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メモメモ
39
:
名無しさん
:2010/01/14(木) 21:36:57
隆生は母、恵美と駅のホームで、電車を待っていた。今日は、隆生が通っている私立高校の個別面談の日なので、
いつもよりも、一時間遅い電車でよかったのだ。その学校は、進学校なので、一年生の時から頻繁に親子での
面談があるのだった。
「一時間遅いだけで随分、人が少ないのね」
面談の順番によっては、通常の通学時間になる時もあり、以前にラッシュ時と重なってしまった事を、母は
覚えていたのだ。恵美は42才、息子の隆生、夫の邦彦の三人暮らしである。若い頃は、スリムで、スタイルも
良かった。さすがに40を越えたこの年では、やはりそれ相当の肉と脂肪がつき、ムチッとした肢体になっている。
が、本人には自覚が無く、何年も前からの外出用のお気に入りジャケットを使用しているが、少しサイズが
きつめになっていて、それがかえって、身体のムチムチ感を増大させていた。
電車が到着し、隆生は母を先導するように、いつもの前から2両目の後部のドアから乗車した。
そこが今度降りる駅では 出口につながる階段の丁度、前になるので、具合がいいのだ。
しかし、その車両に乗り込んだ瞬間、隆生はいつもとまったく違う空気に気が付いた。
187 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/01/01(火) 21:27:58 ID:F4+jnyIv0
そこには明らかに、恵美の時代 でいうところの『不良』もしくは『ヤンキー』と一目で判る高校生たちしか
乗車しておらず、まるで彼らの専用車両の様であった。
『そうだ、今日は一時間遅いのに乗ったんだった! しまった、いやだよ?』
自分とは、明らかに相容れない存在の彼らに対する隆生の恐怖心は肥大していった。
『で、でも まぁ、目を合わさなきゃ・・・』
母の横で、小さく下を向き続ける隆生だった。
その時、「オイ! タカオじゃねーかっ」と隆生を呼ぶ声がした。
つい名前を呼ばれた事に反応して、そのしゃがれた声の方に顔を上げる隆生が見たのは、
小中と同級生だった木村登だった。
登は小学校の頃こそ、よく遊んだが、中学に入り、それぞれの新しい友達ができ、
疎遠になっていった。噂で、工業高校に、入学したようだとは聞いていた。
「オ?ッ、優等生が遅刻かよ?」
細い目元だけは、以前の面影が残っていたが、真っ赤に染めた髪の毛、耳のピアス、片ちんばの眉毛など、
別人といった方が早い風貌になっていた。
「なんだ、今日はかあちゃんと同伴か? まさか呼び出しでもくらったかぁ???」
母の手前、変な事の言えないで困って、チラリと母の方を見ると、恵美もまた、違った意味で困惑していた。
いつのまにか、登の先輩たちと思われる学生たちに廻りを囲まれ、ジロジロと視られていたのだ。
「隆生、違う車両にいきましょっ、お母さんいやだわ この人たち」
「う、うん・・・・」
二人は避けるように、逃げるように、隣の車両へ移動した。そこはごく普通の乗客で、母子は「ホッ」とした。
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