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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】
1
:
名無しさん
:2004/11/27(土) 03:12
コソーリ書いてはみたものの、様々な理由により途中放棄された小説を投下するスレ。
ストーリーなどが矛盾してしまった・話が途切れ途切れで繋がらない・
気づけば文が危ない方向へ・もうとにかく続きが書けない…等。
捨ててしまうのはもったいない気がする。しかし本スレに投下するのはチョト気が引ける。
そんな人のためのスレッドです。
・もしかしたら続きを書くかも、修正してうpするかもという人はその旨を
・使いたい!または使えそう!なネタが捨ててあったら交渉してみよう。
・人によって嫌悪感を起こさせるようなものは前もって警告すること。
535
:
BERSERKER of OLIVE
◆NtDx8/Q0Vg
:2008/01/07(月) 04:19:49
「しながわあああぁーっ!」
思わずビクッと全身が震えて、品川祐は楽屋のドアノブを掴み損なった。
顔を向ければ、駆けて来るのは次長課長、河本準一。
何ですかと歳下の先輩に訊ねれば、にんまりと丸い顔を更に丸めて見上げて来る。
同じ様に品川も顔を丸めて、今度こそドアノブを握った。
「時間あるなら、上がります?」
「そっちも時間あるならそうさせて貰うわ」
ドアを開け、どうぞと品川が促すと、いやに嬉しそうな様子で中に入る。
すぐに河本は、テーブルの向こうで寝そべっている庄司を見付けた。
「あ、庄司寝てるんか。俺らの楽屋にする?」
「いや良いですよ。こいつちょっとやそっとじゃ起きないすから」
やっぱこいつ、石使ってやがったな…
品川は大口を開けて眠りこけている庄司を見ながら、ひっそり息をついた。
庄司の石は闘争本能を飛躍的に増大させる代わりに、発動している間自身で力を制御出来ない。おまけに発動後は猛烈な睡魔に襲われるという厄介極まりないものだ。
朝会った時から欠伸を連発し、しきりに目を擦っていたからまさかとは思っていたが。
少し楽屋を空けた隙にはもう爆睡ぶっこいている相方を見て、品川のまさかは確信となった。
まあ石使わないでケガされるよりはマシっちゃマシか。
そう前向きに捉える事にして、河本に向き直った。
その表情を見て、品川は思わず苦笑を漏らす。
「めちゃめちゃ嬉しそうですね。何かあったんですか?」
「何かあったも何も。お前ら見てほんっっま安心したわ。今ホラ、あるやん。あの…」
「ああ、石…ですか?」
例の、と言うと、河本はそれ、と顔を顰めながら頷いた。
「周り誰見ても敵ちゃうんか思えて来て。俺もう人間不信なりそうや。
 品川は白やろ? もう何か、ほんま安心したわ」
白の傍にいたって襲われる時は襲われますけどね、とは思ったが言わず、代わりに小さく愛想笑いで返しておいた。
周りが全て敵の様に思えてしまうその感覚は良く解ったから。今安心し切っている先輩をわざわざ不安がらせる事もないだろう。
暫く他愛のない事を二人で喋っていたが、やがて楽屋の奥の影がむっくりと、身を起こした。
庄司は暫くしかめっ面で二人を見ていたが、それが河本と品川だと解ると、目元だけは眠そうに、緩く笑ってみせた。
まだ寝てても良いぞ、と品川が言ってやる。
しかし庄司は畳をぼーっと眺めた後、何かに気付いた様に顔を上げ、緩慢な動作で立ち上がり、壁にぶつかりながらよろよろと楽屋を後にした。
その背を、二人揃って見送る。
「…何やあいつ。大丈夫なん?」
536
:
BERSERKER of OLIVE
◆NtDx8/Q0Vg
:2008/01/07(月) 04:23:08
「……大丈夫でしょ。顔でも洗いに行ったんじゃないですか」
ふーん、と河本は返したが、閉じたドアを見る品川の視線が、いつもより僅かに厳しくなっている事に気付いた。
同時に、一人置いて来た相方を思い出す。
そんな河本を見透かす様に、品川は河本さん、とやはり厳しい面持ちで訊ねた。
「井上さん。今一人なんですか」
「解らん。俺がこっち来る時は楽屋に一人やった。けど、今はどうやろ。あんま他の芸人とこ遊びに行く様な奴でもないけど…」
沈黙が二人を包む。
見に行きますか、と品川が切り出すと、河本は一も二もなく頷いた。
「しょおおぉぉーじっ!」
どっかと背中からタックルを喰らい、庄司は目の前の自動販売機にへばり付いた。
振り返れば、目の前には次長課長、井上聡。
どうしたんですかと同い歳の先輩に訊ねれば、目をキラキラさせて見上げて来る。
「庄司おるなあー思って。それだけ」
「それだけですか」
苦笑を漏らしながら、自動販売機に小銭を入れ、ボタンを押す。
ガコンと音がしてから、缶コーヒーを取り出した。
「何や眠そうやなあ。あんま寝てないん?」
「俺寝起きなんです。だからコレで、目覚ましです」
屈託なく笑う庄司に釣られて、井上もそっか、と笑って返した。
プルタブを開け、缶に口を付ける。コーヒーを飲みながら、庄司は右に左にと視線を彷徨わせていた。
しかし右の方を暫くじーっと見てから、口元を僅かに持ち上げた。
それを井上は、缶の向こうに見付けた。
「ええもんあった?」
「え? …いや、何でです?」
「今めっちゃ楽しそうやったで。一瞬やけど」
そうですか? と目を細めて笑う。
やっぱり右の方を見て、飲み干した缶を脇のゴミ箱に放り込んだ。
「…そう言えば、河本さん俺らの楽屋いましたよ」
「あ、ほんま? そーなんやー。品川と?」
「そうですよ。二人で座って、何か話してました」
「へえー」
「はい…」
困った様に笑いながら口元に手を添える庄司を、井上はやっぱりにこにこと機嫌良く見上げていた。
537
:
BERSERKER of OLIVE
◆NtDx8/Q0Vg
:2008/01/07(月) 04:26:46
うーん、と庄司は辺りをきょろきょろと、時に井上をちらちらと窺っていたが、やがて右の方へと足を踏み出した。
井上も、それに続く。
二、三歩進んで、庄司は付いて来る井上の方を振り返った。
「あのーすいません、いのう…」
「すいません」
『えさん』、と庄司が言い切るより先に、二人に声が掛かる。
井上と庄司、二人揃って顔を上げた。
「すいません…あの、井上さんと、庄司さんですか」
うん、と同時に頷く。
井上は庄司の横に並び、知ってる? と男を見ながら小声で訊ねた。庄司の答えは、さあ。
ひょろっと背の高い優男は二人を交互に見た。
「お二人共、石…持ってますよね。大人しく渡せば、何もしません」
石…!
うわ来たわ、と井上は庄司を見上げた。
一方の庄司は面倒臭そうに腕を掻いている。
何でこいつこんな普通なん、と井上は思ったが、男からしてみれば表情に起伏のない井上も充分平静に見えただろう。
「ちょぉ、庄司」
「はい?」
「石言うてるで、あの人」
「多いですよね最近」
「うん。どうする?」
「俺は石手放す気ないですよ。井上さん、渡すんですか?」
井上はぶんぶんと首を横に振った。
それを見て男は半分諦めた様に溜息を落とした。
「俺も本当、穏便にしたいんですよ。お二人はテレビにも沢山出てますし、もう良いでしょう?」
瞬間、庄司は弾ける様に視線を上げて目だけで男を見た。が、井上は気付かない。
井上は自身の石、金の入っているポケットを、ぎゅっと押さえた。
「しょーじ、どうすんの。お前の石、何なん?」
「俺の石は一応攻撃系ですよ。向こうも一人で二人に来るんだから、攻撃系じゃないですか?
 でも俺のはここで使うのはちょっと…うーん。井上さんは?」
「俺? 俺のんは…」
「いつまで話してるんですか…!」
業を煮やしたらしく、男は素早く上着のポケットから石を取り出した。
ヤバい、と井上も石を取り出す。同時に床を蹴った。
「しょーじっ、後頼んだでっ!!!」
「えっ、ちょっ、井上さん、待っ………!!」
井上の能力は、石の凍結。
俺があいつの能力止めてまえばそれで終わりや、と井上は石を握り締めた。
井上の石から光が放たれる。
井上は両手を頭上で合わせ、ピーンと全身を直立に保ったまま、勢いを殺さず床を滑った。
この時、庄司がその場にいない筈の河本の、威勢の良い競りの声を思い出していた事などはどうでも良い。
床を滑った井上の、行き着いた先は―――
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