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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

535BERSERKER of OLIVE ◆NtDx8/Q0Vg:2008/01/07(月) 04:19:49
「しながわあああぁーっ!」

思わずビクッと全身が震えて、品川祐は楽屋のドアノブを掴み損なった。
顔を向ければ、駆けて来るのは次長課長、河本準一。
何ですかと歳下の先輩に訊ねれば、にんまりと丸い顔を更に丸めて見上げて来る。
同じ様に品川も顔を丸めて、今度こそドアノブを握った。

「時間あるなら、上がります?」
「そっちも時間あるならそうさせて貰うわ」

ドアを開け、どうぞと品川が促すと、いやに嬉しそうな様子で中に入る。
すぐに河本は、テーブルの向こうで寝そべっている庄司を見付けた。

「あ、庄司寝てるんか。俺らの楽屋にする?」
「いや良いですよ。こいつちょっとやそっとじゃ起きないすから」

やっぱこいつ、石使ってやがったな…
品川は大口を開けて眠りこけている庄司を見ながら、ひっそり息をついた。
庄司の石は闘争本能を飛躍的に増大させる代わりに、発動している間自身で力を制御出来ない。おまけに発動後は猛烈な睡魔に襲われるという厄介極まりないものだ。
朝会った時から欠伸を連発し、しきりに目を擦っていたからまさかとは思っていたが。
少し楽屋を空けた隙にはもう爆睡ぶっこいている相方を見て、品川のまさかは確信となった。
まあ石使わないでケガされるよりはマシっちゃマシか。
そう前向きに捉える事にして、河本に向き直った。
その表情を見て、品川は思わず苦笑を漏らす。

「めちゃめちゃ嬉しそうですね。何かあったんですか?」
「何かあったも何も。お前ら見てほんっっま安心したわ。今ホラ、あるやん。あの…」
「ああ、石…ですか?」

例の、と言うと、河本はそれ、と顔を顰めながら頷いた。

「周り誰見ても敵ちゃうんか思えて来て。俺もう人間不信なりそうや。
&nbsp品川は白やろ? もう何か、ほんま安心したわ」

白の傍にいたって襲われる時は襲われますけどね、とは思ったが言わず、代わりに小さく愛想笑いで返しておいた。
周りが全て敵の様に思えてしまうその感覚は良く解ったから。今安心し切っている先輩をわざわざ不安がらせる事もないだろう。

暫く他愛のない事を二人で喋っていたが、やがて楽屋の奥の影がむっくりと、身を起こした。
庄司は暫くしかめっ面で二人を見ていたが、それが河本と品川だと解ると、目元だけは眠そうに、緩く笑ってみせた。
まだ寝てても良いぞ、と品川が言ってやる。
しかし庄司は畳をぼーっと眺めた後、何かに気付いた様に顔を上げ、緩慢な動作で立ち上がり、壁にぶつかりながらよろよろと楽屋を後にした。
その背を、二人揃って見送る。

「…何やあいつ。大丈夫なん?」


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