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【場】『 星見スカイモール ―展望楼塔― 』 その2

1『星見町案内板』:2021/02/26(金) 23:24:39
今世紀に建造された『東海地方』を対象とする集約電波塔。
低層エリアには『博物館』や『ショッピングモール』が並び、
高層エリアの『展望台』からは『星見町』を一望出来る。

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                 ミ三ミz、
        ┌──┐         ミ三ミz、                   【鵺鳴川】
        │    │          ┌─┐ ミ三ミz、                 ││
        │    │    ┌──┘┌┘    ミ三三三三三三三三三【T名高速】三三
        └┐┌┘┌─┘    ┌┘                《          ││
  ┌───┘└┐│      ┌┘                   》     ☆  ││
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      ┌┘ 【H湖】 │★│┌─┘     【H城】  .///《////    │┌┘
      └─┐      │┌┘│         △       【商店街】      |│
━━━━┓└┐    └┘┌┘               ////《///.┏━━┿┿━━┓
        ┗┓└┐┌──┘    ┏━━━━━━━【星見駅】┛    ││    ┗
          ┗━┿┿━━━━━┛           .: : : :.》.: : :.   ┌┘│
             [_  _]                   【歓楽街】    │┌┘
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                【遠州灘】            └───┐  .》       ││      ┌
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★:『天文台』
☆:『星見スカイモール』
◇:『アリーナ(倉庫街)』
△:『清月館』
十:『アポロン・クリニックモール』
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前スレ:
【場】『 星見スカイモール ―展望楼塔― 』
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453647744/

2円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/03/02(火) 18:01:01

「うわ! やばいやばーい!!」

何が?と言えば、落とし物に気づいたのだ。
そして、それは>>3が今拾える位置にある。

         ・・・『封筒』のようだ。

3ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/03/02(火) 19:48:24
>>2

「……ン?」


道端でちょうど子供が屈みこんで何かを拾っていた。
金髪の子供だ……円谷は見覚えがあるだろう。
そこへ、ちょうど風に吹かれて『封筒』が滑り込んできた。


「……」


子供はそれを拾い上げ、スッと流れるような手つきでブカブカの服のポケットに仕舞った。

4円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/03/02(火) 22:08:10
>>3

「やばー、どうしよー。どこ行っちゃったんだろ!」

       キョロキョロ

「あ!」

周囲を見渡すと、ちょうど知った顔が見えた。

「ユキシラちゃんおひさー!
 っていうほど久しぶりでもないか、あはーっ」

ので、近づいていく。

……封筒の行方についてはこの時点で気付いていない。

5ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/03/02(火) 22:21:39
>>4

「うむ?
 おお。こんにちわ」


挨拶を返す。
細長い封筒はポケットに収まりきらず、はみ出していた。


「最近はあったかくなったり寒くなったりじゃの」


声をかけられてから円谷を認識したので、何かを探している様子など見ておらず、
のんきに気温の話題など出してくる。

6円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/03/02(火) 22:51:44
>>5

「ねーっ気温、カンダンサ? やばいよねー!
 出かける服選ぶの、あたし迷っちゃう。
 春服でいいやって思うと寒かったりするしー」

「あーあ、困っちゃうよね。
 早く春になりますよーに」

円谷もユキシラが拾ったとは思ってないので、
特に疑問を抱いたりもせず気温トークに応じる。

……が。

「ん、あれあれーっ。気のせい!?
 ユキシラちゃんユキシラちゃん、
 そのポケットに入ってるのってなーに?」

          ス…

ポケットに入った細長い、見覚えのある物を指さす。

7ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/03/02(火) 23:04:49
>>6

「うん? ポケット?
 ああ、これはそこで拾ったんじゃ」


ポケットから封筒を取り出す。
幸い、折れたりクシャっとなったりはしていないようだ。


「この紙袋、まだ綺麗じゃしなんかに使えるかもしれん。
 ……中になんか入っとるか?」


流れるような手つきで中身を見ようとする。
とはいえ言った通り、ユキシラ視点としては落ちていたものにしては汚れていないので、
損壊する気はないのか、子供らしく破いて取り出そうという気はないらしい。
糊付けされていた場合は丁寧に開けても痕が残ってしまうだろうが、それはそれで時間がかかるので止める間は十分ある。

8円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/03/03(水) 00:32:02
>>7

「うそー! すごいすごーい!
 それ、あたしが落としたやつだと思うんだー」

         カサ

封は既に開けられていて、
封筒の中身は『紙幣』だった。
そんなに驚くほど多いわけでもないが。

「『お小遣い』入ってるから、
 見つかって本当よかったー。 
 ユキシラちゃんはあたしの『拾う神』ってやつですね」

      「この前も拾ってくれたしネ」

喜色満面の様子で封筒を受け取ろうとする。
と、それを終えるよりも早く。

「あ! じゃあじゃあ、今回も何かあげよっかー?
 あたし今から買い物するところだったし、
 落とし物って拾った人も1割?貰う物らしいし」

「あんま高いのはダメだけど、なんか買ったげますよー」

そのようなことを思いついた。
ちなみに買いに来ていたのは『服』や『雑誌』等色々だ。

9ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/03/03(水) 00:58:28
>>8

「うわ、お金じゃ。
 ……ってなんじゃ、セララちゃんのじゃったか。
 驚かすでない」


小学校低学年くらいの年齢の子供としてはお札に触れる機会もあまりないだろう。
ユキシラの場合はそもそもそういうレベルの話ではないが……
とにかく見慣れていなかったのか、お札にビックリする。
しかし疑うでもなく惜しむでもなく、素直に封筒を渡した。


「うむ、わしは色々拾っておる。
 さっきも鉄の玉を拾った。
 セララちゃんはよく落としものをするのかの?
 気を付けるんじゃぞ」


と、見せてきたのはパチンコ玉だ。
さきほど封筒の前に拾っていたのはこれらしい。


「む? それはありがたいがの……
 この間は詳しく話しておらんかったと思うが……
 わしは一度『交換』したものを何度でも『交換』できるんじゃ」


パチンコ玉が、一瞬にして黄色い袋に変わる。
以前に円谷と交換したマカロンが入った袋だ。
さらに開けて取り出したマカロンを黄色い袋に変える。
黄色い袋が2個。2個目の袋にも当然、マカロンが入っている。
叩くたびに増えるビスケットのようだ。


「じゃからやはり『交換』が良いんじゃが、どうかのう」

10円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/03/03(水) 01:37:00
>>9

「ごめんごめーん、気を付けまーす。
 よく落とすわけじゃないけど、たまに落としちゃうね」

落とし物癖があるというほどではないが、
落とし物をしやすい性格ではあった。
反省しているかは怪しい様子だが……
ナイが袋を二つにすると、それどころではなくなる。

「えー! すごいすごいすごい!!
 わーっユキシラちゃん、魔法使いみたーい!
 今まで見た『能力』で、いっちばんすごいかも!!
 それ使ったら、マカロン食べ放題ってことー!?」

円谷の『今まで』は多くないが、
客観的に見て『ナイ』の能力は『別格』だ。
世界の原則さえ、ひっくり返せるだろう。
だが、円谷はそこまで深く考えてない。

「よーし、じゃあじゃあー」

       ヒラ

「これ、一枚だけあげるからー、
 あたし、なんかすごいもの買ってあげるから、
 ユキシラちゃんもあたしになんかすごいもの買って!」

    「それで交換しよーよ! どうどう?
     プレゼント交換みたいで楽しくない!?」

封筒から千円を取り出しつつ、変則的な交換を提案する。

11ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/03/03(水) 01:58:23
>>10

「すごいじゃろう!」


実際は同じもの同士の交換が出来ないなど制限があるのだが……
変形などで違うものとみなされるためあって無きがごとしの制限だ。
例えば苺味マカロンをマカロン詰め合わせ(黄色い袋)に変えたら、
もう二度と苺味マカロンを黄色い袋に変えることは出来ない。
が、苺味マカロンを齧ると、元の苺味マカロンとは別物と判定されるので交換可能になる。
もう一回やった場合でも、齧り跡がまったく同じでなければ別物判定だ。


「なるほど。
 バトル交換で勝負というわけじゃな」


謎の勝負と認識したらしい。アニメの影響だろうか。
交換は人を傷つける道具じゃない! 俺とバトル交換で勝負だ!

千円を受け取り、代わりに円谷の手に黄色い袋が乗せられる。
謝礼扱いと言う事だったが、それでも出来るだけ交換としたいのか。
実演のためとはいえ出してしまったものだし、
元々は円谷の友人が円谷に食べてもらうために渡したものだ。


「お金は『交換』できないんじゃがな」


そういう制限もあるらしい。
まあ、お札の場合は通し番号などの問題もあるが。

12円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/03/03(水) 02:33:35
>>11

「すごいよー。オヤツとか困らないじゃんねー!」

色々難しい事があるにしても、
お菓子を出せるだけでも凄い。
戦士として生きているわけではない以上、
生活に便利、というのは何より良いことだ。

「え、勝負なの!?
 あはっ、それでもいーよいーよ。
 あたしあんまり得意じゃないけどー」

必死とか本気とかは、得意じゃあない。
とはいえ、そうである必要もないだろう。

「わー、あたしのお菓子が帰ってきた!
 それじゃ、買ったらまたこの辺に戻ってこよっかー!」

「あ! ユキシラちゃん、ここに来る道とか分かるー?」

迷子の心配をしているらしい。
もっとも、特に迷うような構造のフロアではないが。

13ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/03/03(水) 02:45:20
>>12

「大丈夫じゃ」


キョロキョロとあたりを見回し、確認する。
確認する前に大丈夫と言い切ってしまっているが。


「時計もある」


いつのまにか食べ終わった一袋目のマカロンの黄色い袋を、
くしゃくしゃに丸めたかと思うと、腕時計が出てくる。
結構ちゃんとしたやつ(5000円相当)だ。

ただ、『交換品』は『交換』した当時のものがそのまま出てくるので時間はめちゃくちゃだ。
具体的な〇時〜ではなく、1時間などの区切りなら問題ないだろうが。


「では行くぞ」

14円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/03/03(水) 23:26:31
>>13

「もし迷子になったらさー、
 店内放送であたしのこと呼んでもらって!
 でもまーユキシラちゃんなら大丈夫かー」

「大丈夫だよネ!」

ユキシラはしっかりしてるようだが、
なんとなく不思議な一面も見える。
本当に大丈夫なのだろうか……?
円谷の方も大丈夫なのだろうか?

「じゃあじゃあ始めよっか。
 えーと……1時間、くらいで戻って来てねーっ」

腕時計の異常には気付いてない。
自身も時間にあまり厳密ではなく、
具体的な時間を言わなかったのは不幸中の幸いだ。

「いくよいくよー。よーーーい、どん」

       スタスタスタ

と言いつつ走るでもなく、その場から歩き去る…………

             …………

                  …………

15ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/03/03(水) 23:47:01
>>14

『キングクリムゾン』ってよォ……
その時間を吹っ飛ばす能力が描写を省く時に使われるよな

でも『キングクリムゾン』が消し飛ばせるのは十数秒じゃねえかァ〜〜
1時間とか飛ばす場合どうしろってんだよォ――

インターバルを考えるとディアボロを2人用意して
交互に何十回も『キングクリムゾン』するのかよよォオオォオオオ――ッ
それって納得いくかァ〜〜〜おい?
オレはぜーんぜん納得いかねえ……

「なめてんのかァ―――――ッ このオレをッ!
 チクショオ――― ムカつくんだよ!コケにしやがって!ボケがッ!」


1時間後、約束の場所に戻ると、
近くで昼間から酔っ払いが壁に向かってキレていた。


「なんじゃあれ。コワ〜」


ユキシラがカニのような動きで現れる。
手が後ろに回っていることから、背後にある品を隠しているのだろう。

16円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/03/04(木) 00:34:44
>>15

よく考えると……『キングクリムゾン』は主観の能力だ。
円谷もユキシラも『過程』を飛ばされているのなら、
その『キングクリムゾン』は『誰』の主観なのだろう?
まさかあの狂ったような酔漢ということはないだろう。
これを観測している誰かなのだとしたら、怖い話だ。
見るためだけのために何百回も発動しているのだから。

「わ! すご! やばーい。
 あーゆー人っていらないよねー。
 ユキシラちゃんユキシラちゃん、あっちの方で話そう」

「絡まれたら怖いもーん。あはっ!」

ともかく変な酔っ払いから離れるよう促す。
その手には中身の見えない買い物袋がある。

「ユキシラちゃん何買った? あたし良いもの買ったよ」

悪いものではないだろうが、本当に良いのだろうか……?

17ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/03/04(木) 00:47:55
>>16

「えっ……コワ〜」


明るく優しいお姉さんが急に闇を見せてきた気がしたが、
素直についていく。


「気を取り直して……ユクゾッ! わしはこれじゃ」


後ろ手に隠していたわりにはアッサリと見せてきた。
手のひらサイズの、ボタンがついた卵のようなものだ。


「氷の上で踊ると聞いておったからな。
 もし氷が割れて水の中に落ちたらこれで助けを呼ぶんじゃぞ」


『防犯ブザー(防水)ライト機能付き』だ。
氷的なイメージなのか、色は水色を選んだらしい。
千円以内のわりにライト機能もついているが、コストカットなのかシンプルなデザインである。

スケート中に氷が割れることは無いだろうし、割れても下が水というわけでもない。
その上、ブザーを持ってスケートリンクに入る事すら無いだろうが……
まあ、円谷も16歳の女の子だ。万が一の時のために防犯ブザーを持っていてもいいだろう。
スタンドがあればそこらの不良など敵ではないという問題もあるが。

18円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/03/04(木) 01:44:07
>>17

特に酔っ払いにそれ以上触れる事はない。
特段の執着は無いのだろう。

少し離れた大きな柱に寄り掛かり、品を見る。

「え! ユキシラちゃんなにこれ!
 なんだっけ、あたしこれ知ってる。
 えーっと、ホラ、あれ、ネ、なんだっけー」  
  
         スッ

見覚えの薄い謎のアイテムだったが……

「あ! そう、 『防犯ブザー』!!
 すごーい、本当に良いもの買ってくれたー!
 ユキシラちゃんありがと、危なかったらすぐ押すよー」

説明を聞けば、納得の逸品だ。
ユキシラの想定通りの使い方は出来ないにせよ、
持っていて全く困らないもので、良いものだ。
武器でやっつけていい相手だけとも限らない。

「あたしので釣り合うかなー、
 ユキシラちゃんこーゆーの好き?」

そして円谷も袋を開ける……

「じゃんじゃじゃーん!
 これこれ、大きいぬいぐるみーっ」

         ボフフ

と、袋にパンパンに詰められていたぬいぐるみが出た!
これは……『鳥』だろうか? 羽はない。『キウィ』か?

「ユキシラちゃんぬいぐるみ好きか分かんないけど、
 いざたなったら枕の代わりにもなるしー。
 あ、でも電池抜いてからにしないとうるさいかも!」

「あ! これねー、お腹押すと音鳴るんだって! あはーっ」

なぜ、これを選んだのか……特に深い理由は無いのかもしれない。

19ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/03/04(木) 02:01:01
>>18

「んおお……でかい」


デカい事は袋の時点でわかっていたはずだが、
10歳にも満たないユキシラにとっては実際に目の前に出されると、
本当に大きく見えるのだろう。


「なんじゃこれは?
 唐揚げの妖精か?」


鳥のぬいぐるみだとは思わなかったらしい。
キウイを知らないようだ。


「ぬいぐるみ……ぬいぐるみか……こういうのは初めてじゃな。
 なかなか良いぞ」


好き嫌いも何も、今までぬいぐるみは持った事が無いようだ。
抱きかかえて感触を確かめ、そしてそのままギュッと押してみる。
どんな鳴き声なのだろうか?

20円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/03/04(木) 02:09:25
>>19

「やったやったー、喜んでくれた!
 大きいぬいって良いよねー!
 あたしも部屋にパンダのぬいぐるみ置いてるし」

ぬいぐるみマニア、というわけでもない。
そういうこだわりは薄い。

「唐揚げー!? あ! でもたしかにそう見えるかもー」

「でも間違いでーす。
 これねー、キウイって鳥らしいよ。
 どこに住んでるのか忘れたけどー、
 羽がない鳥なんだって」

        ピーィィ

            ピーィィ

「あははは! ね、鳥の鳴き声ー! 唐揚げじゃないよー」

鳴き声はいたって、鳥らしい。
見た目は妙だが……揚げたら、味は唐揚げだろう。

「じゃ、これと防犯ブザーで交換ってことにしよっか。
 あーでも、ユキシラちゃんの能力からしたら、
 2回交換したほうがよかったりするのかなー?」

「そしたらブザーも出せるようになるって事? 違う? どうだっけ!」

21ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/03/04(木) 02:26:31
>>20

「ほおー、太った鳥なんじゃな。
 美味そうな見た目じゃし、足も遅そうじゃ」


散々な言われようだった。
実際に足が遅いかどうかは知らないが……


「鳥っぽい鳴き声じゃな。
 なんだって羽をなくしてしまったんじゃろうなぁ」


ニワトリやダチョウなんかは羽があるのに。


「……確かに、わしの手元に無くても『交換』で出せるから、
 そうすればわしは防犯ブザーも『交換』出来るようになって、
 セララちゃんはぬいぐるみも持ち帰れるの……天才か?」

誰も損しないWINWINだ。
ついでに『交換』のタネを袋にすればゴミも出ない。

22円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/03/04(木) 03:22:57
>>21

「本物は見たことないけどねーっ。
 捕まえやすいし食べやすそーだし、
 あ! もしかしたら絶滅した鳥だったりするのかなー?」

「それとも外国にだったらまだいるのかな?
 あー、あたし、あんま鳥って詳しくないなー」

スマホで調べれば分かる話ではある。
が、円谷の頭からは抜け落ちている。
後で思い付きはするだろうが……

「セララちゃんはねー、勉強あんま得意じゃないし、
 スポーツもそんなになんだけどー、
 スタンド使うのは、得意みたいでーす! あはは!」

運動神経が悪いわけではないが、
フィギュアスケートはあくまで習い事。
トップの競技者には及ぶべくもないし、
必死になってまで上手くなろうとも思ってない。
だが……『スタンドを使う』事は、自然にできる。

「よーしそれじゃーこれとソレで交換して!
 その後もっかい交換しよ。
 やっぱユキシラちゃんの能力ってすごーい!」

          スッ

「だってだって、交換したら、ふつうゼロってゆーか、
 プラスとマイナスってゆーかなのにさー。
 ユキシラちゃんと交換したらプラスしかないもんねー」

おそるべき『ベター・ビリーブ・イット』……キーウィも加わりその力は増すばかりだ。

23ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/03/04(木) 03:37:59
>>22

「うむ、凄いじゃろう。
 わしはこの力でわらしべ長者になるんじゃ。
 いや、藁を交換したことは無いがの……」


『ベター・ビリーブ・イット』……実は名前を呼んだことがほぼ無い。
ヴィジョンが無いせいか当初はスタンドという意識も薄かった。
下手すると本体が名前を忘れかけている。


「ええと、今度は防犯ブザーとぬいぐるみを『交換』するじゃろ。
 それからぬいぐるみと袋を『交換』すると、わしの手元に袋が2個と、
 セララちゃんの手元に防犯ブザーとぬいぐるみがあって、
 それから袋を防犯ブザーとぬいぐるみに『交換』するとそれぞれ2個づつになるわけじゃ。
 どうじゃ」


まあ、店からしたらどうなんだという話だが、
スタンド能力というのはズルいものである。

24円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/03/04(木) 06:53:39
>>23

「ユキシラちゃんならなれるよー。
 ねえねえ、もし長者になったら、
 すごいパーティーとか開いてあたしも呼んでね!」

長者とはそういうものなのか?
認識は人次第だが……
ユキシラならなれる、というのは本心だ。
円谷は物事を都合よく考えているゆえに。

「わーっなんかややこしいーっ。
 ユキシラちゃんの言うとおり、
 とりあえずそれで進めてみまーす」

        スッ
            スッ

    スッ

「いやー、ぬいぐるみまでもらえてあたしラッキー」

『爆弾』に匹敵する『リトル・スウィング』もしかり。
とはいえ、損害を出していない分だけは温情だろう…………

25ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/03/04(木) 12:06:26
>>24

「パーティー……この前の食べ放題みたいなやつじゃな。
 さて、あとはこの袋を防犯ブザーとぬいぐるみに『交換』すれば……」


袋が防犯ブザーとぬいぐるみに変わる。
昨今はビニール袋も有料なのでタダで手に入れたというわけではないが、
それでも後は捨てるだけのようなものと考えると無から湧いたようなものだろう。
それともぬいぐるみは大きいからビニール袋ではなく大型紙袋に入っていただろうか?
紙袋も有料になっているところはあるようだが……


「ぬっ?
 手がふさがってしもうたの」


10歳未満程度の、それも細身体形なユキシラは
ぬいぐるみを抱えて歩くのもなかなか大変だ。
というかユキシラの能力ならば、この場で『交換』しなくても
帰ってゆっくり家でぬいぐるみを出せばいい話なのだが、出してしまったものはしょうがない。


「ふーむ。家に置きに帰ったほうが良さそうじゃの。
 セララちゃん、今日はありがとう。またの」


手を振る……のはぬいぐるみで難しかったので、
ぬいぐるみごと左右に揺れるような謎の動きをして去っていった。

26円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/03/05(金) 06:00:30
>>25

「あーそうそう、あんな感じあんな感じ!
 てゆーかあれってユキシラちゃんもいたんだ!
 楽しかったよねー、色んな人がいて。あーゆーの毎日やりたいね!」

円谷もあの席にいたらしい。
会場で遭遇はしなかったが、
人数も多かったし、自然だろう。

ぬいぐるみは有料のビニール袋に入っていた。
大きいサイズの袋だが、まあ、誤差程度の金額ではある。

「わ、わ、ほんとだー!
 あたし、持って帰るのユキシラちゃんってこと
 考えてなかったかも。ごめーん!」

とはいえ重たいものではないし、
帰る事自体に支障はない……はずだ。

「うんうん、その方がいいかもー。
 あたしも、ロッカーに荷物置きに行かなきゃ。
 それじゃーまたね、ユキシラちゃん! バイバーイ!」

片手でぬいぐるみを抱え、もう片手を振って別れる。
このあとも買い物があるので、ロッカーに荷物を置きに行った。

27鉄 夕立『シヴァルリー』&『C・セッション』:2021/04/22(木) 23:50:55
学生服姿の青年が、『展望台』から町を見下ろしている。
竹刀袋を背負ったその表情は、どこか物思いに耽っているようだ。

28小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/04/23(金) 01:07:37
>>27

   コッ コッ コッ……

展望台の入口から、『黒い女』が歩いてきた。
その身を包んでいるのは、死者を悼む『喪服』。
喪服と同色の、つばの広いキャペリンハットを被っている。

  ヒュォォォォォォォォォォッ

            「あっ……」

                     ――フワッ

不意に風が吹き抜け、帽子が飛ばされる。
咄嗟に手を伸ばすが届かなかった。
風に揺られながら、帽子は青年の頭上に飛んでくる。

29鉄 夕立『シヴァルリー』&『C・セッション』:2021/04/23(金) 01:27:33
>>28

足音を聞いて、失礼のない程度にその方向をチラリと見る。
女性だ。しかも『喪服』を纏っている。喪に服している最中、という事だろうか。
今のところ、危険人物ではない。
もっとも彼女が『スタンド使い』であれば、見た目など安全性を保証する担保には成り得ないが。
…今となってはすっかりと、こういう癖がついてしまった。

「!」

『シュッ』

不意に吹いた風に、女性の帽子が飛ばされた。それは彼女の手をすり抜け、こちらへと飛んでくる。
受け止めない道理などない。素早く手を伸ばし、喪服同様に黒色に染まった帽子のつばを手で掴んだ。

「ふう・・・・・」

『展望台』の外へ落ちていくことにはならず、安堵した。
さて、掴んだなら当然その後はあの女性へと返すことになるのだが。
風で帽子が飛ばされた一瞬で見えたその顔は、若かった気がする。
落ち着け、鉄夕立。自分なら大丈夫だ。
そう言い聞かせ、地面を見ながら女性の方へとゆっくり歩いていく。

30小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/04/23(金) 01:43:48
>>29

無意識に、帽子の行く末を目で追っていた。
しかし、それが外に飛び出していく事はなかった。
帽子を見ていた視線が、それを受け止めた青年に移っていく。

         スッ

姿勢を正して青年に向き直り、丁寧に頭を下げる。
外見から窺える年齢は二十台後半。
その顔には、穏やかな微笑が浮かんでいる。
同時に、どこか憂いを帯びた表情でもあった。
静かな足取りで、青年に歩み寄っていく。

  「……ありがとうございます」

帽子を受け取るために、左手を伸ばす。
薬指には『指輪』が光っていた。
飾り気のないシンプルな銀の指輪。

31鉄 夕立『シヴァルリー』&『C・セッション』:2021/04/23(金) 02:11:23
>>30

少しは場数を踏んで、自分も女性には慣れてきたと思っていたが。
微笑んでいるにも関わらず、その儚げな、憂いを帯びた表情のせいか。とても美人に見える。
いや、言ってしまえば女性というものに慣れていない自分には、基本的に女性は美人に見えてしまうのだが。
どちらにせよ、緊張するということに変わりはない。
油を注していないロボットのような動きで、ゆっくりと喪服の女性へと近付き─────。

(・・・・・『指輪』)

差し出された手を見て、完全に動きが止まる。
左手にはめられた指輪。それは、既婚者を意味する証。
それだけなら何の問題もない。しかし、この女性は喪服を纏っている。
もちろん、それは早合点かもしれない。むしろ勘違いであってほしい。
だがここでいきなりその真実を確かめる程に、自分は不躾ではない。

「飛ばされなくて、何よりでした」

彼女の手を見ながら、帽子を手渡す。
感情が表に出ないように務めてはいるが、その目はつい喪服の女性の左手を見てしまう。

「環境上、ここは強い風が吹きやすいですから」「…こちらへは、景色を眺めに?」

32小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/04/23(金) 02:25:58
>>31

  「ええ……お陰さまで……」

        ソッ……

帽子を受け取り、元通り被り直す。
それによって、顔の上半分に影が差した。
多少は目を合わせやすくなったかもしれない。

  「――はい」

  「ここからの眺めが好きなもので……」

問い掛けに答えながら、町を見下ろす。
自らの精神に宿る『象徴』を自覚してから、
最初に訪れたのが、この場所だった。
思い返すと、あれから長い時間が経ったように感じる。

  「……あなたは?」

女の左手には指輪がある。
また、右手の薬指にも『指輪』がはまっていた。
全く同じデザインの二つの指輪。

33鉄 夕立『シヴァルリー』&『C・セッション』:2021/04/23(金) 02:33:35
>>32

女性が帽子を被ったのを確認して、再び顔を上げる。
ミステリアスさは増したが、それとは逆に話しかけやすくなった。
自分としては、こちらの方がありがたい。
彼女の言葉に頷き、自分も同じように町を見下ろした。

「・・・・・・・・・・」

自分は、と問われるも言葉がすぐに出てこない。内容を考えているのではない。
彼女が右手に嵌めている、同じデザインの指輪に気付いてしまったからだ。
普通なら、それを両手にそれぞれ付ける意味などないだろう。そもそも二つも買うだろうか?
だから、つまり違うのだろう。元々、この女性が一人で付ける為に購入したのではない。
自分は、そう考えてしまった。

「…この町の全貌を、何となく眺めてみたくなりまして」
「それと、何か危険な出来事など起きてやしないかと」
「いえ、この距離では仔細など見えるはずもなく、気分的なものですが…」

34小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/04/23(金) 02:53:25
>>33

  「全貌を……」

ここからは星見町を見渡せる。
ただ、全てではなく、見えない場所もある。
自分が知らない場所も、また存在しているのだろうと思う。

  「危険とおっしゃいますと――」

  「『事故』……でしょうか?」

自分自身が口にした言葉に、
過去の出来事が思い起こされる。
同時に、事故で別れた『彼』の事を。
いつも思う――『彼に会いたい』と。
しかし、『約束』がある。
『彼の分まで生きる』という約束が。

  「心に思っていれば……」

  「きっと何か役に立つ事があると――」

  「私は――そう思います……」

町から青年に視線を移し、小さく頷く。
自分が生きているのは、『約束』を果たすため。
この命を全うした先に、『再会』がある事を願って。
その思いが、今の自分を支えている。
だから私は、この町で生きる事が出来る。

35鉄 夕立『シヴァルリー』&『C・セッション』:2021/04/23(金) 03:15:51
>>34

「そうですね。『事故』もまた恐ろしいです」
「この国でも、数十秒に一度は交通事故が起きているようですから」

もっとも世界中に話を広げれば、ただの接触事故ではなく。その頻度で死亡事故が起きているようだ。
だが、流石にそれを口には出来ない。
普段なら気にせず喋っていただろうが、今は死に対して直接的な表現は使いたくない。


>    「私の所属する『三課』は、
>     『窃盗犯』を主担当としている」
>    「スーパーの『万引き』、『空き巣』や『ひったくり』は、
>     この町の何処かで、毎日起こっている」

とある刑事の言葉を思い出す。
彼はもう現場に立つことはできない身体となってしまったが。その言葉は今でも自分の胸に深く刻まれている。

「『事件』もそうです」「窃盗の類ならば、この町では毎日発生しているようですし」


>     「朗らかに話しかけ、あたかも常人のように振る舞い、                                  
>      ――――平然と『力』を振るう人間は、この世にいる」

次に思い出したのは、とある戦士の言葉だ。
『通り魔』など本当はいないのでは、見つからないのでは。
心のどこかでそう思っていた自分を焚き付けて、事件を解決へと導いてくれた人の言葉。

「もっと危険な『重犯罪』も、起きているかもしれません。それはきっと、容易くは見つからない場所で」

時折、見回りのようなことをしている。当然、早々事件に遭遇することもない。
それで、たまには別の視点から物事を見るのも大事だと思い、このような所まで足を運んだのだ。
何事もなければそれに越した事はない。けれど、この町でもまた、何事かは起きている事を自分は知っている。

「…ありがとうございます」
「悲しいことは、少なく出来るなら、どこまでも少ない方がいい」
「それが今、自分のやりたいことの一つです」

36小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/04/23(金) 03:56:19
>>35

  「……そうですね」

『事故』、『事件』、『犯罪』――そういった単語を聞きながら、
これまで自分が辿って来た道筋を思い返していた。
『スーサイド・ライフ』が目覚めてから、
幾つかの『スタンドにまつわる出来事』に触れてきた。

自分は、それらの数々を、
『事件』や『犯罪』という言葉では表現しない。
それらは『想い』だ。
『人の想い』が形となり、不意の幻影のように姿を現し、
それを自分は客観的に見つめてきた。
『当事者』であると同時に、
多くの場面で自分は『傍観者』だった。
始まりを見守り、終わりを見届けた。

  「もし誰かが傷付けば……」

  「『その人を愛する人』は、きっと悲しむでしょう」

  「それがどんな人であっても……」

  「私は――『誰も傷付いて欲しくない』と思っています……」

既に存在しない『幻の町』。
そこで明確な『危険』を目の当たりにした時、
自分は『戦う事』を否定した。
互いに『刃』を交える事なく、
『話し合い』による無血の解決の道を選び取った。
それは、自分が『そうしたかった』からだ。
自分自身の『本当の気持ち』に触れ、それを成した時、
心の奥底で、『新たな何か』が生じる感覚があった事を覚えている。

  「――それが『私のしたい事』です……」

           ニコ……

青年に向けて微笑む表情は、やはり陰を含んでいる。
同時に、穏やかであり、安らかだった。
その根底には、青年とは対照的な『何か』があった。

37鉄 夕立『シヴァルリー』&『C・セッション』:2021/04/23(金) 18:40:18
>>36

「・・・・・・・・・・」

「あなたは…誰かを、心底憎んだことはありませんか?」
「それこそ、殺めてしまうかもしれない程に」

自分は、結局のところ黒幕である『蛇尾川』を殺害することはしなかった。
ほぼ死んでいるとはいえ、むしろ助けてしまったとも言える。
だがそれは、妹の朝陽を始め、仲間に誰も命を落としたものがいなかったからだ。
朝陽が、塞川さんが、斑鳩くんたちが誰か一人でも殺されてしまっていたなら。
間違いなく、自分は『蛇尾川』を始末していただろう。

この女性はどうなのだろうか。
夫が亡くなったのが、避けられない『病気』ならばまだ受け入れやすいかもしれない。
それでも人によっては医者を恨むかもしれないが、落ち度があったわけでもないのなら、それは理不尽だろう。
しかしこれが『事故』や『事件』であったなら。『誰も傷付いてほしくない』、と願えるのか。

自分は、そう思える自信がない。

38小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/04/24(土) 00:46:56
>>37

問い掛ける青年の顔を正面から見つめる。
力強さを湛えた灰色の瞳。
その瞳に映る自分自身の姿を見つめていた。

『彼』と出会う前、かつて愛した人がいた。
しかし、『その人』は私を愛してはいなかった。
裏切られた事が分かった時、大きな悲しみを覚えた。

それから『彼』と出会い、惹かれ合い、将来を誓い合った。
新婚旅行中の事故で、『彼』は重傷を負ってしまった。
その時には、計り知れない悲しみに襲われた。

来る日も来る日も、『彼』の無事を祈り続けた。
担当の医師からは、おそらく助からないだろうと伝えられた。
その時に感じたのは、絶望的な悲しみだった。

だからこそ、せめて一緒に旅立とうと思った。
けれど、それも『彼』に断られた。
『約束して欲しい』と言われ、
悲しみを押し殺しながら『彼』を看取った。

  「私は――『愛する人』を傷付けたくありません……」

裏切られた事、事故に遭った事、彼が救われなかった事。
どの場合においても、
自分が感じていたのは『深い悲しみ』だった。
決して望まれて起きた事故ではない。
医師も、患者を助けたかったはず。
何より、自分も『彼』を失いたくなかった。

  「もし……私が誰かを殺めたとしたら――」

  「『その人を愛する人』は深く悲しむでしょう……」

  「『私を愛してくれる人』も、きっと傷付くはずです」

思い返してみても、記憶の中に憤りの存在はない。
全てが、ただ悲しかった。
それも無駄だったとは思わない。
悲しみに耐えた先で、
一つの『希望』を見出す事が出来たのだから。
『命を全うした後の再会』――
それが自分にとっての『未来への希望』となってくれる。

  「私は……誰も傷付いて欲しくないのです……」

微笑む表情には、消えない陰がある。
しかし、変わる事のない陰だ。
薄くなる事も、濃くなる事もない。

39鉄 夕立『シヴァルリー』&『C・セッション』:2021/04/24(土) 21:36:16
>>38

「───────────────」

「成る程、道理です」

少しの沈黙の後、頷く。
確かに彼女の言葉は一つの真実だ。
亡くなった人間が優しい人であったなら、復讐を望まない事も有り得るだろう。
少なくとも、朝陽は望まないはずだ。塞川さんは…悪態こそつきそうだが、殺人は望まないかもしれない。
復讐される相手を労ってではなく、その為に俺が余計な事をするのが、気に食わないのではないか。
斑鳩くんはどうだろう。やりたいならやればいい、ただそれを自分の為とは言わないでくれ。そう言いそうだ。

「…あなたは、大人ですね」

もし自分がそうなった時に、復讐を行うのは死者の為ではない。
自分の大切な人を殺めた相手が、のうのうと生きているのが許せないからだ。自分の為に過ぎない。
だが、正しい法の裁きが下るのであれば、自分に出来る事はない。しかし憤りを抱えて生きていくのだろう。

「そして、優しい」

けれどこの女性は、復讐が出来たとしても、悲しむであろう死者の為にそれを行わないという。
死者は望んでいない。ドラマや漫画などで、説得の際によく用いられる台詞でもある。
ああ、声をかける側なら実に容易い言葉だろう。
だが、真に悲しみを抱えている側の人間が放つなら、それはあまりに重い。
喪失による負の感情を抱えながらも、それを誰にもぶつける事なく、生きていくという事なのだから。

「…その生き方は、尊いものだと思います」

自分は、そう生きられるだろうか?それが、正しいのだろうか?
分からない。ある意味、自分は『復讐』を果たしてしまった人間だ。
妹を傷付けた事への報復は完了した。復讐を否定すれば、一連のあの出来事を否定する事になる。

思案に浸り、そして静かに首を振った。
少なくとも、まだ彼女のような考えは持てそうにない。

「自分は清月学園高等部二年生、鉄 夕立(くろがね ゆうだち)です」
「差し支えなければ、あなたのお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」

40小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/04/25(日) 01:11:00
>>39

眼前に立つ青年の言葉に、静かに耳を傾ける。
自分が彼の言うような人間であるかどうかは分からない。
ただ、一つだけ確かに想う事がある。

  「強い気持ちを感じて……
   何かにぶつけてしまいそうになった時には……
   思うのです……」

  「私が誰かを傷付けてしまった時……
   『その人を愛する人』が傷付く……」

灰色の瞳に映り込む『自分自身』を見つめながら、
言葉を紡ぐ。

  「それは……
   『自分と同じ人間』を増やしてしまう事だと……」

強い感情を抱いた時、誰かに矛先を向ければ、
少しは気分が晴れたのかもしれない。
しかし、『その先』を思うと、そうする気にはなれなかった。
誰かに自分の感情をぶつけてしまえば、
その相手を傷付ける事になる。
そうなれば、『その人を愛する人』を傷付けてしまう。
それは、『自分と同じ人間』を増やしてしまう事だ。

  「私は――『そうしたくなかった』だけです……」

愛する人が苦しむ気持ちは痛い程に分かる。
だからこそ、そういう人間を増やしてはいけない。
自分にとって、それだけは決してしてはいけない事だった。
たとえ、拭い去れない悲しみを抱える事になったとしても、
『自分で終わり』にしなければいけない。
それが、自分が確かに想う『願い』だった。

  「……鉄さんとおっしゃるのですね」

  「――……小石川文子と申します」

穏やかな微笑を浮かべながら、
鉄と名乗った青年に言葉を返す。
彼の姿や発せられる言葉からは、
まるで一本の『刃物』のような力強さを感じる。
その強さに、自分とは『似て非なる何か』を感じていた。

41鉄 夕立『シヴァルリー』&『C・セッション』:2021/04/25(日) 22:54:49
>>40

「…然り、ですね」

その言葉は的を得ている。
争いとは、己が正しさをぶつけ合う事でもある。
自分からすれば正当な理由で敵を下したとしても、相手やその仲間からすれば、
理不尽に倒されたと捉えられる事もあるだろう。それはやがて『報復』に繋がり、また新たな復讐を生む。

『蛇尾川』はどうだったのだろう?彼はその一族から爪弾きものだったのだろうか。
それでも復讐をしようという者は、現れるかもしれない。現れたとしても、なるべく戦いたくはないが。
だが説得に応じなかった場合、自分はやはりその人を斬るのだろう。

「小石川さん」
「あなたがその生き方を貫こうとして、ほんの少し力が足りない時は、ご連絡下さい」

そう伝えて、傍に騎士のような相貌のスタンド、『シヴァルリー』を発現する。
彼女がスタンド使いでなかったとしても構わない。背中に竹刀を背負っているのだから、
多少は武の心得のある男の言葉として、受け入れられるだろう。
万が一小石川さんがスタンド使いならば、話が早くなるだけだ。

ああ、自分にできるのは、理不尽な力に対して、同じく力で道を切り開くことだ。
『蛇尾川』を死と同然の状態にした事に対して責任を求められようと、
それが誰かに危害を加えることになるのならば、何度でも立ち向かうしかない。

ただ、それでも。
彼女の言う通り、そもそも誰も傷付かないで事が終わるのならば、それに越した事はない。
その為に力が必要ならば、喜んで力を貸したいと願う。

「オレとあなたの生き方は違うかもしれません」
「それでも見ている方向が同じならば、道が交わることもあると思っています」
「…悲しみを抱えた人間が、一人でも少なくなるように」

42小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/04/26(月) 00:08:26
>>41

  「――ありがとうございます……」

現れた『騎士』に目を向け、それから青年に視線を戻す。
一つと一人を見比べるように確認すると、
心の中に納得が生まれた。
『スタンド』とは『精神の象徴』であるという。
力強い姿は、確かに自分の『それ』とは異なっている。
静かに目を閉じ、そして再び開く。

  「……『スーサイド・ライフ』」

その左手に発現する一本の『ナイフ』。
『刃を振るう騎士』とは似て非なる『刃そのもの』。
くるりと手の中で回転させると、
それは白昼の幻のように消え去った。

  「今日ここで、あなたと出会えた事を嬉しく思います……」

  「あなたが『愛する人』と共にいられる事を……
   心から願っています……」

           スッ

居住まいを正して、丁寧に頭を下げる。

  「いつかまた――お会いしましょう……」

                    コッ コッ コッ……

別れの挨拶を告げ、展望台から立ち去っていく。
黒い後姿が、徐々に遠ざかる。
その後を追うように、穏やかな風が吹き抜けていった。

43鉄 夕立『シヴァルリー』&『C・セッション』:2021/04/26(月) 21:13:17
>>42

小石川さんの『スタンド』を確認し、頷いた。
確信があったわけではない。彼女がスタンド使いかどうかは、五分五分の予想だった。
しかし、『ナイフ』というスタンドの形状は完全に予想外だ。
彼女の性格上、あまり物騒な能力ではないと思っていたのだが。
あるいは─────『ナイフ』でありながら、人を傷付けない能力なのだろうか?
何にせよ、蛇尾川とは既に戦った後で良かった。彼女にも『通り魔』の嫌疑をかけていたかもしれない。

「こちらこそ。あなたと意見を交わせたことを、嬉しく思います」
「さようなら、小石川さん。お元気で」

とはいえ、こうして彼女の人となりを知った今なら、そんな事も有り得ないと断言できる。
小石川さんの選んだそれは、間違いなく困難で辛苦に満ちたものだ。
だからこそ、その道の先に、彼女にとっての救いがあることを心から願う。
彼女に応じて頭を下げて、去りゆく後ろ姿を静かに見送った。

44ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/04/30(金) 22:40:02

「ふむ?」


ベンチに座り込み、何か色々と道具を広げている金髪の子供がいた。


「ふぅむ……ふむむ……」


ベンチを占領しているので邪魔かもしれない。

45ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/05/02(日) 00:40:35
>>44

「これでよいか」

一人頷くと、荷物をまとめて帰っていった。

46黒野士信『スピン・オフ』:2021/05/05(水) 20:43:51
ベンチに座って本を読んでいる。

47大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』:2021/05/08(土) 01:46:16
>>46(黒野さん)
黄リボン付シルクハットを被った緑髪・右青目・左赤目・改造済清月学園黒制服の男装少年(16歳 女子)が通りがかった。

(おやおや?あの人、随分と熱心に本を読んでいるけど……どんな本なんだろう?)

通りがかりながら黒野さんの読んでいる本の表紙を覗くよ。どんな題名の本だろう?

48黒野士信『スピン・オフ』:2021/05/08(土) 08:55:43
>>47
ベンチに座っている男が読んでいる本の表紙に目を向ける。
それは、このようなものだった→ttps://www.amazon.co.jp/MONOQLO%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E6%B4%BB%E7%94%A8%E5%A4%A7%E5%85%A8-2021-100-%E3%83%A0%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA-%E6%99%8B%E9%81%8A%E8%88%8E/dp/4801816266/ref=sr_1_7?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&dchild=1&keywords=%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC&qid=1620431625&s=books&sr=1-7

49大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』:2021/05/08(土) 10:13:08
>>48(黒野さん)
「なかなか面白そうな本を読んでいるね」(↓ハスキーボイス↓)
黒野に声をかける。

「フランシス・ベーコン曰く【知は力なり】だっけ。その本の知も力になりそうだ。」(↓ハスキーボイス↓)

「お隣いいかな?
 インドア派なものだからちょっと散歩したら疲れちゃってさ。
 嗚呼、ソーシャルディスタンスはちゃんと取るよ」(↓ハスキーボイス↓)
ベンチのお隣に座ろうとするよ。ソーシャルディスタンスでちょっとだけ離れるよ。

50黒野士信『スピン・オフ』:2021/05/08(土) 11:36:10
>>49
大神が声を掛けると、男は顔を上げた。

「そこのアンタ、
 ちょっと意見を伺いたいんだが、構わないかな」

ベンチに座る大神に、男が話しかけてくる。


「もし、アンタが仮に、
 『ホームセンターで敵と闘う』ことになったら?
 一体どうする? どのような闘い方をする?」

51大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』:2021/05/08(土) 12:11:35
>>50(黒野さん)
「わお積極的」(↓ハスキーボイス↓)
ちょっとおどろき。

「キミは面白いたとえ話をするね……キミに興味が湧いてきた」(↓ハスキーボイス↓)
黒野の隣に座る。

「ふむ……ボクだったらまずは敵を知るかな、相手の情報を集めるね。
相手が人間か、軍隊か、ゾンビか、トレマーズか、ゴジラかで全くやることは違うだろう?」(↓ハスキーボイス↓)

「だから、まずはホームセンターでは情報収集の役に立つ道具を探すかな。双眼鏡とか。」(↓ハスキーボイス↓)

「同時に相手に情報を知られないための道具も探すかな、潜伏手段だ。都市迷彩服とか。」(↓ハスキーボイス↓)

「こんな感じの『思考ゲーム』って理解でいいかな?」(↓ハスキーボイス↓)

52黒野士信『スピン・オフ』:2021/05/08(土) 13:17:24
>>51
「ここ最近読んでいた小説で、
 『ホームセンターで闘うシーン』が
 何本か連続で出てきたんだが、
 そこで、ふと、
 『自分がそう言う状況になったらどうするか?』
 という疑問が浮かんでね。
 一度疑問が浮かんでしまうと、
 それに取り憑かれちまうタチなんだ。
 それでこうして本まで買ってみたんだが、
 いざ考えてみると、これが案外難しい」

『ホームセンター活用大全』の表紙を見せながら男が答える。

「そうだな、アンタの言う通り、
 『思考ゲーム』だと思ってもらっていい。
 敵か。そうだな……
 じゃあ『ゾンビ』が相手だったら、
 アンタはどう闘う?」

53大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』:2021/05/08(土) 14:15:17
>>52(黒野さん)
「なるほど
 主人公:ボク
 場所:ホームセンター
 相手:ゾンビ
というシチュエーションの『思考ゲーム』と言うわけだね。」 (↓ハスキーボイス↓)

「そうだね……
 まずは……『ゾンビ』と名付けられたからには、相手は『ゾンビ』の特徴を持っているはずだ。

 それは例えば……
 ①人間をベースにした、動く死体である。
 ②動きは遅いことが多いが、稀に速いこともある。
 ③ゾンビに噛まれたり、ゾンビに傷を負わされたり、ゾンビに殺されたりした人間は、ゾンビになることがある。
 ④大抵の場合、ゾンビは集団で襲ってくる。
 ⑤大抵の場合、ゾンビは生前の知識や記憶はなく、あまり知性的とは言えない。
 ⑥ただし、生者に対する嗅覚のようなものは鋭いので、感覚的に生者を追う事はできる。
 
 ゾンビと言えば、こんな特徴が一般的だね。大半が映画や小説に因る知識だけども。
 ただ、そういう特徴があるからこそ、『そういうモノは、ゾンビと呼ばれる』という話でもある。」   (↓ハスキーボイス↓)

指先でくるくるとシルクハットを回しながら考える。

「ところで、この『ゾンビ思考ゲーム』なのだけど、キミはボクの話を判定するだけかい?」 (↓ハスキーボイス↓)

「どうせなら、キミも参加してみないかい?
 いわゆるキミとボクの共闘。

 主人公:ボク&キミ
 場所:ホームセンター
 相手:ゾンビ

 ってシチュエーションさ。
 お互いに『一手ずつ出していく形』で、『この空想作り話』を広げてみないかい? 」 (↓ハスキーボイス↓)

  ※バトル中のようですし、お忙しいようなら、軽く流してくださって結構です。

54黒野士信『スピン・オフ』:2021/05/08(土) 14:48:21
>>53
「そうだな、じゃあその条件でいこう」

大神の提案に乗る。

「じゃあまずアンタから始めてくれ」

55大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』:2021/05/08(土) 16:12:08
>>54(黒野さん)

「グッド!」 (↓ハスキーボイス↓)

「じゃあ、では『思考ゲーム』の始まりなわけだけども。
 まずは、シチュエーション設定……。

 主人公:ボク&キミ @ 入口の中
 場所:ホームセンター @出入口( ttp://www.daiyu8.co.jp/images/184_fmap.gif )←地図。おそらく黒野さんの持つホームセンターの本に載っていたので、見ながら考えているのだろう。
 相手:大量のゾンビ @ 入口の外

 シチュエーション:入り口のドアを閉めたとこ?  やや、これが自動ドアだとゾンビでも開けられちゃうかもね?  あまり長く持たないか?

 みたいな感じで行ってみようか。」 (↓ハスキーボイス↓)

「では、ボクの1手目だけど……
 ①まずは、目の前の安全を確保したいね。『情報収集』してる暇なんてありゃしない。
   だから、出入口近くにあるであろう、『カート』と『カゴ』で、自動ドア前に侵入を防ぐ『バリケード』を作ろうかな。
   『園芸用品』はちょっと遠いし、『花苗』にはあまりいいモノがなさそうだ。
   ボクは非力だけど車輪のある『カート』ならば、すぐに運べるだろうね。
   ただ、結局の所、ボクは非力だから、多少時間がかかってしまうかも知れないな。

 ②余裕があれば、『自動ドアの人感センサーを壊して、ゾンビが近づいても自動ドアが反応しない』ようにしておきたいけど、どうにもその手段がないね。」 (↓ハスキーボイス↓)

「こんなとこかな。『ボクの行動の判定』と『キミの1手』をどうぞ。」 (↓ハスキーボイス↓)

56黒野士信『スピン・オフ』:2021/05/08(土) 17:27:42
>>55
「カートとカゴでバリケードを使うというのはなかなかよさそうだな。
 自動ドアを止めるというのを、確かにゾンビ対策ならやっておくべきだな。
 オレも詳しい仕組みは知らないが、今度図書館に行ったときに調べてみるか」

ホームセンターの店内マップを見ながら男が言う。


「オレだったら、そうだな……
 まず店内に入る前に
 『木材・資材』のコーナーに行く。
 そこで3メートルくらいの角材を見つけて、
 挟んで、潰して『栞』の状態で固定する。
 それから……」


そこで、男の発言が急に止まる。
“余計なことを言ってしまった”という空気が感じられるかもしれない。

57大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』:2021/05/08(土) 19:47:40
>>56(黒野さん)

「まぁね。それに多分、ゾンビの知性と手先の器用さじゃ、『カート』のタイヤロックを外せないでしょ。
 じゃんじゃんと、バリケードの準備をするさ。こういう時には、ボクは『小賢しく』、『小狡く』、いくよ。」         (↓ハスキーボイス↓)

……

「で、『キミの1手』は……え? なんだって? 『3mの角材』を『栞』にする? 押し花みたいに?」 (↓ハスキーボイス↓)

「ご冗談を」   けたけた  (↓ハスキーボイス↓)
けたけたと笑った。

「ええ〜? その『キミの1手』を、ボクは『判定』しなきゃいけないのかい?」   くすくす  (↓ハスキーボイス↓)
くすくすと笑った。

「『3mの角材』だぜ? 重いんだぜ? 硬いんだぜ? 長いんだぜ?
 それを押し花みたいにかい? パタンとかい? 『栞』にするのかい? 」 あははは (↓ハスキーボイス↓)
あはははと笑った。

「その行動は失敗するんじゃないかな。『思考ゲーム』的に考えてさ。」 (↓ハスキーボイス↓)
真顔で返した。

   ※大神さんはそこまでスタンドに詳しくありません。

58黒野士信『スピン・オフ』:2021/05/08(土) 20:04:47
>>57
「確かにそうだな……アンタの言う通りだ」

男はそう言って、首をやや俯かせながら、眉間のあたりを指で抑える仕草をする。

「妙なことを言っちまったな……疲れてんのかな。
 最近あまり寝てないせいか……」

59大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』:2021/05/08(土) 20:19:24
>>58(黒野さん)
「なんだって? 寝てない上に疲れているって?」 (↓ハスキーボイス↓)

「いけないな、そいつは。 だとしたら、キミは、こんなベンチで『読書』や『思考ゲーム』なんてしている場合じゃないぞ。」 (↓ハスキーボイス↓)

「『そういう時は無理せずに早く寝なさい。健康は最大の財産だ。今日寝て、明日起きれば、なんとかなっているかもしれない。』って、お父様が言ってた。」 (↓お父様を真似たようなハスキーボイス↓)

60黒野士信『スピン・オフ』:2021/05/08(土) 20:53:44
>>59
「その通りだな、少し休んだほうが良さそうだ」

そう言って、男は手元の本をパタン、と閉じて立ち上がる。


「アンタの意見、参考にさせてもらうよ」

最後にそう告げて、男はどこかに歩き去っていった。

61大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』:2021/05/08(土) 21:10:54
>>60(黒野さん)
「おつかれさま。ゆっくり休みなよ」 ばいばい (↓ハスキーボイス↓)
ばいばい、と手を振って別れた。

「……どうにも不思議な人だったけど、また会えるかな。」 (素の声)
大神も立ち去った。

62百目鬼小百合『ライトパス』:2021/05/12(水) 18:31:36

その時、『喫煙所』にいたのは一人だけだった。
白いパンツスーツを着た背の高い女だ。
年嵩ではあるが、その佇まいには力強さが漂っていた。

「この頃は可愛げがあったんだけどねえ」

     フゥゥゥゥゥ――――…………ッ

煙草を吹かしながら、手の中の『写真』を眺めている。
家の掃除をしている最中に、『昔の写真』が出てきた。
記憶が曖昧だが、大体『十台半ば』ぐらいだろうか?

「そりゃまぁ……『引く手あまた』って訳でもなかったけどさ」

いつかは『百目鬼』の姓と別れる時が来る。
昔は、そう思っていた。
その時から『三十年以上』経過したが、
未だに自分は『百目鬼小百合』のままだ。

「ま、いいさ。アタシは後悔してない」

      ジュッ

「『アンタ』もそうだろ?」

語り掛けたのは『写真の中の自分』だ。
同時に煙草の火を消して、喫煙所を出る。
写真はポケットに戻した――――つもりだった。

         ――――ハラリ

だが、ちょっとした手抜かりで、うっかり落としてしまっていた。

63平石基『キック・イン・ザ・ドア』:2021/05/12(水) 20:45:13
>>62
「……失礼(、という手ぶり)」

入口が狭いのではなく、男の体がでかいのだ。
女性と入れ違いに喫煙所(今や本当に少なくなった。世知辛い)に入り、火をつけ、一服。
世知辛い、世知辛いと不景気なことを考えていると自然と目線が下に行き、なので写真に気が付いた。
拾い上げて画像を見れば、どうもさっき入れ違いにすれ違った女性の面影があるようにも思えたので、

クシュ  ジュ

少々もったいないが煙草を灰皿に突っ込んで、写真を持って外に出る。

オホン

「今の人ー」「落としてませんか」

背格好はうろ覚えもいいところだが、見つかるだろうか。

64百目鬼小百合『ライトパス』:2021/05/12(水) 22:22:15
>>63

「――――んッ?」

      クルッ

後ろから聞こえた声に反応し、振り返る。
たまたまなのか、歩いている人の数は多くない。
そのため、うろ覚えでも見つける事は難しくなかった。

「あぁ、しまった。どうやら落としちまってたようだよ」

           ザッ

「わざわざ拾ってもらってありがとね」

                スッ

男に歩み寄り、写真を受け取るために片手を差し出す。
写真には、十台半ばの少女が写っていた。
真っ直ぐ正面を向いており、
力の篭った目元や引き締まった口元からは、
気の強そうな印象を受ける。
背景に七段飾りの『雛人形』が写っている所を見ると、
『桃の節句』の時期に撮られたものらしい。
年齢はだいぶ離れているが、
どことなく目の前の女と似ているように見えた。

65百目鬼小百合『ライトパス』:2021/05/12(水) 22:33:22
>>64

雛人形を背にして写る少女は『着物姿』だった。

66平石基『キック・イン・ザ・ドア』:2021/05/12(水) 22:56:35
>>64-65
「大事な思い出ですからね」

少なくとも自分にとってはそうだ。
写真を渡す。
失礼にあたると思ったので、そんなじっくり見たわけではないが、印象的な『美しさ』をおぼえる。

「いい写真だ」

67百目鬼小百合『ライトパス』:2021/05/12(水) 23:14:42
>>66

「いや、恥ずかしいもんだねぇ。昔の写真を見られるってのは」

笑いながら写真を受け取る。
ささやかな照れ隠しだ。
落とさないように、今度こそキチッとしまっておこう。

「ところで、アンタ。
 『一服』する所だったんじゃないかい?」

「一本奢るよ。
 火を付けた途端に邪魔が入るってのは、
 やるせないもんだからね」

         ゴソ

そう言って、煙草の箱を差し出す。
今の時代、喫煙者の肩身は狭い。
同じ愛煙家としての親近感もあった。

「拾ってくれたお礼だ。遠慮は要らないよ」

68平石基『キック・イン・ザ・ドア』:2021/05/12(水) 23:38:44
>>67
『もらい煙草はツキが落ちる』――というのは迷信だ。
そのはずだ。

「邪魔なんてことはなかったが、では甘えて、一本いただきます」

こういうのも悪くはない。
煙草呑みならではの、うれしいひと時というやつだ。
それで浮かれたのが良くなかったのか、
右手で一本だけ引き抜くのを、雑に取ったものだから、余分にこぼれ出てしまう……

「おっ」

  ゥン

一瞬、歯車の意匠を刻んだ左掌がこぼれた紙巻を受け止めてから、左手で同じように。

「危うく、落とすところでした。すみません」

彼女が『出したら吸う』『箱に戻さない』タイプなら申し訳ないな、と思いつつ。

69百目鬼小百合『ライトパス』:2021/05/13(木) 00:07:22
>>68

『共通点』は、人と人の壁を和らげる緩衝材として機能する。
顔を合わせたばかりの相手であっても、
何となく親しみが沸いてくるものだ。
今回は、『煙草』がその役割を果たした。

「おっと――――」

だが、『それだけ』ではなかったようだ。

「なぁに、気にしなくていいよ。
 要するに、アタシが『そいつ』を吸えば万事解決だ」

「ハハハ、吸うための『口実』とも言うけどねぇ」

愛想良く笑いながら、左手に乗った一本を受け取る。
そして、ついさっき出た喫煙所に戻っていく。
確かめておきたい事が出来た。
『吸うための口実』というのは『そのための口実』だ。
同じ喫煙者同士、吸いながら話すのが丁度いいだろう。

      カキンッ

「最近は『場所』が少なくて困っちまうね。
 ま、吸う人間と吸わない人間が共存するためには、
 必要な事だってのは分かってるんだけどねえ」

       シボッ

煙草を口に咥え、オイルライターで着火する。
『真鍮製』だ。
長年使われているらしく、経年変化によって光沢が失われ、
くすんだ色合いに変わっていた。

70平石基『キック・イン・ザ・ドア』:2021/05/13(木) 20:27:28
>>69
「それなら、良かった」

にこりと笑って、彼女のあとから喫煙所に。
安物のターボライターで火をつけ、一服。

「本当に困りますね。そこらの道端で吸うわけにもいかない」
「……人通りがないときはついやってしまうが」

小さい頃はそこらじゅうで見かけたものだし、
咥え煙草で歩いている人を見れば何となく大人っぽくて憧れたものだ。
当然、今はまったく逆の意味で見られる。

「いい色のライターですね」

いくつか所有しているが、どこかに無くしたり、忘れたりするのが嫌で持ち歩かないのだ。

71百目鬼小百合『ライトパス』:2021/05/13(木) 21:13:22
>>70

「ハハハ、どうも。昔、同僚から貰ったんだよ」

         パチン

ライターの蓋を親指で閉じ、改めて男に向き直る。

「気持ちは分かるよ。
 急いでる時の横断歩道みたいなもんだ。
 車が来てないと、赤信号でも渡っちまうのと同じだね」

全体から見れば小さな事だが、
社会のルールには反している。
しかし、それらを全て取り締まっていてはキリがない。
だから、大抵の場合、
そういった小さな問題は見逃されている。
世の中を維持するためには、
それも必要な事ではあるだろう。
だが、時として、
『普通の人間には認知されない範囲』で行われる違反も、
この世界には存在するのだ。

「あぁ、ところで『さっきの事』だけどさ」

「床に落ちるかと思ったんだけど、
 上手い具合にキャッチしたもんだねぇ」

「なかなかの早業だったよ――――アンタの『スタンド』」

何気ない口調で、先程見た光景を口にする。
『スタンド使い』である事。
それが、もう一つの『共通点』だ。

72平石基『キック・イン・ザ・ドア』:2021/05/13(木) 22:35:09
>>71
「いい例えですねそれ。まったくそんな感じで」

>「なかなかの早業だったよ――――アンタの『スタンド』」

「……」

言葉を切る。

「あなたもですか」

そこそこの数がいるらしい、ということは知っている。
何よりそれで生死を賭けたわけではあるが。

「『キック・イン・ザ・ドア』」

現れるヴィジョン。
『歯車』の意匠が配された巨躯。

「こういう『スタンド』です、失礼、出さなくてよかったですかね?」

73百目鬼小百合『ライトパス』:2021/05/13(木) 23:01:01
>>72

「ま、そういう事だよ。『ご同輩』ってヤツでね」

口元から紫煙を立ち昇らせながら、
『キック・イン・ザ・ドア』を見やる。
『歯車』から連想できるのは『機械』だ。
無論、外見だけの情報では、『能力』までは分からない。

「いや、悪かったよ。
 別に催促したつもりじゃあなかったんだけどね」

「だけど、まぁ…………見ちまったものは仕方がない」

         ――――ドシュンッ

「『アタシの』も御披露しとくよ。一応『お返し』としてね」

言葉と共に、女の傍らに『ヴィジョン』が現れた。
『キック・イン・ザ・ドア』と同じ人型のスタンドだ。
肩に『白百合の紋章』を備えている。

  ライトパス
「『 正道 』――――そういう名前さ」

『キック・イン・ザ・ドア』と明確に違うのは、
右手に『武器』が握られている事だ。
振り回すのに適度な太さと長さを持ち、
鉄に似た質感を備える武器としての『棒』。
警察官や警備員が使用する『特殊警棒』だ。

74平石基『キック・イン・ザ・ドア』:2021/05/13(木) 23:27:57
>>73
『ライトパス』――どうしても『警棒』に目が行く。
『キック・イン・ザ・ドア』も、500円玉サイズの『歯車』を掌に発現して、見せる。

「武器ですね」

やはり、これは『戦う力』だ、という思いを強くした。
『歯車』は一見してわかりにくいが、『ライトパス』の武器は一目瞭然だ。
そして、しかし、それだけではないのだろう、と知っている。
数少ない経験だが、『加速させる』『乗っ取る(これは『誤認』だが平石はそう思い込んでいる)、『バイタルサインを読み取る』。
そういう、様々な能力を備えているものだ、と知っている。
『何ができるのか』? その好奇心は抑えておこう。いらぬ誤解を招くのも煙草がマズい。

「ああ、でもそうか。見た目でも色々と予想ができるってことですね。
 こちらこそ申し訳ない。至らないもので」

煙を吸い込み、『解除』。
細く吐き出す。ふと気づいた。

「……なんだか妙なモンですね。『スタンド』の名前が先だなんて」

「平石基。無職です」

堂々としていた。

75百目鬼小百合『ライトパス』:2021/05/13(木) 23:53:59
>>74

「へえ、『歯車』を出せるのかい。なるほど、道理だね」

発現された『歯車』を見て、納得したように頷く。
『歯車』を出す能力。
さらに『先』があると見ていいだろうが、
いくら同じ愛煙家とはいえ、初対面の相手に対して、
そこまで聞こうとは思わない。

「いやいや、アタシも配慮が足らなかったよ。
 まぁ、『これ』と同じく『お仲間』だって事さ」

『これ』と言いながら、咥えていた煙草を指の間に挟み、
口元から離す。

      フゥゥゥゥゥ――――…………ッ

煙を吐き出しながら、『ライトパス』を解除する。

「こりゃどうも御丁寧に。
 『百目鬼小百合』。『警備職』さ」

いつかは『百目鬼』じゃあなくなる。
そう思っていたが、自分はまだ『百目鬼小百合』だ。
多分、これからもそうなのだろう。

「ま…………頑張りな。
 関係ないかもしれないけど、
 アタシもずっと独り身のままでね。
 ハハ――――ま、似たようなもんさ」

職業と結婚。
生きる上でのしがらみという意味では、
ある意味『共通点』と言えなくもないかもしれない。
厳密には、色々と違う点はあるのだろうが。

76平石基『キック・イン・ザ・ドア』:2021/05/14(金) 00:08:12
>>75
「警備。なるほど」

なにが「なるほど」なのか、言った自分もよく分かっていない。感覚だ。
何となく「なるほど」と思った。警棒だけではない。雰囲気や立ち居振る舞いや……
とにかく、感覚だ。

  スゥ ―――

フ―

「しばらく休んでから頑張ろうかと。円満退職でもなかったですしね」

『百目鬼小百合』。『警備職』。『警棒』を持った『ライトパス』。
感覚で納得できる。きっとそれにふさわしい『能力』もあるのだろう。聞くまい。
そして、ならば、『キック・イン・ザ・ドア』は――
何をもって、『平石基のスタンド能力』といえるのだろう。
ふと灰が落ちそうになる。もう根元まで尽きている。

「煙草、ありがとう。話せてよかった」

お礼を言って、火を消す。
最初のときよりも目線は上だ。床は見ない。
そして頭に思い浮かんだ質問は、当然、揉み消す。
彼女は『警備職』、答えなど決まり切っているように思われた。

「また縁があれば、会いましょう。では」

ぺこりと頭を下げれば、喫煙所を後にする。

77百目鬼小百合『ライトパス』:2021/05/14(金) 00:28:41
>>76

「平石さん、アンタのお陰で格別の一本が吸えたよ」

お世辞ではない。
馬の合わない相手が一緒だと、
煙草の味も不味くなるものだ。
普段よりも美味く感じたというのは、
同じ時間を共有したのが、気の合う人間だったからだろう。
『いい出会い』だった。
本心から、そう思える。

         スッ

「――――また何処かでね」

指に挟んだ煙草を持ち上げて、立ち去る相手を見送る。
確かめたかったのは、『どういう人間か』という事だ。
少し話しただけだが、悪い人間ではないと思えた。
もちろん、一度会っただけで全てが分かる筈もない。
だが、直感的に感じるものはあった。

         フゥ………………

「さて、『百目鬼小百合』――――これからも宜しく頼むよ」

一人になった喫煙所で、誰に言うでもなく呟いた。

78甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2021/05/15(土) 08:53:52
ショッピングモール

あま公は気になっていた、目の前にある『昆虫ゼリー』が
生まれてこの方『昆虫ゼリー』など食べた事は無いが、果たして美味いのだろうか…!?

79甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2021/05/16(日) 18:21:25
>>78
松本「昆虫ゼリーの味が気になるようだけど、食べてみる決心は付かないようだね
   じゃあ、毒見をさせてみたらどうかな?」
甘城「毒見…?」
松本「そうさ、まずこのゼリーを購入して
   周りの人達に普通のゼリーだと偽って食べさせて反応を見るのさ
   それで評判が良ければ我々も食べればいいんだ」

こうして松本に唆され昆虫ゼリーを周りの人々に食べさせ反応を見たが
防腐剤やら何やらを含んだゼリーは頗る評判が悪く、あま公達は命を狙われるハメになった

後日、防腐剤も合成着色料も含んでいない、ちょっと高級な昆虫ゼリーを食べたあま公は
昆虫ゼリーがちょっとマイブームになった


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