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【場】『 星見スカイモール ―展望楼塔― 』 その2

1『星見町案内板』:2021/02/26(金) 23:24:39
今世紀に建造された『東海地方』を対象とする集約電波塔。
低層エリアには『博物館』や『ショッピングモール』が並び、
高層エリアの『展望台』からは『星見町』を一望出来る。

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                 ミ三ミz、
        ┌──┐         ミ三ミz、                   【鵺鳴川】
        │    │          ┌─┐ ミ三ミz、                 ││
        │    │    ┌──┘┌┘    ミ三三三三三三三三三【T名高速】三三
        └┐┌┘┌─┘    ┌┘                《          ││
  ┌───┘└┐│      ┌┘                   》     ☆  ││
  └──┐    └┘  ┌─┘┌┐    十         《           ││
        │        ┌┘┌─┘│                 》       ┌┘│
      ┌┘ 【H湖】 │★│┌─┘     【H城】  .///《////    │┌┘
      └─┐      │┌┘│         △       【商店街】      |│
━━━━┓└┐    └┘┌┘               ////《///.┏━━┿┿━━┓
        ┗┓└┐┌──┘    ┏━━━━━━━【星見駅】┛    ││    ┗
          ┗━┿┿━━━━━┛           .: : : :.》.: : :.   ┌┘│
             [_  _]                   【歓楽街】    │┌┘
───────┘└─────┐            .: : : :.》.: :.:   ││
                      └───┐◇      .《.      ││
                【遠州灘】            └───┐  .》       ││      ┌
                                └────┐││┌──┘
                                          └┘└┘
★:『天文台』
☆:『星見スカイモール』
◇:『アリーナ(倉庫街)』
△:『清月館』
十:『アポロン・クリニックモール』
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前スレ:
【場】『 星見スカイモール ―展望楼塔― 』
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453647744/

141ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/06/11(金) 02:57:45
>>140

「うむうむ。熱中症には気を付けんとな」


レストランに行くところだったなど、これまた子供が知る由もない。
しかし、これから食事に行くところを撤回したとなると、お腹がすいてしまうのではないだろうか……


「しりとりじゃと?
 なんとなくは知っておるが、するのは初めてじゃな。
 『ん』から始まる言葉を言えばよいんじゃな?」


しりとりも満足にできたかどうか怪しいが、そうして時間は過ぎて行った。
この日、陽が落ちれば多少は涼しくなるのか?
何時までいるつもりなんだ? 熱帯夜だったらどうする?
そもそもそんな時間になったら家に帰れ。
夢見ヶ崎の空腹の行方は?
この後、2人がどうなったのか、それはいつか語られるかもしれない(語られないかもしれない)

142村田 瑛壱『ディズィー・スティック』:2021/06/15(火) 01:29:17
展望台から外を見やる。
少なからず、おれの闘いがこの平和を守ったのだと。
その事実を咀嚼しておきたかった。
『アリーナ』に所属するスタンド使いは増え、それによってまた、彼らの影響力は良くも悪くも増すだろう。

しかし、冬川の口ぶりから言って、あの組織も一枚岩ではないらしい。
さもなければ自分たちを指して『漣派』などと、派閥めいた言い方をするはずはない。
予測にしか過ぎないが『アリーナ』には複数の派閥が存在しているのだろう。

 「組織というのはそういうものってことか。
 『会社』や『学校』とさして変わりはねえ。」

冬川という男のことは信用に値するだろう。
しかし、未だ姿を表さない『上の連中』は?『他の派閥の連中』は?

浮いては消える思考と付き合いながら、街を見下ろしている。

143扇原映華『シルバーダスト』:2021/06/15(火) 20:21:35
>>142
「やはり、当初の計画通りに進めるしかないでしょう」

村田に声が聞こえるぐらいの距離で、『自然公園』の方を
手持ちの双眼鏡で覗きながら、スーツ姿の男が話している。

「素直に計画を進めた方が……いや、爆破はやはりマズいですよ」

声のする方を見れば、無線イヤホンをした男が
誰かと話しているのがわかるだろう。

――『左耳』を見たならば、軟骨にも開いた
ピアスホールを透明なピアスで維持しているのがわかるかもしれない。

144村田 瑛壱『ディズィー・スティック』:2021/06/15(火) 22:37:00
>>143
ピク ピク
「(…なんの話か知らないが…すげえ内容だな)」

とんでもなく物騒な台詞を吐いている男を横目で見やる。
額面通り捉えるならこいつは明らかに『危険人物』。
とはいえまさか、そんなコトをしでかすヤツがベラベラと喋るわけもなし…

 「(…『警備員』、呼びに行くか…)」

145扇原映華『シルバーダスト』:2021/06/15(火) 22:48:49
>>144
「いやいやいや、
 どうせ埋めなきゃダメなのわかってて言ってますよね?」

双眼鏡を覗き込んだまま、『左耳ピアス』の物騒な男は会話を続けている。

「下見したから大丈夫って、ビール飲んでただけじゃないですか。
 いや、一通り説明できますけど後始末はいつもこっちじゃないですか」

物騒な会話はどうやらヒートアップしてきたようだ。

「郊外って言ったってですね、こっちの自然公園から
 最寄りの生活圏までを考えると、どう考えても重機を」

       クルッ
                             「……あ」

双眼鏡を構えたまま、振り向いた結果、
村田とレンズ越しに目が合ってしまった。

146村田 瑛壱『ディズィー・スティック』:2021/06/15(火) 22:59:36
>>145
男と目が合う。目つきの悪い、高校生くらいの男だ。
明らかに怪訝そうな目つきで、そちらを見ているのがわかるだろう。

「…ごゆるりと…」

目線を切って、足早に警備員たちがいる方へ歩いていく。

147扇原映華『シルバーダスト』:2021/06/15(火) 23:13:19
>>146
人がいた。そういう気まずさの「あ」だったが、
村田の行く先に気づき、何を思われたかを察し――

「ま、待てッ!違う!合法だッ!
 産業廃棄物を吹っ飛ばしたりはしないッ!掘り起こすだけだッ!
 ただのしがない建築業だッ!ちゃんと名刺も有るッ!」

回り込んでその行く先を阻止しようとする。

148村田 瑛壱『ディズィー・スティック』:2021/06/15(火) 23:47:42
>>147

「…そうか。まぁ、あんたが何者かどうかはこの際どうでもいいが…
 このご時世に爆破だのなんだのと…表でいうのはどうかと思うぜ。」

歓楽街で何度か実際に爆破を行なっているおれが言うのもなんだが、
おれは実際に行っただけで、口にはしていない。
最早それを目撃した人間も口を割ることはできないし、棚にあげても問題ないだろう。

149扇原映華『シルバーダスト』:2021/06/15(火) 23:57:19
>>148
村田の言葉を聞いて息を細く長く吐いて、一安心する。

「これだけのどかな町であんな事を言っていれば、
 物騒だと思われても仕方なかったな。
 上司の無茶振りがくると、ヒートアップしてどうもいけないな」

今度は細く長い溜息を吐いて、額に手を当て、頭を横にふる。

150村田 瑛壱『ディズィー・スティック』:2021/06/16(水) 00:30:47
>>149
「歓楽街のゲーセンで、事故があったって話だ。
 老朽化してたそうだから、配線が燃えたとかなんとか。
 あんた業者なら、そういうとこ当たってみちゃどうだい。仕事になるかもしれないぜ。」

先だっての戦いで燃やしたゲーセンのことを思い出す。
施設がダメになったわけではないし、修理業者さえ入れば、まだ稼働するだろう。

 「あのあたりはよく行くんで言うんだが、そういう施設はかなり多いし…
 あんたらみたいなのからしたら、仕事は山ほどあるんじゃないか?」

151扇原映華『シルバーダスト』:2021/06/16(水) 00:58:50
>>150
「ああ……そんな話を上司がしていた気がするよ。
 まあ回ってくるとしても、ウチに直接じゃなくて本社からの下請けかな」

思ったよりものどかじゃ無かったな、と思いながら
仮に入ってきた時の仕事の段取りを
ザッと頭に並べた後――皮算用だなと思い直した。

「不景気だなんて言われてる中でありがたいことだよ。
 あとは上司が仕事に好き嫌い言わないで、
 建てる方もやってくれるといいんだけど」

152村田 瑛壱『ディズィー・スティック』:2021/06/16(水) 17:07:25
>>151
「『建てる方は面倒だから』…か?
 壊す方がよっぽど面倒ごとに見えるがね、おれには…」

ちらりと展望台の外…『歓楽街』の方に目線をやる。

 「一つ壊して済めばいいが、それだけで済めば世話はない。
 あれもこれもと、壊して捨てていくうちに、手元にゃ何も残らなくなる。
 そのうち自分の持ち物以外も…壊して回るのに躊躇しなくなる。
 …いや、ガキの戯言だ。気にしないでくれ。」

仕方のないこととはいえ、随分多くのものを壊した。物も、人も、絆も。
後悔はない。迷いもない。だが懸念はある。
倒した彼らと同じ存在に、いつか自分がなってしまったなら。
…見張りを気取ったおれのことを、一体誰が見張るのだろう?

153扇原映華『シルバーダスト』:2021/06/16(水) 21:53:42
>>152
「建てるためにただ壊すだけじゃ
 ダメだってのが、上司の持論でね。
 俺たちは歴史を壊して、歴史を建てるんだから、
 壊す方に気合を入れる奴が
 1人はいなきゃいけないって息巻いてるんだ」

村田の目線に釣られて、歓楽街の方を見やる。

「まあ、どこまで本気かはわからないけど、
 だからって何でも爆破解体を第一案にするのは
 やめてほしいところだね、ハハハ」

数々の無茶振りを思い浮かべながら、口元だけ笑っている。

154村田 瑛壱『ディズィー・スティック』:2021/06/16(水) 23:14:52
>>153
「…『歴史』か。確かにな。
 やりようが物騒でも、その言葉は本当なんだろうさ。
 出まかせで出てくる類の言葉じゃあないからな。」

何をするにも、『矜持』というものは人を支えるものだ。

 「ま、あんたはそれに振り回されてるらしいが。
 …『社会人』ってのは大変なんだな。
 理想や矜持だけで食っていけりゃ世話はなし、当然か。」

いずれくる自立の時を、目の前の男から想像して少しげんなりした顔をする。

155扇原映華『シルバーダスト』:2021/06/16(水) 23:29:35
>>154
「普通の上司よりかは、まあ愉快な人だから
 飽きなくはある。無茶苦茶な人だが、
 立場を笠に来るような女々しさも無いのは良いところだ」

苦笑を浮かべながら、双眼鏡を懐にしまい込む。

「霞を食べて生きていければ、
 こんな苦労も無いのかもしれないが、
 残念ながら、仙人としての素質は無かったみたいでね。
 汗水を賃金に替えられるように、頑張ってるだけさ」

スマホの時計を確認し、カレンダー機能を確認した。

「っと、そろそろ次の仕事だった。
 物騒な電話で勘違いさせて悪かった。
 次からはこっそりとやることにするよ」

156村田 瑛壱『ディズィー・スティック』:2021/06/17(木) 00:52:57
>>155
「おっと、そういえば『仕事中』か。面倒な勘違いして悪かった。
 おれが勘違いすることは今後ないだろうが…
 そうだな、『物騒な連中』が勘違いしないこともないだろうしな。」

苦笑に合わせるようにはにかむ

 「…アンタ、名前は?
 おれは『村田 瑛壱』。見ての通り学生だ。」

157扇原映華『シルバーダスト』:2021/06/17(木) 01:17:14
>>156
「『扇原映華(おうぎはら えいが)』だ。
 映画が華やかと書く。まあ、しがないサラリーマンだよ」

     「じゃ、これで」

回り込んで乱れた服装をスッと整えると、展望台を去っていった。

158りん『フューネラル・リース』:2021/07/11(日) 06:30:34
「言いたい事も言えないこんな世の中じゃ、ポイズン」

ショッピングモールの中を、歌いながら練り歩く10歳くらいの少女
何の事は無い普通の光景だが、変わった所があるとすれば

『頭に鈴蘭柄のエコバッグを被っている』という事だ

159りん『フューネラル・リース』:2021/07/12(月) 09:25:57
>>158
「すずらんちゃ〜ん… すずらんちゃ〜ん…
 でておいで〜… でておいで〜…」

りん「…」

エコバッグを被っていなければ見つかって研究施設に連れていかれて解剖されていただろう

    _
    \)    ()フ
     Y) (\/
     /    ̄Zフ
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       L<\/
        ヘ
       | \
       | |
       ロ/  (
   ___/Z/  <
  ∠___   n/
/\ ヘヘロ/ n_/
L |L_/ L/
`Ln/
    十ヽ -|-、レ |
    d⌒) /| ノ ノ

160飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』:2021/07/15(木) 12:16:18
茶髪を二つに結った少女が展望台から清月館の方向を見ていた。
どことなくその顔は物憂げで、悩んでるように見えた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「お姉ちゃん…」

お姉ちゃんには、まだ会えてない。
隣の部屋の子に聞いてみたら、お姉ちゃんは部屋からあまり出ていないようだった。
白い髪の男の子があの部屋を出入りしてるのはちょくちょくあるっぽいけど…。

「私は、会えたとしても…お姉ちゃんを越えられるのかな…」

『お姉ちゃんを越えたい』
いつから考えていたことなのか、どう越えたいのか、気付けば考えていたこと。
クソ親父よりも、お母さんよりも。
『半分同じ』で、あの二人よりもまともなお姉ちゃんを、私は越えたい。

思考はまだ続く。
赤月さんの言葉を聞いて、考えたこと。

>……お姉ちゃんが、『乱暴』な『アリーナ』の人に酷い目に遭わされたら。

もちろん、そんなことはないと思う。
お姉ちゃんは少なくとも『スタンド使い』じゃなかったから『アリーナ』に関わりがあるとは思えない。
それでもなにがあるかなんてわからないのが人生だ。

私は急がないといけない。
お姉ちゃんがまたどこかに行く前に。赤月さんのお兄ちゃんみたいに会えなくなってしまわないうちに。
私はお姉ちゃんを越えなければならない。

161りん『フューネラル・リース』:2021/07/15(木) 12:57:23
>>160
「おねえさんどうかしたの?」

飯田の隣から、悩んでいる飯田を心配するような声が聞こえた
それは、鈴蘭模様の入った白いワンピースを着た10歳程の
『頭に鈴蘭柄のエコバッグを被った少女』だった

162飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』:2021/07/15(木) 13:14:27
>>161

一人でつぶやいてたつもりだったから、ちょっと驚いた。
小学生くらいの女の子…かな?頭に変わった帽子?被ってるけど…。

「ごめんね、心配させちゃって…。
 ちょっとね、家族のことで悩んでて…」

163りん『フューネラル・リース』:2021/07/15(木) 13:31:14
>>162
「家族かぁ〜
 うちの家族、今みんな眠っちゃってるんだよね…」

そう言うながら、何か『小さな赤い果実』を食べるりん
飯田に知識があるかは分からないが、これは

           『 鈴 蘭 の 実 』 だ

「あっ、おねえさん良かったら食べる?」

そう言って頭のエコバッグを取る
すると、少女の頭には『 鈴 蘭 が 咲 い て い た 』

エコバッグからりんごを一つ取り出し、飯田に差し出す

「ほんとはうちの家族を食べてほしいけど、おねえさんにはこっちね」

164飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』:2021/07/15(木) 14:02:31
>>163

「ね、眠って…??
 よく眠る家族さんなの?」

聞きながら、変わった帽子をはずした彼女を見る。
頭に…花??『すずらん』みたいに見えるけど…。

「もしかして『姫リンゴ』…?
 『リンゴ』と『姫リンゴ』って家族みたいだもんね。
 じゃあ…もらってもいい?」

『うちの家族』って言葉には引っかかりを覚えたけど、美味しそうなリンゴが気になって受け取ろうとする。

165りん『フューネラル・リース』:2021/07/15(木) 14:23:24
>>164
「うん、うちの家族ねぇ〜
 春の間しか起きてられないんだ…
 ずっと起きてられるのうちだけから、ちょっと寂しい」

>じゃあ…もらってもいい?

「どうぞ〜、うちも食べたけど凄い美味しかったよそれ!」

飯田が受け取ったそのリンゴ、りんの『頭の鈴蘭の毒』が付着しているため
食べるとちょっと危ないのだが、りんは気付いていない

「あのさ、良かったらおねえさんの悩み、うちに言ってみない?
 うちが役に立つが分かんないけど、人に言ってみるとちょっとは楽になるかもしれないよ」

にっこりと朗らかな笑顔を浮かべつつも
「かかってこい」というようなオーラを出して飯田の悩み相談を受ける気満々な感じだ

166飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』:2021/07/15(木) 15:02:23
>>165

「春の間だけ…?
 確かに…それだと寂しいね」

……『家族』は春だけ戻ってくる仕事してるからそういう風に教えられてる…とか…?
よくわかんないけど…。

「ありがとう…。
 初めて会うのにこんな話すのは変だと思うんだけど…」
「私には…最近会ってない家族がいるんだけど、
 私はたぶん、その人に私を認めてもらいたいんだと思うの。
 でもどうやったら認めてもらえるのかとか、どうしたらいいのかとか全然わかんなくなっちゃって…」
「……ごめんね、変なこと言ってる…」

リンゴを手でもてあそびながら、私はその子の様子をうかがう。

167りん『フューネラル・リース』:2021/07/15(木) 15:27:06
>>166
赤い実を食べる手を止め、真面目な顔で飯田の声に耳を傾ける

「全然、変な事じゃないよ」

優し気な眼差しと声で、飯田に語り掛ける

「おねえさんは、その人の事が大好きなんだね
 好きな人には自分を認めてもらいたいって思うのは、当たり前の事だと思うよ」

一呼吸おいて

「うちもね、どうしても認めてもらいたい人がいるんだ
 認めてもらいたくて、いっぱい頑張ってるんだけどね、
 どうしたらいいか分かんないんだ」

どこか、自分と飯田を重ねているようだ

「おねえさんが認めてもらいたい人って、どんな人なのかな?」

168飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』:2021/07/15(木) 15:57:13
>>167

「大好き。……言われてみたらそうなのかも。
 好きじゃないって、嫌いだって今まで思ってたから…。
 なんだかそう言われると不思議な感じ」

お姉ちゃんのことは…『嫌い』だったはずだった。
妬ましかった。『半分同じ』なのに全然違う環境で育ったあの人が。
でも、改めて『大好き』だってラベリングされると…妙なことにしっくりきてしまった。


「がんばってるんだね、えらいね。
 えっと、認めてほしい人はどんな人?」

頭を撫でようと手を持ち上げて、下ろす。
花のアクセサリーがズレたら嫌だろうし、急に触るのもよくないなと思って。


「お姉ちゃんは…。
 優しい人だよ。料理もできて勉強も私よりできて、いろいろ教えてくれる。
 『私の境遇』を気にしないでいてくれる。優しい人」

私は片親で、クソ親父がいつも通ってくるから母親とクソ親父がそういう関係だって周囲には知られてた。
お姉ちゃんも知ってるはずで、なおのこと嫌っておかしくないはずなのに気にしないでくれてる。興味がないだけかもしれないけど。

「……気にされてないから私は『嫌い』だったのかも」

ぽつりとそう呟いた。

169りん『フューネラル・リース』:2021/07/15(木) 16:37:00
>>168
「本当に嫌いだったり、どうでもいいって思ってる人だったら
 『認めさせたい』なんて思わないよ」
「おねえさんのお姉ちゃんに思ってる『嫌い』は、
 『好き』だから、こっちを向いてもらえないイライラを
 『嫌い』って思っちゃうんじゃないかな?」

少し、ほんの少し考える間をおいて
再び語り掛ける

「えーっとねぇ〜…
 うちも、姉妹がいたような気がするんだ…
 どんな子だったか思い出せないんだけど…
 けど、うちは思うよ」

飯田の目を見て、真剣な表情で

「妹の事を気にしないお姉ちゃんなんていないよ
 貴方のお姉ちゃんは、きっと貴方の事を思ってるよ」
「貴方がどんな境遇かはうちは分かんないけど…
 自分の事を思ってくれるお姉ちゃんだから、貴方はお姉ちゃんが好きなんじゃないかな?」

そう言って、ほんの少し沈黙するりん

「ははは、ごめんねぇ、よく分かんないくせに分かったような事言っちゃってぇ
 うちの認めてもらいたい人はね、うちの事うち以上によく知ってて
 一緒にいると安心する優しいおねえさんなんだ
 うちはそのおねえさんにね、美味しい鈴蘭料理を食べてもらうのが目標なんだ」

170飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』:2021/07/15(木) 17:08:28
>>169

「うん、そうだね…。
 …私はお姉ちゃんのことが好き…」

私は小さく頷いて、その子の方に顔を向ける。
もしかしたらすこし目が潤んでるかもしれない、恥ずかしい…。

「お姉ちゃんは、思ってくれてる…。
 そうだったら本当にいいと思うし…そう信じたい…かも。」
「ありがとう、ちょっと答えが見えてきたかもしれない。
 『よくわかんないくせに』なんてそんなことないよ。
 本当にありがとう」

まっすぐ目を見て感謝を伝える。
ちょっと…この子の姉妹についても気になるけど、覚えてないってことは早くに別れたのかもしれない。
あまりつっこむのはやめておくことにする。

「優しくて素敵なおねえさんなんだね。
 『鈴蘭料理』ってどういう感じなの…?
 鈴蘭デザインのカップケーキ…みたいな?」

私は手持ち無沙汰に手でもてあそんだりしていたリンゴを一口かじってからそう問いかけた。
……リンゴって服とかで拭ってから食べた方がよかったんだっけ?

171りん『フューネラル・リース』:2021/07/15(木) 18:05:13
>>170
「えへへぇ、人間の役に立てたみたいで嬉しいな〜」

照れ臭そう頭を掻きながら
飯田の役に立った事が本当に嬉しいというような顔で言う

「えっとねぇ、『鈴蘭料理』っていうのは
 本物の『鈴蘭』を使った料理なんだけどぉ
 普通の人間には『鈴蘭』は食べられないんだよねぇ…」

本当に残念そうに、寂しそうに

「おねえさん達にうちの家族を食べて美味しいって言ってもらいたんだけどね…
 だから、うちはおねえさん達が食べても大丈夫な鈴蘭料理を研究してるんだ」

お前は一体何を言っているんだ?と言いたくなるような
毒殺宣言とも取れるとんでも発言をかますりん

>リンゴを一口かじってからそう問いかけた

とうとう、『毒リンゴ』を食べてしまった
それを口にしてしまった飯田は、吐き気や痺れ等の症状に襲われるかもしれない

172飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』:2021/07/15(木) 18:25:08
>>171

「『鈴蘭料理』…。その、鈴蘭って毒があtt」

……話している途中で急に吐き気が出てきた。
なんで!?お昼ご飯は…いつものように缶詰食べたし…。おなか壊すようなこと…いたたた…。

「ご、ごめんね!
 ちょっと具合悪くなっちゃって…ま、またね!!」

そう言って私はスカイモールのトイレに向かって走り出した。

173りん『フューネラル・リース』:2021/07/15(木) 18:41:58
>>172
「あ…」

慌てて走り去る飯田の様子を見て思い出す
おじさんが自分の鈴蘭の毒を舐めた時と同じ症状だ

ようやく、自分の渡したリンゴが毒リンゴと化していた事に気付く

「ごめんねおねえさん!
 すぐにリンゴ吐いて!緑茶も飲んで!
 それからすぐ病院に行って!」

もう聞こえないかもしれないが、大声で毒の対処法を教える

「うぅ…
 折角役に立ったのに…
 また人間傷付けちゃった…」

意気消沈としながら
頭にエコバッグを被り悲しい顔を隠して展望台を後にした

174ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/19(月) 21:48:55

「ちょっとそこを行く通行人さんよ。
 ケーキが欲しかったりせんか?」


モールの通路にある座椅子。
そのひとつが占拠されていた。
占拠主であろう金髪の女の子の言う通り、椅子の上にはケーキが並んでいる。


「ふーむ、売れんの……?」


やや手作りっぽいが美味しそうなケーキ。
ただし、むき出しだ。
冷蔵棚に並んでいるならばともかく、座椅子の上では印象は悪かろう。


「ちょっとそこの通行人さん……」

175『ニュー・エクリプス』:2021/07/19(月) 23:36:34
>>174

エッ子「おっ? おっ?
のりさん、ムーさん! サっちゃんも来てきて!
 ケーキ売ってる!」

城生「こんな所で? あっ、本当だ……おままごとより
本格的だね」

ムーさん「今日はそこまで暑い感じじゃないけど、
早めに食べないと腐るぞ」

朝山「おー! それじゃあ私達ニュー・エクリプスで
買い占めるっす! 幾らっスか?」

ワイワイと賑やかな女子高校生三人と、中学生らしい女子グループが
ナイのケーキに気づいて立ち止まった。

言い値で買い取ってくれるかも知れない。

176ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/19(月) 23:47:10
>>175

おままごとなら子供のする事と見てもらえる分、マシだろうが、
ヘタにちゃんと食べられそうなものが並んでいると逆に色々怪しいものである。
そもそもモール内の椅子で営業しているのがアウトだ。


「おお……いらっしゃいませ」


そんなものに興味を示す者も普通ではない。
一般通行人から見たら胡乱な光景だろう。
まあ、外見的に女子供の戯れで済むかもしれないが……


「わしは『交換屋』なので何かと『交換』じゃ。
 なんでもいい……とは言わんが……何か珍しいもの持っておるか?」


背負ったリュックから伸びた棒に垂れ下がった布をアピールする子供。
そこには『こうかん』と書いてある。現金のやり取りをするつもりではないらしい。
たしかに、商品の事を考えなければおままごとだ。
ちなみに抹茶ムースケーキ、アイスケーキ、餅パンケーキ、ミニアイスケーキがある。
アイスケーキはまだギリギリ溶けてはいないようだった。

177『ニュー・エクリプス』:2021/07/20(火) 00:35:44
>>176

エッ子「交換っ? それじゃーねぇ!
この『トランプ』と交換しよー! アイスケーキ貰っちゃうよ!」

そう、黄色い髪の明るい女子高生は『トーストトランプ』を差し出した。
普通のトランプでない、ちょっとおもしろいタイプの玩具だ。

ムーさん「ふーむ、それじゃあミニアイスケーキに私はしよう。
代わりに『防犯ブザー』をプレゼントだ」

そう、長身で少しダウナーな雰囲気の女子高生は
『防犯ブザー(防水 LEDライト付き)』を差し出す。

城生「面白いね、お金じゃなくて交換なんて。抹茶に私はしようかな
それじゃあ、これをどうぞ。家族の人と一緒に気を付けて遊んでね」

落ち着いた雰囲気の女子高生は『花火セット』を差し出した。

佐生「ふーむ! 餅パンに、それじゃあ自分はするっス!
それじゃー小さなケーキ屋さんに、これを贈呈するっスよ!!」 ドン!

少女は『パンチングミット』をドン! と置いた。

ムーさん「なんでそんなもんを持ってるんだ」

朝山「運動部に、色々お手伝いしてたら、もうあんまり使わないから
良かったらあげるって言われたんすよ!」

城生「さおちゃんは、色んな場所に顔を出すもんねー」

和気藹々とした女の子たちから四つの品物を貰った。

各自、美味しい美味しいと舌鼓を打ちつつケーキを食べるぞ!

城生「ねぇ、色んなものを交換して。何か欲しいものでもあるの?」

ナイに、一人の女子高生が興味本位で聞いてきた。

178ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/20(火) 00:56:41
>>177

「おお……大人気じゃな、一抹ちゃんのケーキ……」


その場でケーキを食べだす女子たち。立ち食いするには違和感のある食べ物だが……
いや、ケーキを置いていた椅子が空いたので座って食べてもいいが。


「パンの絵の束……?」

「防犯ブザーはもう持っておるが……まあいいか」

「これは……あれじゃ。火を付けると爆発するやつ……?」

「……? なんじゃこれは?」


子供は大喜び、というほどではないが、興味津々で品物を確認している。


「欲しいもの……?
 わしは『わらしべ長者』のようになりたいと思っておるが……
 つまり……そうなるために必要なもの……?
 なにか、こう……家? 金銀財宝? あと……俵?」


『パンチングミット』の片方に、小さな手を両方とも入れて囚人みたいになっていた子供は、
問いかけられて、悩みつつも答えを返す。
漠然とした夢らしく、昔話の成功者っぽいフワフワしたイメージだ。

179『ニュー・エクリプス』:2021/07/20(火) 01:28:34
>>178(次で〆ます)

>パンの絵の束……?

エッ子「トランプだよーっ、絵柄でお腹も空くから食事前に
遊んだら、御飯も何時もより倍楽しめるよー!」

>防犯ブザーはもう持っておるが

ムーさん「ライト付きだが、不満だったか。なら、プラスでこれも
渡そうじゃないか」

本当は、子供に余り渡すもんじゃないが。と『催涙スプレー』を
ナイに渡したぞ!

>火を付けると爆発するやつ……?

城生「うん、ロケット花火が多めだから気を付けてね」

>なんじゃこれは?

朝山「パンチをガードっス! どっかに取り付けて叩くのも
良いかも知れないっス! さいきょーの悪の首領になるには
パンチ力も鍛えないといけないから貰ったっスけど。ケーキも
美味しいし、これはフェアーな交換っスよ!」

>『わらしべ長者』のようになりたいと思っておる

城生「へー、わらしべ長者なんだ。
それじゃあ、最終的に大きな家を貰えたらいいねー」

ムーさん「大きな家か。ながい道のりだな」

エッ子「一攫千金で、なんか凄い化石とか手に入れたら
近道になるかもね!」

朝山「なんだったらニュー・エクリプスも協力するっスよ!
うちゅーとーいつ部は、不思議探検もしてるから。なんか
凄い拾いものをいずれするかもっスからね!」

女子グループは好き勝手に言いつつ、わらしべ長者を応援してる。
どうやら今後も、交換を出会ったらしてくれそうだ。

180ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/20(火) 01:44:58
>>179

「くれるのか?
 じゃあわしからはこれを渡そう。『交換屋』じゃからな」


『催涙スプレー』と引き換えに、リュックの中から出したのは、
食べ物が喜んでもらえそうと思ったのだろうか、美味しくて強くなりそうなビスケットだ。
パッケージに描かれた少年の生首が不気味である。
ケーキを食べたばかりという問題点はあるが、ケーキと違って持ち帰るのが容易なので大丈夫だろう。


「おお、応援ありがとう。
 しかし、悪のしゅりょう?
 そういえばエクリプスってワルモノの名を聞いた気がするの……
 お嬢さん方の名前? と似ておるな」


似た名前であるとは認識しても、その関連まで理解が及ばないらしい。
見た目的に小学校低学年くらいだろうか。
ニューという単語の意味を理解していないのかもしれない。


「……ぷしゅっ……んあ……
 中にずっといると寒いか……ちと外に出るかの」


唐突にくしゃみをする。
子供は夏らしく薄着だ(というかTシャツ一枚のように見える)が、
モール内は冷房が効いていて寒いくらいだ。
いったん店じまいをして日にあたりに行く気らしい。

181『ニュー・エクリプス』:2021/07/20(火) 11:25:13
>>180(お付き合い有難うございました)

朝山「そうそう! 自分たちはニュー・エクリプスで
とーーーーっても悪い存在として華々しく今後も星見町を盛り上げる
活動をしているんっス! 今日は近くのスイーツ店を網羅する悪の活動に
大忙しなんスよっ」

城生「大丈夫? 暑いからって余り薄着だと風邪ひいちゃうから
早く、家に戻って少し上着でも羽織ったらいいよ。
 あっ、佐生ちゃん。タオルあげたら? 汗かいたら直ぐに拭けるし
ちょっと寒かったら、巻けば丁度いいだろうし」

朝山「あっ、そうっスね! それじゃあ、今後も我がニュー・エクリプスを
宜しくと言う事で、タオルをあげるっス!
 交換はしなくていいっスよー」

そう、ナイへ首領は ニューエクリプスと刺繍してるタオルを渡した!

『それじゃー またねー!(っス)』

そして賑やかな女子四人組はスイーツ店へと手を振りつつ去っていく……いずれ
縁があれば、また会えるだろう。

182ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/20(火) 12:01:09
>>181

「悪い人たちじゃったか!」


悪さの内容はともかく、警戒態勢に入る子供。
しかし渡されたのはタオルだった。


「悪い……?」


刺繍まで!?
自分たちで縫ったのだろうか?


「う、うむ。ではな」


判断がつかないうちに、勢いに気圧され、そのまま見送った。
女三人寄れば姦しいというが、あのテンションに対抗するという点では難敵かもしれない。
しかも、これからさらにスイーツを食べるという。ある意味で恐るべき集団である。


「うむむ、寒い」


子供は、そんな悪の組織を思いながら、日を浴びにその場を後にするのだった。

183夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2021/07/29(木) 00:51:05

「なんか『みみよりなハナシ』とかないかな〜〜〜??」

スカイモール外のベンチに座っていた。
傍らには、両手に『メス』のような『爪』を持つ、
『盲目』の人型スタンド。
『超人的四感』の一つである『超聴覚』を駆使して、
『情報収集』を行っているのだ。
『アリス』は『不思議』を追うもの。
こうやって、日々『アンテナ』を張り巡らせているのである。

                    「おん??」

                クルッ

    「この『ニオイ』は――――――」

不意に『超嗅覚』がキャッチした『匂い』に反応し、
それが流れてくる方向を振り返る。

「『ソーセージ』のこうばしいカオリ…………。
 『ケチャップ』と『マスタード』…………」

            ビシィッ!

「――――ズバリ、やきたての『ホットドッグ』だ!!」

勢い良く立ち上がり、スタンドと共に『匂いの方向』を指差す。
遮蔽物の陰に隠れて見えないが、
事実そこには『ホットドッグのフードトラック』が停車していた。
キョリにして『300m』!!
ホウガクは『ナンセイ』!!
これは、かなりイイしょくざいをつかっているな……。

184ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/29(木) 22:44:27
>>183

「はひ、はひ……
 アリスちゃん、座るにしても、中の椅子にせんか……?」


別に遊ぼうとかいう約束があったわけではなく、偶然知り合いが居たので、だろうが、
特に何をするでもなく、一緒に横で座っていた。
というか暑いので活発に何かをする元気は無かった。
モールの外なので暑いのだ。


「焼きたてか、熱そうじゃな。
 アイスの屋台とかは無いのかの。
 まあ、わしは金なぞ無いが」


夢見ヶ崎の向いた方向に顔を向ける。
ベンチからは見えない位置だし、子供の感覚ではニオイもキャッチできないので、
顔を向けたところで何も確認できないのだが。

185夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2021/07/30(金) 04:58:28
>>184

「まぁまぁ、フェアチャイルド。
 アツいときにアツいモノをくうのも『オツ』なものだぞ」

         「よし――――――かってくる!!」

               ダダダダダダダダダダッ

言うが早いか、匂いの方向を目指して駆け出していく。
まもなくして戻ってきた手の中には、
『サルサチーズドッグ』を握っていた。
ピリ辛のサルサソースを使ったホットドッグだ。
パリッと焼かれたソーセージの上に、
たっぷりの野菜と共に乗せられている。
チーズもトッピングされていた。

       クン クン

「うーむ……『トマト』……『オニオン』……『ズッキーニ』……」

               ムッシャ ムッシャ

「それから『チェダー』と『ゴーダ』と『モッツァレラ』だな!!」

自分自身に『移植』した『超嗅覚』と『超味覚』を駆使し、
評論家並みの精密さでホットドッグを分析する。
だが、『辛いソース』のせいで、どうしても喉が渇く。
真夏の太陽の下にいるのだから尚更だ。

    「あぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ」

          ダンッ ダンッ ダンッ

せわしなく足踏みしつつ舌を出し、喉の渇きを訴え始める。

「なんか『ノミモノ』もってない??フェアチャイルド??」

『前回』と『前々回』の邂逅により、
色々と出せるらしい事は知っていた。
もしかすると『ミルクティー』とかもってるんじゃないか??
それか『ジンジャーエール』でもいいぞ。

186ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/30(金) 12:50:23
>>185

「アツいときにアツいものを……?
 そういえばテレビでもそんな事を言っておった気がするの」


駆け出していく夢見ヶ崎を見送る。
日陰のベンチから動く気は無いのだ。


「旨そうなにおいじゃが……
 いや、やっぱり良さそうにはみえんの」


近距離になったことで美味しそうなにおいが漂ってくるが、、
熱いし辛いしで大変だろう。子供は懐疑的な視線を向ける。


「うむ……まあ、アリスちゃんが良いなら良いか。
 そういうことなら、ほれ」


アツいときにはアツいものを、という言葉に理解を示した子供が差し出したのは、ココアだった。
まるで自販機から出てきたばかりというアツアツの『ホットココア』だ。
そもそもホットドックにココアが合うのか、という問題はあるが……
アツいのでハンカチ越しに持っているため、渡す前の段階では何の缶なのかは夢見ヶ崎には見えないだろう。

187夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2021/07/30(金) 19:31:03
>>186

「おぉ、きがきくじゃないか」

       スッ

満面の笑みで『ホットココア』を受け取ったが――――。

      「あつッ!!あっつッ!!」

思わぬ『熱さ』に、うっかり缶を落としかけた。
今が寒い時期なら丁度良かっただろう。
だが、この気温だ。
普段よりも余計に暑く感じられる。
おい、コロスきか??
いや、まて……いがいとコレはイイかもしれない……。
ためさずにモンクいうのはよくないぞ。

     カシュッ

           ズズズ…………

缶を開け、火傷に気を付けて熱々の『ココア』を口に含む。

       ムッシャ

続けて、ホットドッグを頬張る。

「――――『ビミョー』だな!!」

やっぱりナツは、つめたいモノにかぎる。
ダレだよ??アツいときにアツいモノとかいったヤツは??
ぜんぜんダメじゃねーかよ!!

「アツイしさぁ、『フェミレス』でもいく??おごるけど」

『フェミレス』とは『フェアリー・ミトン・レストラン』の略称である。
その名の通り、『妖精の世界』がモチーフになっている店だ。
決して『ファミレス』ではない。

188ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/30(金) 21:59:03
>>187

「……?」


目の前の光景をぽかんと口を開けて眺める。
「なぜアリスちゃんは急に一人コントを……?」
そんな言葉を実際には口に出さない理性が子供にも存在した。


「良いのか?
 わし、ふぇミレスに入るのは初めてじゃ」


そしてコントに続けて発せられた夢見ヶ崎の提案に、すんなり乗ってきた。
遠慮が無いのは、友達と認識しているからか、
あるいはなんでもいいからさっさと涼しいところに行くべきだ。というのもあるかもしれない

189夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2021/07/30(金) 22:33:44
>>188

「『ナニやってんだコイツ??』ってカオしてんなァ〜〜〜??」

      シュバッ

「こういうコトだァァァァァ――――――ッ!!」

              ――――ピトッ

『ドクター・ブラインド』で『ホットココア』を掴み、
缶の表面をナイの頬に触れさせる(ス精BB)。
まだ中身が残ってるし、この暑気で熱せられているので、
とりあえず『熱かった』事だけは伝わるだろう。
子供相手なので、ちょっと触れる程度にしておくが。

     「よし!!いざ『フェミレス』へ!!」

          ムグ ムグ ムグ

残ったホットドッグを口の中に押し込み、
噂の『フェミレス』に向かって歩き出す。

        ザッ

「――――『ココ』だぞ、フェアチャイルド」

そして、アリスとフェアチャイルドは、
『フェアリー・ミトン・レストラン』に到着した。
外観や内装からは、『御伽噺』をイメージさせるような、
ファンシーな雰囲気が漂っている。
店内は冷房が効いていて、とても涼しく快適だ。

    「で、ナニにする??」

          ビシッ

「わたしは『スペシャルストロベリーサンデー』!!」

メニューの一点を指差しつつ、
向かいに座るナイに注文を振る。

190ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/30(金) 22:58:07
>>189

「アアアアアア゛ー!」


避けられるわけがない!
大げさにダメージを食らった。
普段は外見だけ金髪青目で、日本に馴染んでいる感のある子供だが、
今回は外国人のリアクションっぽかった。


「……」

「わしはこれじゃあ!」


『ティターニアロイヤルジャンボパフェ』
『フェアリー・ミトン・レストラン』限定の、妖精女王の名を冠したやたら豪華なパフェである。
どうやら夢見ヶ崎のいたずらに怒っているらしく、
店に入るまでは不機嫌そうな顔をしていたのが、今はニヤリと口元をゆがめている。
「高そうなものを頼んでやろう」という魂胆らしい。
自分がこのパフェを食べきれるのかどうかという加減は分かっていなさそうだが。

191夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2021/07/30(金) 23:26:32
>>190

  ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド

こいつ……『やりやがった』……!!
『ティターニアロイヤルジャンボパフェ』!!
『自分の胃袋』や『人の財布』も省みずッ!!

        ザワッ…………

注文を受け取った店員の表情にも、にわかに緊張が走る。
食べ切れるかどうかに対する危惧だろうか?
それとも、作るのに手間が掛かるのが理由かもしれないが。

「――――なら、わたしは『コレ』だ!!」

           ビッ!!

注文をキャンセルし、
『オーベロンノーブルデラックスパフェ』に切り替える。
『ティターニアロイヤルジャンボパフェ』に劣らぬ、
妖精の王の名を与えられし豪勢な一品である。
財布は少なからず打撃を受ける事になるが、
ここで負ける訳にはいかない。
謎の気勢に後押しされた結果の行動であった。
心なしか、二人の横で、
店員の緊張感は更に高まっているように見えた。

「大変お待たせ致しました。
 『ティターニアロイヤルジャンボパフェ』と、
 『オーベロンノーブルデラックスパフェ』でございます」

          ドン! ドン!

やがて、聳え立つ二つの『パフェ』がテーブルに置かれる。

192ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/30(金) 23:40:11
>>191

夢見ヶ崎の正しい行動は、子供を止めるか……
あるいは、自分のパフェをキャンセルし、
子供とジャンボパフェを分け合う事だったはずだ。
だが、夢見ヶ崎は逆に! もう一つジャンボパフェを頼んだ!
愚行権……!
人には正しくない行動をする自由がある!


「なんかでかくないかの?」


早い……!
大変お待たせしましたと言いつつ、後悔する暇もなくパフェは運ばれてきた。
子供はまだのんきなことを言っている。
写真から大きさが想像できなかったのか、思ったより大きいなぁと思っているようだ。

193夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2021/07/31(土) 00:02:29
>>192

実際はそこそこ待たされたような感じだったが、
冷房が効いた店内でノンビリしていたので、
何だか早く来たような気がしたのかもしれない。

「――――デカイ…………!!」

        パシャッ

「これは『ヒマラヤ』なみにあるな……!!」

スマホを取り出し、テーブルの様子を写真に収めた。
二つのジャンボパフェが並び立つ光景は、なかなか壮観だ。
次の問題は、どうやって食べ切るかという事である。

       モグ モグ モグ

「さいきんどう??なんかオモシロいコトとかあった??」

       モグ モグ モグ

「アリスはさぁ、このまえ『しあい』みにいったよ。
 なんか『チケット』もらったから」

スプーンでパフェを崩しながら雑談を始める。
いつ果てるともしれぬ戦いが幕を開けた。
それは食という名の戦いである。

194ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/31(土) 00:13:28
>>193

「うむ? 食いにくいの」


デカいので座ったままだと手が届かない。
椅子の上に膝立ちになって食べる子供。


「おお、甘いの。
 わしは最近、花火とかしたぞ。
 凄い爆発すると思ってたんじゃが、そうでもなかったの」


パフェの美味さにご満悦なようだ。喜んで食べている。
とりあえず始めのうちは。


「しあいって戦うやつじゃろ?
 サッカーとかボクシングとかああいう感じの……
 何で戦うやつ見たんじゃ?」

195夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2021/07/31(土) 00:39:00
>>194

「『ハナビ』かぁ〜〜〜。そういや、しばらくしてないな〜〜〜」

         モグ モグ モグ

「じつは、このところ『カラダがなまってる』カンジがしてさぁ。
 『ボウケン』がたりないっていうの??」

最近、割と日常は穏やかだ。
スタンドをフル活用するような場面に出くわしていない。
やはり、ブランクが空くと、どうしても『カン』が鈍ってくる。

         モグ モグ モグ

「だから、これから『しあい』にでるまえに、
 『ヨシュウ』と『フクシュウ』でもしとこうかなって」

細かくは言わないが、概ねそんな所だ。
別に『アリーナ』でなくてもいいのだが。
ただ、同じような状況に出会ったとしたら、
やる事は一緒なので、参考にはなる。

         モグ モグ モグ

「フェアチャイルドは、そういうのない??
 なんか『ボウケン』みたいなの」

196ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/31(土) 00:51:52
>>195

「ヨシューフクシュー?
 よくわからんが、アリスちゃんが『しあい』にでるのか?」


この子供、学校に行っていない。
そのためか予習復習という言葉がよくわからないらしい。
情報源であるテレビでも、あまり頻出する単語ではないのだろう。


「冒険する競技ということか?
 わしは別に冒険はしておらんが……
 毎日が冒険のようなものと言えばそうかもしれん。
 森とか湖畔の方に行ったりもするしの……いや、最近は暑いからあんまり行かんが……」


ホームレスの人は毎日がサバイバルです。みたいな事を言う。
学校も行かずにうろついているのだから、そうと言えばそうなのかもしれないが。


「ふぅ……」

197夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2021/07/31(土) 01:17:19
>>196

「まぁ、そんなトコだ!!いま『2しょう』してるぞ!!」

「『つぎのよてい』は『みてい』だけど」

       モグ モグ モグ

そもそも『アリーナ』の試合に参加したのは興味本位であり、
特に戦いたかった訳ではない。
しかし、試合以外にも、
『アリーナ』からの仕事を引き受けた事もある。
パイプを保っておく事は、
『未知の不思議』を見つけるきっかけにもなるのだ。

「『まいにちがボウケン』かぁ〜〜〜。
 フェアチャイルドも、なかなかやるもんだな」

       モグ モグ モグ

ナイの生活は詳しく知らないが、何となく察する部分はある。
毎日が冒険という言葉にも説得力があった。
それを敢えて口にはしないが。

「どうした??フェアチャイルド??」

さっきからスプーンを動かし続けているが、
自分でさえコイツは手強い。
フェアチャイルドには、さすがにキツいか??
ギブアップか??

198ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/31(土) 01:31:34
>>197

「2勝とな!
 アリスちゃんは強いんじゃな」


何戦2勝なのか、そもそも何の試合なのか、
子供視点では詳しい話がまったくわからないが、
なんか勝ってるらしい=強い。という単純な計算だ。


「うーむ。
 アリスちゃん、こっちとそっち、交換せんか?」


子供は何かを悩んでいる風だったが、夢見ヶ崎が話を促すと、
ティターニアとオベローンのトレードを申し出た。
ただ、「そっちも美味しそうだからちょっと交換しない?」というキャピキャピした感じでは無い。
ちょっとさすがにつらくなってきたけど、味を変えればまだ食べられるんじゃないか?
という切実さが感じられる頼み声だ。
そもそも豪華ジャンボパフェが色んな食材や味付けを楽しめる一品なのだが。

199夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2021/07/31(土) 01:51:49
>>198

「そうじゃろう、そうじゃろう。
 『バッ!!』とやって『シュッ!!』だしな!!」

          「フハハッ!!」

褒められて悪い気はしないので、高笑いで答えた。
気分は鼻高々だ。
このままハナをのばしていけば、
いつか『クレオパトラ』になれるかもしれない。
ゆくゆくはセカイをうごかして『ふしぎのくに』をつくろう。
ユメがひろがるぞ。

「ほうほう、ワルくないとりひきだ」

「よし、コーショーセイリツだな」

       ズイッ

『味変』は食道楽の基本テクニック。
取引に応じ、『ティターニア』を引き取る代わりに、
『オーベロン』を差し出した。
『妖精の王と女王のトレード』というと、何だか物凄そうだが、
実際は『パフェの交換』である。

「あとは…………なんか『かわったモノ』とかみてない??
 『かわったヒト』でもいいけど」

      モグ モグ モグ

『ティターニアロイヤルジャンボパフェ』をつつきながら、
『情報収集』を続行する。

200ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/31(土) 02:04:39
>>199

「こっちはチョコが多めじゃな」


ティターニアはフルーツが多めでカラフルな感じ、
オベローンは全体にチョコがかかっている。そんな感じだ。
ていうか2種類もジャンボパフェをメニューに置くな。


「変わったもの、か。
 ふぅ〜む?
 別段、思い当たらんが……」

「そういえば、『エクリプス』って知っておるか?
 わしはよく知らんが、なんか悪い奴ららしいの。
 それと関係あるのか知らんが、この間、『ニュー・エクリプス』とかいう女子達に会っての。
 ケーキを食べた後にスイーツを食べに行っておった。
 あの子たちならこのパフェもぺろりと食べてしまうのかもしれんの」

201夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2021/07/31(土) 02:29:58
>>200

「『エクリプス』――――」

     ムシャ ムシャ ムシャ

その名前は聞いた事がある。
どんな連中かも知ってる。
再現された『亡霊』ではあるが、戦った事もある。

「フェアチャイルドもきをつけろよ。
 『アブないヤツら』だから」

「でも、『ニュー・エクリプス』はあぶなくないぞ。
 おもしろいし!!」

そして、『そっちの方』も覚えがあった。
だいぶ前の事だが、『いつかのパーティー』で出会ったのだ。
会場内で、一緒に踊りまくっていたような…………。

「わたしらは『ニュー・エクリプス』ッス!!
 にちや『アクのかつどう』にいそしんでいるッス!!
 『わがそしき』にはいれば、
 いまならオリジナルグッズもプレゼントッス!!」

      ムシャ ムシャ ムシャ

「――――こんなカンジだった??」

記憶を辿り、『朝山の口調』を思い出す。
大体近い――と思う。
会った回数が少ないので、曖昧な部分はあるが。

202ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/31(土) 02:47:40
>>201

「なんじゃ知り合いか?
 わしも悪そうには見えんかったが、
 でも自分たちで悪の組織って言っておるということは……
 つまり、どういうことじゃ?」


パフェには量だけでなく、時間の問題もある。
アイスが溶けてくるのだ。
子供も頑張って食べているが、その食べるペース自体が遅くなっている。


「ふう。
 ああ、そうじゃ、わしもタオルを貰ったわ。
 わざわざ『ニュー・エクリプス』と刺繍がしてあったの」


『交換』したわけではないのでタオルは量産できないが。

203夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2021/07/31(土) 03:07:38
>>202

「いや、わたしもショージキよくわからん」

       ムシャ ムシャ ムシャ

「つまり――――きにすんなってコトだ!!」

朝山は顔見知りだが、
『ニュー・エクリプス』については詳しくない。
分かるのは、悪人ではないという事くらいだ。
それ以上は分からないし、特に知ろうという気もなかった。

        「タオル??」

まぁ、朝山のやりそうな事ではある。
色々とヘンなヤツだが、害はない。
もらったタオルとやらも、真っ当なモノなのだろう。
わたしもほしいぞ。
アンケートにこたえたらもらえるかな??

       ムシャ ムシャ ムシャ

                   カキンッ

「フェアチャイルド!!『ソコ』がみえたぞ!!」

スプーンの先が、器の底に当たった。
長い戦いの末に、
『ティターニアロイヤルジャンボパフェ』を攻略しつつある。
『アリス&フェアチャイド:パートⅢ』も、
ぼちぼちエンディングが近い……のかもしれない。

204ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/31(土) 03:25:54
>>203

「まあ、そうじゃな……ふゅ……」


夢見ヶ崎に比べ、子供は苦戦しているようだった。
許容量の小ささもあるが、それを言ったら夢見ヶ崎だって
先んじてホットドックを食べココアを飲んでいる。


「くっ」


器がデカく、座ったままだとうまく食べられないので、膝立ちで食べていた子供だが、
さらに中身が減ってくると、器に腕を突っ込んで掬わなくてはならない。
これが中々重労働だ。
しかも、溶けてきたせいで、スプーンでは食べられなくなってきている。


「はあはあ」


こうなれば、器を直接持って溶けたパフェを飲むしかあるまい。
空だったとしても重たいジャンボ用の器に、子供の細腕がプルプルと震える。
膝立ちの不安定な姿勢が見るものに不安を与える。

                               グラッ

205夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2021/07/31(土) 03:49:52
>>204

実は、合流する前からあちこち走り回っていたので、
腹が減っていたのだ。
ホットドッグとココアで多少は埋まったものの、
まだ幾らかは余裕があった。
そのために、恐るべきジャンボパフェを、
完食近くまで持っていく事が出来たのだ。

      「――――――ッ!!」

これは『アレ』だ。
まちがいなく『アレ』だな。
だが、モンダイはない。

「『バッ!!』とやって『シュッ!!』だ!!」

        シュババッ

スピードと精密さを活かし、
『ドクター・ブラインド』でフェアチャイルドを支える。
非力なスタンドだが、子供くらいなら何とかなるだろう。
あと器もあるが、多分大丈夫だ。

         チョンッ

ついでに『超人的触覚』と『超人的味覚』を『移植』。
『超触覚』の方は、前にやったように、
『何となく器用になるんじゃないか??』という感じだ。
『超味覚』は、味覚を『鋭敏化』する事で、
『味変』と同等の効果を与えようという意図だった。

「がんばれフェアチャイルド!!
 ウチらの『ショウリ』はちかいぞ!!」

      ムシャ ムシャ ムシャ

スタンドで支えつつ、自分の『ティターニア』を『完食』した。
『妖精の女王』を制したのだ。
残るは片割れである『妖精の王』のみ――――。

206ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/31(土) 03:59:06
>>205

「〜〜〜!」

            ガシィッ!


『ドクター・ブラインド』の的確なサポート!
支えるだけでなく、能力も使用し、子供を助ける。


「もが……」


さすがに一気飲みはつらい。
だが『ドクター・ブラインド』に支えられているため今更やめることも出来ない。


「……はひ、はひ」


『完食』!
瀕死だ。お腹いっぱいなのもあるが、一気飲みで物理的に酸欠になったのもある。

207夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2021/07/31(土) 19:35:22
>>206

長きに渡る戦いの果てに『妖精の王』は倒れた……!!
『王』と『女王』を制したのは『アリス』と『フェアチャイルド』。
二人のコンビネーションで『妖精の国』を制覇したのだ!!
食った!!
『フェミレス編』完ッ!!

「フェアチャイルド、しぬんじゃないぞ!!
 このたたかいがおわったら、
 『こきょうにかえる』っていってたじゃないか!!」

『ドクター・ブラインド』でフェアチャイルドを抱え、
席を移動する。
横になれる場所に横たえさせておこう。
小さい子供だし、店側も文句は言うまい。

        ――――スッ

伝票を取り上げて、『金額』を思い出した。

        ドサッ

そしたら何か気が遠くなったので、
フェアチャイルドと一緒に横になる。

「じつは、わたし…………
 このたたかいがおわったら、
 『レストラン』はじめるんだ…………」

「『みせのナマエ』は…………そう…………」

かくして、『アリス・イン・ファンタジーキッチン』の
一号店はオープンした。
同時に、ライバル店との熾烈な生存競争が幕を開ける。
次回『キングとクイーン』にご期待下さい!!

208ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/31(土) 19:50:36
>>207

「故郷とか知らんし……」


運ばれつを何か言う。
人には触れちゃならん設定があるのだ!
いや、いいけど、そこはシリアスな領域なのだ!


「トホホ〜
 もうジャンボパフェはこりごりじゃよ〜」


どこかで見たアニメの真似か、夢を見ているのか、そんな言葉が漏れた。
2人はうわごとを言いつつフェードアウト。
レストラン激闘編 『完』!

209関 寿々芽『ペイデイ』:2021/08/03(火) 02:30:04

         スタスタ

           …ピタ

モールで買い物をしていた時、
サマーグッズのコーナーで足が止まる。

「海開き……」

去年の水着はもう入らなくなったのだが……
そもそも関にはプールに行く機会自体が少なく、
海に行くとしても多くは釣りが目当てだった。
財布の紐を緩めるかどうかは悩み処だ。

他人からは、ショーケースに縋り付き、
楽器を眺める少年のようにも映るかもしれない。

210ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『ディスタント・ラバー』:2021/08/03(火) 21:55:43
>>209

「……」


ぺたぺたとサイズの大きいサンダルを履いた金髪の子供が
通りかかった……のが、ショーウィンドウに映り、関の目に入った。


「ん?」


子供も関に気づいたのか、近寄ってくる。
しかし関本体より関が何を見ているのだろうか?ということに意識がいったのか、
二、三度、関とショーケースを見比べ、
そのまま横に並んで、一緒にショーケースを眺めだした。

211関 寿々芽『ペイデイ』:2021/08/03(火) 23:40:13
>>210

「…………あらっ」

関の視線の先には『水着』を着たマネキンの他、
ビーチバッグやファミリーサイズの浮輪など、
海遊びのグッズが並んでいる。

そこから視線を外して、子供に視線を向けた。

「ユキシラさん、こんにちは。
 なんだかお久しぶりですねえ。
 今日は……モールでお買い物ですか〜?」

こちらから近寄る前に話す距離になったので、
その場で少しだけ姿勢を屈め、話し掛ける。

212ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『ディスタント・ラバー』:2021/08/03(火) 23:51:08
>>211

「うむ? こんにちわ」


あいかわらず大き目のシャツをワンピースのように着ているが、以前と違い、女物のようだ。
背負ったリュックからは竹刀が突き出ており、張り合わされたハンカチに『こうかん』と書かれている。


「すずめちゃんは風船を買うのか?
 わしは買い物はせん。
 金を持っておらんからの」


ショーケースは浮き輪に注目したようだ。
イルカやサメ型の浮き輪は確かに子供の関心を惹きそうである。
ただし浮き輪と風船の区別があまりついていないらしい。

213関 寿々芽『ペイデイ』:2021/08/04(水) 00:16:49
>>212

「えっ、風船? ……ああっ、浮輪ですか〜!
 そうですねえ、あの浮輪もかわいいですけど、
 あれじゃあなくって、水着を見てたんです〜」

一瞬なんのことやらと思ったが…………
ナイの視線を追えば、風船が何かは分かった。

「去年着ていた物が着れなくなったので……
 ただ、私もお金はそんなに無いので、
 買うかどうかは迷ってたんですけどねえ」

それからナイの姿を足先まで見て。

「あら……そのお洋服、よく似合ってますよう。
 それにその竹刀も。新しく交換したんですか〜?」

なんとなく小綺麗になったな、と思った。
交換がますます進んだ、という事だろうか。

214ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『ディスタント・ラバー』:2021/08/04(水) 00:34:10
>>213

「ほう、水着。
 この下着の……見た目が細かくないやつのことじゃな」


下着と水着は似ている。布面積が。
そして下着は装飾がついているが、水着は比較的シンプルだ。
そのくらいの認識らしい。


「うむ。この服は『交換』したものじゃ。
 なので濡れても新しく出せばよい。
 つまりわしは水着は無くても大丈夫ということじゃな」

「この、これは……あれじゃ、広告? 看板? の旗じゃ。
 『交換』って書いてあってわかりやすいじゃろう」


自慢げに、子供がその場でくるりと回ると、シャツと金髪がひるがえった。
髪の毛が関に当たって1ダメージくらい入ったり、
回転したはいいが、その後よろけてショーウィンドウに体を軽くぶつけたりしているが。

215関 寿々芽『ペイデイ』:2021/08/04(水) 01:18:44
>>214

「ふふふ……確かに見た目はそうですねえ。
 刺繍とかも入ってないですし。
 でもああいうのだけじゃあなくって……
 ほら、あれなんて普通の服みたいでしょう〜?」

        スッ

「私はああいう方が好きですねえ」

ざっくりとした理解を微笑ましく思いつつ、
ほぼ服に見えるワンピース型の水着を指し示す。

「あっ! ちょっと、危ないですようユキシラさん」

       トトッ

「竹刀も、どこかに引っ掛かりそうで……
 たしかに看板には便利そうなんですけどねえ」

よろけた体をやんわり支えつつ、
『交換』の二文字に視線を向ける。

「ううん、ユキシラさんの能力なら、
 そうすれば濡れても平気ですけど……
 それだとちょっと、泳ぎにくそうですねえ。
 それにしても……ユキシラさんも、
 海とかプールにはよく行くんですか?」

水着の役割は濡れることだけでなく、
泳ぎやすさという面もある。
ユキシラが泳げるのかはまた別の話だが……

216ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『ディスタント・ラバー』:2021/08/04(水) 01:27:34
>>215

「おとと……すまん」


服はとりあえず1着手に入ったが、靴は大きいサイズしかない、というのもコケやすい原因だ。
今日はサンダルだからまだマシだが。


「海は時々貝殻とか石とかを拾いに行くの。
 プールはいかん。金が無いし」


泳いだことはあまりなさそうだ。
この町に無料プールとかあるのだろうか?


「じゃがわしはもう長者じゃからの!
 プールも出せるぞ」

217関 寿々芽『ペイデイ』:2021/08/04(水) 01:48:49
>>216

「いえいえ〜。足元気を付けてくださいねえ。
 こけちゃったら危ないですから……」

ユキシラがバランスを取れたら、手を離す。
やはり、放って置けない感じはする。

「あぁ、そうなんですねえ。
 私も、『魚釣り』とかはしに行きますけど、
 泳ぎはあまり……だから、買うのを迷ってて。
 市民プールも意外とお金が要りますし………….」

買ったとしてもあまり着る場が無いなら、
それは無駄な買い物になりかねない。
とはいえ欲しくないわけでないのだが……

「…………えっ!?
 ぷ、プールって……ああ! ああいうの、ですか?」

          スッ

少し離れたところにある、
子供用のビニールプールコーナーを手で示した。

「それともまさか……わらしべ長者みたいに、本物を?」

ユキシラは底知れない。あり得なくは無いが……

218ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『ディスタント・ラバー』:2021/08/04(水) 02:05:44
>>217

「金か……わしに案がある……が、それはひとまず置いておいて。
 あんなのではないもっと深いやつが出せるぞ」


金が無いのに長者を名乗るのは、間違っている気がするが、何か腹案があるらしい。
忘れなければ披露してくれるだろう。
店の前で商品のビニールプールをあんなの呼ばわりしながら、話を進める。


「ふふん、特別に見せてやろう。
 これがわしの『屋敷』じゃ!」

                     もっ


っと、床に現れたのは、豪邸だ。庭にはプールがある。
プール付き豪邸……のミニチュアだ。


「凄いじゃろう。
 『入っ』てみるか?」


入れるらしい。
またしても自慢げな子供。
ただし、どうやらこの『屋敷』。実物……というか実体化スタンドのようだ。
そしてここはスカイモールの店の前だ。通行人も普通にいる。

219関 寿々芽『ペイデイ』:2021/08/04(水) 02:20:11
>>218

「ええと、深いやつ……というと――――」

幸いにしてビニールプールを売る店の店員は、
家族客の相手をしておりこちらに気付いていない。
気付いていれば果たしてどうなったか…………

「まあっ……!? これ……は。お家ですか?
 こういう『スタンド』を交換して貰った……
 っていうわけじゃ、ないですよねえ〜?
 あ、見せてくれてありがとうございます」

今までのユキシラの能力とは明らかに違う、
謎めいた『ミニチュア豪邸』――

「入る……この家に、私達が、ですか?
 そういう能力なのはなんとなく分かりますけど」

これがおもちゃではないのは分かる。
ナイの能力の隠された一面なのか、
それとも、『新たな一面』なのか。

「でも……ここでは、どうなんでしょう〜?
 私もユキシラさんも入っちゃったら、
 おもちゃのお家と思って、誰かが片付けちゃうんじゃ……」

通行人は無視するかもしれないが、
モールには清掃員なども巡回している。
そうなると、どうなるのだろう……気にはかかる。

220ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『ディスタント・ラバー』:2021/08/04(水) 02:46:59
>>219

「んー、固定されてるから捨てられはせんじゃろ」


子供が手で『屋敷』をぐいぐい押すが動く様子は無い。
床に置いてある、といより、生えているらしい。
家なので基礎が打ってあるというべきか。
とりあえず勝手に片付けられることはなさそうだ。
不審物ではあるし、注目はされるかもしれないという問題は解決していないが。


「入らんのか?
 ……まあ、プールがあっても、水着も買っていないしの」


入れば新体験なのだろうが、実際、入った後の事を考えると、特にする事は無い。
もちろん関が豪邸を堪能したいとか、服のままでいいから、あるいは全裸でプールを楽しみたいというなら、
入れてと言えば入れてくれるのだろうが。

     チョコチョコチョコ

ミニチュアの『屋敷』の庭にはメイドっぽい小さいのがプールへ向かって歩いている。

221関 寿々芽『ペイデイ』:2021/08/04(水) 03:09:42
>>220

「あぁ、そうなんですねえ。
 それなら、そこのところは安心ですね」

動かない屋敷を上から眺める。

「ううん、この服で泳ぐわけにも行きませんしねえ。
 水着を買って……も、やっぱり、お外ですし、
 ……どこか人目の無い所なら素敵なんですけど〜」

ここが誰も見てない場所であるとか、
着替えを持って来ているとかなら、
プール遊びもやぶさかではないが、
いかんせんモールの真っ只中だ。

「そうですねえ、泳がなくても、見学だけなら……」

厚意に応えたい気持ちと、一般常識の狭間で、
逡巡しながら『家』を見ていたが…………

「……あら? …………?
 ユキシラさぁん、今何か中で動きましたけど、
 もしかして、もう誰かを入れてるんですか〜?」

発現したばかりなので無いと思うが、
確かに中を歩く人影らしきものが見えたのだった。

222ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『ディスタント・ラバー』:2021/08/04(水) 03:26:47
>>221

「? プールも海も外じゃろう」


どちらかというと、ここはモールの中なので、屋内だ。
そういう問題ではないのだが。


「おお、これは『ディスタント・ラバー』さんじゃ。
 『屋敷』に住んでおる。
 ほれ、すずめちゃんに挨拶せい」


               チョコチョコチョコ

小さいのは、豪邸に合わせたのかメイド服を着せられているが、『屋敷』と違い非実体のようだ。
つまり大きさはともかく普通の人型スタンドと言える。

        ガッ
                          バシャバシャバシャ 

「あっ」


『ディスタント・ラバー』さんは関によく見える位置に近づこうとしたのか、
というか子供がそう動かしたのか、プールに近づくと、そのままプールに落ちた。
操作に失敗したらしい。


「……ところで金なんじゃが、わしは金は増やせないんじゃが、
 金の入った財布は増やせるらしいんじゃ」


子供は『屋敷』を解除すると、何事も無かったかのように話し始めた。

223関 寿々芽『ペイデイ』:2021/08/04(水) 03:51:50
>>222

「ま、まあそれは、そうなんですけどお〜…………」

反論に窮する関。
そういう問題ではないのだが、言葉に迷う。

「ああ。この人も『スタンド』なんですねえ。
 わざわざありがとうございます、
 『ディスタント・ラバーさん』……初めまし」

           「――――わっ、落ち」

「あっ……」

かわいそうなので助けてあげて――――――
と言うより早くいなくなってしまった。
いや、『無くなってしまった』というべきか。
とはいえ、再発現すれば問題は無いのだろう。

「……えっ、あ、へえ〜〜〜。そうなんです……え!?」

突然の事態に困惑している所に、更なる困惑が襲い掛かる。

「そ、それって……お金を無限に増やせるってこと、ですよねえ?」

そうとしか思えないが思わず口に出して聞いてしまう。
それから、周囲を二、三回見渡した。

「あのうユキシラさん。その話……私以外の人に、しちゃったりしました?」

224ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『ディスタント・ラバー』:2021/08/04(水) 04:11:00
>>223

「そうじゃな。
 財布、というか、金単体ではなく何かの一部なら良いらしい。
 例えば、『交換』した服のポケットに金が入っておったとか。
 そもそもなんで金は交換できんのかよくわからんが」


肯定しつつ、首を傾げる。
本人にもよくわからないスタンドのルールらしい。


「この話をするのは……んー、すずめちゃんが初めてじゃったと思うが……?
 まあ、すずめちゃんが協力してくれればすぐ大金持ちじゃ。
 いくらでも良いが、この貝殻と交換でどうじゃ? なんか裏側が虹色で綺麗じゃろ」


言うまでも無く、お金の偽造は重罪だ。
紙幣と違って、硬貨ならばバレないのだろうが……

225関 寿々芽『ペイデイ』:2021/08/04(水) 18:30:01
>>224

「あのう、その……それは…………………………」

いけない事ですよ、と即座に言い切れず、
関の頭の中に多くの可能性が渦巻いては消える。
彼女の能力は、自分の能力以上に世界を変える。 
その力を独占すれば全ては逆転するかもしれない。
悪に手を染めれば決定的な破滅が来るかもしれない。

「よッ……良くない気が、します。
 これから先も、私以外の人には……
 すごく信用できる人以外には、
 話さない方がいい気が……しますよう」
        
       「だって……危ないから」

ユキシラが危険な目に遭うかもしれない…………
その理由を浮かべて初めて否定することが出来た。

「お金を無限に出せるなんて、もし有名になったら、
 ……みんながユキシラさんの事を狙ったりして、
 きっと、とっても危ない事になっちゃいますから」

無限の金を得られるのは彼女にも得な事だし、
能力で出来ることをやるなという権利は無い。
ここではない何処か、いつか、誰かが、
彼女にそれを持ち掛けるのも容易に想像がつく。

           だが・・・

「今までの物と違って、お金は、
 何にでもなっちゃいますから」

あるいはそれは自分の保身なのかもしれない。
つまり、ユキシラをより危険な領域に進める、
その背を押す存在になる事を避けている……と。

「私は……………だから、お金の交換はしませんよう」

いずれにせよ、今選んだ言葉はどれも、
危ういユキシラに言い聞かせる以上に、
自分自身を制止するために膨らませた善性だった。
嘘ではないが、全てが本当ではないという事だ。

226ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『ディスタント・ラバー』:2021/08/04(水) 22:26:06
>>225

「危ない?
 ……ふうむ、ふむ。
 なるほど。そうかもしれん!」


眉根を寄せて一瞬考えた子供は、納得した様子を見せる。
物分かりがいいようだが、考えたのが一瞬すぎて逆に本当にわかってるのか怪しい。


「すごく信用できる人以外には、すごく秘密にした方がいいかもしれん。
 とりあえずはすずめちゃんとわしの秘密ということに……」

「うん?」

「……ええ? なんでじゃ?」


と、お金の『交換』を秘密にするところまでは理解したようだったか、
関が『交換』しない。というのは理解できないようだった。


「うーーーん、よくわからんが……まあ……嫌なら……仕方ないんじゃが……」


とはいえ、しぶしぶ引き下がる子供。本当に理解できない様子で不本意そうにだが。
『交換』はあくまで双方の合意があってのもので、無理強いするものではない。
という基本姿勢があるのかもしれない。


「しかしすずめちゃん、どういうやり方なら金を手に入れていいんじゃ?
 何か他に方法とかあるかの?」

227関 寿々芽『ペイデイ』:2021/08/05(木) 01:28:11
>>226

「ど、どう…………って、それは………………」

答えに窮する。
関の感覚ではやはりこれは『避けるべき』事だが、
なぜそうなのか、を言語化しようとした。

「働いたりとか…………
 何かお手伝いをしたり、とか」

言いながら、奥底に潜む感情を探り当てようとした。

「だって、お金を『増やす』事は、
 なんだか、良くないような気がして……
 法律とか、それに」

すぐにそれは己の『矮小』に基づく物だと気付いた。

「……それに」

「……ごめんなさいユキシラさん」

     「わ」

「私は、お金が『増える』のが、なんだか、怖くて。
 それをしたら一瞬でお金持ちになれるのが、
 それが……それが怖くて……」

それでユキシラが『何でもできる』ようになるのが、
それこそが、怖いのかもしれない。
結局は金銭を介してのみ物を手に入れられる、
『ペイデイ』が象徴するかのように――
関の中にある、一種の矮小さに行き当たった。

「法律とかは、結局、それを……
 理由を付けたい、だけで……」

法が許さないと言うなら商品の複製だってそうだし、
物を増やせるというだけで悪人が狙うのは同じだ。
そもそも正式な取引を経ずに買い物をしている、
自分のスタンドだって、本来『いけない事』なのだ。

だから、それは捻じ伏せるべき感情に思えた。

         「だから……」

「…………………………交換…………しますよう。
 やっぱり……きっと、しても大丈夫、
 他の物と本当は、そんなに変わらないんです。
 嫌とかじゃあなくて、私、驚いて、それだけで」

『金の増殖だけはダメな理由』を探した時――
行き当たるのは自分の、ある種の矮小さだけ。
超えられない線を他人の前に勝手に引いているだけ。

その答えに気づいた時、ゆっくりと、
エプロンのポケットから、小さな財布を取り出す。

「あの、よく考えたら、しちゃいけない理由が、思い付かなくて……」

そんな感情はいつも通りなあなあに。そうするべきだ。

228ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『ディスタント・ラバー』:2021/08/05(木) 02:23:08
>>227

「うーん、働く、か。わしはあんまりむかん気がするの」


年齢を考えれば一般的な労働で雇ってくれるところは無いだろう。
そもそも、スタンド能力を抜かせば技能も特に無い。
それでも一応、腕組をして考えてみているようだった。


「わ、そんな顔せんでもいいじゃろ」

「理由とか無いのかもしれんが、嫌ならええよ」

「そりゃ『交換』してくれたらいいし、すずめちゃんが何が嫌なのかはよくわからんが……
 わからんが、嫌なら嫌で仕方ないしの。
 わしだって野菜は嫌いじゃが、なぜと聞かれても困るし……
 味が嫌いなんじゃが、じゃあなんで野菜の味が嫌いなのか……?
 好き嫌いって不思議じゃな。
 他の者の感じる味はわしと違うのか?」


唐突にクオリアについて考えだす子供。
だが、今はその時ではないと思い直したのか、頭を振って気を取り直す。


「えーと、働いて金を得るのはOKなんじゃろ。
 わしは『交換屋』じゃから、いつも働いておると言える。
 つまり、『交換屋』で普通に金で物を売るのもアリにしたらいいというわけじゃ。
 すずめちゃん、何かすごく売れるものはないかの」


それだと結局、関が考えるように、商品を増やしているのだから大差無いのだが……
『交換』はしてほしい。関が嫌な理由は理解できない。
だが生理的に嫌なら、嫌であることを否定しないし、実際に嫌々に見えるのだろう。

229関 寿々芽『ペイデイ』:2021/08/05(木) 03:20:19
>>228

「あぁ、ごめんなさい私……
 深刻に考えすぎちゃってたのかも。
 そうですよねえ、ユキシラさんの歳だと、
 流石にお仕事っていうのは…………」

取り乱してしまった事を自覚し、
財布を一旦自分の手元に引き戻す。

「……」     (ああ)

そしてユキシラの話を聞いて、ゆっくり頷いた。
危なっかしい彼女に、諭されているようだった。

「そう……ですね。交換屋さん、良いと思いますよう。
 お金を直接増やすんじゃない方が、私は……
 おかしいですよねえ、それだって……
 私の能力だって、人が知ったらルール違反なのに。
 能力で出した物を売るのは、私も、ずっと考えてて」

        (私、この子のことを、   
         保護もしないのに……
         それなのに保護者みたいに)

突き詰めて考えると『増やした物を売る』よりも、
『金そのものを増やす』方がリスクは高いのだが、
それ自体は関の中でそれほど大きな要因ではない。

「私、そこはなあなあに出来るみたいで。
 ……お金をそのまま出す方がずっと早くて、
 暮らすのも楽になるんだとは思うんです」

「…………でも」

ある種究極のコスパを誇る『稼ぎ方』であっても、
心情が邪魔をするのは『ある』事だと、
子供の話で己に納得させられる。

「売れる物……ううん。
 やっぱり、珍しいものは売れると思いますよう。
 あとは……物だけじゃあなくっても、
 さっきのプールの入場料を取る、とか」

だが……自分は彼女の金稼ぎを邪魔したのだから、
その対価にも何かの責任は必要に感じた。

「それだって、怖い人に目を付けられたりとか、
 そういうのはあるかもしれませんけど……
 お金を直接出すよりは、安心するような、気がして」

だから考えるが――関自身はともかくとして、
ナイの『商売』に無責任にアイディアだけを出して、
実行した彼女が傷付いたら、どうすれば良い?

           「……あ」

「…………ユキシラさん。
 いえ、『交換屋さん』…………
 私、私が貴方の役に立てるとしたら」

         「…………『組み』ませんか?」

その思考の果てに、ふと、そんな言葉が口をついて出た。

230ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『ディスタント・ラバー』:2021/08/05(木) 03:38:42
>>229

「ふうむ」


子供は静かに関の話を聞く。
といより、感情が落ち着いていくのを見ていたようだった。


「『組む』?」


それを聞いた子供は、ゆっくりと関に近づき、
床に四角いビルのようなもの――さっきと形は違うが『屋敷』だ。
スーツ姿の『ディスタント・ラバー』さんが窓から関を見ている――を発現すると、
踏み台のように、ビルに登り、関に向かって腕を伸ばし……

        グッ

肩を組んだ。
ビルを踏み台にして高さを合わせても腕の長さが足りずに不格好だ。


「組んだが……どうじゃ? これでよいのか?」

「ところですずめちゃんって『スタンド使い』って事なんじゃよな?」


子供は、関の能力は知らない。使っているのを見たことも無い。
言葉の端々から、『スタンド使い』なことをうっすらと感じる程度だ。

231関 寿々芽『ペイデイ』:2021/08/05(木) 04:00:02
>>230

感情――言いづらい靄までを吐露したことで、
またユキシラがそれを咎めなかったことで、
関としては己の狭量に押し潰されずに済んだ気分だ。
もちろんそうした性根が簡単に変わる事はないが、
付き合い方を知れば、少しは楽になる。

「…………あ、そういえば私の能力のことは、
 ユキシラさんには話してませんでしたっけ。
 私の『ペイデイ』は――――」

        グッ

          「あらっ」

と、説明する前に肩を組まれた。
振り解く気もしないので、ユキシラが崩れないよう、
少し身を屈め気味にしてそれに応じる。

「もうっ、ふふ……そういう組むじゃあなくってぇ。
 私たちが、スタンドで力を合わせたら、
 もっと儲けやすくなる気がするって事ですよう。
 それに、お金を直接出すよりは、たぶん安全に」

         ポン

「あのう、一応……人目のない所に行きませんか?
 私の能力、普通の人にも見えちゃいますので〜」

やや和らいだ笑みを浮かべながら、
少し離れた位置の柱の影を『本』で指し示す。
そう、本……帳簿がいつの間にか手に発現している。

「先に説明だけしておくと、私の『ペイデイ』は、
 お金さえ払えば殆どのものを買える能力なんです。
 私…………これを使ってお店をしようと、
 こっそり考えてまして…………」

移動に応じてくれるなら移動するし、
応じてくれないなら、ひそひそと話だけしておく。

232ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『ディスタント・ラバー』:2021/08/05(木) 10:08:49
>>231

「わしのも見えるぞ」


『屋敷』は実体化スタンドだ。
『ディスタント・ラバー』は非実体人型スタンドのようだが。

そして関が誘うと、子供は『屋敷』を解除して素直についてきた。
柱の影……隠れているとは言い難いが、よほどの事がなければ通行人は気にしないだろう。
というか店の前が隠れていなさすぎるだけだ。


「ふむ?
 買う能力……店に行かないでもいいということか。
 しかし金を払って買ったものを金で売るということか?
 それだと変わらんのでは……」


過去の『交換品』の他は、それこそ、今手に持っている貝殻のように、自力で拾った物を商品にしているのだろう。
時給を考えなければ原価はゼロだ。
仕入れの大変さは体感しているので、『ペイデイ』の便利さはわかるが、
一方で、関の能力だけで店をやる方法はよくわからない。
差額で儲ける方法が理解できない。


「つまりすずめちゃんの商品をわしが増やすということか」


ただし、そこに自分の能力を足せば、1つ分の値段で商品が量産できる=儲かる。
という図式はわかるらしい。
普通の店がどうやって稼いでいるのか理解していない事を除けば大体問題ない。

233関 寿々芽『ペイデイ』:2021/08/05(木) 20:06:57
>>232

「えぇ、お屋敷も目立っちゃいますよねえ〜っ」

陰に移動すると、少しは人目につきづらくなる。
少なくとも実演販売のような状況にはならない。

「いえいえ……安く買って、高く売るんですよう。
 もちろん騙したりするのは良くないですけど、
 例えば『今は市場に売ってない物』なら、
 普段のお値段より高くても欲しい人はいますし、
 私の能力は、今この場で冬の野菜も買えますから」

「ただ、買った値段で売って儲かる方法もあって」

『ペイデイ』の強みは価格設定もだが、
市場に出回らない物を仕入れられる点だ。
それも本来の市場からすればルール違反だが、
取引を介する事が、関の罪悪感を薄れさせる。

「……そう! ユキシラさあん、鋭いですねえ。
 ユキシラさんに商品を増やしてもらえたら、
 仕入れ値は一度分で済みますし……
 ユキシラさんは、交換した物が増えますし。
 もちろん売上もお分けしますし……
 それに、他にも手を組める所はありますよ」

ビジネスプランの提起に、やや饒舌になる関。
いまや、表情からも強張りはほぼ消えていた。

「ユキシラさんが『出せる』物の中で、
 価値のありそうな物も一緒に出品するんです。
 それ目当てで買い物をする人に、
 私の物を売り付けることも出来ますし、
 逆に私の物を買おうとしている人に、
 ユキシラさんの品揃えを見て貰う事も出来ます」

      「私にも仕入れられない物は、
       実はそこそこありますので……」

やはりお金は節約するにせよ、稼ぐにせよ、
『まっとうに思える』方法で貯めるのが関には良いのだ。

234ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『ディスタント・ラバー』:2021/08/05(木) 23:28:07
>>233

「なるほど?」


関の説明を聞き、なにか想像しているのか、
口を半開きにして空中に視線をさまよわせる子供。


「しかし……実を言うと、わしはあんまりうまくいかない事が多いんじゃ。
 大丈夫かの?」


『交換』実績は1年で50個ちょっとだ。
メタな事を言うと、サザエさん時空なので1年とはっきり言うのははばかられるし、
NPCとの交換で勝手にラインナップが増えるのはNGなので、
PCとの交流以外ではまったく『交換』が成立していないということなのだが……
子供の感覚としては売れない時の方が多い。ということになる。


「やっぱりお店が必要なんじゃろうか?
 わしの『屋敷』は最近出せるようになったんじゃが、お店としては……
 ちょっと小さすぎるかの。中には入れるが……」

235関 寿々芽『ペイデイ』:2021/08/06(金) 00:11:10
>>234

「ううん、交換が上手くいかなくっても、
 一応、大丈夫な気はしますけど〜……
 とりあえず、お店は出すつもりはないんです。
 建物を借りるにもお金がかかりますし、
 危ない人とかが来るかもしれませんし……」

子供二人で商売の話をしているのは、
側から見れば遊びのようにも見えるだろう。

「その点ですよ、通販にしちゃえば、
 こっちが誰かを教えずに物だけ送れますし、
 どうやって物を増やしたり出したりしてるのか、
 気にされる事もありませんからねえ」

   「サイトを用意するツテはありますし……」

実際には非常に危険なやり取りだが……

「そこで交換に出せるラインナップとか、
 お金で売っても良いラインナップを載せたら、
 今までより交換が進みやすくなる気はします〜」

「……ユキシラさんの能力のルールで、
 直接顔合わせしないとだめなら難しいですけどお」

関としては、希望に満ちた展望だった。
後ろ盾というには弱いが特殊な許諾も得ている。
初期費用も手に入れた。動き出す機運は高い。

236ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『ディスタント・ラバー』:2021/08/06(金) 00:22:46
>>235

「つーはん?」

「テレビで聞いたことあるような気もするが……
 んうー、まあ、そこらへんはすずめちゃんに任せる」


小首を傾げる。わからなかったようだ。
口調はともかく喋りは達者だが、
旗のへたくそな平仮名で書かれた『こうかん』の文字を見るに、
読み書きは怪しいかもしれない。


「『交換』は顔を合わせなくてはいかんということはないの。
 電話越しでも大丈夫じゃと思う」


リュックからスマホを取り出す。
ちょっと画面にヒビは入っているが、壊れてはいないのだろう。
このスマホでネットにも繋げられるはずだが、通販については知らないらしい。

237関 寿々芽『ペイデイ』:2021/08/06(金) 00:42:15
>>236

「通販は、ネットでお買い物をするんですよう。
 もちろん、売るのも出来ますし……
 そうですねえ、その辺りはまた準備が出来たら、
 きっとユキシラさんにもお声を掛けますね」

       コクリ

「ああっ、電話越しでも大丈夫なら……!
 多分……無理なくお互い『得』が出来るはずです」

皮算用の段階ではあるが――
二つのスタンドが組み合わされば、
単純な足し算以上の結果を出せる気がした。

「少し先になるとは思いますけど、
 お友達としてだけじゃあなくって、
 お仕事のお仲間としてもよろしくお願いします〜。
 まあ、今日のうちは何も出来ませんけど……」

        スッ

手を差し出す。特に意味はないが、握手のつもりだ。

「……そうだ! 手を組んだ記念に、
 よかったらお菓子か何か食べますか〜?」

そして水着のコーナーとは逆方向にある、
ちょっとしたカフェの方に視線を向けた。

238ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『ディスタント・ラバー』:2021/08/06(金) 00:53:55
>>237

「おお、よろしく」


わしっと手を掴んで振る。


「菓子なら色々と出せるぞ。
 前に駄菓子を袋ごと交換しての。
 それからチョコモナ○ジャンボじゃろ、
 一抹ちゃんが作ったケーキじゃろ……」


やはり幼いからか、お菓子を貰う事は多いようだ。
『交換品』がいくつかあるらしい。
関自身、クッキーを『交換』したことがある。
あの時のクッキーを今出したなら、
『交換』時のままのものを出せるので鮮度は問題ないだろうが、
袋に書かれた賞味期限は切れているだろう。

関がカフェに向かうなら、ついていくだろうし、
今まで『交換』したお菓子を食べたいと言えば出してくれるだろう。

239関 寿々芽『ペイデイ』:2021/08/06(金) 01:17:20
>>238

「あぁ! ちょうどいいですねえ。
 飲み物は私がご馳走しますから、
 お菓子はお任せしても良いですか〜?
 あそこのカフェ、お菓子を持ち込めますので」

買うと言ってもスタンドでではなく、
普通にカフェのドリンクを買う気だ。
多少割高にはなるだろうが…………

「あそこで私たちの協力関係をお祝いしましょう〜」

        ニコ……

それくらいなら喜んで、だ。
カフェに向かった後のことがあるとすれば、
あとは単に飲み食いをするだけ。

「それじゃあ、行きましょうか〜。ユキシラさん」

大きな事が動き出すなら、また別の場所で、だ――

240ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『ディスタント・ラバー』:2021/08/06(金) 01:32:38
>>239

「じゃあ菓子と飲み物、『交換』じゃな」


いくらでも増やせる。とは言うが、無から生み出しているわけではなく、
実際は、錬金術のように価値の無いものを『交換』しているので、
お菓子も、元は石ころとか糸くずだったりするのだが……
交換後の品に影響するわけではないので、気にしなければ問題ない。


「うーん、わしはりんごジュースが良いの」


ゴミや汚物でもリサイクルある意味でリサイクルできる能力だが、
商売していく上でそれがバレたらイメージはダウンするだろうか。
金銭を直接量産するほどではないが、
スタンドで稼ぐ以上後ろ暗いところがあるのは仕方ないのかもしれない。

ともあれ、そんな先の事はともかく、
今日の所は2人はカフェに入って今後の希望に満ちた展望を語り合うのだった。


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