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【添削】小説練習スレッド【キボンヌ】

487here,there. ◆1En86u0G2k:2006/08/10(木) 15:16:25
 仕事を終えた帰り道、不意に迎えた大ピンチ。
 何かと物騒な噂を耳にしていたから、事情を説明してもらえずとも相手の目的に検討はつく。
 咄嗟に公園に逃げ込んだ濱口はついさっき別れたばかりの男に大急ぎでメールを打った。
 この状況をすんなり理解できて頼りになる者。迷いなく浮かんだのが少々悔しい気もする。
 自分を追う声は確実に包囲網を狭めていた。
 このままだと見つかるのは時間の問題なのだが、こう人数が多いと不用意に動けない。
 東京の夏としては珍しく涼しい夜なのに、緊張と焦燥のせいで背中を嫌な汗が流れていく。

 と、手の中で携帯電話が低く振動した。できるだけ音をたてないように注意して、画面を覗きこむと−
 『なんとかならへんの?』
 暗闇に浮かんだのは呑気な返事。
 思わず力が抜け、電話を落としそうになる。
 『ならへんから言うてんねん#』
 いつもの癖でつい絵文字を入れてしまった。怒りを示す赤いマークがひどく間抜けだ。
 『絵文字打てるぐらいやったら大丈夫なんちゃう?』
 わあ、やっぱり指摘されるか。
 そういうとこばっか鋭いねん、体勢を低くしてそろそろと移動しながら最後のメッセージを打つ。
 『たすけて!』

 なぜそれが最後になるのかというと、数秒後に追っ手の一人が彼を見つけてしまうからで。
 携帯電話の液晶は律儀に送信が完了したことを報告していたが、濱口にそれを確認する余裕はなかった。


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