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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】
396
:
◆vGygSyUEuw
:2006/04/15(土) 18:57:16
ちょっと思いついたので落とさせてください。
スピワの超短編、小沢目線。
------------------------
何だか、かれこれ五分ほど路地裏を走っている。
それを追うのは、誰とも知らぬ女芸人コンビ。
「待てーっ!」
「逃がさないわよ!」
威勢のいい声をあげて走る彼女たちは、そこそこ若くそれなりに可愛い。
もったいないなあ。
芸人なのも、黒なのも。
…うーん、我ながら関係各方面に怒られそうな独り言。
「もう、なんでよりによって女の子よこすかなあ…」
「こっちが弱いってわかっててやってるよねえ、全く黒は意地が悪いんだから…」
なかなかしぶとい追跡者にうんざりしている相方に、多少の皮肉をまじえて返す。
振り向きざまの推測ではあるものの、恐らくまだ20代半ばぐらいであろう相手に対し、こっちは三十路も過ぎたヤロー二人。
しかも一人は肉体年齢おじいさん。っていうかオレなんだけどね。
早々に膝が泣き言を言っている。しかも呼吸もヤバげ。
石の力で騙し騙し走ってるけど、そろそろ限界だ。
「どーする?」
「うーん、お引き取りいただきたいけど…」
「無理っぽいね」
ちらっと振り返る。二人ともさすがに疲れてきたのか、それともこのチャンスを逃すと何かまずいことでもあるのか、結構な形相だ。
「とにかく、このまま逃げてもらちあかないし、ちょっと軽く…」
煌めくアパタイトを胸ポケットから引き出し、一言。
「太ったっていいよ、だって大好きな君の量が増えるんだからっ!」
「……きゃああああ―――っ!!」
すぐに二重音声で聞こえる、絹を裂くような悲鳴。
「…何やった」
我が相方が呆れ顔で呟く。
「いや、ちょっと『自分が急激に太った』って幻覚をね。
女の子には効果テキメン」
「あんた甘くねえよ」
声を絞り出しての説明に、即座にツッコミが入った。
いいなあ、まだまだ元気で。
同じ距離を走ってた筈なのに、倍以上の疲労を抱えてる気がする。
「鬼かアンタは」
「もー何でもいいよ…あの猛攻から解放されれば」
切れた息が整う前に、スタジオまで飛ぶ。
直前に視界の端に入るのは、呆然と座り込む二人の姿。
ごめんね、でも…ダイヤモンドは傷つかないだろ?
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