したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が900を超えています。1000を超えると投稿できなくなるよ。

【場】『 私立清月学園 ―城址学区― 』

902村田 瑛壱『ディズィー・スティック』【高2】:2020/12/23(水) 22:12:45
カチンッ  チチチチチチ・・・
  
  ボ
   ウ ッ!

チリチリ…  シュワワワ…

学園内にある『調理室』から、何やら香ばしい香りがする。

『オリーブオイル』と、それで炒められている『ニンニク』の匂いだ。

903斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』【高2】:2020/12/24(木) 01:05:29
>>902

 調理室のドアを叩きつけるようなノックの音と共に
 男性の声が外からかかる。

 「――開けろ!デトロイト生徒会だ!」

904村田 瑛壱『ディズィー・スティック』【高2】:2020/12/24(木) 01:29:39
>>903

唐突な生徒会のエントリーだ。
開けろと言われれば開けてやりたいが・・・

「(・・・今は手が離せない・・・仕方ないな)」

調理室の重厚な観音開きの扉へは、村田の手は片手間に届かない。なので・・・

ズギュ ン !!

 『ディズィー・スティック』を発現!

 「おいでませェェェェェェェ―――――――ッ!!」

 ド
     カ ァ ッ !!

『蹴り開ける』! 『扉』をッ!

905斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』【高2】:2020/12/24(木) 02:26:48
>>904

激突音と共に観音式の扉が開く

――誰もいない
廊下には影も形も無……

 「あっぶねえな……」

い事も無い、正確には開け放たれた扉の横から
ひょっこりと顔を出した。

 「ノックしてる人の事考えてますかー、特に相手が馬鹿正直にドアを叩いてた場合、鼻面への不意打ちになる事とか。」
 「君、チャイム鳴らした宅急便相手にもそういう事するわけ?謝罪が絶えないだろ。」

乱暴に開いたドアを一瞥し、そうぼやきながら料理中の君の前を横切るのは
首元に赤いスカーフを巻いた同学年の男性だ。

 「成程?手が離せなかったわけだ ……ドアの損傷位置が低いな、どうやって蹴った?」

906村田 瑛壱『ディズィー・スティック』【高2】:2020/12/24(木) 02:50:01
>>905

 「来るとわかってる客と、そうでない客への『もてなし』が違うのは道理じゃねぇかい?
  手荒なのは認めるが・・・と。」

顔を火元の鍋から動かさず、視線だけを扉のほうにやる。
手元はせわしなく、ニンニクを炒める鍋のほうに向けられている。

 「どこかで見た顔だな。あんた。」

いつかの『トライコーン』との戦いを思い出す。あの時は顔に何かを塗っていたが、こんな顔立ちだったはずだ。

 「ま、別にいいか。で、生徒会の方が何の御用なんで?」

村田が顔を向けているコンロの上には、開いた貝殻のような形をした、おかしな形の『銅鍋』が火にかけられている。

907斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』【高2】:2020/12/24(木) 03:20:36
>>906

「別に?」

事もなげにそう言い切ると、適当な場所に腰掛ける。

「君が何もしない真面目で優良な生徒なら。こっちも用事なんてないさ、それに……聞きたいことが有るのは君の方だろ?」

村田瑛壱。
そう呟いて脚を組む、あれはアリーナの仕事だった。

「図書室で何やらこそこそしていたらしいじゃないか。……あの時の君は興味がないと思ってたがな。」

908村田 瑛壱『ディズィー・スティック』:2020/12/24(木) 15:22:38
>>907

 「『アリーナ』、『エクリプス』…
 俺がその二つについて調べていたのは、組織自体に興味があったからじゃない。」

口を開けた銅鍋で玉葱を炒め、油を馴染ませる。

 「俺が気にしているのは、『深山兄妹』がこれから先、面倒ごとに巻き込まれないかってことだけだ。
 一般人とはいえ、スタンドの絡む事件に関わった以上、目をつけられてもおかしくない。」

 「奴らに手を出してくるようなら『どちら』であれ、俺の全てを賭けて『潰してやる』…そう考えただけのことだ。」

鍋に蛤、魚の切り身、剥いた海老を放り込み、鍋の口を閉じる。

 「…で、お前は『どっち』だ?」

909斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』【高2】:2020/12/24(木) 22:42:13
>>908

 「自分を問えって?結構な無理難題を言うじゃないか」

両手の指を互い違いに、虫の歩みの如く滑らかに動かす
意味は無いが単に落ち着くだけの動きという物は有る。
鬱病患者というものは特に。

 「ところで……『深山』って誰?」

首を傾げるとどうにも心当たりがないような所作で肩をすくめる。

 「覚えてないんだけど、あれかな?『トライコーン』で君の傍にいた女の子の事。」

910村田 瑛壱『ディズィー・スティック』:2020/12/25(金) 00:52:11
>>908

 「ああ、そうだ。兄貴の方は『二本角』にされていた。」

トクトク…
         グイィーーッ

調理に使った『白ワイン』を取り出し、グラスに注ぎ一息に飲み干す。

 「あの事件が誰の差金なのかは知らん。興味もねえ。
 だが『音仙』に曰く、この街はどうにもそういう連中がら多いらしい。
 その中にゃこの間の『ゲンマ』のようなやつもいるんだろう。」

 「過ぎたことはどうにもならんが…これからのことはどうとでもなる。
 彼らが被害者である事実は消えずとも、これ以上被害が及ばない為に動くことは出来る。」

911斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』【高2】:2020/12/25(金) 21:03:27
>>910

 「立派だねぇ……物言いは。」

言う事ならば誰にでもできる
まあそれを言うだけでも勇気が有ると捉える事はできるだろう。

 「しかしそう言う事なら『潰す』なんてますます言葉は使わないほうがいいな」

 「周囲に無節操に力を振り回し、悪戯に『深山』のような一般人に被害を拡大させて……」

 「態々敵を作りまくって、袋叩きに有ったのがあの『トライコーン』なんだ。」

ただし、『勇気』とは『蛮勇』という言葉の類義語である事を忘れてはならない。

 「――君、彼の跡を継ぐ気かい?」

ニヤリと口を歪ませるとすぐに作り笑いに戻る。

 「ま、どの道アレは長くなかったけどね、僕達全員にとっても危険だった。」

912村田 瑛壱『ディズィー・スティック』:2020/12/25(金) 22:26:34
>>911

「そうだな…それも『悪くない』な。
 正しいと思って『流れ』た先がそういう結果なら…『諦め』もつく。」

火にかけられた鍋を眺めながら、同じように一瞬だけ笑みを浮かべる。

 「俺はね、『俺の生きる明日』を今日より良くすることだけに興味がある。
 善だとか悪だとか、正当だとか邪道だとか…そんなことは『どうだっていい』。
くだらない世間の話や、世界の話も聞き飽きた。」

 「目下の命題は彼らの安全の保証と、この鍋の味つけだけだ。」

つまみを回し、コンロの火を止める。あとは余熱調理で良いだろう。

 「たったそれだけを邪魔する奴がいるなら…
 『俺の明日の平和』を脅かす何者かがいるなら…
  そいつらにとっての、望まれざる『来訪者』になることに躊躇いはない。」

913斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』【高2】:2020/12/26(土) 01:35:56
>>912

 (成程 ……鏡を見るとはかくも滑稽な物か)

 「――面白い奴だな、君。」

 「明日の自分が、今日より良くなると期待しているのか、そこは僕との違いだな。」

肩を竦める。

 「まぁ、心配の方は杞憂だろうけれど」

 「君の、お嫌いな世間の話だが、『トライコーン』が『アリーナ』に排斥されたのは弱者を守る為。」
 「この『弱者』というのは君の言う2人じゃないぜ、僕ら…『スタンド使い』の事だ」

 「この力は数が少なく、露見し難い けれど見境なしに使えば幾らなんでもおかしいとは思われるだろう。」

 「その時僕らは、君が守ろうとしている2人…世間に排斥されるだろうな
 なにしろ 取り上げる事も、禁止する事も出来ない透明な拳銃を僕達は持っていて」

 「ホモ・サピエンスは肌の色だの思想の違いだの、信じる物が違うだけでも殺し合いが出来る種族なんだから。」

爪にヤスリをかけながら続ける、うん、今日も奇麗だな。

 「まあ何が言いたいかと言うと……『2人に関して心配する必要は何もない』って事さ、僕はその為に『アリーナ』の依頼を受けてあそこにいたんだ。」

 「むしろ危険なのは君の方なんだぜ、或いは……『僕達』か。」

彼の明日を脅かすのが、『スタンド使い』とは限らない
もし、どうしようもない理不尽が彼の身に降りかかり、それを彼が『あり得ない力』に頼って退けてしまったばあい
それを恐れて依頼を出すのは、『エクリプス』と『アリーナ』だ、そしてその依頼を受けるのは……。

 「うっかり君の言う、くだらない世間に殺されてくれるなよ?出来れば1人でひっそり死んでくれればなお良い。」

爪に息を吹きかける、完璧だ。

914村田 瑛壱『ディズィー・スティック』【高2】:2020/12/26(土) 02:59:08
>>913

「いろいろと『諦め』てきたからな。
 ・・・せめて、必ず来る『明日』ぐらいは、よりよいものを望んでもバチはあたるまい?」

『銅鍋』の貝殻のように閉じた蓋を開ける。
オリーブオイルとニンニク、それから魚介の出汁の豊かな香りがあたりに立ち込める。

 「だが、俺の欲した明日がよりよくなるために、俺が『いらない』というなら・・・
 その時は、『そうする』だけだ。」

どこからか貝杓子を取り出し、『銅鍋』の中身を皿に盛りつける。

 「ま、おれのことはどうだっていい。『深山兄妹』に危害が加わらないことが分かれば、それで十分だ。
 今日は少し枕を高くして眠ってもよさそうだ。」

ふふんと心底嬉しそうに鼻を鳴らし、口角を吊り上げる。
その顔のまま振り向き、皿に盛った料理を、『斑鳩』の前にある机へ差し出す。

 「『魚介たっぷりのカタプラーナ』だ。『ポルトガル料理』・・・食ったことあるかい?」

915斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』【高2】:2020/12/26(土) 15:51:59
>>914

掌を突き出して指を折り曲げて数える。

 「――調理器具と場所の無断使用だろ?
 飲酒に自暴自棄、暴力行為に贈賄。」

おっと、既に折り曲げる指が足りなくなった
突き出した掌を戻す。
 
 「諦めている割には、自分の事を自由にできると憚らない。
 あまつさえそれを食えって?『生徒会』の僕に!」
 
『村田』を両の瞳で見据える
『自分の事はどうでもいい』『正しければ死んでもいい』『善悪や世間の評価に興味がない』
どうやら不適合者真っ逆さまだ。
  
 「まったく、『くだらない世間』一般の『良い子』とは程遠いな君は!」

……そしてなんとも、一点を除いてよく似ている
皿を受け取り、苦笑しながらやや投げやり気味に台詞を返す。
 
 「……フォーク有る?」

916村田 瑛壱『ディズィー・スティック』【高2】:2020/12/26(土) 19:11:58
>>915

「『調理器具』は全部俺のだぜ。数える指が足りるな。」

にやりと笑って、フォークとスプーンを差し出し・・・

 「『飲酒その他』については、これで目をつぶってもらうとするかね。
 ・・・『魚介料理』には『白ワイン』がぴったりだ。」

グラスにワインを注ぎ、同様に差し出す。

 「美味いメシは、よりよい明日のために欠かせないものだ。
 明日への『活力』、『期待』、そしてもっと美味いものを作るって『野心』のため・・・
 あんたとおれのよりよい明日のために、『乾杯』しようじゃねえか。」

酒はともかく、料理は美味かったはずだ。
手をかけずとも、下ごしらえが十分ならうまく仕上がる・・・
それが『カタプラーナ』という料理であり、よりよい明日もそうして迎えるものなのだから。

917夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2021/01/26(火) 19:35:46

放課後の図書室。
片手にペンを握り、机に向かっている。
『真剣』な表情だ。

           カリカリカリ…………

机に載っているのは、一冊の書籍だった。
『よむ・かく:くりかえし漢字ドリル(小学三年生一学期)』。
勉強中らしい。

918ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/01/26(火) 22:17:00
>>917

「り……ゆう。じそく。はこぶ。はこぶ」


何やら後ろからブツブツ聞こえる。
しかもその内容は、今まさにやっているドリルの漢字だ。


「みじかい。くらい」


ちなみに書いてあるフリガナを読み上げているだけなので
答えを言っているわけではない。

919夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』【高一】:2021/01/27(水) 10:33:50
>>918

   チラ…………

            クルッ

                ――――バッ!

後ろを振り返って、また前を向く。
前を向いたかと思うと、今度は勢いよく振り向いた。
いわゆる『二度見』というヤツだ。

「ナンだ??『よそのスパイ』か??
 ケイカイゲンジュウな『ホウカゴのトショシツ』に、
 この『アリス』いがいに『シンニュウシャ』がいようとは……」

「わたしは、
 この『アンゴウ』をカイドクしているさいちゅうなのだ。
 このナゾのアンゴウブンのなかに、
 『しんへいきのセッケイズのありか』が、
 こうみょうにかくされているという……」

「『セッケイズ』はわたさんぞ!!『よそのスパイ』!!」

即興で捏造した背景を語った。
『しんへいき』のしょうさいは、
『アリス』がしょぞくするホンブでもまだつかめていないが、
てにいれるとセカイをせいするともいわれているモノだ。
それがアクのてにわたらないために、
なんとしても『アンゴウ』をカイドクせねば……!!

920ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/01/27(水) 13:00:42
>>919

「いけん。びょうき……うん?」


背後にいたのは、金髪の子供だった。
やたらと大きめの服を重ね着している。
年齢は小学生低学年くらいだろうか。


「何を言っておるんじゃ?
 よくわからんが、わしは悪くないぞ。
 わ、わしをどうするつもりじゃ?」


突然、怒涛の設定を浴びせられてよく理解できなかったのだろうか。
とはいえ何か友好的でない雰囲気は察したらしい。
キョロキョロとあたりを見回す。厳重な警備とやらを警戒しているのかもしれない。

921夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』【高一】:2021/01/27(水) 17:00:44
>>920

「さては、まだ『ゴクヒジョウホウ』をつかんでいないな??
 ワレワレのほうがさきをいっているというコトか……。
 しかし、こんご『ニンムたっせいのショウガイ』になるカノウセイも、
 ひていはできない……」

         ガタッ

「いまのうちにてをうつべきか……」

漢字ドリルを手にして立ち上がり、
じりじりと少しずつ距離を詰めていく。
特に警備とかはなく、今ここにいるのは、
たまたま二人だけだった。
ほんらいであれば、
『AAAクラスのセキュリティー』がほどこされているのだが、
ついさっき『エージェント・アリス』によって、
すべてカイジョされてしまったからな。
『トクシュカクヘキ』とか『レーザートラップ』とか
『サイミンガス』とかイロイロだ。
そこらへんのシーンは、
『コレクターズエディション』のエイゾウトクテンでみられるぞ。

「だが、イマは『セカイのソンボウ』がかかっている。
 きょうりょくしなければ、
 『ジンルイのキキ』はのりこえられない!!」

「そうはおもわないか??『エージェント・フェアチャイルド』」

         ズィィィィィッ

コードネームを与えつつ、漢字ドリルをグイッと突き出す。
『カンジ』のニガテなアリスに、
『3ねんせいよう』はまだちょっとハードルがたかかった。
『2ねんせいよう』にしときゃよかったな!!

922ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/01/27(水) 17:48:17
>>921

「む?
 よその……? アリス以外に……?」


子供は遅ればせながら気づいた。
この目の前のアリスとやらが自身がシンニュウシャであることに。
つまり、セッケイズを守る側ではなく、奪取に来た側。


(この娘、ワルモノか……?
 いや、人類の危機を乗り越えるということは正義……?
 何か勘違いしているようじゃが、
 わしが無関係であることがバレるとまずい……のか?)


全然状況は掴めないながらも、完全に雰囲気に気圧されてしまっている。
なんか知らないがジリジリ近づいてくるものだから、
同じだけ後ろに下がるが、本棚に背が当たってしまう。
これ以上後ろに行けないというのに、漢字ドリルを突き出される。


「わ、わかった。わかったから落ち着くんじゃあ……」


フェアチャイルドと言われても当然、心当たりは皆無だ。
誰と勘違いしているのだと思いつつも、『きょうりょく』を受諾する。

923夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』【高一】:2021/01/27(水) 18:53:53
>>922

「よしよし、ハナシがわかるな。
 『フェアチャイルド』なら、そういうとおもったぞ!!」

      スタスタスタ

              ――――トスッ

漢字ドリルを引っ込めて、また椅子に座る。
机の上には『ロリポップキャンディー詰め合わせ』が置いてあった。
この前の『パーティー』でもらったヤツだ。

「タチバナシもナンだから、
 とりあえずソコにすわるとイイぞ『フェアチャイルド』」

「ついでに、このアメもくってイイぞ『フェアチャイルド』」

         ヒョイッ

棒付きのキャンディーを口に咥えつつ、
自分の向かいの席を指し示す。
お菓子で懐柔しようという策だ。
たとえ『よそのスパイ』であっても、
かつコトよりあらそわないコトがだいじだ。
ジブンがさきにたべるコトによって、
『アンゼン』であるコトをアピールする。
イチリュウのスパイには、ぬけめなさがダイジなのだ。

「『フェアチャイルド』は、
 さいきんナニかオモシロいコトとかあった??」

そして、さりげなく世間話にシフトしていく。
実の所、漢字の勉強に疲れたので、
ちょっと息抜きしたかったのだ。
ちょうどタイミングよく『フェアチャイルド』が現れたので、
引っ張り込もうという魂胆だった。

924ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/01/27(水) 22:26:22
>>923

 「?」
          「?」


急にすごくフレンドリーになったので混乱しつつ逆にビビる子供。
ペースは握られっぱなしだ。
言われるがままに席に座る。


「書をしまうのか? 解読するのではなかったのか?
 わしの話が何か関係あるのか?
 お、面白い事?
 ……ええと、その、こ、この間、ラッコを撫でたこと、とかじゃろうか」


とりあえず手に取ったキャンディーを手で弄びつつ、
チラチラと顔色をうかがう。

925夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』【高一】:2021/01/27(水) 23:25:21
>>924

「ほうほう――――」

「『ラッコ』か。きいたコトはあるな〜〜〜」

       ズイッ

「――――みたコトはないけど!!」

興味を引く話題が出てきて、思わず身を乗り出す。
アリスはアリスだから、
『見た事がないもの』には目がないのだ。
コイツはみのがせんな!!

「『ラッコ』ってどういうヤツだっけ??
 『ハネ』はえてた??『きのぼり』がトクイとか??」

「あ、せなかに『カイガラ』しょってるヤツだっけ??」

知識にある情報を総動員して、
まだ見ぬ『ラッコ』の姿を頭の中でイメージする。
『視力』を得たのが最近のため、
たとえ情報を知っていたとしても、
それが実際の外見と一致しにくいのだ。
『じめんのした』でくらしてたようなきもするな……。

926ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/01/27(水) 23:40:14
>>925

「ラッコを知らんのか」


と言いつつ、子供だってラッコが世間一般でどの程度の知名度なのか知らない。
知らない方が普通なのかもしれない。
だが今まで気圧されていた分、精神的優位に立てそうと思ったのか口は軽くなる。


「ラッコは……海に住んでおるやつじゃ……確か、多分……
 わしが見たのはパーティ会場じゃったが。
 だから羽が生えてたり木登りとかはせん、と思う。水タイプじゃから。
 灰色っぽくて、見た目は……直立した鼠? と言っても耳は小さくて……
 体の大きさはこう、このくらい」


椅子から飛び降りると、棒付きキャンディーを杖のように振って、ラッコの大きさを表現する。
1mちょっと……この子供より少し小さいくらいか。


「毛が触り心地がよくての。
 あ、貝殻? 背負ってはおらんかったが、
 ラッコが貝殻を持っておるというのは聞いたことがある気がするのう。
 いや、持っておるのは石……?」

927夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』【高一】:2021/01/28(木) 00:43:23
>>926

「しらんのじゃよ、『フェアチャイルド』」

「ほうほう、そんなヤツだったのか。
 おもったよりちいさいんだな。
 で、『イシ』をもってるのか……。
 『フシギなニオイ』がプンプンするな!!」

大きく頷きながら、興味深げに話を聞く。
『ラッコ』……ソレはミチのチョウセイメイタイ……。
パプアニューギニアのおくちで、ゲンチジュウミンによって、
ソンザイがささやかれていたという……。
はたしてジツザイしているのであろうか??
そのシンギをとうべく、カメラはげんちにとんだ!!

「ん??『パーティー』??」

「アリスも、さいきん『パーティー』いったけど。
 もしかして、ソレ??
 『キグルミ』みたいなの、いなかった??」

会場に行った時、ラッコらしきモノは見えなかった。
トイレにでもいってたのか??
それとも、ジツはラッコは『イチリュウのスパイ』で、
たくみにケハイをけしていたのかもしれないな……!!

「アリスは『ウラのほう』にいってたからな〜〜〜。
 ウマいことハメられたか!!」

928ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/01/28(木) 01:09:10
>>927

「着ぐるみ?
 いたかもしれん」


そこらへんは注目していなかったのか、あまり記憶が定かではなさそうだ。
そして話しているうちに、世界の危機やスパイの事はもう忘れたらしい。
この子供の記憶はあまり当てにならないかもしれない。


「パーティは、何の集いなのか知らんが、
 なにか食べ物が並んでおって、勝手に取って食ってよい感じじゃったな。
 ラッコも刺身を食っておった。
 あ、あとプレゼント交換もあったの」


椅子に座り直し、服の毛玉を毟る。


「クッキー食うか? 飴のお返しじゃ。
 ……この飴……何味があるんじゃ?」


と思ったら、毛玉を毟っていたはずの手に、
いつのまにかチョコクッキーを持っていて、渡してきた。
包装を破っていないとはいえ行儀が悪いが、飴は味を選び直そうとしている。

929夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2021/01/28(木) 15:36:03
>>928

「じゃ、ヤッパリおんなじパーティーじゃねーか!!
 ナンだよナンだよ、もっとはやくいくんだったな〜〜〜。
 おもったより『ヘンソウ』にジカンがかかったからな……」

あのパーティーには、『夢見ヶ崎』ではなく、
『アリーナ』のリングネームである、
『アルカラ』として参加したのだ。
出掛ける前の事を思い出す。
白衣を着て、ウィッグを着けて、黒いサングラスを掛けて……。
たいしたコトしてないって??
えらぶジカンがながかったんだよな。

「おっ、いいね〜〜〜。
 よのなか『ギブアンドテイク』だ。
 ギブしたらテイクするのがジョーシキだからな。
 『フェアチャイルド』は、よくわかってる!!
 しょうらい『オオモノ』になれるぞ」

         スッ

遠慮なくクッキーを受け取った。
キャンディーは『詰め合わせ』なだけあって、
多種多様な種類があるようだ。
欲しいヤツは大体見つかるだろう。
ところで、どれくらいオオモノになるとおもう??
タブン『3メートル』くらい??
じゃ、わたしは『4メートル』をめざすぞ。
コンビのなまえは『7メートル』だな。

「おおきくなるには、たべるコトがだいじだ。
 だから『フェアチャイルド』も、よくたべてよくアソブんだぞ」

「ところで――『コレ』、どっからだしたの??」

         ズギュンッ

手に持ったチョコクッキーを指差しながら、
背後に『ドクター・ブラインド』を発現させる。
『両目を閉じている人型スタンド』だ。
両手の『爪』は鋭く尖っており、
手術に使われる『メス』のようだった。

930ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/01/30(土) 10:35:48
>>929

「うむ。大物というか……
 わらしべ長者にわしはなる」


世はまさに大交換時代。
しかし、この子供に地の文を読む能力は無い。
2000万パワーズ的論法のチーム名の話題は
返事されることはなく虚空に飲まれていった。


「イチゴ味か、メロン味か。
 迷うところじゃな……」
「…………」
「……うーむ」
「…………」
「のう、クッキーを2枚やるから飴を2個貰っても……のわ! オバケ!
 のわわ……」


飴を選ぶのに夢中であまり聞いていなかったようだが、
振り向いた瞬間、ビビッて椅子から落ちそうになる。
その時、手から机の上にこぼれ落ちたのは、
一瞬前までは持っていなかったはずの『クッキー』(とセーターの毛玉がいくつか)だった。

931夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2021/01/30(土) 14:37:37
>>930

「『オバケ』だとォ〜〜〜??
 『Sクラスエクソシスト・じょしゅだいり(ふつかめ)』のわしが、
 アレとかコレとかでカイケツしてしんぜよう!!」

         ババッ

                  「『オバケ』は!!」

              ババッ

  「どこだ!?」

『爪のあるスタンド』が素早い動きで周囲を見渡す。
『閉じた両目』で見回している様子は、
奇妙に思えるかもしれない。
いや、まて。
あいてがオバケでも、『ケンカごし』はよくないな。
まずはコミュニケーションをとるコトをためすべきだ。

「オバケさん、ちょっとウチらとハナシでもしませんかね??
 ほらほら、キャンディーとクッキーもあるコトだし。
 ハロウィンには『9ヶげつ』くらいはやいけど。
 あ、オバケってモノたべるんだっけ??」

ついでにハネがはえてて、きのぼりがトクイで、
あとじめんのしたにすんでて……。
あ、そりゃ『ラッコ』か??
ラッコは、さわりごこちがよくて、
イシをもってるちいさいイキモノだろ!!

「おん??クッキーくれるのか。
 ギブアンドテイクのセイシンでオーケーだ。
 スキなのをもっていくとイイぞ、『フェアチャイルド』」

「ところで、このクッキーさぁ。
 たべても『ケダマ』にもどったりしない??」

そう言いつつ、もらったチョコクッキーをかじる。
キャンディーはどれでも取っていいらしい。
『交換成立』だ。

932ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/01/30(土) 22:26:51
>>931

「……なにやっとるんじゃ?
 妙なやつじゃのう」


ヨタヨタと椅子の上で姿勢を安定させる。
芝居がかったコミカルな動きに逆に安心したようだ。
オバケと呼ばれたのが自分の事だとわかっているのかいないのか。
スパイだのエクソシストだの、身分がコロコロ変わるし、
まとめて、変なヤツ、という印象で括られそうである。


「……大丈夫じゃ!」


特に言い訳したり、ごまかしたりもせずに言い切った。
『クッキー』は大丈夫らしい。
返事を聞く前に食べてるあたり豪胆だが、齧っても、
特におかしな所は無く、普通に市販の安売りクッキーとしか思えない。
気になるとするならば、2つのクッキーは同じに見えることだろうか。
量産品なのだから同じで当然と言えばそうだが、包装に貼られた値引きシールの位置まで同じだ。

933夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』【高一】:2021/01/30(土) 23:17:36
>>932

「ん…………??」

クッキーを食べつつ、二つの包装を見比べて首を捻る。
確かに変なものではないようだ。
毛玉の味もしない。
ケダマくったコトあるのかって??
きくな!!

                 ドシュッ

         ドシュッ

『爪のあるスタンド』が、本体を『爪』で軽くつついた。
これによって、『超人的嗅覚』と『超人的味覚』を、
本体に移植する。
その状態で再びクッキーを食する。

 「サクッとしたショッカン……チョコのあまさ……」

        「こ……これは……」

    「『いたってフツーのクッキー』!!」

    バァァァァァ――――――――ンッ!!

「このわたしがいうんだからマチガイない。
 『しるヒトぞしるグルメ・クイーン』とよばれてるからな!!」

「あ、そうだ。
 せっかくだから『フェアチャイルド』にも、
 『グルメのセカイ』をタイケンさせてやろう。
 イマちょうど『キャンペーンちゅう』で、
 ムリョウでおためしできるらしいぞ。
 ツイてるな、『フェアチャイルド』」

        ――――チョンッ

『盲目のスタンド』が、人差し指で子供を軽くつつく。
触れられる感触はあるだろうが、
精密さゆえに痛みは皆無だ。
攻撃ではなく、『超人的味覚』を移植して、
『舌』を肥えさせてやろうという考えだ。

「さぁ、そこの『キャンディー』をたべてみなさい。
 『クッキー』でもイイけど」

『移植』されたなら、超人的に『ブースト』された味覚によって、
『グルメの舌』になっているだろう。
具体的には、『ミネラルウォーターの銘柄』を当てられる程に、
味覚が鋭くなるという事だ。
普段よりも『味』が鮮明に感じられ、
『材料一つ一つの味』さえも識別出来るであろう。

934ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/01/30(土) 23:29:00
>>933

「普通のクッキーじゃが……」

「?」

「なんじゃ?」


普通のクッキーをオーバーリアクションで食うさまを不思議そうに眺める。
とはいえテンションがおかしいのは最初からなので、
特に不信感は増さなかったのか、おとなしくツンツンされた。


「うむ。
 イチゴ味を」    ペロ……

                    「これは!?」

     バキッ
                 ガリガリ バキ


思わず飴を嚙み砕いてバリバリ食べてしまった。


「メロン味の方もじゃ……
 この飴……何かお高い飴だったりするのかの!?」


自分の味覚ではなく飴が特別美味しいものだと思ったらしい。
2個目の飴は大切にペロペロする。

935夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』【高一】:2021/01/31(日) 00:14:41
>>934

「うむうむ。
 『もらいもの』だから、くわしくはしらんが、
 ジツは、たべるタイミングによってアジがかわる、
 『ユメのキャンディー』なのかもしれないな……。
 せけんではムメイであったが、
 じっさいはセカイイチともしょうされる、
 『ここうのオカシショクニン』のウワサを、
 ちまたできいたコトがあるようなないような……!!」

プレゼント交換でもらった品なので、
どんな物かは実際知らない。
もしかすると、実は値打ち物だったのかもしれない。
外見的には、
特にそんな雰囲気は漂っていなかった気がするが、
そっちの方が面白いし、
その可能性もゼロではないだろうと思っておく。

「そういえば『フェアチャイルド』は、
 『わらしべチョウジャ』になるんだっけ??
 『ユメ』をもつのはイイことだ。
 ユメがかなうように、アリスもおうえんするぞ!!
 『フェアチャイルド』もアリスをおうえんしてくれよな!!」

          サクサクサク

「『アリスのユメ』いったっけ??
 『セカイのゼンブをみる』のが『アリスのユメ』だ!!」

普通のクッキーを食べながら、さっき聞いた話を思い出す。
『わらしべ長者になる』という話。
それが自分のでも誰かのでも『夢』は好きだ。

936ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/01/31(日) 00:28:49
>>935

「味はイチゴとメロンじゃが!?」


とても美味しく感じたが、味が変わっていたわけではない。
なんとも適当な会話である。


「それは壮大な夢じゃな。
 何かスパイ?やらエクソシスト?だいり?ジョシュ?グルメクイン?
 やら色々やっておるのもその一環というわけか」

「何をしても夢の実現に近づくという意味では
 良いかもしれんの……」


適当な本を開くだけでも知らないことを知れるので、
夢に近づいていることには変わりない。
向かおうとする意志があるとしても、道のりが長すぎていつかは辿り着く。とは言えないが。


「とりあえず向かうのは大切じゃな。
 わしも少しづつ交換品を増やしておる。うむうむ」


わらしべ長者のようにステップアップしているかどうかは不明だが、
とりあえず品目が増えれば前進していると言える。

937夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』【高一】:2021/01/31(日) 00:55:24
>>936

次に食べた時には『超人的味覚』は消えている。
その頃には、『普通のキャンディー』に変わっているだろう。
そういう意味では、
『これから味が変わる』と言えるかもしれない。

「そうそう。
 『セカイをみる』ためには、
 イロイロけいけんするコトがチカミチだ。
 『フェアチャイルド』はよくわかってるな!!
 さすが、『ユメをもつモノどうし』だ!!」

長い道のりだが、死ぬまでには実現しようと思っている。
普通に考えれば、それでも時間が足りないだろうが、
やる前から諦める気はなかった。
何よりも、視力を得てからというもの、
『そうしたい』という気持ちが尽きないからだ。

「よし!!ガンバろうぜ『フェアチャイルド』!!」

         バッ

「おたがいの『ユメ』にむかって!!」

高まったテンションのまま、
クッキーを持つ手を大きく突き上げる。
そんな感じの流れで、この後も続いたらしい。
ここで、ひとつダイジなコトがある。
『3ねんせいよう』はムズかしすぎた。
つぎの『かんじドリル』は『2ねんせいよう』にしよう。

938ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/01/31(日) 01:23:18
>>937

「おや……?」

「?」


急に普通の飴になってしまったので首をかしげ


「お、おおー」


合わせておずおずと手を上にあげた。


……そして結局、アンゴウ(漢字ドリル)は解かれることなく、
セカイのソンボウがかかったしんへいきのセッケイズは忘れさられ
世界は闇に包まれ(日が落ちて暗くなっ)たのだった。
だが彼女たちは歩み続ける。明日を夢見る限り……!
エージェントアリスとフェアチャイルド出会い編 完!

939斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2021/02/06(土) 00:05:43
――ブゥゥゥン

薄暗い体育館でライトセーバーを持ち対峙する二つの影あり

 「君、赤のセーバー大好きだな?」
 「紫が良かったんだけど作ってくれなかったんだ……」

青のセーバーを持つ少年の型は『ソレス』
弓を引くような独特な構えを取る防御の構えである。

 「お前のそれ今レジェンズ(非正史)にならなかったっけ?」
 「うるせぇ!俺の中では今も正史なんだよ!!!」

赤のセーバーを持つ少年の型は『シエン』
逆手片手の構えで用いる高い攻撃性と制圧の構えである。
 
 「うわ、めんどくさいオタクだ。」
 「スターウォーズのオタクでめんどくさくないヤツとかいるの??」
 「やかましい……さっさと始めろジェダイとシス。」
 「アイツ嫌々きた割にはノリノリじゃん。」

静寂でも何でもない空間で、踏み込まれた床が摩擦音をたて
双方の光剣が今、優雅な、或いは力強い線を描きながら交差し――

 「はい、失格ゥー。」

部員のブーイングと審判のルール違反を告げる声で
練習試合が終わった。7回目だった。

 「また剣先を後ろまで回すの忘れただろ!……中々慣れないもんだなあ。」

これなるはフェンシング『ライトセーバー』部門の一幕であった。
ライトセーバーを手元でクルクルと回しながら苦笑する

 (……影の頭部でギリギリ見えたが、攻撃を止めて良かったな
  うっかり自分が反則になる所だった。)

面白半分で突っ込んでは見たが中々うまくはいかない物だ
これではグリーヴァスごっこもできそうにない
斑鳩はそう独りごちる。

940斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2021/02/07(日) 01:01:33
>>939

 (しかし、銀河の平和を守る『超能力者』の宇宙の騎士ねぇ……)

事実そういうスタンド使いもいそうでは有るが
思いつく限りで該当しそうなのはいなかった

 (アリーナも営利団体、自分の利益が確保されている間は
 金の卵を産むガチョウを自分の手で絞殺すわけも無し)

無論、それが尊敬の対象ならばいい
だが現実は他者に知られるべきではない力だ。

 (激発しそうなやつは諫めなければ、この町が疑心暗鬼から戦場になって
 祖父母が巻き込まれる事故が起こる可能性は高くなる)

 (だから、この町の治安も守る 守るが……。)

手にした手製の『ライトセーバー』を回す
これは所詮おもちゃだ、そして力をおもちゃとはき違えた連中が目立つように振り回し
袋叩きにされて死ぬ

いわゆる生殺与奪の権を握る『スタンド使い』という『個』の強者でさえも
弱者の『集団』には敵わない……その例は最近何度も目にしていた。

これが自分に当てはまらない
そう考えるほど、斑鳩は愚かでは無かった
或いは、愚かであった方が余程救いが有ったのかもしれない。

 「ぬるま湯の風呂だ、浸かっていても温まらないが…出るには寒すぎる。」

どこを見る事も無く、ひとり呟く。

 「こんな事を考えて ――遠のいていく気がするんだよな。」

身体を動かしている間はなにも考えずに済む

自分の将来への閉塞感を首を振って振り払い
仮初の友人との遊戯に戻った。

941甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』【高一】:2021/02/13(土) 11:01:32
校舎裏

「これ、受け取って」

>>942に差し出したそれは、ハート型にラッピングされている
これは、バレンタインのチョコ…!?

942甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』【高一】:2021/02/14(日) 19:13:42
>>941
生徒1「……嫌な事件だったね」
生徒2「死人が出なかったのは幸いだった」

こうして血ョコレート事件は幕を閉じた

943円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/02/14(日) 23:16:49

キャップを被りパーカーを羽織り、
モカブラウンの髪をセミロングにした猫顔の少女――
制服から見ると『高等部』だろう。
彼女は手に『紙袋』を持って歩いている。

     ビリ

       ポトッ

その底が破れ、『赤い包装』の何かが落ちた。

         ……彼女は気付いていないようだ。

944ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/02/15(月) 22:44:22
>>943

「……ん?」


通りかかった小学生くらいの子供が『赤い包装』の物を拾う。
ここが高校の廊下だというなら不似合いな人物だが……
小学生でも入り込める場所だとしても、
金髪と青い目、日本人ではなさそうな顔立ち、
大人ものの服を重ね着したような恰好は不審ではある。


「うーむ?」


少女を小走りで追いかける子供。
そして後をつけながら袋を観察する。
穴が開いているならば、さらに何か落っこちてくるのだろうか。

945円谷 世良楽『リトル・スウィング』【高1】:2021/02/15(月) 23:32:10
>>944

赤い包装は『そういう商品』というよりは、
誰かがあとから紙で包んだ物に見える。
中身は不明だが……なんなんだろう?

ここは高等部の校舎から、校門に向かう途中の廊下。
中等部や小学部の生徒も紛れ込んでおかしくないが、
しかし、それはそれとしてもナイは『怪しい』。

……が。円谷世良楽は『気付かない』。

          「〜〜〜♪」

上機嫌で注意が逸れているらしい。
チョコレートのCMソングを鼻歌で歌いながら歩く。
その機嫌の『もと』が失われていく事に気づかず……!

    ズズズ…

          ポトッ

  ――そうこうしているうちに『二つ目』が落ちてきた!
    『ラメ入り』で、さっきよりレアアイテムっぽい青い包装だ!

946ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/02/15(月) 23:40:00
>>945

「やはりか」


落とし物が少女のものであるという確信が無かったのかもしれない。
しかし、目の前で新たに落とし物をしたということは、先の『赤い包装』物も、そうなのだろう。


「うむ」


ひょい、と拾い上げて……平然と少女の後についていく。
自分の怪しさは気にしていないらしく、足音をひそめるでもなく、
やましい事をしているという雰囲気も無い。

947円谷 世良楽『リトル・スウィング』【高1】:2021/02/15(月) 23:49:53
>>946

          パサッ

さらに『黄色い袋』も来た!
これは包装紙ではなく、
リボンのついた袋のようだ。
なんとなく甘い匂いもするぞ。

       スタスタスタ

こいつについていくと良いことがあるの……か?

「〜〜〜〜〜♪ んーフンフンフン」

           「フン……ん! んんー?」

    「あれあれっ」

     ピタッ

「えー、なんだろ……なーんか変な気がするなー!」

だが、それもここまでかもしれない……
何かの違和感に気づいたらしく、立ち止まってしまった。

948ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/02/15(月) 23:58:20
>>947

「お」


拾う。袖の余った両手に、3色の落とし物を抱え、
当然のようについていく。


「急に立ち止まってどうしたんじゃ?」


下から覗き込むようにして声をかけた。

949円谷 世良楽『リトル・スウィング』【高1】:2021/02/16(火) 00:46:09
>>948

「わっ!! おばあちゃん!?」

         ピョン!

跳ねるほどに驚いた。
が、すぐに振り返って『ナイ』に気づいた。

「……じゃなかった。
 えーっなになに、きみって誰ー!?
 わー、なんかいっぱい持ってるしー!かわいいー」

突如出現した(わけではない)謎の子供……!
両腕で何かを抱えているその姿に目を奪われるが、
次の瞬間には『それら』が何かに気づく。

「…………って、あれあれー!  
 どこかで見たような気がすると思ったらー、
 それ、あたしが貰った『チョコ』じゃないですかー!」

   「なんかさー、袋が軽くなった気がして。
    てことは……落としたの拾ってくれたんだー!」

円谷は短絡的なので、深読みなどはしない。
落としたチョコを拾ってくれた謎の子供に、大いに喜ぶ。

950ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/02/16(火) 00:58:14
>>949

「うむ。拾った」


悪いようにとられなかった事に安堵する……様子は無く、平然としている。
そんな想定は元よりしていないのかもしれない。


「お菓子の家のあの……子供たちみたいにわざとかと思ったぞ」


森を歩くときにパンを撒いて道しるべにしたヘンゼルとグレーテルの事である。
だったら目印を拾うなという話だが、実際は本当に落としていただけだったのだしいいだろう。


「なんじゃ、貰いものか?
 お前さん人気者なのか?
 アイドル……アイドルか?」

951円谷 世良楽『リトル・スウィング』【高1】:2021/02/16(火) 01:09:40
>>950

「えらーい! きみってすっごい良い子だねー。
 あたしが子供の頃なら、
 拾ったらそのままどっか行っちゃうかもー」

「あはーっ! それってなんだっけ、メン……?
 あー、メンデルとグレーデル? だっけ!
 きみは、あの子たちと同じくらいえらいと思いまーす!」

かなりの無知を見せつけつつ、
手を差し出してチョコを受け取ろうとするが……

「あ! えらいからさー! チョコ、分けてあげよっか?
 あたし、チョコ好きだけどこれ全部食べると太っちゃう」

思いついたように、そのような提案をした。

「あたしって可愛いけど!
 アイドルじゃないんだけどねー。
 『フィギュア』って分かる?
 別にプロとかじゃないけどー、あれやってるから!」

つまり、『フィギュアスケート』だ。
特別に何か結果を出してはいないし、
それについて特に自負とかもないが……
皆がなんとなくやってる部活とかと、同じようなこと。

「だから太っちゃったりしたら、あんまり良くないんだよねー」

      「これはそれで貰ったんじゃなくて、
       友達同士で交換しただけのやつだけどー」

952ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/02/16(火) 01:33:14
>>951

「そう、それじゃ」


それではない。
メンデルは遺伝学の祖である。
メンデルは偉いが、ヘンゼルとグレーテルが偉いかというと……どうなのだろう。


「知っておる。人形のことじゃろう。テレビで見たぞ。
 服を着てカメラで撮るんじゃろ。
 確かに太るのは困るじゃろうな」


言葉だけを捉えるならば間違ってはいない。
人形→マネキン→モデルのような脳内変換が起こったのだろう。
つまりフィギュアとは服を着て写真を撮る職業である!


「ふーむ。そういう事ならば有難くいただきたいが、わしも交換したいぞ。
 しかし食物以外か」

953円谷 世良楽『リトル・スウィング』【高1】:2021/02/16(火) 01:50:02
>>952

「よかったー、間違ってるかもって思った!」

間違ってるのだ。

「えー! 人形じゃないよーっ。
 あ、でも観てもらうって意味ではそうかも。
 あたし、すっごい動くけど。
 氷の上で滑るスポーツだからさー」

    「あ! あっちのベンチで交換しよーよ!」

言いながら、すたすたとベンチに歩いていく。
立ち話もなんだし、食べるなら尚更だ。

「えー! きみもあたしに何かくれるってことー!?
 どーしよー、別に食べ物でもいーけど!
 ほんとなら全部自分で食べようと思ってたしー」

理想はあっても、燃やす熱意はあまりない。
適当な生き方をしているのだ。

「じゃあじゃあ、何か面白いものとか持ってますかー?」

954ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/02/16(火) 02:05:30
>>953

「氷で滑る?
 痛そうじゃな」


滑る=ころぶ。という想像らしい。
イメージがギャグのようになってきた。
というかこの会話自体が漫才のようだ。すれ違い系の。


「面白いもの?
 そう言われると面白いものはあまり無いかもしれん……
 変な模様の石ならあるが……」


ベンチに座り、背中のリュックを降ろして、取り出したのは石だ。
確かに変な模様ではある。顔にも見える気がしないでもない。


「うーむ、面白いものか。曲がった釘とかは面白くはないか?
 車の先っぽについておるマークとか……」

「面白いものではないが、食い物でも良いのならば飴なんかがあるぞ。
 チョコが太るというのは一気に食うからじゃろ。
 飴ならば寿命が長いから後で食えばよい。多分」

955円谷 世良楽『リトル・スウィング』【高1】:2021/02/17(水) 01:17:57
>>954

「ちがうちがーう!
 コケるんじゃなくて、滑って踊るんでーす!
 まぁ、コケちゃうこともあるけどー」  

      「テレビで見たことないー?
       大きい氷の上でさー、
       音楽が流れてて、踊ってるの」

見た事がないとして、
円谷の言葉だけで判断するなら、
それは相当に奇妙なスポーツだろう。

「えー! 変な石はいらなーい。
 確かに変だけど、きれいじゃないし。
 宝石とかなら欲しいんだけどー」

石を見たが、価値は見出せなかった。
首を傾げて、指で小さくバツを作る。

「クギとかマークも、あたしそんなに興味ないかなーっ」

         「アメってゆーの見せてくれる?」

956ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/02/17(水) 01:28:37
>>955

「ふうむ……?
 なぜわざわざ氷の上で……」


子供の脳内では、海に浮いた氷山的なものの上で、
ペンギンやアザラシが踊り狂うイメージが浮かんでいた。


「よいぞ」


そう言って小さな手で石と釘を握りこみ、開くと、そこには棒付きキャンディーがあった。
透き通った赤と緑が宝石のようだ。


「イチゴ味とメロン味があるぞ。
 そちらのチョコは赤青黄色があるが……何か違いがあるのかの?」

957円谷 世良楽『リトル・スウィング』【高1】:2021/02/17(水) 01:41:24
>>956

「えー? ……あれ、なんでだろ!?
 言われてみたらよく分かんないなー。
 うーん、氷の上ってよく滑るから、
 クルクル回ったり出来て楽しーし、
 見てる方もそれで楽しーからじゃないでしょーか!」

「きっとそう! あはーっ。あたし答え出しちゃったなー」

円谷はあまりそういうのを掘り下げて考えない。
仮に考えても、持論になるほど深くまで掘れない。
この答えも、心の根底にあるものとかではない。

      スッ

「わ! すっごくキレイな…………んんー?
 なんだろなんだろ。あたしこれ見た事ある気がする。
 なんだっけ、前に買ったんだったかなー?」

この飴を見たことあるのは当然で、
そもそも円谷が『プレゼント交換』に出した物だからだ。

「わっかんないけど……
 キレイだし、美味しそうだしー、
 これならあたしのチョコ、どれとでも交換オッケー!」

     「何のチョコかは知らないけどー。
      あーでも、赤いのは一個食べたけど、
      なんかサクサクしたの入ってたっけかなー」

特に確信もないので、そこにそれ以上触れはしないが……

958ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/02/17(水) 01:50:11
>>957

「そういうのものかの。
 わしは氷の上で踊った事がないからわからんが……
 次に湖が凍っておったらやってみるか」


この町の湖が凍るのは知らないが、そもそも来年まで覚えていないだろう。
万が一実現したら水死体が上がってくる可能性もあるが。


「赤、青、黄色。わしは色で言えば青が好きじゃが……
 ……こういうのは一番小さなものが良いとされておる。舌切り雀で見た。
 おぬしはイチゴとメロンどっちが良い?」


奇縁に気づくことも無く、色に惑わされず一番小さな包装のものを手にする。

959円谷 世良楽『リトル・スウィング』【高1】:2021/02/17(水) 02:19:44
>>958

「あたしも大きい池とかでやったことあったなー。
 でもでも、普通のくつだと滑りづらいしー、
 スケートリンク行けば靴も貸してもらえるから、
 そっちのほうがあたし、もーっと楽しいと思うよ!」

実際、池や湖を利用したスケートリンクはあるし、
円谷がやったことがあるのは『そっち』の話だ。
が、それは『適している池』を使っている話で、
H湖でやるのは『マジでヤバい』かもしれない。

「あたしメロンの方が好きかなー。
 イチゴも好きだけどね。
 メロンって甘くて美味しいからさー」

「じゃあじゃあ、これとこれで交換。はいどーぞ」

             スッ

黄色の『袋』が、一番小さかった。
手に取ってみても軽く……中身もあまり多くは無さそうだ。

「……てゆーか、あれあれ!?
 きみって、この飴さっきどこから出したんだっけ?」

「なんかさ、いつの間にか持ってたよねー?」

ふと、子供の『手』をみた時違和感に気づいた。
先ほどは流れでスルーしていたが、何か、妙な気がする。

  ……さっき持っていたのは、釘とか石じゃなかったか?

960ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/02/17(水) 02:29:49
>>959

「ふうむ。どれどれ」


黄色い袋……赤と青は包装紙らしいが、
これは違うということは、ビニール製かなにかだろうか?
リボンを解いて、中を見てみる。


「うむ。わしはそういうのが出来るんじゃ。すごかろう」


意識が袋に行っているせいか、適当そうな答えが返ってきた。
適当とはいえ嘘では無いとするなら、
『いつのまにか持っていた』事を肯定するような返事だ。

961円谷 世良楽『リトル・スウィング』【高1】:2021/02/17(水) 03:03:59
>>960

「すごーい! それって『手品』ってこと?
 どこにも持ってなかったもんね、さっき。
 それとも…………ねえ、『スタンド』って事?
 もしかして、きみも『スタンド使い』なの?」

スタンド使いであることを言い触らしたりはしないが、
相手がスタンド使いなら、その場合隠す理由もない。

ともかく……ビニールの黄色い袋には、
英語らしき崩れた字が書かれていた。

「それねー、黄色は……あれあれ、なんだっけ。
 そうだ! マカロンだったと思う!  
 ナントカって難しい名前のお店のー、
 ほら、スカイモールの地下で売ってるやつ!」

おそらく買った店のラッピングだろう。
開封すると、中身は円谷の言う通りだった。

「貰った時に一個食べたけど、結構美味しかったなーっ」

      「マカロンって美味しいんだよねー。
       それに見た目もカワイイしさ、
       プレゼントにもピッタリって感じー」

サイズは一つ一つ小さく、4つほどが入っているようだ。

中身が無くなっているような様子はないので、
一個食べた、というのはこの袋の中身とは別なのだろう。

962ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/02/17(水) 03:13:24
>>961

「……スタンド。おお、それ、そんな名を他の者も言っておった。
 わしは霊がついておらんので、どうも忘れやすいんじゃが、
 多分それじゃろう」


ヴィジョンは無いらしい。
そのせいか自分がスタンド使いという自覚も薄いようだ。


「マカロン。
 柔らかそうに見えるが、触ってみるとそうでもないの」


袖から指を出してつんつん突いてみる。
4つ……ということはそれぞれ色(味)が違うのだろうか?

963円谷 世良楽『リトル・スウィング』【高1】:2021/02/17(水) 03:23:08
>>962

「えー、レイ? レイってお化けの事!?
 やだー。あたしもそんなのついてないよー!
 それに、あたしの友達のスタンド使いの人も、
 本人はちょっと霊っぽいけど、ついてはないしー」

「たぶん変わったことできるならスタンド使いのはず!」

ここで言う『友達の人』とは、
『御影』のことを指している。
よって、一方的な認定である。
円谷はこういうことをする。

「まーあんま知らないけどねー、他の人の『能力』って」
    
    「なんかさー、広める物でもないしー。
     自分から探し回ったりするのも、
     がっついてるみたいだと思われそうだしー」

円谷は楽天家で、短絡的でもあるが、
極端に目立ちたがりというわけではない。
スタンドのような『変わったこと』は、
そんなにひけらかすべきではない……という社会性がある。

「あはーっ、マカロンの感じって他にないよね。
 堅くも柔らかくもないっていうのかなー?
 食べても、なんか、言葉にできない感じだしー」

語彙が足りない、というのもあるが。

「えーっとねー、なんだっけなんだっけ。
 えとえと、赤はイチゴだったはず!
 緑は……抹茶! 茶色はコーヒーだったと思うなー」

      「この黄色いのはバナナ? あ! レモンかも」

ともかく、そんな不思議な食べ物マカロンが四種だ。
色の違いがそのまま味のイメージのようだが……変なのは無いらしい。

964ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/02/17(水) 03:38:25
>>963

「わしが出会ったスタンド使いはオバケが多かったがのう。
 透明なのやら、サムライのようなのやら……」

そうではない者もいたのだろうが、やはりヴィジョンがあると
印象深く覚えているというせいもあるのかもしれない。
視覚的なインパクトは記憶に残りやすい。


「お前さんも霊はついておらんのか。仲間じゃな」


ヴィジョンそのものが無い子供と、人型ヴィジョンが無いというだけの少女では、
実情は異なるが、そんなことは知る由も無い。


「ほう。食べて確かめるか」
                   サモ…


黄色いマカロンを齧ってみる。

965円谷 世良楽『リトル・スウィング』【高1】:2021/02/17(水) 04:10:35
>>964

「あーでも、そうだ! あたしも見たことはある!
 いたいた、オバケみたいなの動かしてる子!
 『あっち』がよくあるスタンド……なのかなー?」
 
「うーん、わっかんないねー。
 見たことあるのはそうじゃない方が多いしさー」

        「スタンドって奥深そーっ」

垣間見た奥の深さに浅い感想が口に出る。
先日経験した『遊園地』での戦いも、
何の偶然か居合わせた大半が『人型では無かった』。

「あははーっ! 仲間仲間ー。
 仲間同士よろしくねー。
 あたしセララ。あ、名前ね!」

マカロンはなんというか、ほどほどの味だ。
義理のプレゼントならこんなものだろうし、
美味しいといえば美味しく……ほのかにレモン味がする。

「ねえねえ、きみの名前はなんてゆーの? 教えてよー」

966ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/02/17(水) 04:23:00
>>965

「ペロ……これは、レモン」
                  サモサモ


一度口をつけた以上、全部食べ切ってしまう。


「かっこい名じゃの。
 わしの名前は無いんじゃ。
 ユキシラという家に住んでおるし、ユキシラと呼んでくれてもよいぞ。
 む?」


向こうから大人が歩いてくるのが見えた。先生だろうか?
ユキシラは素早く荷物をリュックにしまい、ベンチから立ち上がる。


「残りは帰って食うんじゃ。
 ではセララちゃん。『交換』ありがとうの」


先生を避けているのか、そう言うと、道なき芝を去っていった。

967円谷 世良楽『リトル・スウィング』【高1】:2021/02/17(水) 06:54:29
>>966

マカロンは小さく、腹にはたまらないが、
逆に言えば食べやすく、美味しすぎないのも良い。

「あはーっ! でしょでしょー!?
 あたしのママとパパって、センスいーんだー」

名前を褒められるのは、嫌いじゃあない。

「……っえー! 無い!? なにそれなにそれ!
 名前無いとかそんなのアリなのー!?
 まあでも、ユキシラちゃんがいるんだし、
 無いってこともアリなのかなー。
 あ、ユキシラちゃんって呼ぶね」

「あ! それ賞味期限近いから気をつけて!
 それじゃユキシラちゃん、じゃあねー。またねー」

円谷は基本的に、深く考えない。
都合の良いように考えるし、
都合の悪いものごとをあまり考えない。

          ペリペリ

「あたしもかーえろっと」

巡り戻ってきた飴を開封して舐めつつ、その場を去った。

968小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/02/20(土) 18:36:39

『城址公園』の一角。
木陰に『黒い女』が佇んでいる。
『喪服』を着て、同色のキャペリンハットを被っていた。

  「――……」

足元には一匹の子猫。
事情は分からないが、足の一本に細い針金が絡まっていた。
それを見て、音もなく『右手』を持ち上げる。

             スゥッ

次の瞬間、女の手に『ナイフ』が握られていた。
実体を持たない『精神の刃』。
『スタンド』だ。

969御厨道:2021/02/20(土) 20:54:37
>>968

ニヤニヤとした顔でそれを見ている女がいる。
傍の木に登り、幹に体を預けていた。

「����������」

じぃっ、と貴方の動きを観察している。
何をするでもなく、そこにいる。

「����������ケケケ」

970小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/02/20(土) 21:06:06
>>969

      ――――ドシュッ

頭上の存在には全く気付いていなかった。
そのまま右手を振り下ろし、子猫の足を『断つ』。
豆腐を切るかのような容易さで、『左後ろ足』が切断された。

                「ニャー」

         フワ……

『足』が浮かんでいる。
出血もなく、子猫は至って平然とした様子だ。
足が切り落とされた事で、
絡んでいた針金が『切断面』から抜け落ちた。

971御厨道:2021/02/20(土) 21:21:18
>>970

「……」

一挙手一投足を観察する。
切断された足と元あった場所とナイフを見た。
ひとつひとつを理解するために。

(……この後はくっつくかな?)

何となく予想をつけつつ観察を続ける。

(後から斬撃が定着するタイプってのもあるか……?)

972小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/02/20(土) 21:38:49
>>971

     ススス……

             ――ピタ

浮遊する『足』が空中を漂い、子猫の胴体に寄り添う。
『切断面同士』が重なり、次の瞬間『切れ目』が消失した。
概ね『予想通り』だったと思っていいだろう。

         「ニャー」

針金が解けた子猫が後ろ足を動かす。
その動作は自然で、『切れる前』と何ら変わりないようだ。
『ナイフ』で切ったものは切り離され、
『切断面』を合わせると元に戻るらしい。

             ……フッ

『右手』から『ナイフ』が消えた。
それから、『黒い女』が地面に手を伸ばす。
また『事故』が起こらないように、落ちていた針金を拾い上げた。

973御厨道:2021/02/20(土) 23:20:46
>>972

974御厨道:2021/02/20(土) 23:25:19
>>972

(やっぱりか……)

ウンウンと頷き、そのまま木から落ちてきた。
べちゃりと地面に叩きつけられたものの受身はとっている。

「よう、お姉さん」

「なかなかいいスタンドじゃねぇか」

「針金、捨てといてやろうか?」

975小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/02/21(日) 00:56:06
>>974

  「え……?」

『落下』に驚き、思わず身を引いた。
手の中に針金を握ったまま、その姿を見つめる。
帽子の下で、両の目を軽く見開いていた。

  「『針金』……ですか?」

  「あの――」

       スッ

  「はい、お願いします……」

目の前の出来事に、思考が追い付いていない。
ただ、待たせてしまうのも申し訳ない。
そのような思いから、相手の勢いに押され、
言われるままに『針金』を差し出していた。

976御厨道:2021/02/21(日) 01:10:21
>>975

針金を手に取る。

「ところでさ」

「あんた、スタンド使いだろ?」

さも当然、というふうな言い分だった。

「それ、なんて名前だ?」

ぐにぐにと針金を変形させて遊んでいる。

977小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/02/21(日) 01:37:37
>>975

  「ええ……」

          コク……

  「確かに私は――『スタンド使い』です」

どこか不思議な女性だった。
『スタンド』を知っているという事は、
彼女も『スタンド使い』なのだろうか。
外見からは窺い知る事が出来なかった。

  「――『ビー・ハート』」

  「そういう『名前』です……」

決して間違いではない。
ただ、厳密には多少の『違い』があった。
『ビー・ハート』は『第二のスタンド』の名前。
『本来のスタンド』は別にある。
しかし、たった今使ったのは、確かに『第二の刃』だ。

978御厨道:2021/02/21(日) 07:35:12
>>977

ぐり、と体を地面にゆっくりと擦るように寝転んでいる。
着ているジャージはほつれが所々にあった。
しかし本人はそれを気にしている様子もない。

「な・る・ほ・ど」

「そういう名前なんだな」

「切って、またくっつける……って?」

体が起きる。
それでも尻は地面にくっついたまま。

「な・る・ほ・ど」

「……ん、あぁ。申し遅れた。アタシは御厨道(みくりや・たお)って言うんだ」

979小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/02/21(日) 19:31:48
>>978

  「御厨さんとおっしゃるのですね……」

  「……『小石川文子』という者です」

           ニャー

名乗り返しながら、丁寧に頭を下げる。
足元の子猫が、その姿を不思議そうに見上げていた。
それから、猫の興味は御厨の方に移ったようだ。

  「ええ――そうです」

  「『傷付けない刃』……そう言われました」

『自傷の刃』と対になる『不殺の刃』。
それを得た時、
これまでの自分には出来なかった事が出来るようになった。
『自分の身体』ではなく、『他者の肉体』を切り離す『第二の刃』。
これを使う度に、『あの事』を思い出す。
『幻の町』と、そこで出会った『人々』の事を。

980御厨道:2021/02/21(日) 20:02:30
>>979

「あんたそんな名前なんだな」

「……おー、よしよし。ちちち」

猫をあやすように手を伸ばす。
こちらに来るように猫を誘っているのだ。

「傷付けない刃ねぇ」

確かにそうだという風に頷いている。

「まぁ、こんな話してる時点でお察しのことだとは思うけどよ」

「アタシもそういうのを使うわけなんだがね」

ニヤニヤとした笑いが消えて視線が貴方に向かう。
御厨の中には小石川文子という人物に対する興味があった。

「ツレにいわく、スタンドは精神の発露……ってことは」

「あんたは誰も傷つけられない優しい人なのかね?」

981小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/02/21(日) 20:57:40
>>980

  「ええ……」

           トッ トッ

子猫が御厨の方に歩いていく。
そちらに向けた視線を、改めて目の前の女性に注ぐ。
『スタンド』を知る者は、多くの場合『スタンド』を持つ。
自分がそうであるように。
これまで出会ってきた人々が、そうであったように。

  「私は……」

  「誰も傷付かずに済むなら……それが最良だと思っています」

  「もし誰かが傷付けば、『その人を愛する人』が傷付くと……」

  「ですから――」

  「いえ……『分かりません』」

言葉を切り、軽く目を伏せる。
自分が『優しい人間』なのかどうか。
『スーサイド・ライフ』と名付けられた『精神の刃』で、
人を傷付けた事がある。
もしかすると、
誰も傷付けずに済む方法があったのかもしれない。
自分には、それが出来なかった。

982御厨道:2021/02/21(日) 21:39:31
>>981

寄ってきた猫を抱き上げたり撫でたりしている。
この女もかなり動物的なので似通ったところがあるのかもしれない。

「傷つかず、ねぇ」

ニヤニヤと笑う。
何か、思うところがあったようだ。

「ナイフの形しててそりゃあないんじゃねぇかな」

「まぁ、人生いろいろだ。あんたが何を感じていて『ビー・ハート』を手にしてるのか、知らねぇけどさ」

983小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/02/21(日) 22:06:25
>>982

  「それは……」

思わず、言葉に詰まる。
核心を突かれたような気がした。
『ナイフ』は人を傷付けるが、『ナイフ』が独りでに動く事はない。
人を傷付けるのは、それを使う『人間』。
そして、『刃』を扱うのは他でもない『自分』なのだ。

  「『矛盾』しているのかも……しれません」

『スーサイド・ライフ』は『自傷の刃』。
『生きなければならない理由』と、
『死を望む衝動』の間で生まれた能力。
だから、『本体』を傷付ける事は出来ない。
その代わり、『他者』を傷付ける事は出来る。
『傷付ける意思』を持って扱えば。

  「自分の事なのに――よく分からなくて……」

  「……おかしいですね」

相手の笑いにつられたように、無意識に微笑んでいた。
陽気な笑みではなく、どこか陰を帯びた笑い方だった。
『ビー・ハート』は『不殺の刃』。
『他者』を傷付ける事は決してない代わりに、
『本体』を傷付ける事が出来る。
『スーサイド・ライフ』には不可能だったが、
しようと思えば、自ら命を断つ事も出来る。

  「――あなたは……?」

984御厨道:2021/02/21(日) 22:50:42
>>983

「そんなこと知らねぇが」

「自分のことがわかってるやつなんて世に何人いるか」

こともなげに言ってのけてまた猫を撫で始める。

「あたし?」

「ないしょ」

985小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/02/21(日) 23:07:44
>>984

  「……そうですね」

自分の事というのは、分かっているようで分かっていない。
近いようで遠い存在。
そういうものなのかもしれない。

  「自分の事は分からない――」

  「それも『答え』なのかもしれません……」

子猫と戯れる御厨を見つめる。
彼女は自分の事が分かっているのだろうか。
その答えは、彼女自身の心の中にあるのだろう。

  「御厨さん、お話して下さってありがとうございました」

         スッ

  「――失礼します……」

居住まいを正して深々と頭を下げ、再び猫を一瞥した。
その姿を目に留めた後、御厨に目礼する。
静かに歩き始め、徐々に公園から遠ざかっていった。

986御厨道:2021/02/22(月) 19:47:53
>>985

「そうなんじゃなぁい?」

歩いていく小石川を見送っていく。
腕の中で猫がにゃあと鳴いていた。
御厨道は笑っている。

「己のことが分かったやつなんてイカれてやがるか知ったふうになってるだけと相場が決まってるんだよ」

「けけけ……」

987名無しは星を見ていたい:2021/02/26(金) 23:23:17


キーン  コーン カーン コーン ……


【場】『 私立清月学園 ―城址学区― 』 その2
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1614349342/


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板