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【場】『自由の場』 その2

493美作&三枝&ラッコ:2021/10/08(金) 06:45:58

人気のない早朝の海辺に、二つの人影があった。
『清月学園中等部一年』の『三枝千草』と、
『星見FM放送』の『美作くるみ』だ。
美作は白い袋を抱え、三枝はバッグを両手で運んでいる。

「さて、と。人が来ない間に済ませましょうか」

先頭に立つ美作が、同行する三枝に指示を出す。
箱の中には『クリスマスグッズ』が詰っていた。
『村田』から『鉄』経由で提供されたものだ。

「はい。では、『ラッコ』さんをお呼びします」

         モゾ モゾ

三枝がバッグを下ろすと、
その中から毛むくじゃらの生き物が這い出してくる。
かつて上質な毛皮目当てに人間達に乱獲され、
絶滅の危機に瀕した海棲哺乳類――――『ラッコ』である。
そして今、再び人間達によって利用されようとしていた。

         「ミャー」

ラッコは『サンタクロースの帽子』を被せられ、
同じく『サンタの上着』を羽織らされている。
なるべく自然に見せるため、完全に着せているのではなく、
やや着崩した格好になっていた。
首には『銀で出来た星のペンダント』を掛けているが、
これに関しては『ラッコの私物』である。
クリスマスツリーの天辺には『星飾り』がある。
『ベツレヘムの星』とよばれるモチーフだ。
星だけではクリスマスに結び付かないかもしれない。
だが、『サンタと星』なら、
そこからクリスマスを連想する事は容易だろう。

「『プレゼント袋』は波打ち際に置きましょう。
 そこに打ち上げられたように『演出』するの」

これから行う『撮影』の方針を説明しながら、
美作が白い袋を海に浸ける。
海水で濡らしてから、足で砂を掛けておいた。
いかにも自然に流されてきたように見せかけて、
袋を波打ち際に配置する。

「ちょっと角度がイマイチかな…………。
 三枝さん、袋の中が見えるようにしておいて。
 それから中身を軽く出しておいてもらえる?
 見ている人達に分かりやすく伝わるようにね」

「――――はい」

         「ミャァ」

「それから、ラッコを袋の近くに寄せてくれる?
 クリスマスグッズと一緒に写したいから」

「――――分かりました」

         「ミャァ」

「んー…………。
 ラッコの体が乾いてるのは、ちょっと不自然かな。
 水に入れて濡らしてみてくれる?」

「――――了解です」

          「ミャァ」

「うん、オッケー。
 じゃあ、撮らせてもらうわ。そのままそのまま――――」

       パシャッ パシャッ パシャッ

角度や距離を変えながら『写真』を撮影し、
続いて『動画』の撮影に移る。

「ええと…………こっち側から撮るのが良さそうね。
 アングルは、これで良しと――――」

           ピッ

遠くから徐々に近付いていきながら、
『クリスマスラッコ』の姿を撮影する。
プレゼント袋の中を覗き込み、
クリスマスグッズと戯れる光景だ。
こうして『二人』と『一頭』は、
滞りなく『撮影』を完了させたのだった。


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