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【場】『 大通り ―星見街道― 』 その2

1名無しは星を見ていたい:2020/04/15(水) 08:27:36
星見駅を南北に貫く大街道。
北部街道沿いにはデパートやショッピングセンターが立ち並び、
横道に伸びる『商店街』には昔ながらの温かみを感じられる。

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                 ミ三ミz、
        ┌──┐         ミ三ミz、                   【鵺鳴川】
        │    │          ┌─┐ ミ三ミz、                 ││
        │    │    ┌──┘┌┘    ミ三三三三三三三三三【T名高速】三三
        └┐┌┘┌─┘    ┌┘                《          ││
  ┌───┘└┐│      ┌┘                   》     ☆  ││
  └──┐    └┘  ┌─┘┌┐    十         《           ││
        │        ┌┘┌─┘│                 》       ┌┘│
      ┌┘ 【H湖】 │★│┌─┘     【H城】  .///《////    │┌┘
      └─┐      │┌┘│         △       【商店街】      |│
━━━━┓└┐    └┘┌┘               ////《///.┏━━┿┿━━┓
        ┗┓└┐┌──┘    ┏━━━━━━━【星見駅】┛    ││    ┗
          ┗━┿┿━━━━━┛           .: : : :.》.: : :.   ┌┘│
             [_  _]                   【歓楽街】    │┌┘
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                      └───┐◇      .《.      ││
                【遠州灘】            └───┐  .》       ││      ┌
                                └────┐││┌──┘
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★:『天文台』
☆:『星見スカイモール』
◇:『アリーナ(倉庫街)』
△:『清月館』
十:『アポロン・クリニックモール』
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前スレ:
【場】『 大通り ―星見街道― 』
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453647631/

653甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2021/07/03(土) 09:07:46
「…」
>>654「…」

土砂降りの雨の中
一体何故>>654と相合傘をするハメになってしまったんだろう

654ダイアナ『オンリー・ガール』:2021/07/03(土) 11:20:57
>>653

     トコ トコ トコ

隣を歩くのは『有名私立幼稚園』の制服を着た少女だった。
片手にテディベアを抱えており、
プラチナプロンドの三つ編みと、
エメラルドグリーンの瞳が特徴だ。
口をへの字に曲げて、
見るからに不機嫌そうな顔をしていた。
それもそのはずで、
もう片方の手には『無残な状態になった傘』を持っている。
突然の強風で傘がブッ壊れ、
雨に打たれていた所で甘城が通りかかり、
現在の状態に至ったという訳だ。

「あぁ、もう……!お気に入りの傘だったのに……!」
 
「ゼッタイ許さない……!」

        ブツブツブツ

「まぁ、でもあなたがいてくれて助かったわ」

「ありがとう」

『風』に対してキレながら、
お礼を言う少女の名は『ダイアナ』である。

655甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2021/07/03(土) 11:52:42
>>654
「どういたしまして…」

自然現象に文句を言ってもどうしようもなく
容赦なく吹き荒ぶ雨風

しかし、入れてあげるのはいいのだが
あま公は高校生、ダイアナは幼稚園児
流石に身長差がありすぎる
こう、身長が離れてると…

             ザァァァ――――ッッ!!

あまり相合傘、意味の無いのでは…?

「…」

そっ、と屈んでダイアナが濡れないように守ってあげるあま公だが
こんな姿勢では歩けないし、いつまでもこうしているわけにはいかないのだが…

656ダイアナ『オンリー・ガール』:2021/07/03(土) 12:36:04
>>655

甘城の身長『148cm』に対し、ダイアナの身長は『110cm』。
その差は40cm近い。
つまり、どうなるかというと…………。

   ザァァァ――――ッッ!!

「ちょっと!濡れてるじゃない!」

「傘をさしてないと濡れる。傘をさしてたら濡れない。
 それが常識でしょ」

「『傘をさしてるのに濡れる』なんて…………
 ゼッタイおかしいわ!アンフェアよ!」
 
「『bloody hell(このクソが)』ッ!!」

       キョロ キョロ キョロ

やり場のない怒りを吐き出しつつ、辺りを見渡す。

「あ!あそこに屋根があるわ!ちょっと休憩しましょうよ」

壊れた傘の先端で、適当な軒先を指し示して提案する。
雨宿りしている間に雨が止むかもしれない。
少なくとも、雨風の中で立ち往生するよりは良さそうだ。

657甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2021/07/03(土) 13:04:47
>>656
「そうね」

最近の幼稚園児怖いなぁ…
などと考えながら、ダイアナが示した場所へ移動する
二人が雨宿りに選んだ場所、そこは

ブッチャー「いらっしゃいませ…!」

肉屋だ
いかにも何人か人を殺った事がありそうな、厳つい店主が
肉切り包丁を手に、こちらを見ている
何か買わなくては殺される…!
そんな雰囲気を醸し出している…!

あま公「コロッケ二つください」

コロッケといえば台風、台風といえばコロッケ
台風ではないが折角なのでコロッケを買う事にしたあま公だった

658ダイアナ『オンリー・ガール』:2021/07/03(土) 13:31:24
>>657

「フーン、まぁまぁの店じゃない」

異様な迫力を発してくる店主。
それにも怯まず、
やたらデカい態度で肉屋の店舗と主人を値踏みする。
そして――――。

「ようやく一息つけるわ」

   ――――トスッ

その場に『座る』。
地べたに座るのではない。
『座る動作』をした直後、そこに『椅子』が現れたのだ。
まるで『空気椅子』のようだが、
両足は完全に地面から離れている。
よく見ると、そこだけ空間が歪んでいるようになっており、
『空気の椅子』が存在する事が分かるだろう。

       スッ

「私はカボチャのコロッケが好きなの」

『椅子形態』の『オンリー・ガール』の上で足を組み、
膝の上にテディベアを置いて、横から注文を出してきた。
払うのは甘城であり、
しかも自分の分があるとは決まっていない。
しかし、そんな事は考えもせず、
既に買ってもらう気でいるのだった。

659甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2021/07/03(土) 13:57:51
>>658
あま「すいません、カボチャのコロッケ」
ブッチャー「無い!」

食い気味に言う店主

あま「…そうですか」
ブッチャー「さっきまでならあったんだがな、俺がおやつに全部食っちまったぜ」

しょうがない、ダイアナにはじゃがいものコロッケで我慢してもらおう
ふと、ダイアナの方を見やるあま公

「…?」

『空気椅子』…?
否!『椅子』がないようで『椅子』がある…スタンドの使い手か!

「食べる?カボチャじゃないけど…」

二つ買ったじゃがいものコロッケ(本当はあま公が二つとも食べる気だった)
の一つを、ダイアナに差し出してみる
これはこれで、揚げたて熱々で美味しそうだ

660ダイアナ『オンリー・ガール』:2021/07/03(土) 14:17:02
>>659

「『カボチャのコロッケ』がないの?フーン、使えない店ね!」

         ソッ

「でも、ないものはないで仕方ないわね。
 一応もらっておくわ」

店主の一言を聞いて評価を一変させる。
それはともかく、ポテトコロッケを受け取った。
多くのバリエーションを持つコロッケの中でも、
基本形とも言うべき一品だ。
調理する者の腕が問われる。
…………かもしれない。

        サクッ

「ん…………!?」

サクサクと香ばしい衣と、
程よい塩気を持った熱々のジャガイモ。
これは……美味しい!
しかし、たった今けなした手前、
それを素直に口に出すのは負けた気がする……。
『プライド』は守らなければならないが、
ここで不味いと言うのは『アンフェア』だ。
なにか上手い言い方は……。

「『マズくない』……じゃなくて」

「ええと…………」

「…………悪くないじゃない」

五歳児の頭をフル回転させて、『妥協点』を見出した。

661甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2021/07/03(土) 14:43:35
>>660
ダイアナの「悪くない」という評価に概ね満足そうなブッチャー
『悪くない』というのは大抵『美味い』という意味が込められている
しかし、これが許されるのはダイアナがまだ子供だからだ
もしも大人だったら…

「美味しいですと言え、言わねば
           ―――折る」

とやられていたかも知れない

「良かった」

ダイアナが喜んでくれているようで何より
そう思いながらあま公もコロッケを食べる

「ところで…」

「貴方、何に座ってるの…?」

ダイアナが座っている『空気の椅子』
さっきから気になって仕方がないあま公だった

662ダイアナ『オンリー・ガール』:2021/07/03(土) 15:02:25
>>661

発言した人間によっては有り得たかもしれない未来。
幸か不幸か、それを理解するほど成熟してはいなかった。
実際の実力は伴っていないが、態度だけは一人前なのだ。

 オンリー・ガール
「『唯一無二』よ。『道具屋』っていう人にもらったの。
 私だけが座れる『私専用の椅子』」

「それだけじゃないわ。
 『人みたいな形』にもなれるし、
 『物の中』に入ることだって出来るんだから」
 
      フフン

「どう?とってもスゴいでしょう?」

両手で持ったコロッケをかじりながら、自慢げに話し出す。
調子に乗って、聞かれてもいない『能力』の事まで、
ペラペラ喋っている。
偶然だが、『入手先』は甘城と同じだったようだ。

「たたかっても強いのよ。
 今までだって――――」

これまで戦った相手が脳裏をよぎる。
動きを止められてくすぐられたり、
吹っ飛ばされて湖に沈められたり、
大岩を落とされて全身泥だらけにされたり…………。

「――――『いい勝負』してきたもの!」

力を込めた口調で言い切る。
やつらには『仕返し』しなければいけない。
いつか絶対に泣かせてやる…………!!

663甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2021/07/03(土) 15:37:47
>>662
「『道具屋』…」

そういえば、『BSS』はそんな人に貰ったんだっけ…
ダイアナの話を聞いて今、『道具屋』の事を思い出し
あの時、何であんな注文したんだろう…?そんな事を考える

コロッケを食べながら、うんうん頷きダイアナの話を聞いている
こんな子供が『戦い』をしてきたのか…
今まで『いい勝負』をしてきたと嘯くダイアナ
彼女が惨敗続きだという事など知らないあま公

この子の言う事が本当なら自分より強いんだな…
戦闘経験の無いあま公はそんな風に思うのだった

「そう、強いのね、尊敬するわ」

その歳で何度も修羅場(?)潜り抜けてきているダイアナに敬意を表するあま公

コロッケを食べ終えたあま公はダイアナに聞く

「ところで、何か食べたいデザートある?」

しょっぱい物を食べた後は、甘い物を食べたくなるかもしれない
ならないかもしれない

664ダイアナ『オンリー・ガール』:2021/07/03(土) 15:59:08
>>663

実際は修羅場など何一つ潜っていないが、
本人からすれば『負けられない戦い』ではあった。
その度に『ブラックリスト』の名前は増えていく。
スタンド使いに限らず、ちょっとした事でも追加しているため、
全員分合わせると相当な量になっていた。

「フフン、そうよ。『強い』のよ。なかなか分かるじゃない」

返ってきた言葉を聞いて、満足げに頷く。
客観的には、毎回ほぼワンパンでやられてきたのだが。
『挫けない』という意味では、
強いと言えなくもないのかもしれない。

「――――『デザート』?」

コロッケを完食し、両手に付いた衣を払う。
そう言われてみると、甘いものが欲しくなってくるものだ。
肉屋の中には、それらしいものは見えないが……。

「それなら『アップルパイ』がいいわ。
 この店はデザートも売ってるの?」

林檎をたっぷり使ったアップルパイはダイアナの好物なのだ。
見える範囲にはないが、
肉屋に売っているものだと勘違いしていた。
当然、そんなはずはないのだろう。

665甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2021/07/03(土) 16:19:13
>>664
「無い」

無いと一蹴するあま公
肉屋にそんな物があるわけがない

「けど、作れる人はいる」

人型スタンド『BSS』を傍らに出すあま公

パチン

あま公が指を鳴らすと
その手には出来立ての一切れの『アップルパイ』が現れた
(別に指を鳴らす必要等無いのだが、やりたかっただけかもしれない)

「話、聞かせてくれたお礼」

林檎の甘酸っぱい香りを漂わせる『アップルパイ』をダイアナに渡す

知らない人から物を貰ってはいけない
子供でも知っている常識だ
ましてやスタンドの作った得体の知れない物だ
ダイアナの危機管理意識が問われる瞬間だ

666ダイアナ『オンリー・ガール』:2021/07/03(土) 16:43:02
>>665

人からもらった物は食べない。
未知のスタンドは警戒する。
それらは、この世界を生き抜くための『常識』だ。

「なぁんだ、あなたも同じだったのね。『お菓子』を出せるの?
 『便利』じゃない。そこの人より使えそうね」

「せっかくだし、もらっておくわ」

そこの人というのは『肉屋』の事だ。
『ビター・スウィート・シンフォニー』の手から、
『アップルパイ』を受け取る。
そして、次の瞬間……。

            モグ モグ

――――『食べた』。
肝が据わっているのか、それとも単に無警戒なだけか……。
ともかく所望した『アップルパイ』は、
無事にダイアナの胃に収まっていく。

        「 ! ? 」

『美味しい』。
それも、『とてつもなく』。
今まで食べた事がない程かもしれない。

「……あなた、なかなかやるわね。
 覚えておいてあげるわ」

       スイッ

「私、『ダイアナ』。あなたの名前は?」

『オンリー・ガール』から立ち上がり、
目の前の相手を見上げる。
ぼつぼつ雨が上がり始めていた。
相手の名前を聞いたら、別れる事になるだろう。

667甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2021/07/03(土) 17:08:41
>>666
「私は、『甘城天音』
 『あま公』って呼ぶ人もいる」

もう雨も上がった、そろそろ行かなくては
あま公とダイアナは、それぞれ別の道を行く事になる

「ダイアナ、今日は話を聞けて楽しかったわ」

スタンドの戦闘経験者(?)の話を聞けたのは、あま公にとっては貴重な体験だった

「もし、またどこかで会ったら、また話を聞かせてちょうだい」

そう言って、あま公は自分の行くべき道を歩むのだった

雨上がり独特の匂い嗅ぎながら
そういえば、今日は片頭痛がしなかったな…
何でだろう?今更そんな事を考えるあま公だった

668ダイアナ『オンリー・ガール』:2021/07/03(土) 18:11:13
>>667

「バイバイ、『あま公』。またお話してあげてもいいわよ」

       ――――ドシュンッ

『オンリー・ガール』をテディベアの中に潜り込ませ、
あま公に手を振った。
傘は壊れてしまったが、いい遊び相手が見つかった。
帰り道、ふと考える。
『オンリー・ガール』は『実体化』している。
上手く使えば、雨を防ぐ事が出来たのではないか?

「雨が降ってれば試せたのに…………」
 
       ダンッ!

「――――もうッ!!」

一人で勝手な事を言いながら地面を踏み付け、
ダイアナは家路に就いたのだった。


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