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【場】『 星見スカイモール ―展望楼塔― 』 その2

501斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』:2023/05/17(水) 23:28:45
>>500

YES I AM!

 「態々僕に会いに来たの?そいつは光栄だな。それにしても相変わらずエネルギッシュな後輩だねー、
 光の国で光合成してるに違いないな。」

グッドラック、コール
正直、目の前の女の子を一度見て忘れるのはアラビアのロレンス見てる途中で寝ないくらいには難しいだろう。
ロスト・アイデンティティ製『ハンモック』を解除すると、首元のスカーフを弄……ろうとして両手が塞がってる事を思い出した。

 「遊びの誘い?うーーーん……いいぜ!って言いたいんだけど……
 今、何か奇妙な命を手の中に捕まえてしまって。」

視線を手の中に向ける
夢見ヶ崎が出てきたので、一周回って冷静になってしまったが
結局これがまだ何かわからないままだ、新手のUMAかグレムリンか、はたまたスタンド…なのか?
今のところ一番の容疑者は、目の前の少女だが。

 「今のところ僕はグレムリンの親戚じゃないかなと。
 ……そういえば、夢見ヶ崎なんか変わった?」

そういえば、目の前の少女は鎖の上でぐーすか寝てた自分と違ってなにやらキラキラして見える。
まあネイルがキラキラに決まってるのは何時もの事として……。

502夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/05/18(木) 00:20:42
>>501

「――――――おん??」

            ズ イ ッ

手の中を覗き込み、その存在を確かめると、納得した様子で大きく頷く。

「ナニかとおもったら『チェシャ』か〜〜!!
 しってる??『もとアリスのハンカチ』」

案の定、『容疑』は濃厚になる気配を見せ始めた。

    「そんで、いまは『ハンカチネコ』。
     たまに『アリス』のトコにくるシンシュツキボツなヤツ」

            「フミィ」

『誕生した理由』は不明だが、要するに『そういう事』らしい。
『夢見ヶ崎の周りにいる不思議な生き物』のようだ。
おそらく『元々の持ち主』だったからだろうか。

「ジャマだったら、はなしちゃえば??
 だって『チェシャ』って『ジユウ』じゃん」

斑鳩の下に現れたのは偶然だろうし、特に害があるようにも見えない。
風に乗って移動できる体なら、どれだけ高所から落ちても平気だろう。
少なくとも、ずっと捕まえておく必要はなさそうだった。

「ん〜〜〜〜〜〜」

「『わたしがかわった』っていうかさ――――」

投げ掛けられた言葉を反芻するように、
隣に立つ自らの『精神の象徴』に視線を移す。
『ドクター・ブラインド』は、非常に特殊なスタンドだった。
ヴィジョンや能力ではなく、『本体との関係性』が。
本来なら、『視力を持たない本体』を補助する為に生まれる筈だった。
発現が遅れたせいで、本体とスタンドの間に『齟齬』が生じていたのだ。

「『ドクター・ブラインド』が、わたしに『おいついた』」

今、その『距離』は完全に埋まり、『新たな形』となって結実している。

  「だから、これからは、こうよんでくれる??」

       「『ドクター・アリス』」

             「――――――って」

『光』を身に纏うスタンド――『ドクター・アリス』は、
文字通り『視力を得た後の夢見ヶ崎明日美』を象徴していた。

503斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』:2023/05/18(木) 02:10:25
>>502

 「ふーん……頭だけじゃなさそうだが、成程、グリフォンとジャバウォックによろしくな。」

ハンカチ猫……そのうち一種の都市伝説になりそうだな。
容疑者がほぼ犯人になった所で『チェシャ』を放してやる事にした。
好きに生きるがよい、僕もそうしていたい所だ。
 
 「僕の知ってる猫とかアレだものな……人の釣った魚勝手に食うわ、寝床を占拠するわ
 頭突きしてくるわ、都合が悪くなったら平らになって逃げるし。……それにしても」

おかしいな、あいつ良い所が一つもないぞ?
隣の芝が青いどころか黄金色に見えそうだ。
……まぁこれは置いておこう。それがいい。

 「『ドクター・アリス』か。」

陽光を浴びてたなびく髪は、本体同様に美しい。
片言で光を求めていた、あの無機質な頃とは大違いだ
その光の陰になっている、自分には随分と眩しい。

……自分の右腕を一瞥すると、ハンモックを伸ばした際に使った『鎖』がまだ巻き付いていた
『ロスト・アイデンティティ』の鎖……『枷』としての鎖。

 (自分にとっては他人がつけたどうでもいい枷だから、ダメージのフィードバックもないし、簡単に切り捨てられる。)

これが目の前の少女のようになる日などあるのだろうか?
あの両親を救えるような物に……。

 (たぶん……ならない、俺は今でも、俺の事ばかり考えているからだ 
 何処まで行っても、お前の鎖の下にあるものは俺の『影』だ、反吐がでるな。)

 「随分と美しく振る舞うんだな、僕の目が潰れちまうぜ。」

氷のような瞳を瞬かせる。
ラジオを手に取り、飲み干したスプライトをゴミ箱に放る。ストライク。

 「それで?何処にエスコートさせて頂きましょうか、Missアリス?」

 「映画もいいし、新しくできたカフェや、鈴蘭畑でも 釣り堀で大物狙いもいいし、書店でお気に入りの一冊を探してもいい」
 「それとも、商店街でウインドゥショッピング?……お付き合いしましょう。」

504夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/05/18(木) 12:34:58
>>503

『視覚』を得た『ドクター・アリス』が、
遮光の役割を果たす『リボン』の下から、目の前の少年を見つめる。 
『リボン』と『鎖』――細長い形状こそ似ているものの、
その特性は全く違う『似て非なる物』。
『リボン』は『鎖』の代わりにはならないし、その逆も同じだろう。

    フ ワ ァ

         「ミミミィ」

              ――――パサッ

「あ、『チェシャ』もイッショにくるカンジ??」

解放された『ハンカチ猫』こと『チェシャ』は『元持ち主』の肩の上に乗った。
子供の落書きのような顔からは、絶妙に表情が読み取れない。
何となく底知れない雰囲気が漂う辺りは『チェシャ猫』に似ている。

「へ〜〜!!ショウくんのトコにも『ネコ』いるんだ。
 エプロン??トートバッグ??いがいにクッションカバーとか??」

『平らになって逃げる』という部分から、
『チェシャ』と同じ『スタンド生物』だと認識されたようだった。

「『スズランばたけ』っていうとさぁ、
 このまえ『りんちゃん』と『カニなべ』たべたんだよね〜〜。
 『スズランのアジ』ってしってる??
 なんか『ピリッ』としてて、いままでにないフウミだったよ」

同じ場所で同じ相手に遭遇していた斑鳩翔が、
危うく『生命の危機』を回避した事は、もちろん知らない。

「いきさきはショウくんにまかせる!!
 『クサリのおうじサマ』のセンスがためされるぞ!!」

サングラスの奥にある瞳を輝かせながら、満面の笑顔を見せる。
どこまでも明るい表情は、以前と少しも変わっていない。
『スタンドの方が本体に追い付いた』という事実を体現するかのように。

505斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』:2023/05/18(木) 20:30:14
>>504

……考えるのはやめろ斑鳩翔
今この日には忘れた方がいい思索だ。
霞を振り払うかのように頭を振ると、人懐っこい笑顔を漏らす。

 「いやいや、フツーの食い意地のはった猫よフツーの……ただバラバラになる特技があってさ」
 「それよりぃ……お友達と鈴蘭蟹鍋ぇ〜?鈴蘭クッキーといい最近の流行りなのォ?スゲーな最近の世界のセンスは。」

もちろん斑鳩は知らない……というより結びついてない
スズランのフレーバー付きな闇鍋の親戚かな?等と考えている。
まあ恐らく些細な事だ、これからする事に比べれば。

 「アハン、チェシャ猫の見張りもいる事だし?下手なとこでハートの女王様に首を斬られたくもないし、
 僕のとっておきの場所でもご紹介しましょうかねぇ。」

ラジオ片手にアリスをエスコートする。
5月という数字に置いては、夏はまだ始まったばかりの日々だ。
 
(ま、僕の趣味だと穴場の小さな映画館なんだけどね。
 その前に新しくできたカフェとやらに寄るのもいいな……)

506夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/05/18(木) 21:56:24
>>505

「いやぁ〜〜『りんちゃん』は『トクベツ』だからさぁ〜〜。
 『トクベツなウサギ』だって、みたらイッパツでわかるもん。
 なんてったって『ハナのさいたウサギ』だぜ??」

「ソレをおいかけられる『アリス』も『トクベツ』だけどな!!」

『鈴蘭料理』を出すのは、少なくとも星見町内では『りん』しかいないだろう。
そして、それを安全に『味見』できるのは『ドクター・アリス』だけだ。
よいコはゼッタイわりとマジでマネすんなよ!!

「わたしさぁ、サイキンおもったコトがあるんだよね」

斑鳩の後ろで、思い出すように呟く。
まだ『ドクター・ブラインド』が傍にいた時の記憶。
止むを得ない事情で、自分と価値観の違う相手と戦った時に考えた事だ。

「『えがおじゃないヒト』がいたとするじゃん。
 でも、そのヒトをムリに『あかるいカオ』にしようとするのはまちがってる。
 『わらいたくないのにわらう』って、
 『ココロ』と『カラダ』が『ズレてる』ってコトでしょ」

『齟齬』を解消した自らのスタンドに視線を向ける。

「そういうのって、ケンコーによくないよね。
 ヒトそれぞれイロイロあるんだしさ。
 だから、そのヒトのキモチをだいじにして、
 『ジブンでえがおになれる』までまつの」

『ドクター・アリス』から目線を外し、これから歩いていく『先』を見つめる。

「だけど、みんなが『くらいカオ』してあるいてたら、
 『セカイぜんぶ』がくらくなっちゃうとおもわない??」

   「『アリス』は、そんなの『イヤ』だからさ」

            ス ッ

おもむろに顔を上げ、青空に輝く『太陽』を見上げる。

「そういうときは――――
 わたしが『みんなのブン』まで『セカイ』をあかるくする!!」

        タ ッ

エスコートする斑鳩の背中を追って、軽やかな足取りで歩き出す。

     「――――なんつって〜〜!!」

屈託のない笑顔を浮かべ、緩やかに初夏の兆しが見え始めた街を、二人並んで歩く。

「よし!!イチバンよさげなスポットをたのむぞ。
 アリスのチェックはキビシイからな〜〜。
 『バッチリ』じゃなかったら『バッサリ』だ!!」

久方ぶりの『再会』は、こうして『幕を開けた』のだった――――。

507白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2023/05/28(日) 21:48:35

中層階に入っている『書店』に来ていた。
目当ては『レシピ本』――『お菓子』のそれだ。
無限に広がるインターネットで検索するのとは違い、
本という指針には、限りがあるのが良かった。

「…………」

その日は学校の帰りであり、
清月学園の学生服はそれなりに目立つ。
あるいは牛乳を溶いた紅茶のような色の髪や、
深い青色の瞳が目立つ、と考えても良い。

声をかける理由はそれなりにある、という意味だ。

508白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2023/05/31(水) 12:54:35
>>507
『書店員おすすめ!』のポップに従い、一冊買って帰宅した。

509小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/05/31(水) 15:25:43

夕日に照らされた『展望台』。
ここには一つの思い出がある。
自らのスタンド――『スーサイド・ライフ』を『把握』してから、
初めて赴いた場所だった。
いわば『スタンド使い』としての『始まりの場所』。
その時と同じように、どこか憂いを帯びた表情で、
静かに街を見下ろしている。

  「――……」

人の数はまばらであり、洋装の『喪服』に身を包んだ姿は目に付きやすい。

510小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/06/02(金) 16:59:06
>>509

ここに立っていると、『あの時の自分』を思い出す。
『自覚した力』で何をするべきなのか考えていた。
多くの出会いや争いを経て、私は『自分なりの答え』を見つけ出した。

どんな人にも、『その人を愛する人』がいる。
『愛する人』が傷付けば、そこに『悲しみ』が生まれてしまう。
小石川文子が戦うのは、目の前にある『愛』を守る為だ。

しかし、『不可能』な事もある。
どれだけ頑張っても、精一杯努力しても救えない場合がある。
それは『事実』であり、理解し、受け入れている。
もし全てが助かるなら『彼』も救われていた筈だから。
『あの子』も残りの人生を生きる事が出来ただろう。

だが、『理解している事』を、
『力を尽くさない言い訳』に使う事は間違っている。
最後の瞬間まで諦めずに頭を回すからこそ、
困難を切り開く新たな考えが生まれるのだ。
たとえ僅かな可能性であろうと、
それを試しもせずに切り捨ててしまうのは、
自らの手で希望を握り潰す事に他ならない。

だから、小石川文子は『戦い続ける』。
『愛』の為に。
この『命』が終わりを迎える日まで。

511空井イエリ『ソラリス』:2023/06/05(月) 12:57:29

悪天候などで久しぶりの外出だ。
内向的なイエリだが、努めて外向を目指しており、
加えて言えば――――『かわいい服を着た自分』は割と好きだ。

フリルだらけのワンピースを着て、
それに合わせた帽子まで被り、
髪を止めるゴムもいつもの白いボンボンでは無く、
リボンのついた物にする『徹底』の着飾りだ。
もっとも、顔つきはいつも通り眠たげな物だが。

小さな猫用のおもちゃを買った後、
今は、なんとなしに『展望台』にいた。

           ヒュオ ―――

「――――おっと」

久々に被った帽子だったからか、
吹いた風に咄嗟に手が動かず、
今にも飛んでいきそうなそれを。

        ズギュ

『ソラリス』の手で掴もうとしているのを――>>512は目撃する。

512百目鬼小百合『ライトパス』:2023/06/06(火) 02:29:33
>>511

その日、『普段と違う服装』で出歩いていたのは偶然だった。

        ザッ

『白百合の紋様』が入った『和装』。
色は『銀鼠色』。
無彩色の銀色に近い明るい灰色だ。
江戸時代に『奢侈禁止令』が発布され、
派手な色の着物が禁止されていた時期に流行した歴史がある。
帯には『生地扇子』が差してあった。

         バ ッ

その傍らに『白い人型スタンド』が発現した。
帽子を受け止めようとしたのだ。
スピードは互角だが、動いたのは相手の方が早く、それを見て腕を引っ込める。

「余計なお節介だったみたいだねえ」

そう言って、改めてイエリに目線を移す。
互いの関わりはないに等しい。
それぞれの格好も、まるで違う。

513空井イエリ『ソラリス』:2023/06/06(火) 05:57:31
>>512

「……いいや、そいつは結果論ってやつさ。
 おれが今のを失敗してたとしたら、
 おまえさんの小さな親切に助けられてた」

     「大きなお世話なわけないよな。
      礼を言うよ、ありがとう」

    スッ

帽子を深めに被り直しながら、
現れた女の容貌に視線を走らせる。

「それにしても、だ」

「すげーカッコいい格好じゃないか?
 『着物』ってやつはおれは知らない世界だが……
 今日はなにか、良いことでもあった日なのかな」

率直に伝えつつ、風を避けるように、
『百目鬼』のいる方へと、ゆっくりと近づいていく。

514百目鬼小百合『ライトパス』:2023/06/06(火) 15:52:40
>>513

「そう言ってもらえると、手を出そうとした甲斐があるよ」

        スッ

            ――――パッ

鷹揚に笑って返し、帯から扇子を抜いて片手で開くと、
生地の柄にも『白百合』が描かれていた。

「ちょいと畏まった場に呼ばれちまってね。
 面倒だけど、多少それらしい格好をしていかなきゃならなくなったのさ」

「ただ、普段から着てないもんだから、どうにも不安でねぇ。
 どこか変に見えやしないかと思って、人がいる場所を歩いてみてる訳だ」

扇子を軽く扇ぎながら、イエリの服装を注視する。

「随分と可愛らしい洋服じゃないか。
 アタシは専門外だけど、隅々まで行き届いてるのは分かるよ。
 よくお似合いだ」

「挨拶が遅れたね。
 礼儀として名乗っておくよ。
 アタシは『百目鬼小百合』――――」

       ライトパス
「こっちが『 正 道 』さ」

『白百合の紋章』を宿す『ライトパス』が握っているのは、
風情のある『扇子』ではなく、『警棒』という明確な武器だ。

515空井イエリ『ソラリス』:2023/06/06(火) 16:04:00
>>514

「なるほどな。
 お洒落じゃなくて大人の責任か――いや
 責任の範囲でやる大人のお洒落ってやつか」

    「お返しだから言うわけじゃねーが、
     おまえさん『も』よく似合ってる」

     クル…

視線を感じ、ゆっくりと体を一周させる。
背中にも大きなリボン。手入れの大変な服だ。
臨時収入が無ければ絶対に買わなかっただろう。

「もちろん、おれ『も』だ。
 自分の見た目に似合う服を着るのは、
 とびきり……いいことだよな?」

          フッ

「こちらこそ、自己紹介ってやつをさせてもらうぜ。
 おれは『イエリ』……『空井イエリ』
 さっき見せちまったのは、『ソラリス』」

        「……いや」

「はじめまして。かと思ったが。
 違うな。おまえさん……『夏』にも会っているな」

服装が違うのもあり――加えて関わりの薄さもあり、
あまりピンと来ていなかったが、今なら分かる。

「その節はどうもだ。
 もっとも、お互い、あの場では『傍役』ってとこだったが」

516百目鬼小百合『ライトパス』:2023/06/06(火) 16:46:49
>>515

「正直に言うとね、アタシも最初は分からなかった。
 なにせチラッと見た程度だったからねえ」

「それがあったお陰で、こうして知り合えたんだ。
 『袖すり合うも多生の縁』とは、よく言ったもんさ」

イエリの服装を見ながら思うのは、向き不向きがあるという事だ。
自分が彼女くらいの年頃だったとしても似合わなかっただろう。
それと同じように、若い頃の自分に今の格好は似合わなかった。

「ハハハ、まぁ出る幕がなかったからねえ。
 アタシなんか、それこそ端っこに立ってただけだよ」

「『必要な時』に『必要な動き』が出来れば、それで十分さ」

『鬼の小百合』と呼ばれ、非合法の連中からは、
すこぶる評判が悪い百目鬼小百合だ。
あまり目立つと、向こうからの警戒が強くなる。
だから、必要がなければ、それに越した事はない。

「ところで、イエリさん。
 アンタ、『スタンド使いの知り合い』は多い方かい?」

517空井イエリ『ソラリス』:2023/06/06(火) 17:04:09
>>516

「魔物のお陰――と言う気はしないけど。
 ま、壊した縁だけじゃあなかったらしいぜ」

『人でなし』の挙げた成果としては、
それはきっと上出来だろう。

「ま、卑下することでもないとは思ってるよ。
 あの場所から何か出来る能力者ってのは、
 ぜんぜん、ちょっとの奴だけだったしさ。
 それに……『いざとなれば動く人間』が、
 あれだけいるってことがわかった。
 それだけでも意味はあったんじゃないかな?」

慰めの言葉ではなく、ある程度の本心ではあった。
『小石川』が呼び集めた人間が大半だろうが、
彼女は『駒』として自分たちを集めたのではない。
自由意志に任せてきっかけを与え、多くが応えたのだ。

「ただ、まあ、残念ながらおれは……
 見ての通り、社交的なタチじゃなくてね。
 少なくとも一声かければ人が集まるような、
 そういう期待はしてもらえないだろうな」

「そういう質問をしたって事は、
 おまえさん、『スタンド使い』を集めたい理由があるのかな」

518百目鬼小百合『ライトパス』:2023/06/06(火) 17:44:22
>>517

「ま、『怪我の功名』ってヤツだねぇ」

百目鬼自身も連絡を密にしているスタンド使いは多くない。
最も関わりが深いのは『三刀屋』になるだろうか。
『魔物事件』に関わった切っ掛けも彼だった。

「どちらかというと、欲しいのは『情報』さ」

「アタシは『ある男』を探してる。
 正確には、そいつの『持ち物』に関心があるんだ。
 特別な『刀』だよ」

「アンタの知り合いに、そんな噂を聞いた人がいないかと思ってねぇ」

        ――――――パチン

扇子を閉じると同時に『ライトパス』を解除する。

「それを抜きにしても、こうして『再会』できたのは僥倖だ。
 邪魔じゃなかったら名刺を渡しとくよ」

         スッ

  『大門総合警備保障:主任指導官』

そのような肩書と共に連絡先が書かれた名刺を、イエリに差し出す。

519空井イエリ『ソラリス』:2023/06/06(火) 19:19:42
>>518

「『刀』……さて、どうだったかな?
 そんなやつがいたら覚えてそうなもんだ。
 少なくともおれの知り合いに、
 刃傷沙汰に会ったってやつはいねーぜ」

記憶にある範囲では、覚えがない。

「だが、今覚えた。
 ま……深く事情は聞かねーが、
 これくらいのことは背負っておくよ」

      スッ

「おっと。こいつは……大物だな? 
 おれみたいなのが余計な気を起こしたら、
 ぱたっと畳まれちまいそうだ」

       「その『刀の男』にも同情するよ」

名刺は受け取り、うさぎのぬいぐるみを模した、
小さな肩掛けカバンの中にしまいこんだ。

「気になる話が聞けたら、おまえさんにも伝えよう。
 おれが抱えてるおくよりは、ずっといいことだろうし」

520百目鬼小百合『ライトパス』:2023/06/06(火) 20:49:25
>>519

「アタシは『選り好み』はしない主義でね。
 その男じゃなくても、
 もし人様に迷惑を掛けてるヤツがいたら教えてくれないかい?
 身体が動く内は『街の美化』に貢献したいんだよ」

「もっとも、アンタがいればアタシの出番はないかもしれないけどねぇ」

実際に確認した訳ではないが、荒事を苦手としているようには見えなかった。

「さて――――そろそろ行くとするよ。
 約束の時間に遅れると都合が悪いからね。
 アンタのお陰で、自信を持って顔を出せる」

閉じた扇子を玩び、再び帯に差し直す。

「イエリさん、ここで会えて良かったよ」

           ザ ッ

おおらかに笑うと、着物の裾を翻して、展望台から立ち去っていく――――。

   ……………… ……………… ………………

             ……………… ……………… ………………

「せいぜい『ボロ』が出ないように気を付けなきゃいけないからねえ」

実の所、この格好は『変装』に近い。
『反社会的勢力』の『密談』が行われるという情報を、
事前に『顔馴染みの情報屋』から得ていた。
現場である『料亭』に、これから『乗り込む』のだ。

「『虎穴に入らずんば虎児を得ず』――――か」

521空井イエリ『ソラリス』:2023/06/06(火) 21:13:03
>>520

「はは、は。美化とは。おまえさん。
 マトモな大人じゃあないな?
 ま、悪い事をしないうちは……頼りになるよ」

       「とはいえ……
        落ちてるゴミの責任を、
        背負い込むのは、分かるぜ」

本質的に百目鬼とイエリは大きく違う。
例えば荒事に対する姿勢や、
何かを背負い込むことの前提が。
ただ……『荒事に向いた人格』なのは同じだ。

「そいつはよかった。
 ぜひとも素敵なお披露目になると、いいことだ」

       クルッ

「また会おうぜ。できるだけ、味方同士……いや。
 敵も味方もないところで、次もな」

                   スタスタスタ

この後の予定が何か、に踏み込むことはない。

百目鬼が去ったのを見送ってから、自分も下階に降りた。

522白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2023/06/06(火) 22:05:52

今週はスカイモールで懸賞をやっており、
その抽選会場に来ていた。
1等はハワイ、2等は温泉旅館だが、
お目当ては5等のワッフルメーカーだった。

「……」

くじ引き券(1枚)と、整理券を手に、
案外混んでいたせいで手持ち無沙汰になった時間を、
所在なさげに、壁に寄り掛かって過ごしていた。

523白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2023/06/08(木) 13:55:58
>>522
ハズレ賞のティッシュ一箱をもらって帰った。

524白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2023/06/19(月) 01:52:20

設置されたフロアマップと睨めっこをしていた。
『目当ての店』があるのだが、それが載っていない。
真相は――その店は『フロア移転』をしたのだが、
少し来ない内に案内の掲示は終了していた。

「……」

所在なさげに辺りを見渡す。

スマホで調べれば済む話ではあるのだが、
『指示の誤り』は『白岸・ノエル・トーリ』が特に苦手とする物だ。

解決策に気づくまでの間、そうしているだろう・・・

525白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2023/06/20(火) 13:16:25
>>524(継続)

やがて『白岸・ノエル・トーリ』が至った結論は、
近くにいる誰かに教えてもらう――というものだった。

         キョロ

       キョロ

誰か『聞けそう』な相手はいないだろうか――?

526尾藤 風花『ハーベストムーン・メランコリー』:2023/06/20(火) 20:31:27
>>525
「〜〜〜〜♪」
近くを歩いてきたのは、ロングヘアーを三つ編みでまとめ
メガネを掛けたセーラー服の少女だった。

「にゃーにゃにゃにゃーにゃー♪」
謎の鼻歌を歌いながら、彼女の近くに歩いてくる。
見た感じ、このあたりに慣れてそうに見えるかもしれない。

527白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2023/06/20(火) 22:10:05
>>526

「……」

見つめすぎない程度にその姿を認めて、
いつも伸びている、しかしもう少し伸ばした背筋で、
その『三つ編みメガネ』の少女の視界へと、
わざとらしくない程度に、ゆっくり進入する。

「あの」「すみません」
「道を。尋ねたいのですが……よろしいでしょうか」

     ペコリ

頭を下げて、お願いをする。

「そこの地図には。それが、載っていなかったのです」

どれも染み付いた仕草で、無理なく引き出せるものだ。

528尾藤 風花『ハーベストムーン・メランコリー』:2023/06/20(火) 22:26:24
>>527
「…あっ、あたしのことですかにゃー?」
白岸の方に視線を向けて微笑みかける。
見た感じ、ちょっと遊んでそうに見えなくもない。

「ふむふむ、かまわないよー。
 あたしはひましてたところだからにゃ。」
そう言ってフロアマップを確認した。

「そのお店は、たしかもっと上の階の方に移動してたんだったかにゃー。
 案内できますよー。」

529白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2023/06/20(火) 22:44:45
>>528

「はい。トーリは、貴女に助けを求めました。
 もし、ご迷惑をおかけしてよければ――――」

首肯する。
その顔には表情が見当たらないが、
『笑みがない』ことは明らかだった。
真剣に頼んでいる、という意味だ。

「――ああ、とても。……助かります」

       チラ

「『移動』……そう、なのですね。
 トーリは、知りませんでした。
 前に来た時は、まだ、この階にあった頃で」

上のフロアに向かう階段はすぐそこだ。
雑貨を扱うフロアはこの辺りなのだから、
登って、見てきても良かったのだろう。

「案内。お願いを、してもよろしいでしょうか。
 一人でいると、また迷ってしまいそうですから」

      「たくさん。ご迷惑をおかけします」

少しだけ考えて、厚意に甘える事にした。

「……『お菓子作り』を。貴女も、されるのですか?」

向かう先の店舗は『製菓用品店』だ。
くらしの雑貨フロアから、趣味のフロアに移転したらしい。

530尾藤 風花『ハーベストムーン・メランコリー』:2023/06/20(火) 23:02:06
>>529
「トーリと言うんですにゃー。
 よろしく。」
対しての風花は常ににこやかな表情を浮かべている。
常に楽しそうに見える。

「そーそー、まぁ同じスカイモールの中だから
 行くのは簡単だよー」
そう言って階段の方を指さした

「お菓子作りかー、興味がないわけじゃないにゃ。
 穏やかな生活のためにもとりあえず覚えときたいかもにゃー」
そう言って、フロアの方へと歩き出す。
相手側と歩幅を合わせようとしているようだ。

531白岸・ノエル・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2023/06/21(水) 09:12:15
>>530

「はい。『白岸・ノエル・トーリ』と、申します。
 長い名前、ですので。どうかトーリとお呼び下さい」

     「トーリは……貴女のことを、
      どうお呼びすればよろしいですか?」

指示を乞いつつ、ついて歩く。
表情にも声色にも喜色は滲んでこないが、
少なくともネガティブなニュアンスはない。

「そう、なのですね。
 案内のお礼になるかは分かりませんが、
 トーリは、お菓子を作るのが好きです。
 必要な道具は。教えられるかも、しれません」

互いが歩幅を合わせるタイプだと、
歩みはどうにもぎこちない。
意識的に少し後ろをついて歩くようにする。

「この時期なら。『あじさい』や『雨のしずく』
 透き通った水色。自然な薄紫の『ゼリー』や……
 『琥珀糖』のような和菓子も、良いかもしれませんね」

         「トーリの。好みの話ですが」

相手が『話好き』に映ったからか、
『白岸・ノエル・トーリ』は話題を投げかけるのを止めない。
あるいは、趣味の話ができてテンションが高いだけかもしれない。

532尾藤 風花『ハーベストムーン・メランコリー』:2023/06/21(水) 20:05:48
>>531
「はーい、トーリさーん。」
そう言って手をふる。
ちょっと頭が悪そうな返し方である。

「あぁ、そう言えば名前を言ってなかったにゃー。
 私の名前は尾藤風花(びとうふうか)って申しますよ。」

「呼び方はおまかせするにゃ。
 ちゃんとか『っち』とかでも構わないにゃー。」
後ろ歩きをしながら手をふる。

「はーん、和菓子かぁ。
 あたしはそこまで難しいのは考えてないけどにゃー。
 そう、簡単にできそうなとこから始めたいにゃ。」

「そーゆーのだとどういうのがあるかにゃー?」

533白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2023/06/21(水) 20:18:59
>>532

「では。トーリは、尾藤さんとお呼びします。
 尾藤さん。改めて、よろしくお願いいたします」

         ペコリ

『頭の悪さ』を感じたかどうかは、
その所作からは窺い知れない。
仮に感じたとして、変わらないのだろう。

「そう。……ですね。難しいお菓子の話でした。
 トーリは。お菓子の話をする相手が、多くなくて。
 つい、気分が高まってしまったようです」

        「失礼を、いたしました」

          スタスタ

「……簡単な。気軽に作れる物で。
 『製菓』の醍醐味を味わえる物なら……
 尾藤さんは、自宅に『オーブン』はお持ちですか?」

階段に差し掛かりながら、少し考えて、問いかけた。
『簡単なものを』 そう指示されたのだから、そうする。

534尾藤 風花『ハーベストムーン・メランコリー』:2023/06/21(水) 20:44:48
>>533
「んまぁ、趣味を段々と上達させてくってのも
 わるくないかにゃー。別にそういうのは機にしなくていいにゃ。」
と言って微笑みかける。
後ろ歩きしながらも周囲を把握するかのように人混みを避けているようだ。

「うーん、オーブンは持ってないけど…
 電子レンジならあるなぁ。
 電子レンジでも作れるタイプのお菓子?」
じっとトーリのことを見ながら質問をする

535白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2023/06/21(水) 20:57:17
>>534

「お心遣い。ありがとうございます。
 趣味は……上手くならなくてもいいものですが、
 向上心を持つことは、とても。尊いことだと」

        フ…

       「トーリは。そう思います」

口元に僅かに笑みが浮かぶ。
そうするべきだと思ったから。

「そう、ですね。
 オーブンは使わず、レンジは使う、
 暖かいお菓子でしたら……例えば。
 マシュマロと牛乳、チョコレートで作る『プリン』」

      「そのようなものは、お好きですか?」

『白岸・ノエル・トーリ』もまた、
話に集中して、視線を合わせていても、
歩いている人にぶつかる事は無い。

『できる』人間同士だ。
ぎこちない歩みは既にごく自然に修正されている。

536尾藤 風花『ハーベストムーン・メランコリー』:2023/06/21(水) 21:34:16
>>535
「まぁねー、趣味に夢中になれるのはとても平和的だと思うからにゃー。」
どうも平穏を臨んでいるふうである
「だからこそ、向上心を持つのはいいことですにゃー。」

「甘いものなら何でも好きだけど、
 プリン!それはとても美味しいにゃ!」
どうやらプリンは好きなようである。
風花は楽しそうに返事を返す。

「他にも出来るものがあったら色々教えてほしいにゃー
 お菓子専門の家電製品は持ってないから、その範囲内で。」
階段を登りながら会話も弾んでいく

537白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2023/06/21(水) 21:40:19
>>536

「平和的。……そうですね。
 大衆が趣味に打ち込んで。
 仕事でないものごとの腕を磨けるのは、平和の証で」

「とても。素晴らしいことだと、トーリも思います」

フレーズ選びにやや独特な物は感じたが、
あえてそれを指摘はせず、首肯に留めた。

「他には……『ティラミス』
 甘いお菓子が好きでしたら、
 冷蔵庫と。時間さえあれば作れます」

      「材料は…………少し。
       専門的な物が、ありますが。
       地階にある輸入食品店になら、
       質のいいものが売っていました」

『マスカルポーネチーズ』はティラミスの必需品だ。
代用もできなくはないが、『違う』ものだ。

「ご案内のお返しを。あとでさせて下さい。
 もちろん、それも……ご迷惑でなければですが」

階段を上り切ると、すぐに『製菓用品店』が見える。

「ああ……トーリの行きたいのは、あの店です。
 階段を登れば、ほんのすぐのところだったのですね」

近くにあっても、目に見えない物は見つけられない。
道を探すのが苦手な『トーリ』にとっては、それは尚のことだ。

538尾藤 風花『ハーベストムーン・メランコリー』:2023/06/21(水) 22:04:40
>>537
「お、トーリも理解してくれるかにゃ?
 そう言われるとあたしも嬉しい!!」
楽しそうに返事を返す。
よほど共感されるのがよかったのだろうか。

「ほうほうー、ティラミスかぁ。
 苦味もあって最高だにゃー!
 それの作り方もぜひとも知りたいにゃー」

と、話しているうちに製菓洋品店が見えてきた。

「思ったよりも到着が早かったにゃ―。
 あ、お返しならあたしは…もちろんもらうにゃ!」
楽しそうに返事を返す

539白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2023/06/21(水) 22:53:32
>>538

「トーリは思った事を言っただけですが。
 尾藤さんがそんなに喜んでくださったのなら、
 思っているだけでなく、口に出して良かったです」

どこが琴線に触れたのか――も、
無理に掘り下げはしない。
言葉通り、喜んで貰えたならそれでいい。

「ええ、甘苦い味がお好みでしたら。
 トーリはとても、おすすめします。
 お菓子作りは分量が命ですが…………
 コーヒー粉の量や種類は、お好みに出来ますので」

「こだわるほど好みの味に仕上がることは。
 きっと、とても。素敵な体験になるでしょうね」

――『言葉では』それを理解している。
『白岸・ノエル・トーリ』の製菓にアレンジはない。

「それでは。まずはトーリが、道具をご案内します。
 ティラミスと、プリンなら……『泡立て器』と。
 お持ちでなければ、冷やすための『バット』
 形を綺麗に整えたければ……お好みの器もあれば、
 とても。高揚した気持ちで、仕上がりを待てますよ」

『製菓用品店』にゆっくりと歩いていきながら、
『尾藤』に、一つ一つ、ゆっくりと説明をしていく。

  「泡立て器は機械の方が、とても楽です。
   手作業の醍醐味を、否定はしませんが……
   値段が理由であれば、『ハンドミキサー』を。
   トーリは……心から、お薦めします」

      「他のお菓子にも、使えるものですから」

この『買い物』はその後も、そうした顛末で進んでいくのだろう――

540尾藤 風花『ハーベストムーン・メランコリー』:2023/06/22(木) 00:13:26
>>539
「なーに、そう思うってことは平和主義者ってことだにゃ。
 あたしはそ〜言うのと友だちになりたいと思ってるの!」
どうやら友だちになりたいというのは本心からのようだ。

「ティラミスの重要なところは苦味と甘味のバランスだからにゃー、
 あたしはどっちかと言うと甘さが多い方がいいかも!」

「ふむふむ…・
 勉強になるにゃー。
 とりあえず一式揃えてみようかにゃ。
 初心者だしハンドミキサーを選んで見る!」
どこか微笑ましいやり取りを繰り返しながら買い物は続く

「せっかくだし、レシピ本とかも買ってみようかにゃ」
そんな感じで二人の会話は続いていく。
もしかしたら別のお店でも買い物をすることになるのかもしれない。

541功刀 初雪『サクラ・ブルース』:2023/07/02(日) 22:18:57

              スタスタスタ

その少女が歩くのは速い。
小さな体で、人の隙間を抜けるように歩く。

「…………」

長い白髪――――その左右に一房ずつ、黒い房があり、
白いリボンのついた、大きな鍔の黒い帽子をかぶっていて、
目には主張の薄い丸めがね。両耳には、『吉祥結び』の黒い耳飾り。
和のエッセンスを取り込んだゴシックなワンピースの上に、
『羽織り』を纏理、足元はブーツ――――所謂『和ゴス』のファッション。

       説明に時と文字を要するその装いは、
       その分だけ厚く少女を包む、十重二十重の『戦衣装』だ。

         スタスタ …スタ
  
脚を止めたのは『アイスクリーム』の店の前だ。

今は混んでいるなら>>542の後ろに並ぶかもしれないし、
あるいは、目立つものやことがあるなら、それに目を止めるかもしれない。

542烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』:2023/07/04(火) 19:56:20
>>541
「楽しみだなぁー…!」
初雪の眼の前にいるのはマフラーを首に巻いた少女。
何かを楽しみにしているようでチラシを見ながら
混み合ったアイスクリーム屋の前で順番が来るのを待っているようだ。

チラシには何らかのヒーローのコラボ商品のようなものが見える。

543功刀 初雪『サクラ・ブルース』:2023/07/05(水) 11:17:36
>>542

特に何も言わず、『烏丸』の後ろに並んだ。

         ガヤガヤガヤガヤ

少しずつ列が進んでいく・・・
ちょうど『烏丸』がチラシを見ているタイミングで、
グループ客が何かの理由で列を抜けたようだった。

「…………」

        トントン

後ろから、ごく小さく背中をつつく。

「前。列っ。ちょっと進んでるんですけどぉ?」

言われなくても『烏丸』もすぐ気づくような事だが、
『言えること』があるなら言わずにいられない。

「そんな夢中になるほど面白いもんなのぉ? ソレ」

別にそんなに夢中ってほどの話でもないのだ。
一つだけ確かなことがあるなら……『烏丸』は何も悪くない。

544烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』:2023/07/05(水) 15:29:29
>>543
後ろから声をかけられて
夢中になっていたチラシから視線をそらす
「えっ?」
ふと顔をあげると、たしかに列が一つ空いているようだ。

「すいませーん、足を止めてるつもりはなかったんだけどなぁ…」
軽く後ろの人(初雪)に向けて謝ると、列を詰めるために歩く。

「面白いかと言うと、面白いです!
 一度見れば深みにハマりますよもう!
 特撮はいいですよ!一見子供向けなんですけど
 結構深い設定があったりして奥深いというか…」
夢中になるか、という返答をした結果
どうやらレイは本当に夢中になり始めたようだ。
よっぽど特撮が好きなんだろう。

545功刀 初雪『サクラ・ブルース』:2023/07/05(水) 19:42:49
>>544

「でも、私が歩くのよりも遅かったじゃない。
 早い人より遅いっていうのは止まってるのと同じよ」

無茶なことを言いながら、自身の口元に袖を当て、
『烏丸』の歩みにぴったり沿うように前に進んだ。

「ふぅ〜ん。トクサツ、特撮ねえ。
 そういうのはあんまり見てこなかったわ。
 ヒーローが悪役を倒して、爆発するんでしょう?」

列はまた、進むのがゆっくりになり始める。
しばらくは話をする事に……あるいは羽目になった。

「爆発するのは『子供向け』よねぇ。
 大人向けの『深い設定』ってのは例えばどんなの?
 男女がドロドロの恋愛劇をしたりするのかしら。
 それとも『イデオロギー』の違いで闘争をするの?」

『そんなの無いだろ?』というナメを感じる語調だ。
赤いメイクで整えた目を細め、『烏丸』の返答を待つ。

546烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』:2023/07/05(水) 20:16:35
>>545
「えー、まあそんなもんなんですかね。
 遅れないように気をつけます…」
少しめんどくさそうな感じで答える。

「まぁ基本的なプロットはそうだけど…
 それだけじゃなくてロボットに乗ったりもするし
 必殺技も色々とあって、絵的にも見て飽きないものですよ」

「お、鋭いですね。まさにそんな感じです。」
驚いたようにレイは答える。まさかの返答だろうか?

「ドロドロの恋愛劇は見ていてなかなか心に響くんですよ。
 そして敵と味方で信念のぶつかりあいもあり、なかなかかっこいいというか。
 子供が見栄えで楽しむなら、大人はその裏にあるストーリーを読み取って楽しむように
 できてるんだなーと感心してますよ。」
どうやら初雪はレイの言う『深い設定』を言い当てているようだ。
余計に楽しそうに話し始めている。

547功刀 初雪『サクラ・ブルース』:2023/07/05(水) 21:41:46
>>546

「分かればいいのよぉ。
 人は少しずつでも進歩していくもの。
 昨日より賢く……明日はもっと賢く。
 それが人生というものだから」

           フフフ

めんどくさいヤツに引っかかったのかもしれない。

「え? …………ああ、そう、まあそんな感じよね?
 私は、作劇も、少し。齧っているから。博学なの。
 だからそういうの、ある程度分かってしまうのよね。
 そう、子供向け番組とはいえ……………ああ!
 大人も一緒に見るのだから、そうするものよねぇ」

袖は口元のまま、少し目を泳がせたが、
褒められて悪い気をする人間はいないものだ。

「で? その『特撮』のチラシを、
 なんだッて……こんなところで見ているのよぉ。
 おもちゃ屋さんの前だったら分かるけれど?」

少し前に進みつつ、そっとチラシを覗き込もうとする。

548烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』:2023/07/05(水) 21:57:52
>>547
「まぁそのー、はい。
 まぁこれからも頑張っていきます」
なんだか得意げな初雪をみて、少し苦笑いしながら答えを返す。

「まさにそんな感じです。それならば話が早い。
 実際に大人と一緒に見るためのものだからああいう作りになってるんですよ。
 親子で一緒にヒーローの話をしたりするのはとても楽しいですよー。」
どこか感慨深そうにうなずくレイ。
どうやら経験があるようだ。

「おや、知らないんですか?」
そう言ってチラシを見せる。
「このアイスクリームのお店でコラボしてるんですよ。
 ホラ、キャラデコ付きのアイスケーキ。」
指さした先にはヒーローのデコレーションが施された
ミニサイズのアイスケーキの写真が描かれていた。

「おまけでグッズももらえると聞けばいても立っても居られなくて。
 でも結構人が多くて驚いてます。」
そう言って視線を行列に向ける。
前が空きそうになったので、再び前に進んだ。

549功刀 初雪『サクラ・ブルース』:2023/07/05(水) 23:46:15
>>548

「そうしなさいな。ええ、そうするといいわ。
 そうしたら……あなたが頑張ってる間に、
 おサボりしている雑魚どもの事は追い抜ける。
 『天水桶』の小魚から、『龍』にならなくては……ね」

笑いもせずに返した。

              「けほ……」

小さく咳をしてから、袖を口から離す。

「あぁ……そうか、だから妙に親子連れが多かったのね。
 いい迷惑。私はアイスが食べたいだけなのに!
 ファンも潤い、お店も潤う、干からびるのは部外者だけ……」

                       フン

「……ま、家族団らんと商業主義にイライラする程子供でもなし」

アイスケーキを確認すると、
それ以上は特に興味を示さずに、
列に並ぶ人間達に目を走らせた。

「……親子でッて事は、あなたの特撮好きは親譲りかしら?
 だとすれば、随分幸せな『一子相伝』」

進むのに合わせて進んだ。少しずつ、注文を取る場所が近付いてくる。

550烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』:2023/07/06(木) 00:08:23
>>549
「なるほど、よくわかりませんけど
 応援されてる、ってことですね。
 どうもありがとうございます!」
彼女の言葉に感謝の言葉を述べるレイ。
頑張れば頭一つ抜けられる。という意味に捉えたんだろう。

「うーん、人混みは苦手な方ですか?
 自分としては、子供が多くて賑わってるのは見てて愉しいですけど。」
あたりの子供の様子を見ながら答える。

「まぁ、普段から来てる人にはちょっと迷惑なのかもしれないけど…」
急に人が増えるのは驚くことかもしれない。と察する。

「そりゃもう!」
親譲りか、と聞かれ大きくうなずく

「お父さんはいろんな怪人役を演じてきたスーツアクター!
 そしてお母さんも子供の頃からずっと特撮ドラマを見てきて大ファン!
 結婚したのは必然だったんです!」

「それにかっこいいマフラーも誕生日にもらえましたし
 実に素晴らしい一子相伝ですよ!」
そう言ってマフラーをたなびかせる。

551功刀 初雪『サクラ・ブルース』:2023/07/06(木) 09:23:43
>>550

「……あなた、ばかに素直なのね。つまんない。
 いいわぁ、そういう事にしておきましょう」

「案外、あなたみたいのが龍になるのかしら?」

目を細めて呟き、顔を上げる。

「人混みが得意なんていうのは…………けほ。
 感覚が麻痺してるだけ。偉いことじゃない。
 ……まぁ、けれど、文句は言わないわぁ。
 あなた達のお陰で、この店が長く続けば良いのよ」

口元を抑えつつ、また一歩進んだ。
メニューの紙冊子を一枚取りつつ――

「へぇ、驚いた。本当に『相伝』なのね。
 お父君の……『スーツアクター』というのは、
 とてもフィジカルエリートだと聞いているから。
 あなたもさぞかし……体が、強いのでしょうねぇ」

            じ・・・

その足先から頭までに、舐めるような視線を向けて。

「将来はスーツアクター……いえ、特撮女優かしら。
 あなたは器量が良いから。隠すのは勿体無いわ」

堂々とたなびく布に視線を戻してから、そう続けた。

552烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』:2023/07/06(木) 18:47:55
>>551
(なんかバカって言われたような…?)
「龍かー、ドラゴンも結構魅力あっていいなぁ。
 …いっそ拳術もまなんでみようかな…」
龍になる、という言葉に興味を惹かれるようだ。

「うーん、まぁ人が多すぎる場所は私も好きとまでは言わないですけどね。
 まぁ、賑やかぐらいなら歓迎ですよ。」
そう言って一歩先へ進んでいく。

「うちのお父さんはもう体力おばけで、偶に一緒に運動したりしますね。
 体は、まぁ強いかも…変身、いや…鍛えてるつもりなんで!」
そう言ってマフラーをたなびかせる。
(うっかりスタンドのことを言いそうになっちゃった。
 こういうのは普通の人にはわからないし…黙っとこう。)

「嬉しいですね、そんなことを言われると。
 将来は、そんな職業やってみたいです。」
真っ直ぐな目をしながら告げた。

「あ、そろそろ注文できそう。」
視線を前に向ける。
どうやらカウンターは近いようだ。

553功刀 初雪『サクラ・ブルース』:2023/07/06(木) 19:33:59
>>552

「けぇんじゅつぅ……?
 ……ま、お猿さんみたいに殴り合うのよりは、
 ずっと文化的で、護身にもいいんじゃなぁい?
 ヒーローも武器を使うのがメジャーみたいだしぃ」

鼻を鳴らし、間延びした口調でややズレた回答を返す。
店頭には『特撮ヒーロー』のポスターが飾られており、
どの戦士も斧やら銃やらでしっかり武装していた。

……口元を抑える。

   「けほ」

「いいわねぇ、『変身』する程、鍛えられるなんて」

すぐ前の客が注文を取られている――――
やはり家族客なので、多少の時間はかかるだろうが。

「真っ直ぐすぎて……何にも引っ掛からなくて。
 あなたは本当に龍みたい。……もしくはウナギね」

        フン

「ほら、あなたの番が来るわ。お返事はその後でいい」

そう言うと、アイスの並ぶケースの方に視線を向けてしまった。

554烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』:2023/07/06(木) 21:37:07
>>553
「いやまぁ、殴り合いの方の拳術の話…だったんですけどね。
 …でもまぁ武器を使った戦いも悪くないかも。」
少々ズレたことを言っていることに気づくが
武器の使い方を覚えるのもいいか、と初雪の言葉を聞いてうなずいた。

「あーそうそう、変身に必要なのは鍛え続けることですからね!
 ウナギ…?うーん…褒められているのか…」
ヌルヌルしているイメージが有るウナギ
果たしてどのような理由があるのか…と少し考えてしまう。

「あ、順番が来たんですね。
 ありがとうございます。」
感謝の言葉を述べて、ケースの前に立つ。

「どうもすみませーん、これをおねがいしまーす。」
そう言ってケース内に並んでいるアイスケーキを指さした。
写真に写っていた通りのデコレーションが施されている。

555功刀 初雪『サクラ・ブルース』:2023/07/07(金) 08:31:55
>>524

「……あら、そう?
 でもまあやっぱり殴り合いより武器の方がいいわぁ。
 格闘は勝負を成立させる為に体重制限が必要。
 競技なら良いけれど、実戦ではどうしても不利よ」

    「武器術なら手弱女でも益荒男を御せる。
     『薙刀』はその為の武器とも言われるわ」

誤解に気づいたが謝ったりはせず、
さらに講釈を重ねていくのがこの少女のスタイルだ。

「さぁ? 貶されてると思うならそうなんでしょう。
 私はウナギ、嫌いじゃないわ」

龍にそれ以上言及はせず、アイスのケースを眺める。
どの味にするかを選ぶため――など、に。

『烏丸』が注文を済ませると、後に続く。

「それ。あと、それも」

        スッ    スッ

「ワッフルコーンにしてちょうだいね」

手短に注文を済ませ、あとは多少待てば双方会計だろう。

556烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』:2023/07/07(金) 21:15:48
>>555
「まぁ…男女でも同じくらい鍛え上げた人間同士だったら
 男側のほうが上回るらしいですし…
 ある程度武器の使い方を覚えといたほうがいいかも…」

「長物は悪くなさそう…薙刀かぁ…
 槍は調達が難しそうだけど、そのへんの棒をうまく使えるようになれば…」
彼女の言葉を熱心に聞いているようだ。

「ウナギは、私も大好きですね。
 うな丼なかなか食べられないけど…」
そういいつつ彼女の選んだものを眺める。

「そっちも美味しそう…」
そういってもっと注文しようかと迷っているらしい。
「いや、流石に買い過ぎになりそうだからやめとこう…」
とりあえず会計を支払い始めたようだ。

557功刀 初雪『サクラ・ブルース』:2023/07/07(金) 22:52:22
>>556

「らしいも何も……」

二段重ねのアイスクリームを受け取って、
店の前から少し離れる。人混みのは好きじゃない。

「……でも、あなた、着眼点はいいわねぇ。
 そう、棒は町のどこにでもあるから。
 それに、持ち歩く方法も多いものね」

視界の端には『雑貨屋』の軒先の傘が見える。
易く扱える武器としては最も手に入れやすいだろう。

「うな丼も、私も好きだわ。
 最近は少し大声では言いづらい好みになったけれど」

       「けほ」

「悪いけれど、分けっこしてあげる気はないわぁ。
 私はこれが好きでこれを頼んだのだから」

             シャク

上に乗った季節のフルーツジェラートを少し齧り、
咀嚼する口元を袖で隠しながら続ける……

「そういえば名前を聞いていなかったわね、ウナギちゃん」

『先に名乗れ』という意味だろう。そこで言葉を止めてしまった。

558烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』:2023/07/07(金) 23:30:54
>>557
「最近は棒を持ち歩いてるだけでも職質されるような世の中ですからねー。
 あるいはカバンを武器にするとかのほうがまだやりやすいのかな…」
どうやら、棒などをカバンに入れることを考えているらしい。
どちらかと言うと暗器使いになってしまいどうである。

「ウナギが希少になったから食べるの難しいんですよね。
 そのうち増やせるようになればいいのに…」

「…まぁ、流石に分けてもらおうとは思ってないです。
 なんか、申し訳有りません。」
そう言ってケーキを手に取る。
ドライアイス入の箱に入れてもらったようだ。

「あ、すいません名前はウナギじゃないです。
 私の名前は…烏丸レイと言います。
 この辺の学校で学生してます。よろしく…。」
そう言って頭を下げる。

「えーっと、そちらの名前は…」

559功刀 初雪『サクラ・ブルース』:2023/07/08(土) 00:18:53
>>558

「された経験があるのかしらぁ?
 まぁ、特別な事には理由か、
 隠す方法を用意しておかなきゃね」

踵を返す。

「思ってないなら。……けほっ、謝らなくていいのに。
 気が強いんだか弱いんだか。でも嫌いじゃないわ」

     「あなたは私が嫌いかもしれないけどぉ。
      それだったら名前は名乗らないわよね」

そして歩き出す前に、一度だけ振り向いた。

「『初雪』」

  クヌギ ハツユキ
「『功刀 初雪』
 この辺の学校で学生をしているわ。
 だから、また会う事もあるでしょう」

          スタスタスタ

「次にあったら棒術の腕でも見せてもらおうかしら」
          
           「それじゃ、またね。  
            ウナギのレイちゃん」

目的はアイスを買う事、話はそれまでの過程だ。

今はそれ以上は無いが……
過程が何かに繋がる日も、いずれ来るかもしれない。

560烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』:2023/07/08(土) 00:41:42
>>559
「ん、まぁ…あるかな…」
どうやら経験があるらしい。

「いやー、別に嫌いなわけではないけど…
 特に気にしないでください。」
と言ってうなずいた。

「初雪さんですね。
 …同じ学校の人かな。
 またどこかで会いましょうか」
そう言って手を降った。

「ウナギじゃなくてー、烏丸ですー」
最後に一言添えて見送った。

いずれまた出会うことになるのだろうか…
それはまだわからない。

561パンドラ『ブレインボックス・P』:2023/09/23(土) 13:02:17
ショッピングモールの売り場
ふかふかのベッドに銀髪の少女が寝転がっている

562パンドラ『ブレインボックス・P』:2023/09/25(月) 21:43:43
>>561
ふかふかのベッドの柔らかな感触に身を任せていると思い出す
エクリプスに身を置いていた頃は、こんなベッドで寝ていたなと

優しい感触に包まれ、つい眠ってしまったパンドラ
もうこんな時間か…
お腹が空いた…

このショッピングモールのフードコートにはモスバーガーがあったはずだ
月見も近いし、CMでやっていた月見フォカッチャが食べたいな

そう思い立ち、フードコートへと向かうパンドラ

ところが…

「!?」

パンドラは絶句した
モスバーガーに張ってあったポスター
そのポスターのタレントの写っている部分が、テイクアウトのシールで隠されている

これは一体どういう事なのだ?
どうしても気になったパンドラはすぐさまスマホで調べた

自分が封印されている間にジャニー喜多川が死んでいた事にも驚いたが
性加害で絶賛炎上中とは、開いた口が塞がらない
この間のビッグモーターといい、ジャニーズといい
調べれば調べる程闇が深まり底が見えない、奈落にでも繋がっているのではないか?
同族経営の悪いところが諸に出てしまっている

自分が封印されている間にこんな事になっていたなんて…
パンドラには一瞬の出来事でも、長い時が経っていた事が伺い知れる
とんでもない時代に目覚めてしまったな…

エクリプスで楽しくやってた頃に戻りたい…
昨日の事のような過去を懐かしみながら、フォカッチャとティーサングリアを堪能したパンドラだった

563『ルート選択式の場スレ交流(試験導入)』:2023/10/21(土) 13:38:14

本日の天気は快晴。
気持ちの良い爽やかな秋空が広がっていた。
ここ『スカイモール』は、今日も来場者達で賑わっている。
言い変えれば、多くの『可能性』が存在する状態だ。
もしかすると『今から行く場所』によって、
『この後の時間の過ごし方』も変わってくるかもしれない。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

・『ショッピングモール』に行く→『鵲愉子』と出会う
・『展望台』に行く→『百目鬼小百合』と出会う
・『フードコート』に行く→『美作くるみ』と出会う
・『博物館』に行く→『小石川文子』と出会う
・『外』に出る→『ラッコ』と出会う

564水瀬海恋『FFwF』:2023/10/22(日) 07:56:01
>>563

(アホほど混みだしたな……)

ある日のフードコートにて。
トレイの上にハンバーガー屋のセットを乗せた女がうろついていた。
ボサボサの長髪と、クマの目立つ目、ジャージ。
社会的な点数が低そうだがそんな人間でもフードコートを使用する権利はある。
あるのだが

(どっか座れるとこないか……?)

流石にここで立ち食いをする気にはなれない。
この際相席になっても構わないので席を探す他ない。

565美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2023/10/22(日) 10:21:57
>>564

適当な場所を探していると、ちょうど空席が見つかった。
首に『ワイヤレスヘッドホン』を掛け、
メンズライクな『アメカジ』でコーディネートしたファッションの女。
整った顔立ちをしており、それを引き立てるメイクにも隙がない。
外見から窺い知れる共通点はないに等しいが、年齢だけは近そうだ。
その向かい側の席が空いている。

(そろそろ門倉さんと話し合っておきたいんだけど…………)

テーブルの上にあるトレイには、
チキンのホットサンドとカップ入りのスープが乗っている。
それらと共に一台のスマホが置かれ、
画面に表示されているのは『有名動画サイト』。
『電気カナリアの止まり木』と名付けられた『美作くるみ』のチャンネルだ。

      スイッ

不意に気配を感じて、テーブルから目線を上げる。

「――――あ、どうぞどうぞ」

気さくに声を掛ける顔は、画面に映る顔と同じだった。

566水瀬海恋『FFwF』:2023/10/22(日) 10:35:25
>>565

「すいませんね」

軽く頭を下げて席に座る。
その時、視界に画面が飛び込んだ。

「ん……」

(動画投稿者か……最近そういう人も増えてるんかな。一億総発信時代やったか)

とはいえ少し物珍しがったらしく、動きが止まっていた。

567美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2023/10/22(日) 11:25:09
>>566

チャンネル内には別チャンネルのリンクも貼られていた。
そちらは『Electric Canary Garden』とある。
併記された説明書きを見る限りでは、
星見町で放送しているラジオ番組の公式チャンネルだ。
その番組のパーソナリティーが個人的に動画をアップしているのが、
この『電気カナリアの止まり木』らしかった。
いわゆる投稿者や配信者とは少し事情が異なるようだ。

「…………?」

動きを止めた相手の視線の先を、自身の目で追った。

「あはは…………」

まもなく理由を理解し、取り繕うように苦笑する。

「お恥ずかしいです」

そして、軽く会釈する。
当該チャンネルの中では名前も出ており、
『美作くるみ』というのが向かいに座る女の名前らしい。
画面の中では自信に満ちた笑顔を浮かべており、手慣れている感があった。

568水瀬海恋『FFwF』:2023/10/22(日) 18:30:51
>>567

「いや」

「うちも人のスマホを見るんはマナー違反やし」

そう言って、カップの蓋を外して口をつける。

「まさか、芸能人の人に会うとは思わなんだけどな」

569美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2023/10/22(日) 19:31:32
>>568

登録者数は、すごく多いという訳ではないが、極端に少なくもない。
有り体に言えば『それなり』だ。
最新の動画のタイトルは、
『電気カナリアはアンドロイドの夢を見るか?』であり、
サムネイルから読み取れる内容は『AI』に関する話題だった。

「見えるような形で置いていた私も悪いですし――――」

ホットサンドを取り上げ、端の方から齧る。

「ここはおあいこという事で」

先程の苦笑いとは違い、明るい表情で付け加えた。

「今、企画の一環として、ちょっとした『アンケート』を実施してるんです。
 お時間は取らせませんから、もし差し支えなければ、
 ご協力をお願い出来ないでしょうか?」

動画内で視聴者から募集している『コメント』。
『仮想アイドル』を作り上げる為の『事前調査』として集めた情報だが、
せっかくならネット以外の意見も取り入れてみたい。
美作にとって、全ての機会はチャンスなのだ。

570水瀬海恋『FFwF』:2023/10/22(日) 21:56:49
>>569

「……別にええですけど」

包み紙を剥がす。
ダブルチーズバーガーだ。

「なんか、意識調査的な?」

「たまに駅前で声掛けてる人おりますけど、そんなん?」

571美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2023/10/22(日) 22:46:07
>>570

「意識調査というほど大袈裟じゃないですけど、似たようなものではありますね」

「ここ最近、『AIの進歩』が話題になってるじゃないですか。
 どんどん人に近付いていってるというか。
 そこで、逆に『人をAIに近付けてみたら?』と考えた訳です」

    「見てもらった方が早そうですねぇ」

          ススッ

指先でスマホを操作し、『最新の動画』を再生する。
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1688976640/24

「こんな感じで、『理想のAI案』を募集して、
 私が『AIを演じる』という企画なんですよ。
 動画にもコメントを頂いてますが、
 それ以外のアイディアも取り入れておきたいなぁと」

       スゥッ

話の途中で、スープの入ったカップを口元に運ぶ。

「だから、『どんなAIがあればいいと思うか』について、ご意見を伺いたいんです」

572水瀬海恋『FFwF』:2023/10/22(日) 23:02:09
>>571

「思ったよりも壮大なんが来たな」

割合本音だった。

「AIなんやから生活を良うしてもらう方がええでっしゃろ」

少し、食べるのをやめて思案する。

「あーあれやな。肯定してくれるやつ」

「そういうのちゃう」

573美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2023/10/22(日) 23:30:18
>>572

「なんといっても人の作るものですから、
 人の為になってくれなきゃ困りますよねぇ」

朗らかに微笑を返しつつ、ホットサンドを頬張る。

「『肯定』――――ですか?
 つまり、励ましてくれるとか背中を押してくれるとか…………」

何気なく投げ掛けられたのは、想像していたよりも意表を突く答えだった。

「物理的に役立つだけじゃなくて、精神面のサポートもしてくれるAI。
 とっても素敵なアイディアじゃないですか。
 『生活を便利にする』とか、物質的な部分は割と思い浮かびますけど、
 そういう『形のない部分』となると、なかなか考えつきませんよ」

人間を応援してくれるAI。
それも、個々人に合わせた最適な方法で。
これは『仮想アイドル』の設定に組み込めそうだ。

「特に、日頃からストレスを抱えがちな現代の人達には、
 どんな機能よりも望ましいのかもしれませんね」

574水瀬海恋『FFwF』:2023/10/22(日) 23:56:20
>>573

「励ましてくれるって言うか」

「そういうポジティブなんやなくて」

「ほんまに『肯定』してくれるってだけやけど」

ポテトをかじり。

「まぁ調理は任せますわ」

「うちより得意そうやし?」

575美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2023/10/23(月) 00:41:29
>>574

「あぁ、何となく分かりました。
 『頑張れ頑張れ!』じゃあなく、『それでいいんだよ』って感じですね」

          ――――――ピッ

納得したという意思表示を込めて、人差し指を立てる。

「積極的に支えるというよりも、そっと傍に寄り添うというか」

徐々に方向性が固まっている気がした。
この着想を中核に据えてもいいかもしれない。
多様な意見を集める事には大きな価値があると再認識する。

「私も一応プロの端くれを名乗ってますから。
 『お喋り』なら得意分野ですよ」

       パクッ

「進化する『AI』に負けないように、
 『日進月歩』の気持ちで前進を続けていくつもりです」

          クイッ

「『初心忘れるべからず』とも言いますから、
 それも心掛けつつになりますけど」

言葉の合間に、ホットサンドを綺麗に食べ終わり、
それと同時にカップの中身を空にした。

「貴重なご意見ありがとうございます。とても参考になりました」
 
        「ええと――――」

「良かったら、お名前を聞かせてもらえませんか?」

576水瀬海恋『FFwF』:2023/10/23(月) 06:24:20
>>575

「水瀬海恋」

「ミナセカレンや、美作さん」

カップの中身が空になり、包み紙に包まれていたハンバーガーも無くなった。

「あんじょうよろしゅう」

577美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2023/10/23(月) 06:49:52
>>576

「水瀬さん、ですね。改めてご協力に感謝します」

       ガタッ

「お陰様で有意義な時間を過ごせましたよ」

気持ち深めに頭を下げると、スマホをジーンズのポケットに入れ、
トレイを持って椅子から立ち上がる。

「それじゃ、この辺で失礼します。
 いつか時間が空く時があったら、一度『ラジオ』も聴いてみて下さい。
 私の『本業』ですから」

別れ際に改めて振り返り、くだけた笑みを向けた。

「――――良い一日を」

578小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/11/05(日) 17:53:39

展望台に立つ人影。
『喪服の女』が街を見下ろしている。
その横顔は物憂げで、誰かを案じるような色を帯びていた。

  ――『小林さん』……あなたは……。

『小林丈は生きている』。
特殊な伝手と友人の協力を通して、
小石川文子は『小林の消息』に関する手掛かりを得た。
彼は『アポロン・クリニックセンター』の『旧病棟』に運ばれたという。
何らかの『治療以外の目的』の為に。
詳細は不明ながら、彼が生きている事だけは事実のようだ。

  ――きっと『彼を待っている人』がいる……。

『真実』を公表すれば、『救われる人間』がいるだろう。
しかし、それは出来ない。
小林が自らの意思で人々の前から姿を消したとしたら、
彼の思いを無為にしてしまう。

  「――小林さん……」

思考の一部が、思わず口をついて出る。
『自分の言葉で救える人』がいるのに、それを明かす事が出来ない。
小石川文子は、胸の奥に秘める葛藤に悩まされていた。

579朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2023/11/07(火) 20:52:20
>>578
「すいません。隣…いいですか?」
不意に声が聞こえてくる。

「展望台の景色、きれいですよね。」
そう言って展望台に身を乗り出すように外の景色を見る女性。
見慣れた人物であるとわかるだろう。

580小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/11/07(火) 21:18:01
>>579

風景を見つめて佇んだまま、小さく頷く。
『声の主』が誰なのかは見なくとも分かった。
最も親しい友人の一人。

  「私も、この景色が好きです……」

二人の眼下には、秋の深まる星見町の街並みが広がっている。
無意識の内に往来する人々を眺めていた。
もしかすると、そこに『彼がいるのではないか』と思えて。

  「……小林さんも、どこかで同じ景色を見ているのでしょうか?」

どうしているかは知る由もないが、間違いなく彼は生きている。
きっと同じ空の下にいる筈だ。
今、彼は何を思っているのだろう。

581朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2023/11/07(火) 21:38:48
>>580
「フヒヒ、実を言うと私はたまに子どもたちの世話にちょっとつかれることがありまして。
 そういう時はここで景色を眺めたりするんですよ。
 色々な疲れもどうでもいいかなーってなります。」
小石川に視線を向けて微笑む。
そして改めて、展望台から望む人々の喧騒を眺めた。

「…多分そうなんじゃないでしょうか。
 生きている限り、見える景色は一緒ですよ。
 同じ場所で、と行かなそうなのは少々残念ですけど。」
小石川の言葉に対して、いつもの調子を崩さないまま答える。
小林という人物がどこかで生存しているということは笑美にも理解できる。
ならば、同じように街の何処かでその景色を見ているはずであると考えた。

582小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/11/07(火) 22:09:09
>>581

  「私も……そんな気持ちだったのかもしれません」

          ス…………

やがて景色から目線を外し、笑美の方に向き直る。

  「――大きなものから『前に踏み出す力』を分けてもらうのは、
   とても素敵な事だと思います」

小林丈が何処で何をしているかは分からなかった。
しかし、だからといって、
自分まで沈んでしまっていては元も子もないだろう。
また笑美を心配させてしまうし、
いつか彼と再会できた時に暗い顔をしているのは良くない。

       ニコ……

  「また『同じ場所』で『同じ景色』が見られるといいですね……」

            ――――ピコッ

穏やかに微笑すると、黒いキャペリンハットから『猫の耳』が立った。
どうやら、それは『帽子猫』の『撫子』らしい。
前に見た時のように眠っていたが、目を覚ましたようだ。

583朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2023/11/07(火) 22:25:33
>>582
「…案外簡単なものなんです。
 一歩踏み出すっていうのは。
 きっと、小林さんも踏み出す一歩を探しているのだと思います。」
視線を小石川に向け、向き合う形となる。

「まぁ、きっとうまくいきますよ。
 ちょっと楽観的かもしれませんが…
 あの夏のクリスマスの時みたいに、同じ場所に居られるときが着ます。たぶん。」
どこか頼りないような、しかしどこか頼もしい口調で笑美は答えた。
自分たちができることに限りがあるだろうが
なんとかなる、という思いは常に抱いているようだ。

「あら、猫ちゃんも一緒だったんですね。」
そう言って帽子を軽く撫でる。

「起こしちゃったかなー?」
楽しそうに撫子ちゃんを撫で回す。

584小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/11/07(火) 22:52:38
>>583

『リヴィング・イン・モーメント(今この瞬間を生きる)』――――
それが小石川文子の知る『小林丈のスタンド』だった。
薄いガラス球にも似た『水槽』の中を漂う『金魚』を思い出す。
少し前の自分と同じく、彼も『自らの道』を模索している途中なのかもしれない。

  「いえ……笑美さんの言う通りでしょう」

  「……上手くいきます」

  「きっと……」

『幸運のおまじない』のように、笑美の言葉を繰り返す。
信じ続けていれば叶えられる。
少なくとも、最初から諦めていては、どんな希望も成就させる事は不可能なのだから。

    ソッ…………

        「――にゃあ……」

黒い帽子を脱いで、胸の前で抱える。
大人しい性格の『撫子』は、頭を撫でられて控えめに鳴く。
細く開いた両目が、静かに笑美を見上げていた。

585朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2023/11/07(火) 23:41:54
>>584
「まぁ、私達にできるだけのことはやりましたし、
 あとは天命を待つのみですよ。」
彼女の様子を見てどこか励ますように答えた。
笑美もまたいつか、良い方向に実を結ぶことを願っているのだろう。

「うーん、なんというか、いつ見ても可愛いですねこの子。
 ペットと言うかパートナーと言うか…
 こういうかわいい子と一緒だと、ちょっと楽しいかもしれませんね。」
撫子を見ながら楽しげに答える。
笑美は流石に子供のことで忙しく、ペットを飼う余裕もないのかもしれない。

586小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/11/08(水) 00:08:06
>>585

小石川が被っていたのは『帽子に擬態した撫子』。
そして、笑美は『撫子を撫で回した』。
すなわち、『撫子を被っている小石川の頭を撫でた』という形になる。
小石川の身長が『170cm』に対し、笑美の身長は『160cm』。
腕が疲れるだろうと思って『撫子』を脱いだのだが、決して嫌な訳ではなかった。

   ――確か……『いつか』も……こうして……。

小石川にとって、それは『幼少期の思い出』を想起させるものでもあったからだ。
まだ幼い頃、当時は高校生くらいの年頃だった笑美に、
優しく頭を撫でてもらったような記憶が、おぼろげながらある。
大人になってから、また頭を撫でられるとは思っていなかったが、
不思議と落ち着く気分になれたのは、笑美が持つ『包容力』のせいだろうか――――。

  「ずっと『一人暮らし』を続けていたものですから……」

  「……この子がいてくれるお陰で『寂しさ』が紛れます」

『ナイの猫の能力』によって生まれた『撫子』は、
あまり活発な方ではなく、家の中でも寝ている事が多かった。
しかし、『一人ではない』。
それだけでも随分と心の持ちようが変わってくるものだ。
今まで自分しかいなかった家に『小さな家族』がいる。
そして、今は隣に『昔からの友人』もいてくれる。

  「『撫子』も笑美さんと一緒にいたいでしょうから――」

          ニコ……

  「……みんなで『お散歩』しませんか?」

『撫子』を抱きながら、心からの表情で笑美に微笑みかけた。

587朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2023/11/08(水) 18:27:05
>>586
高校生だった笑美と幼少期の小石川。
あの時は笑美のほうが大きく小石川が小さかった。
いつの間にか笑美の身長を追い越してしまったようだ。
「…大きくなったね。」
なんとなく呟いて、ハッとする。

「あ、すいません!なんか失礼なこと言っちゃったみたいです!」
どこか恥ずかしそうな様子で手を放した。

「そ、うですね。…ひとりじゃないってとても心の支えになりますからね。
 撫子ちゃんも、一緒に居られてすごく嬉しいでしょうね。」
そう言って微笑んだ。
ひとりじゃないことは心の支えになる。というのは
小林のことを思ってのセリフでもあったのだろうか。

「いいですね。私もしばらく撫子ちゃんと一緒にいたいですし。
 二人と一匹でのお散歩、今からしましょうか。」
そう言って小石川の隣に並び立つ。

「撫子ちゃんの好きな場所にいきましょうか。
 ちょっと遠くてもお付き合いしますよ。」
そう言ってともにあるき出す。
その日は、多少なりとも小石川にとって安らげる日となるに違いない。

588『スフィンクス・チャレンジ』:2024/01/31(水) 23:57:31

駐車場の片隅に一匹の『猫』が座っている。
『スフィンクス』と呼ばれる『毛のない猫』だ。
どことなく知的な顔立ちをしており、
青みがかった体色と黄金色の瞳は神秘的な雰囲気を醸し出す。
まるで誰かを待っているかのように、遠くの方を見つめていた。
その特異な姿は、ここを訪れた者の目に留まるだろう。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

タイトル:『スフィンクス・チャレンジ』
GM:小石川
危険度:E(実質なし)
難易度:D
募集人数:1名(先着)
報酬:『1万円相当の宝石』or『2万円相当の宝石彫刻』
タイプ:巻き込まれ型(このレスに返した時点から開始)
形式:随時進行(一日一レス以上)
期間:超短期(通常の場スレと同等)

概要:『ロダン』が出題する『謎』を解く。一問一答。ヒントあり。

備考:希望があれば『ステュアート派』と関わりが出来るかもしれない。

589『スフィンクス・チャレンジ』:2024/02/06(火) 08:22:53
>>588

後方から現れた一匹の猫が、『スフィンクス』に近付いていく。
『マンクス』という品種の『尻尾のない猫』だった。
その中でも完全に尻尾を持たない個体は『ランピー』と呼ばれている。
『ノアの方舟』に乗り込んだ際に、
尻尾を扉に挟んで切断してしまった猫の子孫と言われているが、もちろん伝説だ。
最も可能性の高い仮説は、『突然変異の固定化』だとされている。

「君の方から来るとは珍しい事もあるものだ。そうは思わないかね?」

          「――――『ノア』」

『旧友』の気配を感じ取ったロダンは、振り向く事なく『猫語』で語り掛けた。
若い頃は『別の名前』で呼んでいた事もある。
同じ『異端の野良猫』として、行動を共にしていた間柄だ。

「我々の縄張りで複雑な問題が起きている。
 お前の知恵を借りる事に対しては反対する者もいるが、
 『人間』を使うよりは『裏切り者』を動かす方を選ぶ」

皮肉めいた言葉で応じつつ、ノアは踵を返す。

  「『方舟』まで来い。詳しい話をする」

神話上の話ではなく、ノアが率いる『野良猫の集まり』は、そう名付けられている。

「私は『人間の味方』ではなく『知性の信奉者』だよ。
 『種族の違い』など些細な問題に過ぎない」

「『歓迎』は期待できないが、『古巣』に戻らねばならないようだ」

『毛のない猫』と『尻尾のない猫』は、揃って駐車場から立ち去っていった。

590聖川篤虎『ドゥルセ・ネクタル』:2024/02/07(水) 16:58:46


「いやァはやァ」


スカイモール低層のショッピングモールエリアの中心部にある『フードコート』、
明らかに『水商売』を生業をしているであろうスーツ姿の男が、
2人がけの席に1人で腰掛けモール内を行き交う雑踏をぼんやりと眺めている。


「いつもより早く起きちまったから、
 散歩がてら久しぶりに『スカイモール』に寄ってみたが、
 此処はいつ来ても混んでるねェ」

591真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/02/07(水) 19:54:53
>>590

 配膳トレイを両掌に載せた『シスター』が、
 ふらふら〜〜〜と聖川のいる座席の方向へ歩いてくる。

 『両掌に』というのは文字どおり、片手に『一枚ずつ』という意味だ。
 ジャンクフードで山盛りのヘビーなトレイを、修道女が『二刀流』している。


 「今日は朝から清掃も布教もがんばったんだし……」

     「これぐらいの『御賜』を拝受しても、
      きっと『主』はお許しになるでしょうぅ………」

   「カロリーは『主』が吸い込むから実質ゼロになるというし……」


 しかしほんとのほんとに疲れているのか、足許が覚束ない。
 次の瞬間にはコケそうだ。

592聖川篤虎『ドゥルセ・ネクタル』:2024/02/07(水) 20:41:59
>>591

「さてと、それじゃあ食べるとするかねぇ。
 『500km』も離れた場所で『故郷』の味を頂けるなんてありがてぇ限りだ」

パチン

既に注文した『ソースかつ丼』を食べる為にトレイに置いた割り箸を割ろうとした所で、
目の前を通る『欲張りシスター』に気付いた。


「ちィっとばかし危ないですぜ、お嬢様」


すっと立ち上がり、
シスターが運んでいる両方のトレイを背後から手に取り、
自分の確保しているテーブルの上に置きたい。

593真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/02/07(水) 23:09:59
>>592 (聖川様)

「―― はえッ!?」

 足をひっかけてトレイが傾く……その瞬間、
 フッと両手が軽くなり、前傾姿勢が安定する。
 
 気づけば両手のトレイが抜き取られて眼前の卓上にあった。
 これは…… なんと優雅な『手練』だろうか……?


                       ト… トゥンク


  「あ、あらぁぁ…………すみませぇん、
   ご親切にありがとうございます……ぅ……」


 ペコリと頭を下げると、男の『靴』に目が止まった。
 そのまま視線を、彼が身にまとう豪奢なスーツに沿って上げていく。
 その『出で立ち』から、なにか感じとったような顔をする。


 「………………あのー……ひょっとして、
  ど、どこかでお会いしたありましたかねぇぇ……?」


 泥酔した上でのハデな夜遊びをいくつもしてきたせいで、
 『記憶にない心当たり』がありすぎた。
 まさか……出禁食らったあの夜の店か……?

 聖職者の『儀礼的微笑』をこわばらせながら、
 目の前の『色男』の親切の真意を推し量るように訊ねる。

594聖川篤虎『ドゥルセ・ネクタル』:2024/02/08(木) 00:07:06
>>593

ちなみにこちらが履いている靴は『ザ・ホスト』なイメージのある『尖り靴』ではなく、
シックなデザインの手入れの行き届いた『革靴』だ。
スーツもゴテゴテの派手なデザインでこそないが、
明らかに20代のサラリーマンの着るそれではない洗練されたデザインのものではある。



「ありゃりゃ、そう言うそちらこそひょっとして。
 以前、何処かでお見かけしたかもしれねぇでさぁ。
 貴女みてえな『お嬢様』一度見たら忘れる訳ねぇと思いますが。
 『tarantula』って店知ってますかね?」


『tarantula』ーー【歌舞伎町四天王】と呼ばれるホスト『神城聖』が経営する、
『神城グループ』系列の『ホストクラブ』。
『歌舞伎町』は勿論『大阪』『中洲』『仙台』『名古屋』の日本の主要歓楽地に進出しており、
つい最近ここ『星見町』の夜の一等地に店を構えた。


「いやはや、そんな事はどうでも良くて
 お嬢様は随分と『健啖家』のようでさぁ。
 折角のお楽しみのお食事が『台無し』になりそうだからちぃと差し出がましい真似をしちまっただけだ…。
 兎にも角にも、まずはお食事しましょう」

595真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/02/08(木) 01:24:24
>>594 (聖川様)

「えぇッ!?
 あの『Tarantula』の方でしたかぁ……!?
 はえ〜〜〜〜っ! ど、どおりで……」

 感心の吐息とともに身を引くと、
 聖川のルックスを控えめに見つめる。


 素面の自分に行った記憶はないが、店の名前ならよく知っていた。
 星見の夜に行き場のない女は、誰だって一度くらいあの不夜城の前で夢を見る……
 (もし『神城聖』が『tiktok』とか『17』やってるならメチャ見てるだろう)


     「あ、あ、いや…………
      今のは聞かなかったことにしてくださいぃ……
      修道長の耳に入ると、とってもとっても怒られるのでぇ……」


「そ、そうですねぇ〜〜〜……っ
 まずはお食事をいただきましょうぅ……」


 流れで、自然と聖川の対面に腰を下ろす。
 一瞬『こんなことして無料でいいの?』という邪な考えが頭を過ぎるが、
 すぐに昼の顔を取り繕う。


 「えぇっと……そういえば自己紹介がまだでしたねぇ。
         マガチ
  わたくし、真雅致ありやと申します。

  見てのとおり(修道服の肩をつまむ)、ここ星見の小さな教会で
  シスターをやらせていただいておりますぅ……」

596聖川篤虎『ドゥルセ・ネクタル』:2024/02/08(木) 15:13:55
>>595

聖川のルックスを見つめる真雅致。

年齢はおそらく『20代半ば』だろうか。
指輪・時計などやはりシックなデザインのもので統一された装飾品。
それなりに高い身長に、まるでスーツの方に合わせた様な痩躯。
逆三角形のフェイスラインに垂れ気味に配置された大きな瞳に彫りの深い目鼻立ちで、
個人の主観はあれど所謂『色男』と呼んで差し支えない程度には整った容貌ではあるが、
真雅致に向けた曖昧な笑みも相まってか、何処となく憂いを帯びている印象を受ける(かもしれない)。



「あァ、ご存知でしたかい。ありがてぇ。
 こんな素敵な『お嬢様』に認知していただいてるなんて嬉しい限りだ。
 俺みたいなくだらねぇ男を『ご奉仕』の精神で喜ばせてくれたんだから、
 きっと『修道長』だって『神サマ』だって許してくれるでさァ」


空のグラスを手に取り水を注いで、
対面に座った『真雅致』の手元にすっと置く。



「どうも初めましてェ。
 性は『聖川(ひじりかわ)』、名は『篤虎(あつとら)』。
 『tarantula』に所属するしがねぇ『二流ホスト』でさぁ。

 折角、『神サマ』が俺と『ありやお嬢様』を引き合わせてくれたんだ。
 こんな僥倖、恐らく2度とねぇ。
 『奉仕活動』の一環だと思って、俺と一緒にメシ食ってくれやしませんか?」

597真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/02/08(木) 16:45:18
>>596 (聖川様)

(ううぅ……ッ ま、マズイ……
 この人……『顔』が……)


    (『顔が良すぎる』…………ッ)


  (どこか淋しげな痩顔の垂れ目の男……
   たぶん『同年代』ぐらいのハズなのに
   『庇護欲』ムクムク刺激されとっちゃけど……ッ)


 (でもこういう人って『篤虎もっとご飯食べな〜?』が口癖の女を
  何人も囲っているタイプだから絶対……ッ
  す、好きに……好きになってはいけませぇん……ッ)



「ま、まぁぁ…………」

  「そ、そんな風に誘われてはぁ……
   主の敬虔な御使いとして、
   お断りするわけにはいきませんねぇぇ……」


 なんなら誘われる前から着座してたし離席する気もなかったのだが、
 これで『免罪符』を得たとばかりに頬に手をあてて背筋を伸ばす。


「しかし、こう言ってはなんですがぁ……
 『聖川』様のような方でも、
 こういう場所でお食事をなさるんですねぇぇ……」

 フードコート特有の茶色味の濃いポテトをつまみあげ、
 首を傾けて眼前のポテト越しに聖川の顔を見やる。

 「なんだか意外といいますかぁ……
  お仕事帰りとかですかぁ……?」

598聖川篤虎『ドゥルセ・ネクタル』:2024/02/08(木) 17:15:43
>>597

「いやいやァ、これから出勤でさァ。
 お陰様でホスト一本でなんとか食えてこそいるが、 
 俺もまだまだ未熟で毎晩『同伴』を貰えるランクじゃあねぇ」


真雅致が茶色い食べ物を手に取ったのを確認してから、
自らが頼んだ『ソースカツ丼』に手を合わせ、軽く頭を下げる。


「けれどたまの『同伴』では、
 寿司やら『カタカナの食い物』を食わせて貰うんですが、
 所詮これしかねぇと思って『水の世界』に飛び込んだ、
 何処まで行っても中卒で片親の田舎モンのイモホストでさぁ。
 こんな俺にご馳走してくれる『お嬢様』方には申し訳ねぇが、
 メシは『茶色ければ茶色い程美味ェ』。
 ありや様の『ポテト』なんて俺からしたら『ロレックス』や『フランクミューラー』なんかより、
ずぅとずぅと綺麗ですし、
揚げ物の油でてかった『お嬢様』の唇は『石原さとみ』のそれよりずーっとセクシーでさァ…」


          「頂きます」

パチンと割り箸を割り、ソースにひたひたと遣ったとんかつとその下に敷き詰められた千切りキャベツ、
そして更にその下のホクホクに炊けた白米を纏めて掬い、
口の中に運び、ゆっくりと咀嚼し、恍惚の表情を浮かべる。


「嗚呼、美味ェ…。
 最近は『閉じないカツ丼』だの流行っているらしいですが、
 北国生まれの俺からしたらそもそも『カツ丼』もの自体が邪道この上ねェ…。
 俺の中で『カツ丼』って言ったらやっぱり『ソースカツ丼』でさァ。
 このソースに浸って甘ッ辛いカツがありゃあ、
 いくらでも米が食えるし、コレを喰ればいくらでも『夜の世界』で戦える……。
 
 お嬢様も『シスター』の割には、随分と『エネルギッシュ』な物がお好きな様ですが、
 これはちィっとばかし『無粋』な質問でしたかねぇ…。
 何にせよ、美味しくご飯を食べる女性ってのはとても『美しい』と思いますぜ」

599真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/02/08(木) 22:28:11
>>598 (聖川様)


 …………… … ゴクン (ポテトを飲み込む音)


( ウ チ こ の 人 の こ と も う す で に だ い ぶ
  好 き に な っ と ぉ と で す け ど 〜 〜 〜 〜 〜 ッ !)


 九州の片田舎で眉の太い女学生やってた頃の
 『少女ありやの幻影』が心のなかで愛を叫びだしているが、
 そんな内心の動揺を表に出さないよう表情筋にグッと力を込める。


 外面はスマートでアンニュイな都会のオトコって感じなのに、
 内面は北国の純朴でどこか垢抜けない好青年のまま。

 ……狙って演出しているとしたら、天性のジゴロと呼ぶほかない。
 (↑それ一番わたくしに効くやつ〜〜〜〜〜〜ッ)



「ま、まぁぁ……お上手ですねぇ……
 この手のお世辞は、ずいぶん言い慣れてらっしゃるみたい……
 …………んぐっんぐっ」

 赤みとツヤを増した唇の動揺を隠すように、
 サーブされたグラスのお水をゴクゴク飲み干す。


「……ぷはっ。
 で、ではわたくしも、いただきますねぇぇ……。
 主が賜りくださる日々の糧に、感謝いたします……」

 『主』に対して明らかに見返りの合わなそうな短い祈りを捧げると、
 トレイの上の『ダブルチーズバーガー』に手を出しはじめる。
 (聖川の前なので『両手に持って交互食べ』は自重している)


「……それにしても、そんなに幸せそうにお召し上がりになられると、
 お料理される方も、ご同伴される方も、とっても嬉しいでしょうねぇぇ……。
 わたくしも、なんだかカツ丼が食べたくなってきましたぁ……」

600聖川篤虎『ドゥルセ・ネクタル』:2024/02/09(金) 08:18:19
>>599


「俺らホストっていうのは世のお嬢様に飯を食わせてもらっているカスですぜ。
 特に俺みてぇな『夜の世界』に飛び込むしかなかったロクデナシなら尚更だ。

 ところがどっこい世の中の『お嬢様』達は
 こんな俺なんかに『愛』を注いでくれて、お陰でちぃとばかしの『価値』を与えてくれてるんだ。
 愛してくれる人を愛すのはそりゃあ必然でしょう。
 
 ーーまァ『世辞』と捉えられるのはきっと俺が『未熟』だからでしょうねェ。
 この『敬愛』の気持ちを『お嬢様』に伝えられねぇのが悔しいでさァ。
 
 あらまァ、随分と豪快な飲みっぷりで。
 もし良かったら飲みますか?まだ封は空けてねぇんで」


一旦、食べ進める手を止め
まるでカウンター越しに艶やかな酒の注がれたカクテルグラスを提供するバーテンダーの様な所作で、
手元に置いていた未開封のペットボトルのお茶を差し出す。


「これから出勤なんでそれなりのおべべで着飾っていますがねぇ、
 やっぱり何処まで言っても根っこが『貧乏人』なんで、
 メシなんて『美味い』か『すげぇ美味い』のどちらかにしか感じない『バカ舌』で
 「ご馳走しがいがない」なんて言われたりもしますがねェ」
 
 「あぁもし良かったら俺の食べますかい?食いさしで良ければですが」

601真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/02/09(金) 16:47:48
>>600 (聖川様)

(えっ で、デヘッ……い、いいんですかぁぁ〜〜〜ッ!
 これってつまり『脈アリ』ってこと〜〜〜〜〜ッ!?」

   「あっ、いえいえぇ……!
    さすがにそれは申し訳ないのでぇぇ……!
    ご厚意だけ、あっ、『お飲み物』だけ拝受いたしますぅぅ……」


 好感を抱く異性の『厚意』に対して
 浅ましい『欲望の嬌声』が心中で沸き立つが、
 そこは腐っても聖職者……

 ググッと我欲を抑え、なんとか常識的な範囲で厚意に応じる。
 (でも半分くらいは実際に声に出ていた)



「なるほどぉ……『愛』……ですかぁ」

  「どうやら聖川様は、
   いろいろと『愛』をご存知の様子ですねぇぇ……」


 グラスに移したお茶で『ホットドッグ』を流し込んだあと。
 紙ナプキンを唇にあてながら、目を細めて聖川を見つめる。


「『ホストとシスター』というのは、
 ある意味『鏡の表裏』、
 『相似形の交点』なのかもしれませんねぇぇぇ……」

  「『聖職者』がこんなこと言ったら、
   ホントはダメなんですけどねぇぇ……」


 顔の前で『割り箸』をパキリと左右に割ると、
 そのままクロスさせて『×印』を形作ってみせる。
 自らの唇にその『失格印』をあて、聖川へと微笑みかける。

   口元で直交させたその『罰点』は、
   おのれのベールに下げられたロザリオの『十字』と、
  すこしだけズレて重なっていた。


 「聖川様にとって、
  『真実の愛』とは『何』だと思われますかぁぁ……?」

602聖川篤虎『ドゥルセ・ネクタル』:2024/02/09(金) 17:27:03
>>601


  「へい」


顎に片手を添え考え込む仕草をするが、
その目線は空虚ではなく『真雅致』に向けられている。
ホストという生き物の『習性』なのだろうか、
邂逅してから『真雅致』から視線が外れる事が極端に少なく、
その目線はまるで『狙撃手』の『スコープ』の様に『真雅致』の瞳にぴたりと張り付いている。


「『愛の戦士』を自称しちゃあいるが、俺ァまだまだ『修行中』の身でさぁ。
 『シスター』である『お嬢様』が納得してくださる答えが出せるかは自信がねぇですが…」

          「うぅむ」


「『無償の愛』なんてムシの良い解釈をする資格はありゃあしねぇ。
 現に俺ァ『愛』を喰らって生き延びてるワケですし…。
 今度は『お嬢様』達に俺の『愛』をお渡しして、
 そのお返しに『お嬢様』にまた『愛』を頂戴し、喰らう……
 
 生憎、学がねェもんで上手く伝えられねェし理解もできねェが、
 その『真実の愛』ッての正体を知る為に、『愛』に生きているのかもしれねェが…、
ちィッとばかし、失礼しますぜ……」


             スッ

『真雅致』が口元で作った割り箸の『十字架』をすっと取り上げ、握り締める。


「例え相手が『キリスト様』であろうと、
 お嬢様が折角俺に向けてくださった最高の『微笑み』を遮る権利はねぇ筈でさァ…。
 その美しい口元を隠す『十字架』なんざ要らねェ」

603真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/02/09(金) 20:46:07
>>602 (聖川様)

「へっ……?」


 テーブル越しにすこしだけ互いの顔が近づき、
 十字架を介して一瞬だけ手が触れた(たぶん……気のせいじゃなければ)。


     「(え―――――――ッ!!?!)」   『ヒュッ』


 それだけで心臓が跳ね上がり、反射で勢いよく身を引く。
 赤くなった頬を隠すようにうつむき、聖川の『麗句』にも
 口をもごもごさせるばかりでうまく応答できない。


   (しゅ……)


          (しゅきすぎる…………ッ)



  それにしても……
  『観察者』である聖川には自明なことだっただろうが、
  『愛』という言葉を口にした瞬間、
  目の前の相手の反応が明らかに違っていた。
  彼女にとって特別な『何か』がそこにはあった。


「……む、『無償の愛』を『ムシの良い解釈』とおっしゃる
 『聖川』様にとっては、
 『愛』とは『返報性』なんですねぇぇ……」


  「『与えれば、返されるもの』」

     「『受け取れば、明け渡すもの』」


「だとすればぁぁ……
 『聖川』様が先ほどからわたくしに対して施してくださる
 『美しい言葉』や『品物』の数々……。
 こうした『ご厚意』もすべて……」


  聖川が渡した『ペットボトル』を持ち上げ、
  聖川がサーブした『グラス』へと中身を注ぐ。
 
  そうして『空っぽ』になったお茶の容器を卓上に寝かせると、
  ちょっとだけ赤くなった指先で
  つん、と聖川に向けて押し転がす。


「『無償の愛』から生じることはなく、
 すべてわたくしからの『見返り』を欲してのもの……。
 ということになるんでしょうかぁぁ……?」

604聖川篤虎『ドゥルセ・ネクタル』:2024/02/10(土) 18:03:56
>>603

「『無償の愛』ってのは確かに存在するんでしょうが、
 少なくとも『ホスト』である俺にァ、それを語る資格はねぇ。
 いくら着飾ろうと所詮は『女衒』でさァ」


何処となく影のある自嘲めいた笑み浮かべ、
空になったペットボトルを受け取り、
五指の腹で押し、そのギシギシとした感触を確かめる。


「大事な事だから何度でも言いますがァ、
 この世界に『女性』という概念が存在しているからこそ、俺ァなんとかこの『世界』で生きていけてる……
 『女性』が居なければただの『カス』で『人間』ですらねェ。
 『お嬢様』達はただこの『世界』に居てくれるだけで俺に『愛』をくれている。
 俺を『人間』にしてくれた世界中の『お嬢様』達は謂わば、俺にとっての『女神様』でさァ……。


 そんな事言われても…って思うかもしれねェですが、
『ありやお嬢様』は産まれてきてくれた瞬間から既に俺に『愛』を注いでくれているんですよ。
 だから俺ァ、全ての『お嬢様』への『敬愛』の気持ちが溢れて止まらねェんでさァ。
 金だの品物だなんてそんなの『オマケ』だ。
 ただ、この世界に存在してくれるだけで俺ァまだ生きていける……。

 ーー『お嬢様』の前でご高説を垂れちまいましたねェ…。
 お恥ずかしい所をお見せしちまッて、申し訳ねェ」


テーブルの上に両の掌を置き、深々と頭を下げる。

605真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/02/10(土) 22:20:37
>>604 (聖川様)

  「!?」  


       「えっ!?」


  『ホスト』と呼ばれる人たちが、
  『夢の仮面』を巧みに使い分ける『虚飾のプロ』であることを、
  ありやは人よりちょっとだけよく知っていた(なぜか) (その身を持って)。

 だから実は今まで……
 彼がときおり垣間見せる『素朴な実直さ』すら、
 ほんとうは計算された『職業的演出』ではないかと、
 心の片隅にほんのちょっぴり疑う気持ちがあったのだが――



   「お、おお、 お顔を上げてくださいぃぃ……!
    そんな、聖川様が頭を下げるようなことは
    何もありませんよぉぉぉ……!!
    ちょっとした雑談の延長のつもりだったんですぅぅ……!!」


 眼前の、真っ直ぐな『叩首』と『吐露』には、
 そうした『疑念』を軽々と吹き飛ばす『誠実さ』に満ちていた。


 ありやの脳内に、
 ある『気持ち』がムクムクと湧き上がってくる。


     『ブブ…』 
                   モワモワモワ……
             。

              ◯

⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒

 『 こ、この人は夜の世界に生きるにはあまりに純真すぎるのでは……』

                ↓  1マス進む

 『こんなにも純粋な人をあの過酷な伏魔殿から救い出せるのは
  自分しかいないのでは……』

                ↓
                ↓  3マス進む
                ↓


    『 いや違う……そうじゃないッ

      篤 虎 が 星 見 一 の ホ ス ト に な る た め に
       . . .
      ウ チ が 篤 虎 を 支 え て や る ん ち ゃ !!! 』



        【ホス狂になるダメ女の思考すごろく】

⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒

                 『ギュンッ』


 「『篤と……あ、いや『聖川』様……
  聖川様の『愛』についてのお考え、とてもよく伝わりましたぁぁ……」


   「『あっ君…… じゃなかった、あの、お顔を上げて……
    お食事の続きに、しましょうぅぅ……?」


 卓上に身を乗り出し、聖川が突いた両手の上に、
 スス……と右手を伸ばす(どさくさ)。

606聖川篤虎『ドゥルセ・ネクタル』:2024/02/11(日) 10:26:50
>>605

「ーーご清聴ありがとうございましたァ。
 やっぱりチィっとばかし気恥ずかしいし、
 何よりせっかく相席してくださったお嬢様に恥をかかせちまいましたねぇ」


顔をゆっくりと上げ


「『聖川』って苗字は言わずともがな『珍苗字』で、
 『篤虎』って名前も『母』から授かっ『ギフト』。

 この業界は『源氏名』を名乗るのが当たり前ですが、
 骨を埋める『不転』と『ステゴロ』の覚悟を示す為に本名で『ホスト』をやらせていただいてます…。
 つまり何が言いてェかって言うと……
 この『聖川篤虎』って名前は結構気に入ってるんでさァ。
 だから『篤虎』でも『聖川』ても『あッ君』でも、
 『お嬢様』のお好きな様に呼んでくだせェ。へッ」


手首を軸に寝かせた左手をゆっくりと起こし、
そのまま手の甲に添えられた『真雅致』の右手の指に重ね絡め、所謂『恋人繋ぎ』の形に持って行き、
哀愁と感謝など様々な物が入り混じっているであろう蠱惑的な笑みを向ける。


「…おっと、いけねぇ。
 すっかり忘れちまっていた。では、いただきます」


           スルゥ


惜しむ様にゆっくりと握った手を放し、
その左手を器に持ち帰え、右手で箸を持ちゆっくりと食べ始める。

607真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/02/11(日) 14:12:47
>>606 (聖川様)


「びょぇっ……!?!?」 


   意外! それは『恋人繋ぎ』ッ!


 こんな『愛の返報』は完全に予想外だッ!

 先刻をリプレイするみたいに一瞬で顔を真っ赤にして、
 反射的に手を引こうと身をよじる……
 だが、繋いだ手は………………離すことができない。


   「聖川様……!?
    え、あ、あの、あっ、『篤っ……」


 だから……
 そうして強引に身を引こうとした焦りと反動で、 
 『左手』に握りしめていた『もの』が手放され、
 卓上へすとん、と滑り落としてしまう。


             『ド ズッ』


 『それ』はバンズを縫い留める『ピック』のように……
 しかしそれ自体を傷つけることのない不思議な『力』で、
 トレイ上のハンバーガーに突き立っていた。


 それは『鉄杭』だった。



   「あぁ――――――……」



         「残念……」      『ブブ…』



 聖川は―――
 指を絡める眼前の相手から、
 先程まで確かにそこにあった『あるもの』が
 失われていることに気づく。


   それは『ホスト』である聖川にとって、
   きっと道具のように馴染み深く、
   同僚のように慣れ親しんだ一つの『色』。

 数多の女たちが視線や態度や言葉に込めて、
 聖川へと貢いできた『甘い炎』。


 『叩首』により聖川の『スコープ』が外れた一瞬の隙に――
 その『感情』が、その『衝動』が、その『熱』が、
 目の前の瞳から跡形もなく消え去っていた。



              スルゥ


 繋いでいた指先が離れ、ゆっくりと手を引き戻す。
 その手の感触は最後まで、赤子と掌を重ねる母親のように
 穏やかで透明な愛情に満ちていた。


  . . .
「『聖川様』――」     『ブブブブ…』


   「『お箸』、お返しいただいてもよろしいでしょうか……?」

608聖川篤虎『ドゥルセ・ネクタル』:2024/02/11(日) 14:56:47
>>607


「……おおっと、これは失礼。
 マナーがまるでなっちゃあいなかったですねェ」


先程まで自身に注がれていた『熱』が途端に失せた事は、
その向けられた『眼差し』から『感覚』で理解できた。
割った箸を『真雅致』の手元へと返す。



「『失礼』ついでと言っちゃあなんですが」


『真雅致』から『熱』が失せた事、それは『仕方がない』。
人間の感情は決して不変的なものではないし、
自身への興味が失せようがそれは『真雅致』の自由であり、彼女の感情の変化を咎める権利など一切ないし、
この世に生きてくれているだけで嬉しいという気持ちに一切の偽りはない。真実の感情だ。


            『ズギュン』

「もう1つ『マナー違反』させてもらいますぜ」


聞き慣れない『ノイズ』めいた音に、
零れ落ちた『鉄杭』とそれが突き刺さる『ハンバーガー』。
明らかに『異常』であるこの状況は目の前の彼女の『生命』を脅かし得るかもしれない。
『お嬢様』達に嫌われようが罵られようがそれは『仕方がない』が、
目の前の『女性』の『危険』を見過ごす事だけは『できない』。
自身の傍らに人型のスタンド『ドゥルセ・ネクタル』を発見し、
『鉄杭』の刺さったハンバーガーを取り上げたい。

609真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/02/11(日) 16:17:41
>>608 (聖川様)

「えっ……!?」

 突如として聖川の傍らに立つ『人型』に、
 目を見開き、身をのけぞらせる。


 「せ、『聖川様』も『同じ御加護』を
  お持ちだったんですねぇぇ……
  『主』の『祝福』を拝受なされたお方……」


 「だとすれば、
  わたくしは『懺悔』をしなくてはなりませぇん……
  あなたが『見えない』ことを良いことに、
  一つの『不正』を働こうとしたことを……」


     『ブブ…』

       『ブブブブ…』


 トレイの上、積み重なる食料品の隙間から、
 『虫の羽音』の重奏が漏れ出す。
 山盛りに膨らんだトレイの底に、無数の『複眼』の
 赤い反射光が灯っていた。


「この子たち、そしてその『杭』が、
 わたくしの『祝福』のかたち……」

 「わたくしの『浅ましい欲望』をその杭に封じ込め、
  ひとときだけ、『主の理想のしもべ』に近づける……」


 『ドゥルセ・ネクタル』が、
 トレイからハンバーガーを取り上げる。

 『長さ9.7cm』、『直径4cm』の『鉄杭』は、
 『強固な力』でバンズに『固定』されていた。

 もしも『引き抜く』としたら、
 『ドゥルセ・ネクタル』の『妥協なき全力』が必要であることを、
 聖川はその手触りから直感的に理解する。


「お返しいただけますかぁ……『聖川様』?
 それは『敵』ではありません……ですが、
 忌むべきわたくしの醜い欲望……」

 「『聖川様』のように純真で高潔なお方が
  持つようなものではありませぇん……」


 聖体を拝領する信徒のように、
 聖川に向けてすっと両手を差し出す。

 先ほどとは違う、『遮るもの』のない微笑み。
 慈愛に整えられ、しかし何かが欠けた微笑を、
 ふたたび聖川へと向ける。

610聖川篤虎『ドゥルセ・ネクタル』:2024/02/11(日) 17:45:04
>>609

「俺のは『ご加護』なんてありがてぇモンじゃねぇ。
 ちょっとした『呪い』でさぁ。
 もし『コレ』が『神さん』からの贈り物だとしたら、
 いくらなんでも『残酷』すぎますぜェ」


艶消し処理の施されたジェットブラックのボディに、
その体の各所にはネオンの様に光る管が備えられており、
まるで『夜の街の光景』を連想させるデザインをしている。


        グッグッグッ


自らの『分身』に『鉄杭』を触らせてみるが、
引き抜くには中々に『骨が折れる』と直感的に理解する。


「ーー成程ねェ。
 とどのつまり『お嬢様』は『欲』に塗れちゃあいけねぇと考え、
 己を律する為にこのでけぇ『鉄杭』と『それ』でどうこうしているッてわけかい…
 流石は『シスター』、『神さん』の為に立派なレディで居ようとする精神は素晴らしいですぜ…。

 けれども、ええっと…『アガベー』でしたっけ?
 『神さん』は我々『人間』を無限の愛で無条件に愛してくれるとか何とか…
 今の『お嬢様』も素敵ですが、先程までの『欲』にまみれた『お嬢様』も綺麗でしたぜェ」

「どっちも素敵ではあるんですが、
 先程『神様』は『十字架』でその綺麗な口元を塞ぎやがったでさァ。
 折角ですし『神さん』には離席してもらって2人でお話ししてェ」


           『ビシュ』

 ドゥルセ・ネクタル
 「『堕落』」


『ドゥルセ・ネクタル』の人差し指を『真雅致』の、その欠けた笑みを構成する『唇』に触れ、
指先から『ドゥルセ・ネクタル』の『妥協の霊水』を放出。
粘膜から直接『シャンパン』の味に酷似した『霊水』を摂取させる事で、
『真雅致』を一時的に『妥協体質』にする事で『鉄杭』の固定を緩める、
あるいは『鉄杭』を操作する『真雅致』の『精神』を緩めたい。

611<削除>:<削除>
<削除>

612<削除>:<削除>
<削除>

613真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/02/12(月) 10:57:42
>>610 (聖川様) (自レス訂正)

「!? んぐっ、んぶぶっ……!?
 ゴホッ、い、今なにを……!?」


 とつぜん『霊水』を口内に注がれ、反射的に顔を背けるありや。
 『ドゥルセ』の『銃口』から身を離し、口元を修道服の袖で拭う。

 だが『妥協体質』によりその抵抗も『中途半端』なものになったことで、
 『一口分以上』を注ぐことができた。

 そのまま『鉄杭の固定』への『妥協』を引き出そうとするが……

 それはどこか、
 『銃弾が着弾した後』に『狙撃手』を妥協させるのに似た感覚――
 すなわち、一度打ち込まれた『鉄杭』の『固定度』に関しては、
 ありやによる『操作』の意志の外にあるのではないか……
 現段階では、そんな印象を覚えた。

  だとすれば、『より妥協を深めさせる』のか、
  『意識を喪失させる』のか、あるいは……
  『引き抜く』以外に『鉄杭を放つ』方法があるのだろうか?


「あ、あれぇぇ…………?」


 一方で『霊水』がもたらす『妥協体質』は、
 確実にありやの『精神』に浸潤していく。

 見栄や虚勢といった自衛の意志を『妥協』し、
 本来話すつもりのなかった心の奥底の『本音』を……
 どこか微酔にも似た心地よい『堕落感』の中で
 静かに吐露しはじめる。


「わ、わたくしが『己を律する』……とか……
 『立派なレディ』……だなんてぇぇ……
 そんなこと、ぜったいに、ぜったいにありえませぇん……」


 「だって、わたくしは……その『鉄杭』を……」


     . . .
    「あなたに……
     打ち込もうとしたのですよぉぉ……」



 見ず知らずの自分にもまっすぐに向き合い、
 頭を垂れる聖川の姿を見て、
 あの瞬間『湧き上がってきた気持ち』。(>>605

 それは決して『この人を支えたい』などという
 献身的な奉仕の欲求だけではなく―――


「せ、聖川様があまりにも……
 『純粋』で『誠実』すぎるからぁ……」

  「わたくしの……浅ましく醜い『色欲』を……
   あなたに……その杭で、押し付けて……」

 「そ、それで……わたくし、と…………」


 ありやの独白に呼応するように―――
 『色欲の鉄杭』に貫かれた『ハンバーガー』の隙間から、
 異常な量の『肉汁』がだくだくと溢れ出した。
 聖川の手の中から、艶めく肉の雫がこぼれ落ちていく。


 「あぁあぁぁ……恥ずかしいぃぃ……
  なんでわたくし、こんなことまで、話してぇぇ……?

  あぁぁ……なんか……でも…………」


 『色欲』が欠落した透明な微笑の中に、
 『ドゥルセ・ネクタル』の『妥協の雫』が混ざり込む。
 複雑で曖昧な混色が、聖川を見つめる瞳に宿る。


        妥協して
   「もう 『ど う で も いい』……のかなぁぁ……」



 トレイ上に盛られた山の中に手を突き入れ、引き抜く。
 その手の内に、さらなる『鉄杭』が握られていた。


「……『デビルズインレイ』……」

614聖川篤虎『ドゥルセ・ネクタル』:2024/02/12(月) 18:00:38
>>613


「これは」


自らの手を艶々と濡らす『肉汁』に何かを察し、
持ち上げていた『鉄杭』の打たれたハンバーガーを手元に置き、
自らの『傍ら』に目配せをし、『ドゥルセ・ネクタル』を解除する。
『真雅致』の中に残る『妥協の衝動』は緩やかに消えていくだろう。



「やれやれ、やっぱ俺ァ『人間』『男』『女衒』として『三流』も良いところだ…。
 確か、ええっと『スタンド』って言いましたっけ?
 こんな『呪い』を使わなきゃあ『お嬢様』の本音を知る事もできやしねェし、
 何よりも『お嬢様』にかけなくても良い負担をかけちまった。
 こりゃあ、いけねーなァ。いけねェーよ」



自分の右手を眺め、そこに付着した肉汁を舌で舐め取り、
そのまま腕を『真雅致』の眼前へとまるで『プレゼント』のように差し出し、
憂いを帯びた笑みを浮かべる。




「まァ、だが…何でしょうね。
 結局、『お嬢様』がやりてェ事をやって貰うのが、俺のやりてぇ事でさァ。

 こんなロクデナシの身一つで『お嬢様』が喜んでくれるなら嬉しい限り。
 その『鉄杭』を打たれたら何が起こるか分かりやしねェが、
 それもまぁーーーー『仕方がねぇ』。
 『ありやお嬢様』ーーーーどうぞ『召し上がれ』」

615真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/02/12(月) 23:01:08
>>614 (聖川様)


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ―― イエスはパンを取り、祝福し、それを切り分け、
 弟子たちに与えて言いました。

                   . . . . . . .. . .
 『取って、これを食べなさい。これは私のからだです。』 ――

 ━━━━━ 『マタイによる福音書:26章;26節』 ━━━━━




 己が理想とする『高潔』で『正しい』人間に、
 みずからの『醜い欲望の鉄杭』を打ち込み、
 自身と同等の卑小な存在へと『堕落』した姿を見下ろす。

  そうして堕ちた愚物に『無償の献身』を尽くすことで、
  欲深く不完全な自分も、その間だけは
  『無欲で完全な聖職者』に近づける気がする。

 ――それが『真雅致 ありや』が魂の奥底に隠してきた、
 『本当の欲望の姿』だった。



     グググ……ッ


 秘すべき暗い欲動の蓋が、『妥協の雫』によって緩む。
 己が憧れる『高潔な標的』の左胸へ、
 さらなる『堕落の鉄杭』を突き立てようと
 振りかぶったところで――


  「なっ……!?」


 みずからの腕を躊躇なく差し出す聖川の姿に面食らい、
 振り上げた鉄杭が、皮膚一枚の寸前でビタリと止まる。


 「なっ……なっ、なにを………なんで……?」


  「う、打たれても『仕方がない』って……
   『召し上がれ』って……」


 「な、なんで…………なんでぇぇ……」


 溢れだす当惑を口にしながらも、
 これまでの『聖川』とのやり取りから、
 ありやはその行動の意味を心中で理解していた。


「自分の身体を、差し出す……なんて……」


 その行為は、ありやが憧れつづけ、
 しかし決して自分の力では成り得なかった、
 『無欲で完全な聖職者』のそれと同じだということを。


 『無償の愛なんてムシのいい解釈をする資格はない』――
 ありやの質問に、かつて聖川はそう嘯いた。


      . .   .. . .
   だがこれを、この献身を、
       . . . .
   人は『無償の愛』と呼ぶのではないのか。



「う、うぅ、うぅ………」


 頑然たる『格の差』を、魂の底から悟った瞬間――
 左手に握りしめていた『怠惰の鉄杭』と、
 バンズに突き刺さっていた『色欲の鉄杭』が、
 ボロボロと崩れるように消えていく………

616真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/02/12(月) 23:02:26
>>614 (聖川様・2/2)


「………………。
 ごめんなさい、聖川様………」


 『鉄杭の解除』により、『封印』した欲望が心の内へと還流し、
 真雅致ありやは、ただの『欲にまみれたお嬢様』に戻る。


 「わたくしの身勝手な欲望に……
  あなたを巻き込んで、しまいましたぁ……
  聖川様の、女性に対する『優しさ』につけ込んで……」


「…………なんと、お詫びしたらよいのか……
 本当に……すみませぇん………」


 うなだれ、聖川に視線を合わせることができないまま、
 深々と卓上に頭を下げる。

617聖川篤虎『ドゥルセ・ネクタル』:2024/02/13(火) 21:41:10
>>615-616


      「まァ」


謝りたいと思っている人間に「面を上げろ」と言える程出来た人間ではない。
相手を上げるのではなく自分が目線を『下げ』るのが聖川篤虎の流儀だ。
その場にしゃがみ込み机に顔を伏せている『真雅致』の顔を覗き込む。



「他人の足を引っ張る事しかできねェ『スタンド』、
 こんなのが俺の精神の顕在化した姿だなんて知った時は、
 流石にテメェの腐った性格と環境を呪いましたがこうやって役立つなら、
 まァ使ってやらねェ事もねぇかなァって感じでさぁ。
 よっと、あァこのジャンキーさ、美味ェじゃねぇかァ」



すっかりボロボロになったハンバーガーを口に運び、
まるで『真雅致』に邂逅から起きた様々な出来事を口内で反芻するかのように、
ゆっくりと咀嚼して、飲み込んだ。


「俺には難しい事はよぉくわかりませんが、
 謝られるような事は一切されていませんぜ。
 むしろ、こぉんな素敵な『お嬢様』と『濃密』なやり取りを交わさせてもらって、
 逆に俺が感謝してぇくらいだ。ありがとうございます。
 
 いつ野垂れ死ぬかわからねぇ吹けば飛ぶような日々を送っている俺ですが、
 今日の『濃密』な出来事……
 それに『蜜月の関係』になれた事は一生忘れられねぇ。
 早起きは三文の徳なんて戯言だって思っていたが、
 今日の事を考えたらあながち嘘じゃねぇなァ」


          「さッ」

「これもせっかくの縁だ。
 ご自宅の方まで送らせていただけませんかねェ?
 生憎、今日は車じゃなくて徒歩ですが、
 時間がかかる分その分沢山お喋りができらァ」

618真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/02/13(火) 23:16:57
>>617 (聖川様)

「…………はい……はいぃぃ……」


 聖川の優しい声かけに、
 伏せたまま何度もうなづくありや。

 その顔を覗き込んでみると…… 
 眉根に力を込めて、ありやはギューッと瞳を閉じていた。
 そしてその顔は、『何かしらの感情』で真っ赤に染まっていた。


(……襲おうとした相手に、こんな風にいたわられて……
 優しい言葉までかけられてぇぇ……)


  (それでいま目を合わせちゃったらぁぁ、
   ほ、本当に、本当に、)



   ( 好きになっちゃうからぁぁぁぁ………! )



 ……どうやら顔を上げられないのは、
 『罪悪感』のせいだけではないようだった。


 修道服の『ベール』をぎゅっと掴み、
 目線を隠すくらいに深く被りなおす。

 それでやっと顔を上げられるようになり、
 聖川の出発の誘いに応答する。


「は、はぃぃぃ……
 わたくしが、聖川様とご一緒、
 してもいいのでしたら……」


 そう言って椅子を引き、
 頬を染めて立ち上がるが――


   \ グ゙ギュゥ〜〜〜 /
       (腹の音)


 「……………。
  ……え、えへへ……。
  こ、これは、あ、あの、そのぉぉ……」

619聖川篤虎『ドゥルセ・ネクタル』:2024/02/14(水) 01:17:01
>>618



    「あらら」



フッと微笑むと『真雅致』が顔を上げたのならば
再び対面に座り直す。



「そういえばメシの途中でしたでさァ。
 やっぱ俺ァまだまだですねェ。
 折角だし、『欲』を満たさなきゃならねぇ」


トレイの上の『ソースカツ丼』を差し出す訳でもなく、
だが手をつけ始める訳でもなく、
鳴った腹の虫を誤魔化すために笑う『真雅致』を見つめる。
恐らく『お好きにどうぞ』という事なのだろう。


「まァいいや、
 兎にも角にもーー『召し上がれ』」

620真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/02/14(水) 08:39:52
>>619 (聖川様)

 ズッコケるみたいにガクーっとズレ落ちたベールを、
 両手でいそいそと整え直しながら、
 居心地悪そうに座り直すありや。


「お、お恥ずかしいぃぃぃ…………」

 「わ、わたくし……
  やっぱりちょっとその、聖川様の『それ』が
  どうしても食べたくなってしまってぇぇ……」

 羞恥で顔をさらに真っ赤に染めながら、
 聖川の前の食べかけの器をもじもじと指差す。


「う、うぅぅ……わ、わたくしって、
 やっぱり『欲深い』んですかねぇぇ……」


 「………で、でも……これからは……
  これからは、ちょっとぐらい『妥協』することも、
  覚えます。わたくし……」


「な、なのでぇぇ……」


 自らの前にまだまだ山高く積まれたトレイ。
 その『二つ』あるうちの『一皿』を、
 聖川に向けてススス……と遠慮がちに両手で差し出す。

 被りを深くしたベールの裾を両手でぎゅっと握り、
 おそるおそる視線をあげて、上目遣いに聖川を見つめる。


「いっしょに、『半ぶんこ』、とか……どうでしょうぅぅ……?」


 その顔には、なんともニヤけてしまって不恰好な――
 しかし自分の本心から形作られた、
 精一杯の『微笑み』があった。

621聖川篤虎『ドゥルセ・ネクタル』:2024/02/14(水) 14:24:21
>>620



「へへッ」


           ススッ


手元の食いさしの『ソースカツ丼』の器を、
やはりカクテルを提供するバーテンダーの様な品のある所作で『真雅致』へと差し出す。


「普通の所謂『カツ丼』は冷めると卵が不快な食感になっちまうし、
 電子レンジで温め直そうとすりゃあ折角トロトロにした卵に火が通って固くなっちまうし、
 やっぱり『出来立て』が1番美味ェ食べ物なんでしょうが、
 その点『ソースカツ丼』は冷えても『甘辛いソース』がより染み込むし、
飯の上に敷かれたキャベツのおかげで食感も劣化しねぇし、これはこれでまた『オツな味』だ。

俺の『ソウルフード』を是非『お嬢様』に食べて頂きてェでさァ」


差し出された一皿を手繰り寄せ、手元に置き、
目の前の食事に対して、そして『真雅致』に頭を下げる。



「これはこれはありがてェ。
 公衆の面前でもなけりゃあ、
 その綺麗なお口に『あーん』してぇくらいだ。

 そして更に『欲』を言うなら、
 そのとびきりの『笑顔』を見ながらメシを頂ければより、嬉しいですかねェ。

                ではーーー『いただきます』」

622真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/02/14(水) 18:57:40
>>621 (聖川様)

「は、はい……えへ、えへへ……
 どうぞ、『召し上がりましょう』。ご一緒に……」


     ・
     ・
     ・
     ・


 やがて、ありやにとって
 何より幸福な恵みの時間は終わりを迎え……


 聖川とともに、並んで歩きながらモールを発つ。
 送ってもらった『教会』の前で、
 あらためて謝罪とお礼を伝えて別れた後―――


 朝日の射す『分かれ道』に消えゆく遠い背中に向かって、
 ありやはひとり、真剣な表情でつぶやく。


「…………
 『聖川』様……わたくし、誓います……」


「もう二度と、この『鉄杭』を悪用して、
 他者に『欲望を押しつける』ような真似はしないと……」


 「そして……聖川様があのとき、
  わたくしに施してくださったような『無償の愛』を、
  いつかわたくしからも差し伸べられるように……」


 「立派で高潔な『聖職者』に、なってみせると……!」



「だから……もしそうなれたら、そのときは………

 『そのときは』…………!!」



    ……。 ……。 ……。


「…………や、やっぱり、ちょっとくらい
 『妥協』してもいいかなぁぁぁ……?」


  「せ、せっかくわたくしが『主』から
   授かり賜った『能力』ですしぃぃ……え、えへ……」


 それは決して変わることのない本人の『堕落した気質』によるものか、
 はたまた注がれた『ドゥルセ・ネクタル』の『妥協の残滓』によるものか?


 今日の出会いに立てた誓いを、この先も彼女が守り抜けるかどうか。
 その答えは――――『神のみぞ知る』。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

  神からいただいた『賜物』や『能力』は、いつかは尽きるだろう。
  しかし、『愛』は永遠に続く。

━━━━━━━━ コリント人への第一の手紙:13章;8節 ━━━━━━━━

623七瀬流子『メモリーズ』:2024/02/24(土) 21:24:40
「はぁ……はぁ……」

息を切らせて椅子に座る人間がある。
顔には汗が浮かび、疲れている様子だ。

「しんど……」

具合が悪いのだろうか……

624七瀬流子『メモリーズ』:2024/02/27(火) 12:44:46
>>623

「財布落とすとは……」

「まぁ……あったからいいけど……」

625美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/03/05(火) 21:04:44

スカイモール内に店舗を構える『セレクトショップ』。
そこに男女の二人連れがいる。
一人は二十代半ば程の成人女性で、もう一人は高校生くらいの少年だった。

「『モチベーション』を高めるには、まず『形から入る』。
 私がコーディネートしただけあって、『いい感じ』になったじゃない」
 
         「よく似合ってるわ」

『門倉不動産』を出た後、『美作くるみ』が最初に行ったのは、
『情報収集』ではなく『衣装合わせ』だった。
最終的な『悪魔召喚方法』については、もうプランが確定している。
その第一段階として『衣装』を用意したのだ。

「『魔法使いの装束』――――『こう来たか』という感じだが…………」

          ザ ッ

「フ……なかなか『ソレっぽくなった』じゃあないか……!」

試着室から出た『キリシマ・アキト』は『モードストリート』に身を包んでいた。
モノトーンを基調とする『モード系』と、
カジュアルが特色の『ストリート系』をミックスしたファッションを指す。
『レザーキャップ』、『ジップアップパーカー』、
『カーゴジョガーパンツ』、『ハイカットスニーカー』。
全身を『黒一色』で統一した『オールブラック』だ。
『黒』という『魔法使いのイメージ』を踏襲つつ、
『現代風』にアップデートしたスタイルが、
美作の演出する『魔法使いとしての衣装』だった。

  「――――これで『お揃い』ね」

          ザ ッ

       「『試験』に挑むのはキリシマ君だけど、
        これは『私の戦い』でもあるから、
        ちょっと『気合』を入れていくわよ」

服装を変えたのはキリシマだけではなく、
美作も同様に『モードストリートファッション』に着替えていた。
『レザーキャップ』、『フライトジャケット』、
『スキニージーンズ』、『ショートブーツ』。
やはり『オールブラック』で、『候補生』のキリシマに合わせている。
普段の『アメカジ』とは一味違い、どことなく艶っぽさの漂う装いだった。
負けられない戦いに臨む『勝負服』だ。

「『お色直し』も済んだ事だし、
 いよいよ『情報収集』に移りましょうか。
 それなりに『知り合い』は多い方だから、
 その辺りから手を付けていきましょう」

「具体的な『説明』については全面的に任せておいて。
 私は『アイドルのスカウト』もやってたの」

『パートナー』に声を掛けながらスマホを操作し、『一人目』にメッセージを送る。

626朱鷺宮笑美&朱鷺宮涙音:2024/03/05(火) 23:01:11
>>625
スカイモールの駐車場に2つの靴音が響く。

「…くるみさんが呼んでるって
 お母さんはともかく、私にはなんの用があるんだろう…」


      「それについては、きっとついたときに教えてくれるわよ。
       とにかく会いに行ってみましょう?」

そこにいるのは制服の少女と
ゆったりとしたワンピースを着た女性。
見た感じだとそこまで年の差が離れていないように見え、姉妹にすら見えるかもしれない。
だが、二人は親子である。

涙音「しかし、ここに来るんだったら買い物もついでにしておいたほうが良かったかな」

 笑美「まぁ、用事が済めばそうしましょう。」

くるみに呼ばれた二人はそのまま来るのを待っている様子だ。

627美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/03/05(火) 23:01:40
>>625

『駐車場』に一台の『バイク』が停まっている。
いつもの『ベスパ』ではなく、イエローカラーの『ホーネット』だ。
その隣には『オールブラック』を身に纏う美作が佇み、『朱鷺宮親子』を待っていた。
キリシマは近くにいるが、第三者には見えない位置から観察してもらう。
彼がいない方が、話をスムーズに進められると考えたからだ。

628美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/03/05(火) 23:06:37
>>626

二人が近付いてくるのを見て片手をヒラヒラさせる。

「わざわざ来て頂いてすみません。助かります」

美作の格好は普段とは異なり、乗り物まで違うようだ。

629朱鷺宮笑美&朱鷺宮涙音:2024/03/05(火) 23:18:53
>>627-628
笑美「あ、こんにちはーくるみさん。」
 涙音「どうもこんにちはー」

二人は合わせるようにくるみに向けて手を振った。
キリシマの姿は二人からは見えていない。

そのままくるみにむけて二人は近寄っていった。

笑美「えーっと、くるみさん。アイドル探しの件…ですよね。
    相談というと…?」
 涙音「ついでに、私に対しての用事も教えてください。」
二人は大声で話さなくても大丈夫な距離まで近づくと
くるみに向けて質問をぶつけてきた。

630美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/03/05(火) 23:55:13
>>629

「こんにちは、早速ご説明しますね」

明るい笑顔で挨拶し、不要な前置きは抜きにして『本題』に入る。

「実は『アイドル探し』と並行して、更にショーを盛り上げる為に、
 『サポートスタッフ』も募りたいなぁと思ってるんですよ。
 分かりやすく言うと『裏方さん』です」

『魔法使い試験』の事は明かせない。
それゆえに『あらかじめ用意しておいた理由』を二人に告げる。
『門倉派』の一員として、美作は以前から『スカウト活動』を行っていた。
その話に絡める事で、あくまで『自然な流れ』で話を切り出せるだろう。
同時に『アイドルショー』の企画も進められるというオマケ付きだ。

「アイドルの子達みたいにステージに立つ訳じゃなく、
 ほんの少しだけ『演出面』で手伝って欲しいんです。
 涙音さんなら『アイドル』として参加する事も出来そうですけど…………」

『用意した理由』は『サポートスタッフのスカウト』。
『アイドルとして舞台に上がる人材』ではなく、
『裏方としてショーを盛り上げる為の人材』を探すという名目だった。
この理由なら幅広い能力が対象になり、一見して不自然には思われない筈だ。

「とりあえず、ここまでは分かって頂けましたか?」

631朱鷺宮笑美&朱鷺宮涙音:2024/03/06(水) 00:05:01
>>630
うんうん、と二人はくるみの話を相槌を打ちながら聞く。
アイドル探しに加えて裏方も担当してほしい、ということらしい。

笑美「なるほどー、サポートスタッフを探してるんですね。
    確かに、スタンド能力とかで応用ができたら演出も盛り上がりそうですね。」

 涙音「アイドル…私はあんまり歌が得意じゃないしダンスも別にできるわけでもありませんから…
     アイドルの参加は…」
どこか自信なさそうに涙音は答える。

笑美「つまり、私達にスタッフを募る手伝いをしてほしい、ということでいいでしょうか?」

632美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/03/06(水) 00:36:44
>>631

『アイドルのスカウト』には『若い女の子』という条件が付く。
一方、『サポートスタッフ』なら『老若男女』を問わない。
そういった意味でも便利な言葉だった。

「あはは、気にしないで下さい。でも惜しいですねぇ。
 涙音さんなら『アイドル候補』にもなれそうですから」

いずれ『アイドル探し』も再開しなければならないが、
現状では『最終試験』の方が優先だ。

「いえ、ちょっと違いますね。
 『スタッフを募る手伝いをして欲しい』というよりは、
 『お二人に裏方をやって頂けないか』と思っているんですよ」

「もちろん『裏方』であっても『適性』はあります。
 そこで、お願いなんですが――――
 もし良かったら、少しだけ『能力』を見せて頂けませんか?
 お二人のスタンドが『演出』に適しているかどうか知りたいもので…………」

重要なのは『ここから』。
『魔法陣作成』に必要な情報を集めなければならない。
『四つの内の一つ』が『スタンド能力』だ。

633美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/03/06(水) 06:52:23
>>632

【対応してくださる方々へ】

ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1655987686/319

634朱鷺宮笑美&朱鷺宮涙音:2024/03/06(水) 18:10:13
>>632
涙音「アイドル候補ですか…そこまで言われるのは悪くないですけど…」
どうやら、まんざらでもなさそうだ。
アイドル探しでは彼女にも目をつけておいても大丈夫…かもしれない

笑美「私達が裏方を…ですか?」
 涙音「力仕事とかそういう?」
少し意外そうな顔をしながら二人は答える。

涙音「能力ですか…私は別にいいですけど、
    演出向きかはわかりませんよ?」
笑美「私の場合は、演出に使えそうではありますけど…
    あんまり近くでやると危ないかもしれません。」
そう言って二人が顔を合わせる。

笑美「でもまぁ、とりあえずスタンドは見せてみますね。」
 涙音「まずは見た目から、って感じかな?」
そう言うと二人はスタンドを出すつもりのようで、
少しくるみから離れる

『フォートレス・アンダー・シージ』!
                            『トループス・アンダー・ファイア』!

ドォン!!

二人のスタンドが同時に二人の背後から現れる。
笑美のスタンドは特殊工作兵を思わせる見た目、
涙音のスタンドは日本兵を思わせるような見た目である。

635美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/03/06(水) 18:58:42
>>634

今の内に、朱鷺宮親子の『外見』を改めて観察しておく。
『ヴィジョンの特徴』だけでなく、『本体の特徴』も、
『魔法陣』に組み込む要素に成り得るからだ。
さりげなく『最も特徴的な部分』を探してみよう。

「あぁ、そうですね。
 『舞台の設営』とか力仕事もあると思います。
 どちらかというと『演出』の方が重要ですけど」

そして、『二人のスタンド』に目を向ける。
能力までは知らないが、ヴィジョンを見た事はあった。
『涙音のスタンド』は『初詣』に行った時に、
『笑美のスタンド』は『道の駅』までドライブした時に。

「ありがとうございます。
 ええと――それでは、涙音さんからお願い出来ますか?」

軽く頭を下げてから、まずは涙音に『実演』を求める。

636朱鷺宮笑美&朱鷺宮涙音:2024/03/06(水) 19:07:59
>>635
涙音「パワーに関しては自信がありますから、
    そっち方面の出番も期待してますよ」
笑美「私も、そういうのは得意です。」
そう言って二人は微笑んだ。
そして能力を見せてほしいという場面で涙音は少し考える。

涙音「えーと、それじゃあやってみましょうか。
    私の能力は…まずはこのライフルを使っての能力ですね。」
そう言うと、涙音のスタンドはライフルを構えた。

涙音「まずは、このライフルの弾が命中したものに対して『的』を設置します。」
そう言って涙音は適当なものを探す。

涙音「とりあえず、これにしましょうか。」
そう言って涙音は、自分の持っていたカバンに狙いを定め

バシュッ
     弾丸を発射。

するとカバンに『的』が浮かび上がる。

涙音「そして、これに対して攻撃を狙うことで」
更に、手持ちのおみくじをカバンに向けて投擲。

シュッ!

カバンはそれにぶつかりに行くように移動する。
そして、おみくじに命中した途端に動きを止めた。

涙音「設置できる『的』には色々な種類が選べます。
    …まぁ大まかにはそんな感じですかね。」
そこまで言ってくるみに視線を向ける。

涙音「…どうでしょうか?
    何か役に立ちそうでしょうか。」

637美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/03/06(水) 19:57:06
>>636

一連の動作を行う『フォートレス・アンダー・シージ』の動きを、
神経を研ぎ澄まして注意深く見守る。
『ライフル』はインパクトがあって『モチーフ』に使えそうだ。
『兵士』という特徴も活かせるかもしれない。

「パッと見た印象ですけど、『物が動く』というだけでも、
 やり方次第で演出に活かせると思いますよ。
 『一般人』にも見えますから、
 より多くの人に楽しんでもらうにも良さそうですねぇ」
 
     「とても参考になりました」

涙音に笑いかけ、続いて笑美に視線を向ける。

「笑美さん――――よろしくお願いします」

『フォートレス・アンダー・シージ』と『トループス・アンダー・ファイア』は似ている。
『血縁関係のあるスタンド』というのは、個人的にも少し興味があった。
『近くでやると危ない』らしいが、一体どのような能力なのだろうか?

638朱鷺宮笑美&朱鷺宮涙音:2024/03/06(水) 20:27:35
>>637
涙音「まぁ、そこまで自由には動かせませんけど
    何かしらの指示を出していただければ、そのとおりに動かせるように
    頑張ってみます。」
少し嬉しそうに答える。

涙音「参考になったようで、私も嬉しいですよ。」
そう言って今度は笑美に視線を向けた。

笑美「ええ、それでは今度は私のスタンドを…」
そう言って笑美はちょうどいいものが近くに無いかとあたりを見回すが

笑美「うーん、やっぱり自分のものを使うしかないですね。」
そう言って持っていたカバンから『ボール』を取り出した。

笑美「念のために持ち歩くようにしているんですよね。
    それで、私の能力はこのように」
そう言ってスタンドにそのボールを触れさせると

スッ…
ボールは笑美やスタンドの手を離れるにも関わらずゆっくりと浮上した。

笑美「この状態で衝撃を加えると…」
そう言って近くに転がっていた石ころを…涙音が投げた。

ドゴォン!
接触した瞬間、衝撃が石ころを貫くように走った。
爆発が起こったような音とともに石ころは弾け飛んだ。
離れていたため全員被害は受けていないようだ。

笑美「このように炸裂してダメージを与えます。
    言うなれば『機雷化』させる。というのが私のスタンド能力です。」
ボールはコロコロと床を転がっている。どうやらもう能力の発動は終わったらしい。

笑美「うっかり触ると危ないので、ちょっと離れさせていただいたんですけど…
    役に立ちますか?」

639美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/03/06(水) 21:12:06
>>638

『機雷の炸裂』を目の当たりにして、しばし沈黙する。

「………………『なるほど』」

これは確かに『近付き過ぎると危険』だ。
『狙撃』に『機雷』というのは、やはり『親子』と言うべきだろうか。
ともかく『良い素材』を仕入れる事が出来たようだ。

「涙音さんにも似たような事を言いましたけど、
 『その場に浮かぶ』というのは、ヴィジュアル的に面白そうな気がします。
 安全性を確保した上で、その『炸裂』も『クラッカー』みたいに使えれば…………」

        スッ

ボールを拾い上げ、それを笑美に返しつつ、二人に向き直る。

「お二人共、どうもありがとうございました。
 他の人にも声を掛ける予定があるので、まだ確定ではないんですが、
 もしかしたら今後『裏方』をお願いするかもしれません」

             フフッ

    「涙音さんは『アイドル候補』の可能性もありますしね」

『スタンド名』、『スタンドの動作』、『モチーフ』。
これで『三つの要素』が集まった。
しかし、まだ足りないものがある。

「あ、もう一つだけお聞きしても大丈夫ですか?」

「もし自分が『パフォーマー』としてステージに立ったとしたら、
 どんな『決め台詞』を言いたいか『アンケート』を取ってるんです。
 ショーの『プロデュース』の参考にしたいので」

「『もしも』の話ですから、気軽に答えて下さって構いませんよ」

『最後の一つ』は、自発的に発せられた『スタンド使いの言葉』だ。

640朱鷺宮笑美&朱鷺宮涙音:2024/03/06(水) 21:40:30
>>639
笑美「まぁ、使い方次第では愉しいことには使えそうですねぇ。
    私もそういうふうな使い方は大歓迎ですよ。」
扱い方が難しいデリケートな能力だが
それでも他の人に使い方をプロデュースされる。
そうなれば笑美にとっては嬉しい限りだった。

笑美「どうもありがとうございます。
    裏方のお仕事も楽しみにさせていただきますね。」
返されたボールを手に取りながら答える。

涙音「アイドルかー…一体どんな事するんだろう…
    ダンスとか、練習したほうがいいのかな」
ぶつぶつと涙音は呟いている。
自信はないものの、気にはなっているのかもしれない。

「「えっ」」
パフォーマーとしてステージに立ったとしたら?
その言葉に思わず親子ともに少し驚いた顔になる。

笑美「ちょっと待ってくださいね。」
と、笑美が言うと二人はボソボソと相談を始めた。

涙音「決め台詞か…あんまり考えたことなかったかも…」
 笑美「そういうのって結構、景気のいいものがいいと思うわ。」
…そんな会話がしばし続いたあと

涙音「それじゃあ…その」
 笑美「二人で言いましょうか。」
と、二人でいってうなずくと、
せーの、と同時に前を指さした。

「「不幸なんて吹き飛ばす!幸運を呼び寄せる!
  スーパーラックパフォーマー!参上!!」」
と、二人は同時にセリフを言った。

涙音「ちょっ、やっぱり恥ずかしいじゃんこれ…」
 笑美「あら?涙音ちゃん結構乗り気だったじゃない〜♪」

641美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/03/06(水) 23:02:10
>>640

「即興とは思えないくらい、息がピッタリと合ってましたよ」

        パチパチパチパチパチ

二人の『名乗り』を見届け、小さく拍手を送る。

    「――――とっても良かったです」

自分の知る限り、『スタンド使いの親子』は貴重な存在だ。
この二人がステージに立つ姿も、きっと『映える』だろう。
今の台詞を『最終試験』だけに使うのは勿体ないと思ったくらいだった。

「私からは『以上』ですね。
 涙音さん、笑美さん――今日は来て頂いて本当に助かりました。
 お陰様で『より良いショー』をお見せ出来ると思います」

涙音と笑美からは『一通りの材料』を揃えられた。
一気に『二人分』を確保できたのも大きい。
総合的には、まずまずの滑り出しと言えるだろう。
しかし、『六人分』というのは、あくまでも『最低条件』。
それなりに『知り合い』がいる優位性を考えれば、
『六人分を集める』というのは『達成できて当然』であり、
『その上』を目指す事が美作の目標なのだ。

「のんびりお話したいんですけど、
 他の場所も周らなきゃいけないので、今日の所は失礼します。
 本業の『ラジオ』もよろしくお願いしますね。
 『動画サイト』の方に、私の『チャンネル』もありますから、
 お時間のある時に覗いてみて下さい」

停車中のバイクに歩み寄り、シートに跨ってヘルメットを被る。
バイザーとゴーグルの付いたハーフヘルメットだ。
差し込んだキーを回し、セルモーターのスイッチを入れると、
エンジンが始動してアイドリング音が鳴り響く。
愛車のベスパは『キックスタート』だったが、ホーネットは『セルスタート』。
ボタンを押すだけで始動するのだから楽なものだが、
手間が掛からなくなったせいか、若干の『寂しさ』は否めなかった。

   ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ

          「では、また――――」

                 ギュオオオオオオオオオオッ

朱鷺宮親子に会釈すると、力強いエンジン音と共にバイクを発進させた。
残りは最低『四人』。
それも『目星』はつけてある。

642朱鷺宮笑美&朱鷺宮涙音:2024/03/06(水) 23:27:47
>>641
笑美「こちらこそ、なにか助力になれたなら私も嬉しいです。」
 涙音「ちょっと恥ずかしくはありましたが…そういうふうに褒められるなら悪くないかも…」
お互いに思い思いの反応を示す親子。
どちらも嬉しそうである。

笑美「本当に忙しいのですね。
    アイドルのプロデュースというのはそんなに大変なんですね。」
涙音「あー、それじゃあその、いい結果になるといいですね。
    あ、裏方の仕事に関してもなにか必要ならぜひお願いしますー!」
ベスパに乗り込んだくるみに向けて二人は手を振りながら見送っていく。

激しいエンジン音は少し驚かされるものだったが
その音が去っていくと、すぐさま静けさが駐車場を支配した。

 涙音「しかし、スタンドを使ったパフォーマンスって…結構楽しそうかも。」
笑美「そうねぇ。私もそう思うわ。
    …じゃあそろそろお買い物して帰りましょうか。」
そう言って二人は買い物をするために駐車場から去っていく。
実際に何が起こっているのかは、まだ二人は知らない。

643ゆきみ『ブランシュ・ネージュ』:2024/03/31(日) 12:50:18
3月31日

    イースター
本日は復活祭
しかし敬虔なキリシタンの少ない日本では、誰の復活を祝うという事もなく…

うさぎを思わせるような少女は、
誰もいないスカイモールの屋上で月を見上げながら
一人、たまごアイスを食べている

644『ザ・モーニングマウンテン』:2024/04/01(月) 09:32:49
>>643(遅レスとなりますが、宜しくお願いします)

 「お ぉ? これは、これは! なんと私たち以外で
大号外ビラ大作戦を行おうとしている人が居たっス!」

 スカイモール屋上の入り口近くから、賑やかな明るい女の子の声が
君の背中を叩く。でかい声量は、叩くより、叩きつけるぐらいの勢いだ。

 「うーん…たぶん、別用なんじゃないかなぁ」

遅れて、のんびりとした男の子の声も聞こえてきた。

振り返れば、十字の絆創膏を額にした小学生ぐらいの男の子と。
 顔を、どうやらソゲキ〇グ的な仮面をつけた凡そ男の子と同年代が
少し上らしい背丈の子が飛び跳ねるようにして存在感をアピールするだろう。

なお、朝山の片手には大量のチラシらしいものが携えてる。

 文字通り、スカイモールの上からチラシを降らして
スタンド使いの人たちを集める大作戦! を、周囲のスカイモールの
人たちが迷惑になるのも、お構いなく決行する気のようだ。

645ゆきみ『ブランシュ・ネージュ』:2024/04/01(月) 19:10:15
>>644
たまごアイスを吸い切る

やっぱり何が良いのか分からない

自分以外、誰もいない屋上で月を見上げる

イエスみたいにこの子も復活したらいいのに


背後から叩きつけられる声にゆっくり振り返る
…もしもこれが声ではなく物理的に背中を叩きつけてきたなら
屋上から叩き落されて殺人(?)事件に発展していただろう

「…何?」

月が出ている事からも分かる通り、今は夜中だ
それも、そろそろ月が4月になる時刻

そんな時間帯、こんな所に明らかな不審者が登場する
(こちらの方も十分不審者だが)

うさぎのような少女は、頭からうさぎの耳のような物を生やし辺りを見渡している

646『ザ・モーニングマウンテン』:2024/04/02(火) 11:52:04
>>645

 >何?

「こんばんわーっス! 自分は悪の首領! 知る人ぞ知る、この町を統べる予定である
モーニングマウンテンと言うんっスよ!」

 ふふん! と威張るように胸を張る少女と共に、のんびりとした間延びした声で
隣の男の子は呟く。

 「うん・・・ぼくは、木崎 ゆだね。・・・『うさぎ』かぁ
月には、うさぎが似合うよね」

 少年は、そう君(ゆきみ)の兎耳を見て、そう呟くだろう。

 「兎っスか? 月見団子は美味しいっスけど、今はそれよりもビラを
屋上からばら撒くのが大事っスよ!!
 このまま屋上から、何でも屋の悪のニュー・エクリプス活動を宣伝して
いろーんな人から、お願いを聞いて回って、がっぽり稼ぐっス!」

 「広告は、やっぱり。ぼくは・・・穏便に駅前とか、適当な場所を
探すべきだと思うけどな」

 そんな、テンション高い少女と。マイペースな、のんびり屋な感じの
少年の会話が君の視界の中で行われるだろう。

647ゆきみ『ブランシュ・ネージュ』:2024/04/02(火) 18:31:23
>>646
「ゆきみ」

何か知らんが名を名乗る二人に対してうさぎのような少女は名を告げる


>今はそれよりもビラを
>屋上からばら撒くのが大事っスよ!

「ゴミをばら撒くのは確かに悪の組織らしい」

にしてもしょっぼい悪事だが
街の景観を汚す迷惑行為ではあるがしょぼい悪戯程度だ

>このまま屋上から、何でも屋の悪のニュー・エクリプス活動を宣伝して
>いろーんな人から、お願いを聞いて回って、がっぽり稼ぐっス!

悪の何でも屋とは一体…
殺しだとか強盗だとか犯罪専門の何でも屋だとかだろうか?
それはつまり

「闇バイト?」

それにしてはオープンにしすぎだが
何にせよ、まともじゃない事に違いはない

648『ザ・モーニングマウンテン』:2024/04/03(水) 12:40:05
>>647

>確かに悪の組織らしい

「おおぉ〜! 話がわかるっスね! ゆきみちゃん!
 そうっス! 我が悪の活動によって、この星見街は今まさに絶賛震撼中なんっス!」

 そう、『ザ・ハイヤー』を発現しつつ調子にのって朝山は
『ニュー・エクリプス・ダンス』をのりのり♪ で披露し始めるだろう。

 隣の木崎は、まだ短くも悪の首領の調子に慣れてきたので
それを緩んだ顔で眺めつつ、ゆきみに声をかける。

>闇バイト?

「うーん…闇の付くバイトじゃなくても、お金が稼げればいいんだけどね。
……ねぇ……なにか困ってる事とか、そう言う人を知ってたりしない?
 主に、ぼく……人を助けれたら良いなーって、思うんだ。
お金も…出来れば、欲しいけど」

 初対面であるが。魔法使いの試験の期限も半分を切ってる。
一抹と木蝋だけでは足りない。あと五人の魔法(スタンド)使いと
召喚の道具と立地を整えるのにも、見ず知らずの人間に対しても
遠慮せず少年は聞く。

 朝山はともかく。木崎が屋上に来たのは、人気が無く召喚に適してる
かも知れない為に下見したくて訪れた。とは言え、ゆきみが居る以上
 本番で召喚するには厳しいだろうなぁとも思ってるが……。

649ゆきみ『ブランシュ・ネージュ』:2024/04/03(水) 18:37:19
>>648
>我が悪の活動によって、この星見街は今まさに絶賛震撼中なんっス!

そうだったかなぁ?と言おうとしたが
普段星見街にいないゆきみは
この街の治安についてそんなに詳しくないのでなんとも言えない

>そう、『ザ・ハイヤー』を発現しつつ調子にのって朝山は
>『ニュー・エクリプス・ダンス』をのりのり♪ で披露し始めるだろう。

「むっ」

ピク

スタンドの発現に対してうさみみをピクリと動かし反応する

>木崎

アホみたいに実に頭の悪そうなダンスを舞う少女(無礼)
彼女がスタンド使いだとしたら、こっちの彼もスタンド使いなのだろうか?

そんなスタンド使いの悪の何でも屋なら

「君達さ」
「死んだ人生き返らせられる?」

650『ザ・モーニングマウンテン』:2024/04/04(木) 13:33:09
>>649

>死んだ人生き返らせられる?

「ん? 死んだ人っスか……それは、難しいっスよね。
 大怪我してる人とかなら、病院で治療費払ったら治せそうっスけど」

 真面目な質問だと受け取ったのだろう。ニュー・エクリプス・ダンスをピタっと
止めてモーニングマウンテンも真剣そうに首を傾げて答える。

 「……しらない。……でも、ぼくも……生き返らせらるなら、生き返らせたい人……いるな」

 木崎も、また同じように其の手段を持ち合わせてない。
ただ、その方法を真に知りたい君と同じ願望を切実に持ち合わせてるのだろう。
 回答の中で一瞬翳りが顔に見え隠れした。

「うーん、でも星見街には沢山の凄い力を持つ人たちが居るっス!
 そん中には、過去に戻ったりとか神様みたいな力を持つ人も居るだろうっスからね!
諦めるのには早すぎるっスよ! このまま悪の活動を続ければ、そう言った
人たちとバッタリ鉢合わせる事もあるかも知れないっス!!」

 「……うん、そうだね……朝山さん」

 だが、悪の首領は出来ない、御免なさいでは済ませはしないのだ!

まったく保証など無いものの、希望的観測が真実だと言わんばかりに胸を張って
宣言する。木崎も、先ほどまでの沈痛を薄っすら浮かべた顔を柔らかに戻していた。

 「あ! ゆきみちゃんは、スタンドは何て名前なんっスか!
私のは『ザ・ハイヤー』って言うんスよ!」

 兎耳や、ザ・ハイヤーが見えてそうなのも有ってグイグイと朝山は
スタンドについての情報を迫る。そう言う、遠慮のない所は流石に首領たる所以か……。

651ゆきみ『ブランシュ・ネージュ』:2024/04/04(木) 18:47:37
>>650
「そう」
「そうだね」

最初から期待はしていなかった
ただ、もしかしたらこの子を…
『ゆきみ』を生き返らせられるかもしれない
少しそう思っただけだ

ゆきみはわたし、わたしはゆきみ
これからもわたしはゆきみと一緒に旅をする
けど……もしゆきみが生き返ったら
その時はお別れなのだろうか?


>あ! ゆきみちゃんは、スタンドは何て名前なんっスか!
>私のは『ザ・ハイヤー』って言うんスよ!

「わたしはゆきみ」

わたしはゆきみになり、ゆきみはわたしになった
一緒に旅をするために

「『わたしの名前』は」

朝山達にゆっくりと歩み寄るゆきみ
離れていると分からないかもしれないが
近付くと気付くかもしれない、ゆきみから冷たい空気が漂っている事に

「『ブランシュ・ネージュ』」

名前を教えるくらいは大したリスクではない
だから『自分の名前』教えてもいい

652『ザ・モーニングマウンテン』:2024/04/05(金) 13:07:52
>>651(長らく付き合わせて頂き申し訳ありません。
宜しければ、次で〆させて頂きます)

「『ブランシュ・ネージュ』っスか!
すごい格好良い名前っス!」

 そう、喜びの表現を伝えるエクリプス・ダンスを披露するモーニングマウンテン。
先程のニュー・エクリプス・ダンスとどう違うのか見た目では
激しさの強弱に幾らか差は見られる気はするが……誤差の範囲だろう。

悪の首領(朝山)には、君の背景を察する事は出来ないし。君(ゆきみ)にも
目の前の悪の首領が、どのような目的をもって首領を志してるのかを
知る術は今は無い。ゆきみや、朝山が抱く願いも、いずれ叶うか叶わないかは
この夜空のように、標は今は見えないのだろう。


 「よーし! それじゃあ屋上からビラをばら撒くっスよ!
なんか寒くなってきたし、善は急げっス」

 「うん……朝山さん。でも、夜中だから道を走ってる車の前方ガラスとかに
もしかしたら張り付いたら事故になっちゃうかも知れないよ?
 それに、変な隙間に挟まったりすると、のちのち工事とかしないと
いけなくなっちゃうかも知れないし」

 「……うーーーん、それじゃあ屋上からバラ撒くのは
止めるべきっすかねー。確かに、ちょぴっと風も強くなって
飛んでいった先が運悪く人通り多い所だったら大変っス」

 木崎に、そう諭されて。少し悩みつつ、チラシを仕舞い込んだ。
多分、そう根は悪くないのかも知れない。

 「うーん! 悪のピラ撒き大作戦は中止になっちゃったス!
けど、ゆきみちゃんとも友達になれたし、結果オーライっスね!!
 ゆきみちゃん、連絡先交換するっス! 今度友達の家か自分家で
パーティするっス! 友達に、すっごく美味しい料理や、お菓子
作ってくれる人を私は二人も知ってるっスよ!」

 悪の首領は、身振り手振りで明るい感情表現を伝えつつ
ぺらぺらと、ゆきみに話しかける。
 これ以上は、他愛ない雑談だけだろう。自分本位に勝手に話し終えたら
木崎を連れて、意気揚々と屋上から去っていくだろう…。

653ゆきみ『ブランシュ・ネージュ』:2024/04/05(金) 17:55:36
>>652
>けど、ゆきみちゃんとも友達になれたし、結果オーライっスね!!

「え?」

何か勝手に友達認定されてるけど
名前を教え合えばもう友達!!っていうノリなのか?
……まぁ別に構わないが

>ゆきみちゃん、連絡先交換するっス!

「…う、うん」

凄い勢いで話しを進めていく朝山に押されて
勢いのままに連絡先を交換してしまったゆきみ

まさか、こうやって手に入れた個人情報を利用して
犯罪に使う気じゃないだろうな!?
だとしたら

「まさしく悪の首領」


ピクッ!

その時、ゆきみのうさ耳がピンっと逆立った
懐中時計を懐から取り出して時間を確認する

午前0時
丁度今、4月に入ったところだ

「急がないと」

今の今までのんびりと話し込んでいたゆきみだが
時間を確認するなり、いきなり何か急ぎだす

言うが早いか、朝山達が去るよりも先にこの場を後にするゆきみ


4月は卯月
卯月とは卯の花の月なのだが
卯は兎なので、4月もまだまだゆきみの季節だ

654美作くるみ『プラン9・チャンネル7』&キリシマ・アキト『候補生』:2024/05/10(金) 20:57:38

展望台に二人の男女が立っている。
高校生くらいの少年と二十代半ばの女という取り合わせだ。
どちらも『オールブラック』の『モードストリート』を身に纏っているが、
少年の方には『アラクネ』と『ライオン』を象った『刺繍』が施されていた。

「確か、あの高架下辺りに『ウォールアート』があったはず…………」

        スッ

女が一点を指差し、少年に告げる。

「違法な落書きじゃなく、治安向上の目的で、美術関係の学生達が手掛けた絵でね。
 街の景観にアートを取り入れる事で、犯罪を抑止する効果があるそうよ」

「フ……まさしく『カッコ良さ』が重要な意味を持つ事を証明しているな……。
 オレが舞う『儀式』の舞台には相応しい……」

そのような会話を交わしながら、二人は街を見下ろしている。

655美作くるみ『プラン9・チャンネル7』&キリシマ・アキト『候補生』:2024/05/12(日) 14:18:43
>>654

まもなく、『黒』を纏った男女は展望台から離れ、『目的地』に向かった。

656朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』+妹:2024/05/12(日) 18:54:05
「ちょっと大きいなこれ…
 まぁ大丈夫だよね。
 あとは…ケーキかな。買うのは」
涙音はそう言ってスカイモール内を歩いていた。
その手にはカーネーションの花束を抱えており、前がよく見えないようである。

「おねぇちゃん、ちゃんとまえをみてね!
 おねぇちゃんはいつもあぶないけど、『ふちゅーい』のときはさらに危ないです!」
隣には涙音よりも年下のような少女。
涙音の妹である。

「大丈夫だってー。
 私はここ最近ツイてるんだから。
 というかなにがこようが華麗に避けてみせるってば!」
涙音はよくわからない自信を見せながら歩いている。
が、前はよく見えていなさそうだ。

657美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/13(月) 19:31:41
>>656

『店』を探しながら歩いていた。
ちょっと余所見した直後、ぶつかりそうになってしまい、その手前で立ち止まる。
目の前いっぱいに広がっているのは、まるで花畑のような光景だ。

  「おっとっと――――」

        「あら、涙音さんじゃない。こんにちは」

               ニコッ

見知った相手である事に気付き、笑顔で挨拶する。

     「こんにちは、お嬢さん。妹さん?」

それから身を屈め、涙音の隣にいる小さな少女に向き合った。

658朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』+妹:2024/05/13(月) 20:39:21
>>657
「む、おねぇちゃん、前に人がいるんです!」
前方を確認していた妹が声を上げた。

「おっと、っと…!!」
思わずぶつかりそうになったのを感じたのか
涙音は足を急激に止める。

「あぶなっと…!!」
どうやらギリギリでぶつかるのを回避できたようだ。
かなり近くまで来ていたが、接触はせずに済んでいる。

「あぁ、すいませんその…
 前がよく見えなかったもので」
涙音がそう言って花束越しから前を見る。

「あっ、くるみさんじゃないですか。
 どうもこんにちはー。」
知り合いだったことにどこかホッとした表情を浮かべた。
ちらりと、妹の由楽を見て、答える。

「その子は私の妹です。
 名前は…」

由楽「はじめまして、おねーさん。
    ゆらと言う名前なんです!」
そう言って由楽は丁寧にお辞儀をした。

由楽「おねーさんは、おねぇちゃんとおともだちなのですね?」

659美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/13(月) 21:48:37
>>658

『魔法使い試験』が始まった時、最初に声を掛けたのが涙音と笑美だ。
あれから色々と奔走して、限りなく『完成』に近付ける事が出来た。
それに関しては言えないが、心の中では大いに感謝している。

「お姉ちゃんのお友達で、お母さんともお友達よ。
 少し前に、一緒にお出掛けした事もあるの」

「由楽ちゃんはしっかりしてるのねぇ。
 私は『くるみ』。良かったら仲良くしてね」

幼いながら礼儀正しい仕草を見て、こちらからもお辞儀を返す。
涙音に妹がいたとは知らなかった。
『試験』を控えている状況もあり、一瞬『スタンド』の事が頭をよぎる。
笑美と涙音が『スタンド使い』なら、由楽にも可能性があるかもしれない。
しかし、既に『材料』は揃っているし、自分から言うのは止めておいた。

「涙音さん達は『母の日のプレゼント』ってところかしら?」

カーネーションの花束に視線を移し、思い浮かんだ直感を言葉にする。

660朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』+妹:2024/05/13(月) 22:33:10
>>659
由楽「おかぁさんともおともだちですか!
    ぜひ、ゆらともおともだちになってほしいんです!」
どこか嬉しそうな表情で由楽は駆け寄っていく

涙音「ちょっと由楽、初対面なのにそんな急に…」
由楽「おねぇちゃん、なんの問題もないと思うの!
    おねぇちゃんとおかぁさんのおともだちなら、きっといい人です!」
涙音は少し申し訳無さそうにくるみに頭を下げる。
由楽は初対面の人であろうとお構いなしに声をかけているのだろうか。
姉と母の友達であると聞いて、すぐにでも仲良くなりたそうである。

由楽「おねーさんはくるみというのですね。
    ゆらはくるみも大好きです!なので仲良くします!」
そう言って握手しようと手を伸ばしてくる。
多分大好きというのは、ナッツの方のクルミのことだろう。

涙音「ええ、はい…とりあえずカーネーションは購入しまして、
    あとはお祝いのケーキでも買おうかなというときなんですけど」
チラチラと花束の向こうから涙音の顔が見える。

由楽「おそらくおねぇちゃんはちょうどいいケーキを買いに行こうとしているんです。
    お花がいっぱいなおかげであんまりちゃんと歩けてないです。」

661美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/13(月) 23:17:42
>>660

由楽には気付かれないように、涙音に向かって笑いかける。
純粋な好意を持ってくれているのだから、積極的に来られても悪い気はしない。
こういったコミュニケーションは、丁度いい気分転換にもなるだろう。

「あはは、私も『クルミ』は好きよ。なんだか私達って気が合いそう」

           ――――――キュッ

      「お友達の印に握手しましょうね」

由楽の手を取り、優しく握手する。

「それじゃあ、お母さん思いの二人に私からのアドバイス!
 『クルミを使ったケーキ』なんてどうかしら?
 一番のオススメは『クルミとコーヒークリームのケーキ』だけど、
 由楽ちゃんも食べるなら『クルミ入りのチョコレートケーキ』がいいかもしれないわ」

       ピッ

人差し指を立て、すぐ近くにあるケーキ屋を指し示す。
店頭のショーケースには『クルミを使ったケーキ』が並べられていた。
時々そこを歩くのだが、自分と同じ名前なので、自然と覚えてしまったのだ。

662朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』+妹:2024/05/14(火) 00:06:55
>>661
涙音「フヒヒ、どうも。」
涙音も返すように笑いかける。
何だかんだ仲が良いのは確かだろう。

由楽「おー、くるみおねーさんも好きなのですね。
    これは仲良しどうしになれます!」
そう言ってきゅっと握手をし返した。

由楽「お友達どうし、さらに好きなものが一緒どうしの握手です!」
彼女の表情はなかなか嬉しそうであった。

由楽「クルミのケーキですか!」
くるみの提案を聞いて、由楽はまた目を輝かせる。

涙音「あーそれ、とても良さそうですね。
    幸いうちにはそういうアレルギーの人はいませんから。
    きっと由楽にとっても嬉しいことだと思いますよ。」
ちらりと涙音が顔をのぞかせて答える。

由楽「そうと決まったら、『でんわいそげ』ですよ!
    さぁいくのですおねぇちゃん!」
グイグイと、由楽が涙音を引っ張り出した。

涙音「わ、ちょっと待ってって…
    全く…スタンドさえ使えたら…」
危うく躓きそうになりながら涙音は由楽に引っ張られている。
結構人がいる場所ではスタンドが使えず困っているようだ。

663美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/14(火) 16:10:13
>>662

微笑ましい光景だが、これでは少々危なっかしい。

「あはは、由楽ちゃんの言う通り『善は急げ』よ」

         ス ッ

「だから、その花束は私が持っていてあげる」

空いている両手を涙音に差し出し、彼女の代わりに花束を抱える。
そうすれば二人はケーキに集中できるだろう。
これで問題解決だ。

「ただし、私の買い物にも付き合ってもらおうかな。
 ちょっと二人の意見を聞いてみたいから」

ここに来た目的は『それ』だった。
『魔法使い試験』の為に用意したい物がある。
何にするかは決めてきたが、せっかくなので二人の感想も欲しいところだ。

「でも――――先にケーキを買っちゃいましょう」

クルミのケーキは幾つか種類があり、さっき言った二つも陳列されていた。

664朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』+妹:2024/05/14(火) 18:08:09
>>663
涙音「あっ、どうもありがとうございます…
 すいません、こんな大きいのを…」
差し出された両手に花束を渡し、涙音は頭を下げた。

由楽「おねぇちゃん、くるみおねーさんはとてもいい人。
    すごく感謝するのがよいです!」エッヘン
涙音「って、そこで何で由楽が偉そうにしてるのよ。
    くるみさんと先に友人になったのは私であって…」
少し嬉しそうにふんぞり返る由楽と、どこか呆れたようにツッコミを返す涙音。
話し方から見ても、仲の良い姉妹のようである。

涙音「意見…って一体?」
少し首を傾げる涙音であったが

由楽「あとできく!でよろしいですね!
    ほら、いくのおねぇちゃん!」
涙音「わ…っと…」
と、質問に対し割り込むように由楽は涙音を引っ張っていく

665美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/14(火) 19:34:11
>>664

まだ小さいせいもあるだろうが、由楽は笑美や涙音とは毛色が違う。
初対面の相手にも礼儀正しく、物怖じしない堂々とした性格は、
なかなか『アイドル向き』かもしれない。
ただ、さすがに年齢が若すぎる。
しかし、方向性としてはアリだった。
高宮や林檎と被らないようにする為には、こういうタイプをスカウトするべきか。

「それについては後でね。さぁ、『プレゼント』を選んできて」

心中で考えを練りながら、花束を持って後ろに下がり、二人の買い物が終わるのを待つ。
その間、涙音の服装を見ていた。
正確にはポケットから溢れる『開運グッズ』を。

「――――何を買うか決まった?」

しばらくして、カーネーションの隙間から覗き込み、涙音と由楽に声を掛ける。

666朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』+妹:2024/05/14(火) 20:46:21
>>665
由楽「りょーかいでっす!」
涙音「分かりました、それじゃあちょっと待ってください」

二人はクルミのケーキに視線を向ける。

由楽「ゆらはコーヒーというものに興味が…」
涙音「いや、そういうのはカフェオレを飲めるようになってからのほうが…」
由楽「む、おとなの味はゆらにはまだ早いということで…」
涙音「背伸びするのはお姉ちゃんくらいの年になってからね…」

色々と相談をしている様子である。
由楽はちょっと大人びたい年頃なのだろうか。


由楽「ふむ、ここはぜんいんがしあわせになれるチョコレートケーキを選ぼうと思うんです!」
くるみに対して由楽が答えた。
色々話をして納得したんだろう。

涙音「ちょうどホワイトチョコのやつもあるみたいですし、コレにしようかと。」
そう言ってホワイトチョコのくるみケーキを指さした。

667美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/14(火) 21:32:05
>>666

由楽と同じぐらいの頃、美作は引っ込み思案で大人しい性格だった。
転機が訪れたのは、入院中に時間を持て余し、『ラジオ』を聴き始めた時だ。
パーソナリティーの声に励まされ、退院を迎える頃には何かが変わっていた。
少しずつ積極的になり、自己表現に対する欲求が目覚めたのだ。
その結果、ついに『アイドル』としてデビューするに至った。

「コーヒーの味を楽しむのは、ちょっと由楽ちゃんには早いかもねぇ。
 でも、チョコレートケーキも美味しそうだし、それでいいんじゃないかしら。
 きっとお母さんも喜んでくれるわ」

二人が会計を済ませた後で、ポケットから『名刺入れ』を取り出す。

「私の買い物なんだけど、アクセサリーを作ろうと思ってるの。
 大きな仕事を控えてるから、『成功祈願のお守り』としてね」

名刺入れの中から出してみせたのは『鈴蘭の押し花』だった。
以前、『キーホルダー』と交換で、『りん』から受け取った物だ。
これは『彼女の一部』であり、『魔法の産物』と言っても差し支えない。
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1614349479/330-331

「『お友達』からもらった『押し花』を、アクセサリーに加工したいのよ。
 それで、どんなのがいいか意見を聞きたいんだけど…………」

押し花を見せながら、涙音と由楽に問い掛ける。

668朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』+妹:2024/05/14(火) 22:59:34
>>667
由楽「ゆらは、こうみえてもお茶のケーキは食べられるんです!おとなですよ!」
また少し得意げな顔になっている
涙音「…アレは結構甘いタイプの抹茶ケーキだったような…
    と、とりあえずコレを買うことにしますね。」
早速注文する二人。

涙音「あら、コレってすずらんの花…
    キレイですね。コレはお友達のものですか…
    …鈴蘭といえば…」
じっと鈴蘭を見つめる涙音。多分彼女にもなにか思い当たるところがあるのだろう。

由楽「わぁ、とてもきれいなお花です!
    ゆらも欲しいです!」
近寄ってきた由楽も興味深そうである。

涙音「成功祈願のお守りですかー。
    となると色合いも考えるのが良いですね。」
そう言ってジャラジャラと自分のお守りの一つを手に取る。

涙音「ピンク色とかスカイブルーとかが一番いいみたいですよ、そういう願掛けの場合は」
どこぞの神社のお守り袋のようだ。スカイブルーの色合いをしている。
由楽「でもおねぇちゃん、こううんになってない。」
真顔で由楽がぐさりとくる一言を告げてきた。

669美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/14(火) 23:51:15
>>668

「…………もしかして『りんちゃん』を知ってるとか?」

涙音の反応を見て、直感的に事情を察した。

「あははは…………でも、お姉ちゃんは、
 由楽ちゃんやお母さん達と楽しく過ごしてるでしょう?
 きっと、お守りが支えてくれてるのよ」

『幸運になってない』というのは、裏を返せば、
『大きな不運にも陥っていない』と解釈する事も出来るはずだ。
いい方向に考えれば前向きに生きていける。
そのような意味を込めて、由楽に微笑みかけた。

「私が考えてるのは、この押し花を透明な素材に挟んで、
 チェーンを付けて『ペンダント』にしようかと思ってるの。
 それから、今の格好と合うかどうかも大事にしたいわね」

美作は『黒一色』で統一したファッションを身に纏っていた。
その胸元に押し花を当てる。
頭の中に描いているのは、大体こんなイメージだ。

「アクセントとして、他の色を取り入れるのはいいアイディアだと思うわ。
 その場合も『鈴蘭』が見えるようにしておきたいんだけど、
 色付きの素材を使うと見えづらくなるのが難点ねぇ」

ジャラジャラと出てきたお守りを眺めながら、思考を掘り下げていく。

「『形』については、何かアイディアはないかしら?」

670朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』+妹:2024/05/15(水) 18:30:04
>>669

涙音「りんちゃん…もしかしてあなたの知っているりんちゃんは…
    こう、頭からスズランの花が生えている女の子ですか?」(自分の頭を指差す)
由楽「む、それはきっと妖精さんです!
    おねぇちゃんは妖精さんともお友だちということになる、と思うんです!」
どうやら涙音の知っているりんとくるみの知っているりんは同じ人物のようだ。
由楽が入っている通り、見た目的には妖精に見えなくもない少女だろう。

由楽「ほう、そのかのうせいはありえるのです。
    おかぁさんはとてもラッキーなので、お守りはおかぁさんの力にちがいないです!」
涙音「いや…普通にご利益があるかと…」
どこか由楽のはっきりという態度には姉である涙音もどこか頭が上がらないようである。

涙音「ふーむ、ペンダントですね。
    そしてくるみさんのファッション…」
じっとくるみのファッションを見ながら考える。

涙音「他の色を取り入れるとなると、
    鈴蘭の色となるべく被らないようにするのが良いですね。
    だとしたら、ちょっと薄めの色合いだと良いかもしれません。
    黒と合わせるならアクセントで明るめにするのも良いかもしれませんね。」

涙音「形となると…押し花を中に収める形にしたりしても良いかもしれませんね。
    おんなじようなスズランの花のデザインを加えてみるのはどうでしょう?」

671美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/15(水) 20:03:13
>>670

「そうそう、その『りんちゃん』よ。
 確かに『妖精さん』に見えなくもないかもねぇ」

頭に鈴蘭の花が生えている。
そんな特徴を持つのは一人だけだろう。
間違いなく『りん』だ。

「りんちゃんとは何度か会った事があるの。
 バレンタインの買い物をしたり、流しそうめんをしたり、
 鈴蘭畑で話した事もあったかしら。
 それからラジオでお喋りした事も――――」

そこで言葉を切り、手にした押し花を、顔の高さに持ち上げる。

「鈴蘭は『幸せのシンボル』だけど、『毒』もあるから注意しないとね。
 でも、昔は『薬』としても使われていたから、
 考え方によっては助けになってくれる」

「『幸運を呼び寄せる』、『不幸は吹き飛ばす』。
 なんだか『どこかの誰かさん達』に似てると思わない?」

今は由楽がいるのでぼかしたが、朱鷺宮親子から聞いた『決め台詞』だ。

「…………鈴蘭の花を模したデザイン」

涙音のアイディアは悪くない。
問題は『どうやって作るか』。
その為には細かい作業が出来る人材が必要になる。

「ありがとう。とっても参考になったわ。
 ところで、これは念の為に聞くんだけど、
 誰か『彫刻』が出来る人に心当たりはない?
 私の『力』じゃあ、ちょっと難しそうだから」

672朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』+妹:2024/05/15(水) 21:24:24
>>671
涙音「あの子は何なのかよくわからない子ですねぇ。
    鈴蘭を入れた食べ物とかを作ったりしてますし…」
鈴蘭は猛毒ということは知っている。
彼女はなんだか平気そうに見えたが。

涙音「そうなんですねー。そんなに何度も人付き合いを…
    あの子は結構友達が多かったりするのかもしれませんね。
    私はつい最近カフェで知り合ったばかりです。
    そこのマスターさんと結構仲良かったみたいですね…」
どこか羨ましそうな様子で答える。

涙音「毒にも薬にもなるか…
    ん、その言葉は…
    …たしかにそうかも知れませんね。」
かつて親子で言った決め台詞を思わせる言葉に
どこか恥ずかしそうな顔をする。

由楽「おねぇちゃん、いまのことばはなんだかいいことばです!
    キメゼリフにするべきです!」
涙音「その…まぁそうするかな…」
どうやら由楽は気づいていないようだ。
少し嬉しそうな顔で涙音が返事を返す。

涙音「参考になれたなら嬉しい限りです。
    …彫刻ができる人かぁ…私はそういうのやったことないですし、
    お母さんはそういうのが趣味ではないし…」
少し悩んだ顔をする涙音、そしてふと顔を上げる。

涙音「うーん、『人』じゃなかったら心当たりがあるんですけど…」
少し意味深な感じで涙音が答える。

673美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/15(水) 21:56:23
>>672

特に求められるのは『エラッタ・スティグマ』のような『精密性』。
それだけではなく『道具』も要るだろう。
例えば『刃物』のような物を持っているスタンドが適しているはずだ。

「それを探すのは私の仕事だから気にしないで。
 『知り合い』を当たってみる事にするから」

今の時点で該当するような人材は思い付かない。
しかし、『知り合いの知り合い』の中に見つかる可能性がある。
見込みがありそうな『知人のスタンド使い』に連絡してみる事にしよう。

「『人じゃない』…………?それって一体…………?」

涙音の言い方に違和感を覚え、その意味を聞き返す。
『夏の魔物』も人ではない存在だったが、そういう話ではなさそうだ。
心当たりがあると言うぐらいだから、コミュニケーションは成り立つのだろうが。

674朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』+妹:2024/05/15(水) 22:51:19
>>673
涙音「まぁ、分かりました。
    でも一応協力させていただきますね。」
由楽「ゆらは『ずこう』がとくいです!」
気をつかうかのように由楽も声をかけてくる。

涙音「ああ、その…私の知り合いにいるんですね。
    彫刻に関するスタンドを持っている人が…
    まぁその、人というよりも…『猫』なんですけどね」
思いついた知り合いというのはどうやら
『猫』のスタンド使いであるらしい。

涙音「確か名前が『ロダン』と言いましたか…
    毛が殆ど無い種類の猫なんです。」

675美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/15(水) 23:23:21
>>674

涙音と笑美の二人からは、既に『情報提供』を受けている。
その時点で十分な協力だ。
しかし、せっかくの厚意を受け取らないのは失礼に当たってしまう。

「あはは――もし見つからなかったら、由楽ちゃんにお願いするかもしれないわねぇ」

もちろん本気で頼むつもりはなく、あくまでも場を和ませる為のジョークだった。

「へぇ、『毛がない猫』…………。
 なかなか興味を引かれる耳寄りな情報じゃない。
 もう少し詳しい話を聞きたいところだけど――――」

          ソ ッ

ずっと腕に抱えていたカーネーションの花束を涙音に返す。

「長く引き留めるのも悪いし、私は行く事にするわ。
 二人からのプレゼント、喜んでもらえるといいわね」

          ニコッ

「今日は色々ありがとう。良かったら、またお話しましょう。
 あぁ、もし『アイドル』になりたがってる子がいたら教えてくれる?」

押し花を名刺入れに戻し、笑顔で涙音と由楽に手を振る。
特に止められなければ、そのまま歩いていくだろう。
『アクセサリー』の材料を買いに向かうようだ。

676朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』+妹:2024/05/15(水) 23:43:02
>>675
由楽「おまかせくださいです!」
と、胸を張りながら答える由楽。

涙音「参考にしていただけたなら幸いです。
    あの猫さんに会えたら良いですね。
   …腕前は保証します。」

やがて、花束を返してもらうとにっこり微笑んだ
涙音「ありがとうございました。
    色々お手伝いいただけたこと感謝します。」

由楽「アイドルですか!じゃあおともだちにきいてみます!」
涙音「はい、私もちょっと探してみますね。
    アイドルか…」
そういった跡で彼女に向けて微笑みかける。

涙音「それじゃあまたお会いしましょう!」
由楽「またおあいしましょー!」
二人は花束とケーキを手に取ると

「「じゃあまたー!」」
二人同時に元気な声で見送っていった

677美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/25(土) 21:58:03

フードコートの一角で、数枚の用紙と向き合っていた。
『本番』までに、この内容を覚えなければならない。
つまり、これは一種の『台本』だ。

「…………どうしたものかしらねぇ」

ふと『小林丈を捜して欲しい』という一抹の言葉を思い出す。
美作は『小林が今どこにいるか』を知らない。
しかし、『最後に行った場所』なら把握済みだ。
以前、朱鷺宮笑美に頼まれて、『電子カルテ』を調べた事がある。
その結果、彼が『旧病棟』に運び込まれた事実を掴んでいた。

(ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453646843/332-353)

少なくとも小林丈は生きているのだろう。
それを教えなかった理由は、美作自身が『情報の取り扱いに慎重だから』だった。
そもそも依頼されて行った調査であり、
依頼者の確認も取らないまま、安易にリークは出来ない。

「でも、頼まれたからには手伝わないとね」

情報は簡単に渡せないが、力を貸す事は出来る。
ただし、『魔法使い試験』を含めた『門倉派』の活動も疎かに出来ない。
諸々の仕事が一段落ついたら、また改めて考えてみよう。

「今は『こっち』に集中しないと…………」

テーブルの上には、ハンバーガー・フライドポテト・レモネードが置かれている。
ファストフードのセットメニューらしい。
ハンバーガーは『アボカドチーズバーガー』だ。

678美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/26(日) 17:33:02
>>677

台本をテーブルに伏せて、レモネードに口をつける。
まもなくハンバーガーに手を伸ばしかけたが、その途中で考えが変わった。
ポケットからスマホを取り出し、『門倉良次』に電話を掛け始める――――。

679美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/28(火) 05:59:39
>>678

遅めの昼食を済ませ、台本を手にして席を立つ。
ざっと暗記したが、まだまだ足りない。
形は違えど『アイドル時代』と同じ。
ただ上手く歌うだけではなく、感情を込めるからこそ訴求力が生まれる。
ここからは『表現力』の問題だ。

「門倉さんも楽しみにしておいて下さいね」

同じく『エンターテインメント』を志す彼の参戦は、一つの波乱となるだろう。
しかし、予想外のアクシデントは望むところ。
越えるべき『ハードル』は高い方が魅力的なのだから。


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