……よう言うわ、闘わんと見とるだけのくせに」
ぽつりと呟いた嵯峨根の軽い恨み言は、誰の耳にも届かず消えた。


【現在】

信号が青に変わると、有田は弾かれるように飛び出した。
すれ違う通行人がぶつからないように体を避けながら、何事かと走り去る背中を見やる。
新宿駅前まではタクシーを使ったが、運悪く渋滞に捕まってしまったので、四谷までマラソンをする羽目になった。
アキレス腱にぐっと力を込めて地面を蹴る。
ポケットからケータイをとりだして、耳に当てた。
何度か繰り返されたコールが途切れて、機械的な音声が流れる。
『おかけになった番号は、電波のつながらないところにあるか、電源が入っていない……』
「くそっ!」
ケータイをしまって、歩道橋を一気に駆け上がる。信号待ちの時間すらもどかしい。
新宿で電波が繋がらないなんてあるか。上田だってプロだ。電源を切るなんてもっとありえない。

『すまん、全部話しちまった。四谷で待ってる』

自宅でテレビを観ていた時に届いた上田からのメール。簡潔な文面だったが、
寝起きでぼんやりしていた頭を目覚めさせるには十分で。
「あーもう、めんどくせえ!」
信号待ちの時間ももどかしい。歩道橋を駆け上り、四谷交差点を目指す。
人ごみをかき分けて走るうち、目的のビルが見えてきた。システムキッチンの赤い看板が目印の、薄い茶色のビル。
エントランスに駆け込むと、荒い呼吸も整わないまま、エレベーターに向かう。
「……お?」
よく見ると『故障中』の貼り紙があった。が、ふと予感がして貼り紙をはがし、下のボタンを押す。
エレベーターはのろのろと7階から1階まで下りてくる。
「なんだよ、壊れてねえじゃん」
上田は何階にいるのか?はやる気持ちが有田に足踏みをさせた。


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