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【場】『 私立清月学園 ―城址学区― 』

1『星見町案内板』:2016/01/24(日) 23:57:56
『H城』の周囲に広がる『城址公園』の敷地を共有する『学び舎』の群れ。
『小中高大一貫』の『清月学園』には4000人を超える生徒が所属し、
『城郭』と共に青春を過ごす彼らにとって、『城址公園』は広大な『校庭』の一つ。

『出世城』とも名高い『H城』は『H湖』と共に『町』の象徴である。

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                 ミ三ミz、
        ┌──┐         ミ三ミz、                   【鵺鳴川】
        │    │          ┌─┐ ミ三ミz、                 ││
        │    │    ┌──┘┌┘    ミ三三三三三三三三三【T名高速】三三
        └┐┌┘┌─┘    ┌┘                《          ││
  ┌───┘└┐│      ┌┘                   》     ☆  ││
  └──┐    └┘  ┌─┘┌┐    十         《           ││
        │        ┌┘┌─┘│                 》       ┌┘│
      ┌┘ 【H湖】 │★│┌─┘     【H城】  .///《////    │┌┘
      └─┐      │┌┘│         △       【商店街】      |│
━━━━┓└┐    └┘┌┘               ////《///.┏━━┿┿━━┓
        ┗┓└┐┌──┘    ┏━━━━━━━【星見駅】┛    ││    ┗
          ┗━┿┿━━━━━┛           .: : : :.》.: : :.   ┌┘│
             [_  _]                   【歓楽街】    │┌┘
───────┘└─────┐            .: : : :.》.: :.:   ││
                      └───┐◇      .《.      ││
                【遠州灘】            └───┐  .》       ││      ┌
                                └────┐││┌──┘
                                          └┘└┘
★:『天文台』
☆:『星見スカイモール』
◇:『アリーナ(倉庫街)』
△:『清月館』
十:『アポロン・クリニックモール』
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836斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』【高2】:2020/07/13(月) 22:31:14
>>835

おや、むこうで誰かが手を振っている
アレは誰だろう?少なくともそんなに親しい人があの川の向こうにいただろうか
そう思って川を見ていると、なにやらすさまじくえぐい色合いをしていて――……

そう、そういえば思い出した
僕が生徒会役員になったのはあの日、転校から数か月たったある日だった

僕は単に一向に決まらない役職に業を煮やして適当に手をあげたのだが
後から後ろで黒髪の女性が手をあげている事を知ったのだ

まるで親の仇みたいに睨んでいたが
その時の僕にはとんと覚えが無かった

彼女は長々と情熱的かつ論理的な熱弁を振るったので
彼女がなりたいのだと思い僕は譲ることにした――そう、それで適当な事を言おうとして……

 『僕が生徒会役員になったときは、スピーチの時間を10秒以下にします。』

何故か僕が選ばれてしまったの……だ

 「――どう!」 カッ!

 「いう!」 ダンッ! グルン

 「ことだァ――ッ!」 ズタァァン!

怒りの余り 僕は起き上がりざまに糾弾とバク転起立を同時に決めた。
10.0 9.8 9.4 10.0。

 「説明だ!説明を要求する!さもないと僕は君をアルバトロス号パイロットに任命してしまうぞいいのかッ!」

837シルク『トワイライト・トーン』&『トワイライト・ゾーン』【中三】:2020/07/13(月) 22:58:46
>>836

「――――――ひぃッ!?」

(や、やっぱり怖い人だった!きっと『怖い異次元生物』なんだ!)

      ザザザァッ

             キ モ チ
(ど、どうしよう……!『 歌 』が伝わらなかったのかなぁ……)

突然の怒声に怯え、『シルク』は激しく後退する。
今後、『恐ろしい異次元生物』というレッテルが剥がれなくなる可能性が浮上した。
だが、『ワタシ』には一向に関係のない事だ。

(ううん、諦めちゃダメ!きっと、『想い』が足りなかったんだ!)

(気持ちを込めて歌えば、必ず『分かり合える』はずだよね!)

(だって――――)

 オ  ト  モ  ダ  チ
(『トワイライト・ゾーン』とも『分かり合えた』んだから!!)



  〜〜℃¥$¢£%#&*@§℃¥$¢£%#&*@§♪

  〜〜℃¥$¢£%#&*@§℃¥$¢£%#&*@§♪

  〜〜℃¥$¢£%#&*@§℃¥$¢£%#&*@§♪

  〜〜℃¥$¢£%#&*@§℃¥$¢£%#&*@§♪

  〜〜℃¥$¢£%#&*@§℃¥$¢£%#&*@§♪

  〜〜℃¥$¢£%#&*@§℃¥$¢£%#&*@§♪


『前向きな思考』の果てに、『シルク』は一つの考えに至った。
より一層の『想い』を込めて、自らの声帯を震わせ始めた。
『トワイライト・トーン』が、その破壊力を増幅している。
『次元の壁』すら超え、『異次元生物』さえも強制的に従わせる程の威力を秘めた、文字通り『次元の違う歌唱力』。
だが、『ワタシ』は『傍観者』に過ぎない。
即ち、『ワタシ』には『シルク』を止める力がないという事だ。
その『結果』は言うまでもないだろう。

838斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』【高2】:2020/07/14(火) 00:12:47
>>837

また意識が暗転していく、理由は言わずもがなとりあえず歌うのをやめて欲しいのだが
やたら長いストーリー読むときスキップするみたいに声帯を16連打するのはやめて欲しい。割り込みようがない。

ああ、めのまえがまっくらに……

 『――流石にこれ以上は見過ごせねぇかな お嬢さんよ。』

【影のような黒い腕】がもう片方のコッペパンをシルクの口にあてがおうと動いた
【ロスト・アイデンティティ】の自律行動のような物だ、実際には着ぐるみに近いが。


 『つっても…気持ちわりぃ……何の冗談だこりゃあ。』
 『たかが【声】で俺が引きずり出されるってどういう状態だよぉ……取りあえず【それ】やめてくれ。事あるごとにそれとか【ディズニープリンセス】か。』

 『話もできねえ。……なぁお嬢さん まさか道行く相手に全員そうしてんのかぁ?』
 『その場合【カレー】に【コンデンスミルク】かける行為くらいには正気を疑っちまうんで、頼むから違うと言ってくれ。』

839シルク『トワイライト・トーン』&『トワイライト・ゾーン』【中三】:2020/07/14(火) 00:48:51
>>838

「――――――もッ!?」

『シルク』の口に『小麦粉を主原料とした食物』が捻じ込まれた。
必然的に『歌声』は止まり、『世界』に『平穏』が訪れる。
『ワタシ』は『傍観者』だ。
『シルク』が何をしようと何をされようと、ただ見ているのみ。
本来であれば、それさえも放棄したい所だ。
しかし、この呪縛が『ワタシ』を縛り付けている。
『世界』に『平穏』が訪れても、『ワタシ』に『平穏』が訪れる事は決してない。

    「むぐっ――――」

               「――――もがっ」

『シルク』は何か言おうとしていた。
そして、『耳にした声』が『ある種のテレパシー』であると本能的に悟ったらしい。
『トワイライト・トーン』を通して、『己の意思』を飛ばす。

         《『良かった』ぁ…………!》

『想いが通じた』とか『歌で分かり合えた』などという『有りもしない幻想』は今すぐに捨て去るべきだ。
『ワタシ』の意思が伝わるのであれば、そう言っていただろう。
それが『不可能』な事は、既に分かっている事だった。

   《――――こんにちは!『異次元生物』さん!》

   《あなたは、どこの『異次元』から来たんですか?》

『シルク』は耳に入っていないようなので、『ワタシ』が代わりに答えておこう。
その答えは『ノー』だ。
まず、『斑鳩』が『通常の人間には困難な動き』を見せてしまった事が、『第一の原因』として挙げられる。
そして、それを見た人間が、『異次元生物』を従える『シルク』であった事が『第二の原因』だ。
最大限に簡潔な言葉で表現するなら、『不幸な事故』だ。
もっとも、当の『シルク』は『不幸』とも『事故』とも思わない。
『シルク』の持つ恐るべき『前向きさ』が、『マイナスをマイナスだと認識させない』のだ。

840斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』【高2】:2020/07/14(火) 01:04:45
>>839

 『はぁ?そりゃあママンの……ああん?こりゃ【スタンド会話】で……』
 『なんだ お嬢ちゃん同類かよ。』

呆れたような、疲れたような声色で俺が喋る
内面から叩き起こされたのは違いないが、こりゃどういう状況なわけだ?

 『まぁ?広義の意味で言っちまえば人類みんな異次元生物だけどよぉ……【俺】が怒る気にもなんねぇのはメイド野郎以来だなぁオイ。』

――実際の所、『ロスト・アイデンティティ』が自発的に会話する事は無く
目の前の人間がスタンド使いだと露ほども思ってない以上、この会話は本体の口を通して出ている…のだが。

違うといえば、『人格』が違うのだ。
『俺』という 名前すらない心の一つ 斑鳩 翔は多重人格者である。

 『ま、よかったなお嬢ちゃん お陰で俺達の作ったグライダー……【アルバトロス号】で海にダイブする羽目になんなくて よ。』

841シルク『トワイライト・トーン』&『トワイライト・ゾーン』【中三】:2020/07/14(火) 21:46:22
>>840

至近距離にいる今、『シルク』の襟を明確に視認出来る。
『コウモリを象ったピンマイク』が、そこに発現していた。
『それ』は『アクセサリー』などではない。
『エコロケーション』の能力を持ち、『異次元』から『ワタシ』を『召喚』してしまった力の源だ。
『斑鳩』には、『それ』が『スタンド』だと分かるだろう。

         《 やっぱり! 》

『シルク』は『異次元生物』という部分に反応した。
同時に、『それ以外の部分』には反応しなかった。
言い方を変えれば、『聞き流した』という事だ。

《やっぱり『異次元生物』だったんですねっ!
 『そうじゃないかなぁ』とは思ったんですけど――――》

《――――また『異次元人』と出会えて嬉しいですっ!》

《でも、ちょっぴり意外でした。だって、私達と同じような姿をされてますし》
 
《『異次元』にも色々あるんですね〜っ》

     オ  ト  モ  ダ  チ
    《『トワイライト・ゾーン』とは全然違いますねっ!》

断じて言うが、『ワタシ』は『シルク』の『友達』ではない。
『家族』のように掛け替えのない仲でもなく、『他人』のように関わりの薄い間柄とも異なる。
『ワタシ』は『被害者』だ。
そして、『シルク』――――君は『加害者』だ。
『ワタシ』と『シルク』の繋がりは、それ以外には存在しない。

842斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』【高2】:2020/07/14(火) 22:13:34
>>841

 『ノックして…もしもぉーし』

 *chop* *chop*

会話の矛先がもはや異次元にしかいってねぇ 泣けるぜ
まあ、そういう類の女性だとは理解しちまったが、俺の対話力が試されている。

…ニャウリンガルで事足りるのかねぇ?

 『……ん?俺以外にも多々いるのぉ?清月学園って何時エリア81になったんだオイ?』

ところで俺ァここに昼飯を食いに来たが、来て早々にとんでもない声に邪魔され
もはや味の余韻すら吹き飛んだ 俺も被害者名乗っていいんではなかろうか?

 【とはいえこの…通信簿に『人の話を聞きましょう』って書かれそうなのを怒る気にもなれねぇ…】
 【恐らく『スタンド』なんだろうが……】

チラと襟元を見ると、通常の制服には不似合いな『ピンマイク』のような物が見えた
何時の俺ならそのまま視線を下にさげたんだが、さっきの『歌のようなもの』がこれのせいだと願うばかりだ。

 【シャクだしやっぱグライダーに括り付けて飛ばしてやろうかな。自由飛行部門だし。】

とはいえスタンド使いだと解った以上は、俺の事情的には確認の必要が有る。
俺は『イヤイヤ』対話を続けることにした 疑念を持つなただ祈れ 殴れば終わる分チンピラ相手の『対話』の方が簡単な気もする。

 『あー……んー…… それ、どんなヤツ?』

843シルク『トワイライト・トーン』&『トワイライト・ゾーン』【中三】:2020/07/14(火) 22:40:31
>>842

《ここに来るのは、やっぱり『次元の壁』を超えてきたんですか?》

この瞬間、多くの人間が『話が通じない』という感覚を味わう事だろう。
『その感覚』には『ワタシ』も同意せざるを得ない。
何故ならば、『ワタシ』は常に『それ』に晒され続けているからだ。

だが、『斑鳩』――――君の置かれている状況は『マシな方』だ。
『対話を放棄する』という選択肢を行使する権利があるのだから。
『ワタシ』には、それすら許されていない。
理不尽な運命という名の引力によって、強制的に『対話』を余儀なくされるのだ。
厳密には、それは『対話』ではない。
『一方的なコミュニケーション』を『対話』とは表現しない。
それは、『忌まわしき呪縛』に他ならない。

     《あっ、じゃあ『紹介』しますねっ!》

     ズ
           ズ   ズ   ズ 
                         ズ   ズ

突如として、『斑鳩』は『違和感』を覚える。
その正体は分からない。
だが、『何かがおかしい』という『圧倒的な違和感』が存在する。
例えるなら、『視覚』と『他の感覚』が食い違っているような『違和感』だ。
何も見えない。
しかし、そこに『何かがいる』。
『そういう感覚』だ。

844斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』【高2】:2020/07/15(水) 02:59:34
>>843

 『今、まさに超える気分を味わってっかな。』

それもベルリンの壁レベルを
正確に言えば便器の蓋にソースかけて舐めてる気分。うへぇ

 『……あー【紹介】?』

そりゃあ『キューブ』とか『タンホイザーゲート』あたりから出てくるもんだろうか?
頭が前後に長くて体液が酸だったり、指先を突き合わせると発光する系のお友達じゃなけりゃいいんだが。

 『…………ッ!?』

その時感じた物を表現するのは難しい
なにせ名前がついていないからだ

例えば林檎なら 丸くて 赤い だとか、そういう特徴も言えるが
『何かの色がついているが どの色でもないし透明でもなければ不透明でもない』
『〇ではあるが△でもあるし □でもある』

なんて、何でもありな物は……特徴に値しないからだ。
だから精々俺に出来るのは、逃げる準備と、戦う準備くらいのもんだった。

845シルク『トワイライト・トーン』&『トワイライト・ゾーン』【中三】:2020/07/15(水) 20:11:24
>>844

    ズ   ズ   ズ

                ズ   ズ   ズ

                             ズ   ズ   ズ

本来であれば、何も存在しない筈の『無の空間』。


        ズ   ッ

                     ズ   ッ


そこから――――太い『両腕』が生えてくる。


        ズ   ズ   ズ   ズ   ゥ   ッ


次に現れたのは、『異形』めいた『頭部』だった。
感情の窺えない両目が、無機質な輝きを放っている。


      ズ   
              
             シ
             
                    ン   
         
                          ッ


最後に、力強い『両足』が地面に降り立ち、全長『2m』の『人型生物』が屋上に出現する。
その肉体は『スタンド物質』で構成されてはいるが、この『生物』の本質は『スタンド』ではない。
『次元の壁』を超えて『召喚』された『異次元生物』だ。

《『トワイライト・ゾーン』っていうんですっ!
 私の『歌』を聞いて、『異次元』から来てくれたんですよっ!》

《きっと、お互いの『気持ち』が通じ合ったんですねっ!》

『シルク』は『ワタシ』を見ながら、いつも通り好き勝手な事を喋っている。
『シルクの歌』が、『異次元』から『ワタシ』を引きずり出した要因である事は確かだ。
だが、決して『通じ合って』はいない。
その事実を理解させたいと思った回数は、もはや思い出すのも馬鹿馬鹿しい。

846斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』【高2】:2020/07/15(水) 21:33:22
>>845

 『いや、もし【アレ】が通じてるなら俺ァ今すぐ逃げたと思うぜ』

UMA(Unidentified Mysterious Animal 【和製英語】) それが第一印象だった
むしろそれ以外の表現が一切思いつかなかった それほどに異質だった。

 (明確にスタンド……なのか?)

月刊ムーが小躍りするであろうそれはおよそ全長2m
どうやらスタンド物質…で 出来ているのだろう 或いは別の世界からここに来るのにそれが一番、都合がよかったという可能性もある。
 
 (しかし、アレで喜んでいるならもうちょい喜々してきそうなもんだが)

いやいやと休日の父親達の如くのっそりと現れたように見えるのは気のせいだろうか?
…きっと気のせいなのだろう 姿形が人間に近いからと言って好むものまで人間に近いとは限らない。

 『ま、好みは人それぞれ……いや、バケモノそれぞれか。』

並んだ姿は美女と野獣。
ただし提供元はディズニーではなくアサイラム。そんな感じ。

 (会話が出来たり…は しねぇんだろうな じゃなきゃ此処まで一方的に断定しないだろうし)
 (――話を聞かないという説は兎も角)

 『まあ(どうでも)いいんじゃねぇかな 危険そうでもないし暴れるわけでもないし。』
 『見るもん見れたしこれでいいだろ 、そんじゃぁな』

一応生徒会に所属している身としては、このスタンドに本体が操られている可能性を危惧したが
見た限りはそういう事もなさそうであるであればもはやさっさと去るのが吉であろう ――自分の両親の助けになりそうにもない事だし。

 『・・・・・・ああ。』

踵を返して屋上を去る前に、一つ用事を思い出した

 『こっちも断定しちまったんで 一応確認として聞いておきたいんだが……嬢ちゃん「名前」は?』

847シルク『トワイライト・トーン』&『トワイライト・ゾーン』【中三】:2020/07/15(水) 21:58:46
>>846

『異なる次元』から『召喚』された『異形の存在』――――『異次元生物』。
その出自や生態については、『この次元』の誰にも理解する事は出来ない。
決して解ける事のない『永遠の謎』だ。

「あっ、『シルク』って呼んで下さいっ」

『小麦粉を主原料とする食物』を体内に摂取した『シルク』が、自らの声で応じた。
重ねて言うが、『ワタシ』の意思は『シルク』には通じない。
同様に、『ワタシ』の意思は『斑鳩』には通じない。
もし通じるなら、この『呪縛』を解く手段の手掛かりを訪ねる所だ。
この繋がりを断ち切る為であれば、どのような労苦も惜しまないと言い切ろう。

「――――また、お会いしましょうね〜」

『シルク』は小さく手を振り、『斑鳩』と別れた。
『斑鳩の選択』は『正解』だ。
あるいは、『運が良かった』とも言えるだろう。

「ふふっ、何だか『元気』出てきちゃった」

「よーしっ!もっと頑張ろうっ!」

次の瞬間、再び屋上に『怪音波』が響き渡った。
『聴覚器官』に『不快感』を齎されたのが『ワタシ』だけだった事は、ある種『不幸中の幸い』だ。

848氷山『エド・サンズ』:2020/07/19(日) 21:00:29

    ビュオオオオォォォ・・・


            ビュオオオオオォォォ・・・

「さて・・・」
         「どうしましょうかねー・・・」


背の高い木々が生い茂る『城址公園』の一角
夕方近くで人通りも少ないその場所に一際大きな木が生えていた
その木の上の方から少女の呟き声が聞こえる


    ブラァ〜〜〜〜


木には上からロープのようなものが吊り下げられている
何者かが木に登るために使ったのだろうか?

849氷山『エド・サンズ』:2020/07/20(月) 20:45:36
>>848
人知れず、気配は去った

850村田 瑛壱『ディズィー・スティック』【高2】:2020/07/24(金) 02:49:04
『高等部図書室」

  「・・・ないな。」

『トライコーン』なる不良少年集団との戦いが明けて数日・・・村田は図書室にいた。

パラ…
  「『事件の実態』が隠せても、負傷者や損壊物の記録まではごまかせないはず・・・と思ったんだが。」
                      パラ…
  「不自然な記録は『みあたらない』。」
                                  パラリ…

眉間にしわを寄せ、過去に星見町で起きたあらゆる『事件』『事故』の記録を漁りながらつぶやく。

  「そういった記録についてまで『改竄』ができるなら、とんでもなく大きな『組織』が背後に動いているに違いないが・・・」

  「そんなものが動いているなら、『トライコーン』はあんな規模になる前に潰されているか、『組織』に吸収されているはずだ。」

事情を知った今だから分かる街の『奇妙さ』を、村田は感じ取っていた。
それに、『トライコーン』が言っていたことについても、まだわからないことが一つある。

  「『ゲンマと似た能力を使う女』・・・」

本当に奴は『火元』だったのか?あるいは、『大火』が振り撒く『火の粉』の一つだったなら?

851烏丸香奈枝『シュリンガラ』:2020/07/25(土) 23:40:21
>>850
「……少しいいかい?」

熱心に調べ物をする『村田』に、どこからか声が掛かる。
顔を上げれば、長机のはす向かいに座って本を開けた少女と目が合うかもしれない。
伸び過ぎたような長髪を払って、話しかけてきた。

「ええと……君は、何を調べてるのかな。
盗み聞きするつもりはなかったんだけれど……つい耳に入ってしまった。
すごく物騒な単語が、いくつも出てきたような気がしたんだが……」

周囲には、他の生徒はいない。

852村田 瑛壱『ディズィー・スティック』【高2】:2020/07/26(日) 01:32:58
>>851

  「…」 ピク!

誌面にむけた顔を上げず、「しまった」という表情を噛み殺す。

  「…気にするな。遅れてきた『中二病』だ。」

誤魔化すのがヘタクソだった。

853烏丸香奈枝『シュリンガラ』:2020/07/26(日) 20:02:09
>>852
「あはは、顔に出ているよ。
誤魔化すのが下手だなあ。しかも、言うに事欠いて『中二病』……だなんてさ」

くっくっと声を殺して笑い、手元の本を閉じた。

「そうやって難しい顔をして、一人で何かと戦っている人が、私の周りにいた事がある。
その時は、私の臆病さゆえに彼の事情を知る事は出来なかったけれど……後に後悔したものさ。
力になれるかどうかはわからないけれど、せめて話を聞いてあげるくらいはできたんじゃあないかってね。
……それとも、見ず知らずの年下の女なんかには、そんな話は出来ないかい? 先輩」

854村田 瑛壱『ディズィー・スティック』【高2】:2020/07/26(日) 20:36:17
>>852

  「…気後れはする。
   あんたが女だからとかそういうことじゃあねえ。話がややこしい上に、憶測の域を出ないからだ。」

  誌面をめくりながら、言葉を続ける。

  「そのややこしい憶測が当たっていた場合…実に面倒なことになる。
  自分のケツまくるくらいのことはできるつもりだが…他人のことまで気にする余裕は、今の俺にはねえ。」

  「それとも何かい?あんた…
   見ず知らずのガキの与太話に首突っ込んでやろうって余裕があるほど暇なのかい?」

855烏丸香奈枝『シュリンガラ』:2020/07/26(日) 21:14:13
>>854
「名前は烏丸香奈枝という。あんた、じゃあない。
苗字で呼んでくれると嬉しいな。気に入っているんだ」

毛先をくるくると弄びながら、茶化すように言う。
村田の言葉を聞いて、目を細めた。

「そうかい、『面倒事』。
別に、構わないよ。そういうことこそ、誰かに頼らなきゃね。
私だって、君の『負担』になる気はないし……って、何の話かは知らないけれど。
勿体つけずに話せばいいじゃあないか。
お察しの通り、暇だしね」

856村田 瑛壱『ディズィー・スティック』【高2】:2020/07/26(日) 21:50:26
>>855

  「ついこの前の話…チンピラの集団に絡まれてな。
   全員叩きのめしたし、それ自体はいいんだが…」

  「俺に対して誰も何も言ってこねえのと、そいつらを追ってらしかったもう一人の動きが気になってな。」

誌面から顔を上げ、背もたれに身体を預けて上を向く。

  「いくら相手がチンピラだろうと、コトがコトだ。サツなりなんなりがちょっかい出してきてもおかしくないはずなのに、それがない。」

  「考えすぎかもしれないが…『なかったコト』にされてるんじゃないかと思ってな。
   他にもそういう形跡がないかと思って資料をひっくり返していたんだが…」

857烏丸香奈枝『シュリンガラ』:2020/07/26(日) 21:59:03
>>856
「ふうん、物騒な話だ。
何人くらいの相手なんだい?」

『村田』を値踏みするように、じろりと遠慮のない視線を送る。

「それに、不明瞭な話だ。
『誰も』、『もう一人』。
たださ、あれなんじゃあないの?
そういう人たちの論理なんて、別に詳しくはないけれど。
ほら、『メンツ』が立たないから黙ってる、とかそういうのさ」

「君は、『隠ぺい』があったって、そう思っているのかい?」

858村田 瑛壱『ディズィー・スティック』【高2】:2020/07/26(日) 23:05:28
>>857

  「どうだったかな…全員で12人くらいか。
   それなりの規模だ。その12人全てが口を噤んでいるとは考えづらい…」

全部自分がとっちめたわけではないが。

  「少なくとも…『ないことはない』とおれは思ってる。
   何か…ウラで糸をたぐっている奴らがいるはずだ。『自警組織』なのか、『暴力団』のようなものなのかは分からないが…」

  「…『アリーナ』…『エクリプス』…」

少し前、小林から聞いた単語を思い出す。

  「この単語に聞き覚えは?」

859烏丸香奈枝『シュリンガラ』:2020/07/26(日) 23:19:13
>>858
「………ええ、『12人』?君が、ひとりで?
すごいな。何か、『格闘技』とかやってるのかい。
いや、そんなレベルの話でもないのかな」

心底驚いた風に、目をぱちぱちと瞬かせる。
それだけなら『一般人』としては当然の反応だが、
どこか『村田』を見る目つきが、鋭くなったような気がした。

「それならさ、直に聞いてみたら?
君が『のした』、その12人の誰かに」

「そんなに結束が固くないのなら、逆に口を割る人もいるかも……何だって?
いや、『知らない』………それは何? 何かの『組織』の名前、とかそういうのかい」

860村田 瑛壱『ディズィー・スティック』【高2】:2020/07/26(日) 23:59:50
>>859

  「難しいだろうな…余罪のあった野郎はとっくに塀の中だろうし、
   逃げおおせた奴がいたとして、この広い街の中から探し出せるとは思えない。」

顎に手を当て、眉間に皺をよせる。
こんなことなら、『ゲンマ』を叩きのめす前に吐かせておくんだった。

  「…そういう名前の組織がある…そんな話を聞いたコトがあってな。
   それがこの件に噛んでいるのかどうかは知らないが。」

  「仮に噛んでいたとして、その組織の噛みようによっては…」

ただではすまないだろう、という言葉をあえて伏せる。いうまでもないことだからだ。

861烏丸香奈枝『シュリンガラ』:2020/07/27(月) 20:40:30
>>860
「うーん……まあ、それはそう、なのかな。
そもそも、だけれど。君は、『何もない事』について疑問に思っているんだよね。
君が12人を返り討ちにしたのに、『何もない』」

「それって、もし、何かの力で『隠ぺい』があったとして、
君にとって、『良い事』なんじゃあないのかい?
ある意味では、君の起こした『事件』を、もみ消してくれている、とも言えるよね。
それが気に入らないってことかな?」

小首を傾げながら、ひとつひとつ確かめるように村田へと言葉を投げる。

862村田 瑛壱『ディズィー・スティック』【高2】:2020/07/28(火) 18:29:03
>>861

  「今回はな。正直言ってヒヤヒヤしたが…」

『深山兄妹』のことが脳裏をよぎる。

  「おれ以外に巻き込まれた人間がいたとして、そいつが心身にダメージを負ったとして…
   事件がもみ消されたなら、そいつは泣き寝入りになっちまう。」

  「そんなことは許せないし、気に入らねえ。」

実際に、深山兄妹は危ないところだったのだ。
事情を知らない男…あの『斑鳩』というやつと先に出会っていたなら…殺しはすまいが、ある程度の怪我は負っただろう。
俺とて事情を知らなければそうしていた筈だ。
それらを自己責任というには…あまりに理不尽だ。

  「…とまぁ、全部仮定の話なんだが…こんなところだ。」

863烏丸香奈枝『シュリンガラ』:2020/07/28(火) 19:49:55
>>862
「ふーん、正義の味方ってわけだ。
『泣き寝入り』……ま、そうかも知れないね」

小さくため息をついて、目に掛かる髪の毛を払うでもなく、
その向こうからじっと『村田』を見つめる。

「君の言う通り………『仮定の話』だ。
君の事件に、何らかの組織が関わっているかもしれない。
そのうえで、その人たちが『隠蔽工作』をしているかもしれない。
正直、お話にならない………って言ったら、怒るかい?」

くっくっと笑って、一瞬の間、『村田』の反応を伺う。

「信じるよ。というか、信じてみる……かな。
確かに、何の動きもないのはおかしいのかもしれないし……
君が口にした名前、そういう表に出てこないような団体が、この『町』にあるのは『事実』、なんだよね?」

864村田 瑛壱『ディズィー・スティック』【高2】:2020/07/28(火) 20:33:55
>>863

  「いいや、言ったはずだぜ。『遅れてきた中二病』だってな。」

くつくつと笑う烏丸に対し、鼻で笑って返す。
…揺るぎのない態度だ。後ろ暗いところがあるとか、そういった人間の態度ではない。自信に満ちた人間のそれだ。

  「組織の有無についても、ヒトから聞いた話で何処まで信用が置けるのかはわからないが…
   手がかりはその名前くらいなもんだ。」

  「昔なら鼻で笑って気にも止めなかったろうが…」

今となっては話が違う。良くも悪くも、村田は知ってしまったから。
この街のありよう、この街の…裏の騒々しさの一端を。

865烏丸香奈枝『シュリンガラ』:2020/07/28(火) 20:44:29
>>864
「『名前』しか聞いてないのかい?
何か『特徴』とか、そういうのは無いのかな」

自信に満ちた『村田』の表情に、すい、と視線を逸らす。

866村田 瑛壱『ディズィー・スティック』【高2】:2020/07/28(火) 22:22:42
>>865

  「その名前以外には何も。
   さもなきゃ、こんなに行き当たりばったりな調べ方しない。」

机の上にうずたかく積まれた資料の山を目の端に捉え、ため息をつく。

  「事件事故の記載に不審があれば、関わった人間、被害者、容疑者…そういった人間を伝って辿り着けたかもしれないが…どうにもこの調べかたはよろしくないらしい。」

これだけ調べても、何も見当たらなかったのは確かなのだから。

(…逆に考えるなら、あんなことがおこる街でこれだけ何もないってのは、かえって不自然なのかもしれないが…)

867烏丸香奈枝『シュリンガラ』:2020/07/28(火) 22:51:40
>>866
「そうかい。
どういうシチュエーションでそんな情報が転がり込むのかわからないけれど、妙な話だね。
てっきり、私にまだ隠している事があって、
それでそんなに中途半端な話になっているのかと思ったけれど」

例えば……と言いかけて、言葉を飲み込む。
かたん、と音を立てて、椅子から立ち上がった。

「まあいいや。面白い話をありがとう。
こっちからお願いして話してもらった割には、何にも役に立てなくて済まないね。
ただ……この町には、確かにそういう『奇妙な』雰囲気がある。
もしも、私が何かの『事件』に行き会って、君の言う通りに何か大きな力の影を感じたら……その時は君にも報告するよ。
だから、その時には……そうだな、君の名前くらいは教えてくれたら嬉しいかな」

と、冗談めかして言って、軽く手を振って図書室を去っていった。

868村田 瑛壱『ディズィー・スティック』【高2】:2020/07/29(水) 20:03:59
>>867

  「………」

去っていく背中を黙って見送る。

  「…こうして噂レベルでも広げていけば…いつか『かかる』はずだ。人の口に戸は立てられねえ。
  …とはいえ、それじゃあ悠長すぎる。」

呟いた後、用済みになった資料を閉じ、本棚に納めていく。

  「…何も起こらなければそれでいいんだが…念を入れておくに越したことはねえからな…」

片付けを済ませ、その場を去る。

869斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』【高2】:2020/08/15(土) 13:11:00

 「僕はもう少し可愛げのある物だと思っていたよ」

学食の茶わん蒸しをつつきながら不服気に笑う

 「何故こうなったんだ?」

おわん大のサイズのソレ(茶碗蒸し)を
先輩のAがほうばると、底の方に白いものが見えた。

 「秋の花火と同じさ、寮母が季節外れの『ユリネ』を大量に買い込んでしまったんだ 安いから。」

 「『ユリネ』?」

大学一年の先輩……の滑舌はあまりよろしくない
そのせいで聞き慣れた物がまるで宇宙からきたんじゃないかと錯覚する程度には。

 「底にあるだろう?すくうと固形だが、口に入れるとホロホロと崩れて 根野菜特有の苦みと旨味が口内に広がる。」

 「不味くは……ないけどさ。」

不味くはない、むしろ美味い それ故にサイズの異常さが目立つのだ。
Aが立ち上がる。

 「ママがいないんだろ?味わっとけよ」

 「関係ない。」

食堂から去り行くAの背を見送りながら
一人残された僕は可愛げのない茶碗蒸しをつついてた。

870斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』【高2】:2020/08/16(日) 23:34:08
>>869
 
短い悲鳴に振り返ると、猫の尾っぽが窓から滑り出すのが見えた

 「――げ」

ハリウッド映画に面白黒人枠が付き物の様に
夏には怪談がつきものだ。

それが『薄っぺらな猫が隙間から食い物を盗んでいく』ような事だとしても
怪談には違いない。

 「…アイツ、『スリーピング』」
 「またラジオで騒がれちまうぞ…!」

僕は早々に食堂を後にする事にした。

871ダイアナ『オンリー・ガール』【幼稚園児】:2020/09/16(水) 01:40:10

    キコキコキコ

「――――ふぅん」

        キコキコキコ

「ここが『私立清月学園』ね」

            キコキコキコ

「なかなか広いじゃないの」

                キコキコキコ

「わたしの遊び場所にしてあげてもいいわ」

                    キコキコキコ

愛車(自転車・補助輪付き)で『城址公園』を通りかかる。
乗っているのは幼い少女。
外見は西洋人だが、呟く言葉は流暢な日本語だ。

872ダイアナ『オンリー・ガール』【幼稚園児】:2020/09/16(水) 19:48:54
>>871

その少女は制服姿であり、どこか『格調高さ』が漂っている。
通っている私立幼稚園の制服だ。
ピアノやバレエなどの、
『習い事』のカリキュラムに力を入れているらしい。

「『練習』しないと上手くならないわ」

    キッ

「もっと『練習』しないとダメね」

適当な場所に自転車を止め、サドルから降りる。
前部のカゴには、大きな『テディベア』が入っていた。
それを両手で持ち上げると、手近な木陰に腰を下ろす。

「『練習』は広い場所でやらないと」

        ――――トスッ

「狭い所にいると『心』まで狭くなるから」

独り言を呟きながら、テディベアを自分の正面に置く。
傍目から見ると、『ままごと』でも始めるかのような光景。
ちなみに、このテディベアは『二代目』だ。
『初代』とは物心つく前からの付き合いだった。
でも、今は『引退』している。

873朝山『ザ・ハイヤー』【中二】:2020/09/16(水) 22:42:49
>>872

「ぬおおおおおぉぉぉっ ス!!」 ダダダダッ!!

最近めっきり暑さが薄れて涼しくなってきたかと思えば
また直ぐに暑くなったりと気候が不安定っスけど!
 この悪の首領は常に猪突猛進絶頂 絶好 絶好調っス!!

 「むむむっ! ス!!
そこの園児よ! 何をしてるっスか?」

 何時も通り全力疾走でランニングをしてたら、どっかの
小奇麗な制服の幼稚園児が一人いるのを見かけたっス!

子供が一人なのは最近物騒だし危ないっス!
 ちょっと話しかけて、迷子だったら交番まで案内してあげるっス!

874ダイアナ『オンリー・ガール』【幼稚園児】:2020/09/16(水) 23:11:43
>>873

     チラ……

ほんの少し顔を上げて、こちらに走ってくる相手を見つめる。
猛然と駆け寄る様子を見ても、全く慌てる様子がない。
外見こそ子供そのものだが、
年齢にそぐわない落ち着きがあった。

「言っとくけど『アソビ』じゃないわよ。
 わたしは『練習』をしてるんだから」

「あなたこそ何よ。急に走ってきたら危ないでしょ」

          スクッ

「――そういうことをしたらいけないのよ。
 わたしより大きいのに、そんなことも分からないの?」

おもむろに立ち上がり、両手を腰に当てて朝山を見上げた。
体は小さいが、態度がデカい。
言ってる事自体は間違っていないが、
どことなく『気位の高さ』が垣間見える。

875朝山『ザ・ハイヤー』【中二】:2020/09/16(水) 23:23:29
>>874
クルクル
   シュッ
      タンッ!
            シャキーンッ!!

我こそは普段は元気一杯、うちゅー統一部の部長
だがその実態は悪の首領モーニングマウンテンっス!!
 なんだか偉そうな雰囲気の幼稚園児っス!
負けずにこっちも腰に手を当ててっ! おーーーきく胸を反らしつつ
鼻を鳴らしながら自己紹介を交えて話してやるっス!!

「ふ〜〜〜んふんっス! いけない事をするのは悪の醍醐味と言うものっス!
自分は悪の首領だから、急に走って来ても問題ナッシングなんっス!
 因みに名前は朝山 佐生っス! いずれ、この場所からも見えるH城どころか
星見町も支配する名前なんて覚えておいて損はないっスよ!」

威張りつつ、何の用かと聞かれたので正直に答えてあげるっス!

「何の用もなにも子供が一人で公園にいたら危ないっス!
親と待ち合わせとかしてないんだったら、私がお家まで送ってあげるっス!
もし迷子だったら、交番まで連れてってあげるっスよ!」

「ところで、何の練習をしてたっスか??」

一人で練習っ! もしかしたらお遊戯会とか、縄跳びとかの練習かも
知れないっス! 今日はけっこー暇だし、良ければ手伝ってあげるのも
吝かではないっス!

876ダイアナ『オンリー・ガール』【幼稚園児】:2020/09/16(水) 23:57:47
>>875

「『悪の首領』?何なのソレ。『ごっこアソビ』でもしてるの?」

「『コドモ』ねぇ。
 わたしより大きいかと思ったけど、
 中身はわたしよりも『オコサマ』だったみたいね」

わざとらしく大きなため息をつきながら、
呆れた表情で首を横に振る。
この手のタイプは、まともに相手をするだけ損だろう。
頭の中で、そんな風に考えていた。

     「 I’m 『 five years old 』 」

「公園くらい一人で来られるわ。
 もし『悪いヤツ』が来てもへっちゃらよ」

      「…………『悪いヤツ』?」

何かに気付いたように、顎に片手を添える。
目の前にいる朝山は、『悪の首領』だと名乗った。
『悪の首領』とは『とても悪いヤツ』という意味だ。

        ニ   ヤ   リ

「いいえ、『今日のカリキュラム』を変更するわ。
 やっぱり『練習』には『実践』が一番だから」

  ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

「それに、『悪いヤツをやっつける』のは『いいこと』だものね。
 わたしは練習ができるし、誰も困らない」

       「――そう思うでしょ?」

       パチンッ
            ――――ドシュゥッ!!

不敵な笑みを浮かべた園児が指を鳴らすと、
『テディベア』から『人型スタンド』が飛び出した!
まるで『空間の歪み』で構成されたような、
全身が『半透明』の奇妙なスタンドだ。
園児が操る『人型スタンド』は、
朝山に掴み掛かろうと腕を伸ばす(パス精CBC)。

877朝山『ザ・ハイヤー』【中二】:2020/09/17(木) 00:13:18
>>876

>パチンッ
            >――――ドシュゥッ!!

朝山 佐生と言う存在は、基本的に頭が悪い。
 恐らく、誰もが彼女と会話すれば幼稚園児も例外なく……その御花畑が
頭に咲いてるような態度と言語で察する事が出来る。
 殆ど反射的に生きていると言うのが、朝山 佐生だ。

故に――。

     ――ズンッ     パァァァ――ッ

 タンッ    ザァァッッ!

スタンドが飛び掛かってくると認識したのと同時に。
 『ザ・ハイヤー』を瞬間的に発現し、その能力による『モーション・キャプチャー』
による光球を自身に発射させ、スタンドの腕振る動作を遅く(精ス:BD)するのと
朝山自身が回避行動で横に跳ぶ(精ス:DB)のも、自然な事である。

「っおっとと。危ないっスよ?」

足がぐらつきつつ、後ろに倒れそうになったのを体勢を低くしつつ
真顔でダイアナを見詰めつつ注意する。

878ダイアナ『オンリー・ガール』【幼稚園児】:2020/09/17(木) 00:29:17
>>877

狙い通り、何ら問題なく回避は成功した。
というより、そもそもダイアナはスタンドに関して『素人』であり、
朝山とは『経験の差』が大きく違う。
最初から相手にならないのだが、ダイアナはそれを知らない。

「フン、『悪者』にしてはやるじゃない」

「だって、あなた言ったでしょ?自分は『悪の首領』だって」

    「『悪いヤツ』をやっつけて――――」

    ザッ…………

          「――――なにが悪いのよ!!」

            バッ!!

『策』などというものは何もなく、
『人型スタンド』は愚直に正面から突っ込んでくる。
朝山ならば、いなすのは容易いだろう。
どうとでも料理できるはずだ。

879朝山『ザ・ハイヤー』【中二】:2020/09/17(木) 00:37:32
>>878

 パッ

真顔で朝山は『ザ・ハイヤー』の右腕を掲げる。

 「ザ・ハイヤー キャプチャー」

               ポォ――ッ

              「チェンジ――!!」

繰り出された光球は『オンリー・ガール』向け放たれる。
命中と同時に、ザ・ハイヤーは片腕をぶんぶん高速で回す(ス精:AE)

その再分配はオンリー・ガールの飛び掛かる動作に齎され……まるで
かたつむりのように動きは、その動作が終えるまで鈍くなる(ス精:EA)

タッ――グゥ ンッ!!

その間にも、朝山は無言で真顔でダイアナに。彼女の動きがほぼ封じられた
スタンドをやり過ごして迫る。
 当たり前だ、こうなればスタンドなど関係なく幼稚園児と中学生の体格なら
朝山がどのようにでも料理出来よう。
 中学生ならではの脚力とスピード、そして伸びた腕で彼女の両脇を掴み。


   ――こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ!!

「うおおおおおおおおぉぉぉぉ〜〜〜〜〜!!!!! っス!!」


 これぞ、必殺モーニング・マウンテン ダークフィンガー!! っス!!


 必殺くすぐり攻撃のお見舞いだーーーー!!!

880ダイアナ『オンリー・ガール』【幼稚園児】:2020/09/17(木) 00:51:54
>>879

「こッ!『これ』はさっきと同じッ!?」

「どうしたのよ『オンリー・ガール』!!
 どうして動かないのよ!!」

「ちゃんと動いてッ!!動きなさいよ!!」

            ザッ…………

     「――――ひッ!!」

半ば無力化された自らのスタンド。
そして、眼前に迫る『悪の首領』。
起こるであろう恐怖の光景に、思わず両目を固く閉じる……。

    「ひッ!ひひひひひひひッ!!
     ひひひひひひひひひひひひひィッ!!」

次の瞬間、ダイアナは大口を開けて笑いながら身悶えした。
『モーニング・マウンテン ダークフィンガー』!!
『悪の首領』の恐るべき技が、
いたいけな幼稚園児に襲い掛かったのだ!!

「ダ、ダメ!!もうダメ!!
 あは!!あはははは!!あはははははははははは!!
 ひひひひひひひひひひひひィィィッ!!」

半透明のスタンド――『オンリー・ガール』は、
いつの間にか解除されていた。
笑い転げている状態で、
まともにスタンドを動かせるはずがない。
今ここに『悪の勝利』が決定した!!

881朝山『ザ・ハイヤー』【中二】:2020/09/17(木) 11:27:23
>>880(レス遅れ失礼しました)

ぴくんぴくんと痙攣して倒れ伏すダイアナを尻目に、いい仕事をしたと
言わんばかりに額の汗を拭うポーズと共に遣り遂げた顔で鼻を鳴らすっス!!

「ふんっス!! いつもエッ子先輩にくすぐり攻撃を受けて、躱しての
特訓がここぞとばかりに活かされたっスよ……ッ!」

「それはそれとして、倒れてると汚れちゃうっス。折角の洋服が
汚れちゃうっスよ!」

手を引っ張って、ぽんぽんっと汚れた背中とか叩いて払っちゃうっス!!

「改めて仲直りっス!!
いきなりスタンドで飛び掛かられたら反撃せざるを得ないっス!
 以前は辻蹴りと言う危ない通り魔だって彷徨ってたっス。
でも、まぁ!! この悪の首領がけちょんけちょんに打ち負かしたんっスから
もう蔓延る悪は居ないんっスけどね!!」

唯一無二の悪は自分だけだと自慢しつつ、お喋りするっス!!

882ダイアナ『オンリー・ガール』【幼稚園児】:2020/09/17(木) 14:50:12
>>881

「ひひひひひ!!あはははははは!!」

「はぁッ……!!はぁッ……!!」

このまま笑い死ぬかと思われた寸前、
手を引っ張られて立たされた。
そして背中も払われるが、その直後に身を翻す。
片手にテディベアを抱えながら、朝山を上目遣いで睨む。

        キッ!

「フン!そうやって手懐けようとしたってダメよ」

「『仲直り』なんてしないわ!!あなたは『悪者』なんだから。
 悪者なんかと仲良くするのは、
 お金もらってソイツらを見逃してる、
 『クサレ政治家』だけで十分よ!!」

      バシッ!
             バシッ!
                    バシッ!

喋りつつ、テディベアのボディに鋭いパンチをブチ込む。
癇癪の八つ当たり。
『初代が引退した理由』は『これ』である。

「でも、『ツジゲリ』っていうのは興味あるわね。
 聞いてあげてもいいわ。詳しく教えなさいよ」

一歩も引かない高飛車な態度で要求する。
この『アサヤマ』とかいうヤツは『スタンド使い』。
なら、その『ツジゲリ』も『スタンド使い』かもしれない。
『スタンドに関係する情報』は多い方がいい。

         オンリー・ガール
このダイアナが『唯一無二』になるために。

883朝山『ザ・ハイヤー』【中二】:2020/09/18(金) 10:49:38
>>882

「えーっ? 仲直りしないんスかっ!
なら、部下になればいいっス!! 今ならこの悪の首領の部下になれば
のり先輩のおいしーい御菓子が毎月無料で振舞われるっスよ!」

我が部下である、おかし幹部の のり先輩は毎月お菓子を作ってくれるっス!
ほっぺが落ちる事請け合いだから、その御菓子の魅力にたちどころに
この幼稚園児も陥落する事間違いないっス!!

「『辻蹴り』は、少し前に夜道を通ってた人をスタンドで強化した蹴りで
昏倒させていた通り魔なんっス! 
そんで、我こそが先程のザ・ハイヤーキャプチャーチェンジで動きを
封じ込めると共にけちょんけちょんにやっつけたんっスよ!!
 いやー、あの時は血で血を洗う壮絶なる死闘だったスねー!!」

調子よく、辻蹴りの蹴りが斬撃のような刃となって襲い掛かって来ただの
誇張表現を繰り広げつつ超絶にダイアナへ自慢する!!

884ダイアナ『オンリー・ガール』【幼稚園児】:2020/09/18(金) 21:27:22
>>883

「はぁァ〜?『部下』なんかなるわけないじゃない!
 ぜ・っ・た・い!!ならないわよ!」

でも、お菓子は興味がある……。
食べたいけど、仲直りはしないし部下にもならない……。
あ!いいこと思いついたわ!

「じゃあ、あなたがわたしの部下になればいいのよ。
 そうしたら、
 その『のり先輩』とやらのお菓子を食べてあげるわ。
 ウフフ!名案でしょ!」

「ふーん、そんなのがいたのね。
 でも、あなたにやられるくらいだから、
 どうせ大したことないんでしょ?
 わたしだったら、もっと簡単にやっつけてあげたわよ」

「『オンリー・ガール・ステルスアタック』でね!!」

自信たっぷりな笑みを浮かべる幼稚園児。
ついさっき負けたばかりなのだが、もう忘れたらしい。
ダイアナは切り替えの早い性格なのだ。

885朝山『ザ・ハイヤー』【中二】:2020/09/18(金) 22:18:38
>>884(良ければ次で〆させて頂きます)

「ぶーっ! 私が悪の首領なのに、なんで部下にならなくちゃいけないっスか!
それに、辻蹴りはチョーちょーーー強かったスよ。
 私でなければ危うく多数の犠牲者が今も、あの道沿いまで出来上がってたっス」


うーむっ! 部下にもならないし、仲直りもしない。
それなら、いいことを思いついたっス!

「それじゃあ、スタンドでバトルもしたし。そっちと私は
ライバル同士の関係っスよ!
 ライバルっ! うんんっ 良い響きっスねー!!
とりあえず、今日はのり先輩が美味しいカップケーキを作ってくれる
約束だったんス! 一緒に良ければ行くっスよ!!」

「それと、名前も教えてくれると嬉しいっス!!」

手を差し出して、握ったらいざ出発っス!!
 美味しいカップケーキが私達を未来で待ってるんス!!!

886ダイアナ『オンリー・ガール』【幼稚園児】:2020/09/18(金) 22:46:49
>>885

「『ライバル』?わたしとあなたじゃ釣り合わないわ。
 わたしが空に輝く月だとしたら、あなたは砂粒ね」

       フンッ

「でも、まぁ――『たまたま』の『まぐれ』で、
 わたしも全然『本気じゃなかった』とはいえ、
 『そこそこいい動き』をしてたことは褒めてあげてもいいわ」

言い方が回りくどいが、
『ライバル』という提案は許可されたようだ。
テディベアを愛車(補助輪付き自転車)のカゴに乗せ、
シートに座る。
そろそろ『補助輪』を取りたいが……
内心ちょっと怖いと思ってることは内緒だ。

「『ダイアナ』よ。
 いずれ『世界に腰を下ろす女』の名前になるわ」

「覚えておきなさい」

          キコキコキコ

「ホントは知らないヒトについていっちゃいけないんだけど、
 わたしはいいのよ」

               キコキコキコ

「だって、わたしは強いから」

愛車(補助輪付き自転車)を漕ぎ始めた。
その最中、心の中で密かに『ブラックリスト』を開き、
そこに『アサヤマ』の名を書き込んだ。
このダイアナ、結構根に持つタイプなのだ。

朝山『ザ・ハイヤー』→『ダイアナのブラックリスト(いつか痛い目に遭わすリスト)』に入れられる。

887円谷 世良楽『リトル・スウィング』【高1】:2020/10/27(火) 22:16:37

『円谷 世良楽』が一人でいるのは稀だった。
円を好み、縁を好む彼女は常に人の『輪』の中にいる。
人の輪の外は、誰も住めるはずのない極寒の世界だ。
住んでいるとしたら、それは耐えているだけに違いない。

「……」

……『リトル・スウィング』に目覚めてから、
一人でいる時間が増えたことを自覚している。

スタンド能力の練習のため、という口実もあったが、
自分の中にだけある『それ』が、なんとなく距離を作る。
繋がりが切れたわけではないし、切るつもりもないが、
しかしこうして、一人で校舎の屋上なんかに来ていた。

888円谷 世良楽『リトル・スウィング』【高1】:2020/10/29(木) 04:58:53
>>887
しばらく後、その場を去った。

889円谷 世良楽『リトル・スウィング』【高1】:2020/11/01(日) 01:57:44

パンダのような色使いのパーカーを羽織った、
こげ茶色の髪の女子生徒が鼻歌交じりに歩いている。

弁当を家に忘れて来た。
昼休みはパンを買って友達と食べたが、
この放課後になって、空腹が目を覚ました。

「〜〜〜♪」

『円谷』は学内ではほぼ常に人と一緒だが、
『帰宅部』であり熱心な委員会などにも属さないため、
放課後の時間は『望めば一人になりやすい』時間だ。

好きなパンを好きなだけ買うには、一人の方が気遣いは無い。
だいたいはそうした心境で、『購買』の近くまで歩いて来ていた。

890シルク『トワイライト・トーン』&『トワイライト・ゾーン』【中三】:2020/11/01(日) 02:17:21
>>889

                 「とっ…………」

               ヨロッ

     「とっとっと…………」

          フラッ

前方から、白い髪と黒い目の少女が歩いてきた。
『燕尾服』風に改造された制服を着ている。
両手には『大量のパン』が抱えられていた。

  「あっ――――」

      ポロッ

腕の中から溢れるように、『メロンパン』が転げ落ちる。
両手が塞がっているせいで取る事が出来なかった。
包装されているので食べられなくなる事はないが、
即座にキャッチする事は難しかった。

891円谷 世良楽『リトル・スウィング』【高1】:2020/11/01(日) 02:39:00
>>890

          シュッ

「わっ危なーい」

              ぱし


「これ、あたしにくれるの?
 ハロウィンのお祝いに?
 そういうわけじゃないよねー。ハイ、返すね」

「って、今返してもまた落としちゃうか!」

キャッチしたメロンパンを差し出す。
受ける印象はさておき、人懐こい笑顔だった。

「ねー。そんなにたくさん、一人で食べるの?
 見かけによらず大食いなんだ。あたし3つくらいでお腹一杯」

『大量のパン』の視線を向けながら、なれなれしく言葉を続ける。

892シルク『トワイライト・トーン』&『トワイライト・ゾーン』:2020/11/01(日) 03:55:39
>>891

「あっ、ありがとうございますっ」

        ニコッ

無垢な笑顔を返しながら、メロンパンを受け取る。
といっても、パンの山に乗せてもらう形になったが。
どちらにせよ助けられた事には変わりない。

「エヘヘ、そうなんですっ。
 部活やってると、何だかお腹すいちゃって」

「ついつい沢山食べちゃうんですっ」

うず高く積まれた菓子パンや食事パンの後ろで笑う。
買い占められている事はなくとも、
目当ての品は売り切れているかもしれない。
そんな事には全く気付かず、目の前の相手を見ていた。

(うーん、見かけた事ないけど先輩なのかなぁ?)

(でも、すごく気さくで話しやすい人みたい)

「私、中等部の三年生なんですけど、もしかして先輩ですか?」

893円谷 世良楽『リトル・スウィング』【高1】:2020/11/01(日) 22:52:34
>>892

「いいよいいよー、お礼なんて。
 あたしの手があるとこに落ちて来ただけだもんね」

            ボスッ

素直にパンの山の上にメロンパンを積む。

「部活やってるんだー。
 お腹減るのは運動部?
 んーでも体育会系には見えないかな。
 練習キツーイらしい『吹奏楽部』とか?
 」

『部活情報』は友達から聞いている。
文化部でキツイのは『音楽系』――そういう噂だ。

「ちなみにあたしは帰宅部だー。学年は『高1』」

              「だから1つ先輩だねー」

もっとも、中等部と高等部の差はあるだろうが。

「部活じゃなくって、『人生の先輩』だー。
 別に年上だからえらいわけじゃないけどー。でも、先輩だね!」

894シルク『トワイライト・トーン』&『トワイライト・ゾーン』:2020/11/01(日) 23:25:10
>>893

「私は『合唱部』ですっ。
 歌うのって意外と体力も使うんですよ〜。
 だから練習が終わった後は、
 いつもお腹すいちゃってますねっ」

「あ、でも運動部もたまに……。
 掛け持ちじゃないですけど、
 『手伝い』みたいな感じで参加する事があって……」

「その後もお腹すきますねっ。あはははは〜」

            ニッコリ

シルクは先天的に『音痴』であり、
その歌唱力と音感のなさは『壊滅的』だ。
しかし、何故か運動となると人並み以上に出来る。
度々『助っ人』を頼まれたり、
あちこちの部から勧誘される事も少なくない。
ただ、運動部に入ろうという気は起きなかった。
どれだけ下手だったとしても、
歌う事が何よりも大好きだからだ。

「――先輩は、これから帰る所ですか?」

「えっと……『お疲れ様です』っ」

       ペコッ

そう言って頭を下げた。
さっき乗せてもらったメロンパンが、また落ちかける。

895円谷 世良楽『リトル・スウィング』【高1】:2020/11/01(日) 23:56:28
>>894

「へー、すごい。とってもすごいじゃーん!
 それって『文武両道』ってことだよ。
 あたし、どっちもそんなにだから、
 どっちも出来るってすごいと思うんだなあー」

実情を知らない円谷は気楽なものだ。
気難しい時の方が少ない性分だが。

「んー、あたしー?
 あたしはねー、パン買って帰ろうかなって!
 今日、じつは、お昼あんまり食べてなくって」

             シュッ

「見ての通り、ダイエットとかじゃないわけだけど」

と、自分の腹を縦に撫でる。

小柄で、どちらかと言えば細身な体格。
食事を抜く意味は無い。『忘れただけ』なのだから。

「だから、そーだねー。疲れてる。エネルギー切れー」

   スッ           「パンを支えるエネルギーで精一杯!」

落ちかけたパンに手を添える。その手首に、『5輪のブレスレット』が光る。

896シルク『トワイライト・トーン』&『トワイライト・ゾーン』【中三】:2020/11/02(月) 00:15:16
>>895

「わっ――と……!」

「あっ、ありが――――」

うっかりパンの山が崩れる所だった。
添えられた手が堤防のように、それを支えてくれた。
慌てて体勢を立て直し、『手首』に視線が向く。
正確には、そこにある『五つの輪』に。
驚きの表情が浮かび、お礼の言葉が思わず止まってしまう。

「そ、『それ』…………」

「オシャレなブレスレット――――」

「――――です、ねっ!」

       ニコッ

落ち着きを取り戻し、表情を笑顔に変える。
自分以外にもいる事は知っていた。
だけど、実際に会った経験は少ない。
その一人は、今『目の前』にいる。

897円谷 世良楽『リトル・スウィング』【高1】:2020/11/02(月) 01:19:10
>>896

「『これ』――――気になるー?
 気になるんだ〜、わかるよ。
 わかる。名前は『リトル・スウィング』」

              クルン

「褒めてくれてありがとーねー!
 あたしのことを褒められてるみたいで、嬉しい」

もう片手で、ブレスレットを弄る。
『腕についている』今は、それはただの『飾り』。

「って、先にあたしの名前を、
 知ってもらった方がよかったよね。
 あたし、『円谷世良楽(つぶらや せらら)』
 呼び方とかは、呼びやすいようにしてね」

         ニコ

「それで、後輩ちゃんは?
 なんて呼べばよかったんでしょーかー?」

『スタンド』を指摘されても、動じる事はない。
それは『特別』だ。とても……だが『恥じる』『怖れる』物ではない。

898シルク『トワイライト・トーン』&『トワイライト・ゾーン』【中三】:2020/11/02(月) 01:58:38
>>897

(堂々としてるなぁ。さすが先輩って感じ。
 私だって最上級生なのに全然『先輩』出来てないし……)

(高等部に上がったら、私もこんな風になれるかなぁ?)
 
(――うん、頑張ろう!)

「じゃあ、『セララ先輩』って呼ばせてもらいますっ!
 可愛いお名前ですねっ!」

「その――『リトル・スウィング』の方も、
 何だか可愛い感じで」

「あっ、私『シルク』っていいます。
 『純白』って書いてシルクですっ」

「それから、『こっち』が――――」

       フッ

一呼吸の後、襟元に現れる小さな『コウモリ』。
それはコウモリの形をした『ピンマイク』だ。
自分の『片割れ』であり、スタンドの『片方』でもある。

「――――『トワイライト・トーン』っていうんですっ!」

『もう一つのスタンド』は出てこない。
彼は友達だ。
お互いに気持ちが通じ合っていると感じる。
シルクは、そう思っていた。
そして、そう思っているのは『彼女だけ』だ。

899円谷 世良楽『リトル・スウィング』【高1】:2020/11/02(月) 02:29:57
>>896

「褒めすぎだよ! うれしーからいいけどね。
 あたし自身可愛いから、
 名は体を表すってやつかなー?
 なんてねー! 可愛いとは、思ってるけど」

        ケラケラ

「でもシルクちゃんも可愛いよ。
 名前も、お顔も。きっと性格も。
 それから『スタンド』も、ちっちゃくてさー。
 たぶん、お歌もとっても可愛いんだろうね」

軽口はもちろん、『知らないから』だ。
もし仮に『歌』がかわいいなら、
『友達』でいられるかもしれないだろうに。

「今度、聴かせてよー。歌。カラオケか何かでさ。
 あたしもさ、カラオケの点数みんなより高いんだー」

それが遠回しな『自殺行為』なのも、勿論気づけない!

900シルク『トワイライト・トーン』&『トワイライト・ゾーン』【中三】:2020/11/02(月) 02:51:08
>>899

「いいですねっ!いつか一緒に行きたいです!
 そんなに自信がある訳じゃないんですけど、
 セララ先輩に聞いてもらえるなら、
 『張り切って』歌いますからっ!」

「楽しみにしてますっ!」

        パ ァ ッ

喜びの色を満面に浮かべて誘いに応じる。
最近は『一人カラオケ』ばかりで、
誰かと一緒に行く事は全くなくなっていた。
だからこそ、先輩の言葉が本当に嬉しかったのだ。

        《――――…………》

 ワ    タ    シ
『トワイライト・ゾーン』は、
その光景を『異次元』から観察していた。
シルクとカラオケに行った人間は、
二度と彼女と一緒には行かない。
例外は一人も無かった。
そうした経験から、『何が起こるか』は容易に予想出来た。
それを止める事が出来ないのは、心から残念でならない。

「あっ、つい話し込んじゃって……。
 セララ先輩、購買に行くんでしたよねっ」

「私も、そろそろ行ってきますっ。
 あの――色々ありがとうございましたっ」

「それじゃっ!」

          ペコッ

お辞儀をして、歩き始める。
今度はパンを落とさないように、ゆっくりと。

901円谷 世良楽『リトル・スウィング』【高1】:2020/11/02(月) 20:35:27
>>900

「うんうん、あたしも楽しみだよー。
 それじゃあまたね、シルクちゃーん」

購買の方へと歩き去る。
未来に待ち受ける『地獄』を、知らないまま――

902村田 瑛壱『ディズィー・スティック』【高2】:2020/12/23(水) 22:12:45
カチンッ  チチチチチチ・・・
  
  ボ
   ウ ッ!

チリチリ…  シュワワワ…

学園内にある『調理室』から、何やら香ばしい香りがする。

『オリーブオイル』と、それで炒められている『ニンニク』の匂いだ。

903斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』【高2】:2020/12/24(木) 01:05:29
>>902

 調理室のドアを叩きつけるようなノックの音と共に
 男性の声が外からかかる。

 「――開けろ!デトロイト生徒会だ!」

904村田 瑛壱『ディズィー・スティック』【高2】:2020/12/24(木) 01:29:39
>>903

唐突な生徒会のエントリーだ。
開けろと言われれば開けてやりたいが・・・

「(・・・今は手が離せない・・・仕方ないな)」

調理室の重厚な観音開きの扉へは、村田の手は片手間に届かない。なので・・・

ズギュ ン !!

 『ディズィー・スティック』を発現!

 「おいでませェェェェェェェ―――――――ッ!!」

 ド
     カ ァ ッ !!

『蹴り開ける』! 『扉』をッ!

905斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』【高2】:2020/12/24(木) 02:26:48
>>904

激突音と共に観音式の扉が開く

――誰もいない
廊下には影も形も無……

 「あっぶねえな……」

い事も無い、正確には開け放たれた扉の横から
ひょっこりと顔を出した。

 「ノックしてる人の事考えてますかー、特に相手が馬鹿正直にドアを叩いてた場合、鼻面への不意打ちになる事とか。」
 「君、チャイム鳴らした宅急便相手にもそういう事するわけ?謝罪が絶えないだろ。」

乱暴に開いたドアを一瞥し、そうぼやきながら料理中の君の前を横切るのは
首元に赤いスカーフを巻いた同学年の男性だ。

 「成程?手が離せなかったわけだ ……ドアの損傷位置が低いな、どうやって蹴った?」

906村田 瑛壱『ディズィー・スティック』【高2】:2020/12/24(木) 02:50:01
>>905

 「来るとわかってる客と、そうでない客への『もてなし』が違うのは道理じゃねぇかい?
  手荒なのは認めるが・・・と。」

顔を火元の鍋から動かさず、視線だけを扉のほうにやる。
手元はせわしなく、ニンニクを炒める鍋のほうに向けられている。

 「どこかで見た顔だな。あんた。」

いつかの『トライコーン』との戦いを思い出す。あの時は顔に何かを塗っていたが、こんな顔立ちだったはずだ。

 「ま、別にいいか。で、生徒会の方が何の御用なんで?」

村田が顔を向けているコンロの上には、開いた貝殻のような形をした、おかしな形の『銅鍋』が火にかけられている。

907斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』【高2】:2020/12/24(木) 03:20:36
>>906

「別に?」

事もなげにそう言い切ると、適当な場所に腰掛ける。

「君が何もしない真面目で優良な生徒なら。こっちも用事なんてないさ、それに……聞きたいことが有るのは君の方だろ?」

村田瑛壱。
そう呟いて脚を組む、あれはアリーナの仕事だった。

「図書室で何やらこそこそしていたらしいじゃないか。……あの時の君は興味がないと思ってたがな。」

908村田 瑛壱『ディズィー・スティック』:2020/12/24(木) 15:22:38
>>907

 「『アリーナ』、『エクリプス』…
 俺がその二つについて調べていたのは、組織自体に興味があったからじゃない。」

口を開けた銅鍋で玉葱を炒め、油を馴染ませる。

 「俺が気にしているのは、『深山兄妹』がこれから先、面倒ごとに巻き込まれないかってことだけだ。
 一般人とはいえ、スタンドの絡む事件に関わった以上、目をつけられてもおかしくない。」

 「奴らに手を出してくるようなら『どちら』であれ、俺の全てを賭けて『潰してやる』…そう考えただけのことだ。」

鍋に蛤、魚の切り身、剥いた海老を放り込み、鍋の口を閉じる。

 「…で、お前は『どっち』だ?」

909斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』【高2】:2020/12/24(木) 22:42:13
>>908

 「自分を問えって?結構な無理難題を言うじゃないか」

両手の指を互い違いに、虫の歩みの如く滑らかに動かす
意味は無いが単に落ち着くだけの動きという物は有る。
鬱病患者というものは特に。

 「ところで……『深山』って誰?」

首を傾げるとどうにも心当たりがないような所作で肩をすくめる。

 「覚えてないんだけど、あれかな?『トライコーン』で君の傍にいた女の子の事。」

910村田 瑛壱『ディズィー・スティック』:2020/12/25(金) 00:52:11
>>908

 「ああ、そうだ。兄貴の方は『二本角』にされていた。」

トクトク…
         グイィーーッ

調理に使った『白ワイン』を取り出し、グラスに注ぎ一息に飲み干す。

 「あの事件が誰の差金なのかは知らん。興味もねえ。
 だが『音仙』に曰く、この街はどうにもそういう連中がら多いらしい。
 その中にゃこの間の『ゲンマ』のようなやつもいるんだろう。」

 「過ぎたことはどうにもならんが…これからのことはどうとでもなる。
 彼らが被害者である事実は消えずとも、これ以上被害が及ばない為に動くことは出来る。」

911斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』【高2】:2020/12/25(金) 21:03:27
>>910

 「立派だねぇ……物言いは。」

言う事ならば誰にでもできる
まあそれを言うだけでも勇気が有ると捉える事はできるだろう。

 「しかしそう言う事なら『潰す』なんてますます言葉は使わないほうがいいな」

 「周囲に無節操に力を振り回し、悪戯に『深山』のような一般人に被害を拡大させて……」

 「態々敵を作りまくって、袋叩きに有ったのがあの『トライコーン』なんだ。」

ただし、『勇気』とは『蛮勇』という言葉の類義語である事を忘れてはならない。

 「――君、彼の跡を継ぐ気かい?」

ニヤリと口を歪ませるとすぐに作り笑いに戻る。

 「ま、どの道アレは長くなかったけどね、僕達全員にとっても危険だった。」

912村田 瑛壱『ディズィー・スティック』:2020/12/25(金) 22:26:34
>>911

「そうだな…それも『悪くない』な。
 正しいと思って『流れ』た先がそういう結果なら…『諦め』もつく。」

火にかけられた鍋を眺めながら、同じように一瞬だけ笑みを浮かべる。

 「俺はね、『俺の生きる明日』を今日より良くすることだけに興味がある。
 善だとか悪だとか、正当だとか邪道だとか…そんなことは『どうだっていい』。
くだらない世間の話や、世界の話も聞き飽きた。」

 「目下の命題は彼らの安全の保証と、この鍋の味つけだけだ。」

つまみを回し、コンロの火を止める。あとは余熱調理で良いだろう。

 「たったそれだけを邪魔する奴がいるなら…
 『俺の明日の平和』を脅かす何者かがいるなら…
  そいつらにとっての、望まれざる『来訪者』になることに躊躇いはない。」

913斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』【高2】:2020/12/26(土) 01:35:56
>>912

 (成程 ……鏡を見るとはかくも滑稽な物か)

 「――面白い奴だな、君。」

 「明日の自分が、今日より良くなると期待しているのか、そこは僕との違いだな。」

肩を竦める。

 「まぁ、心配の方は杞憂だろうけれど」

 「君の、お嫌いな世間の話だが、『トライコーン』が『アリーナ』に排斥されたのは弱者を守る為。」
 「この『弱者』というのは君の言う2人じゃないぜ、僕ら…『スタンド使い』の事だ」

 「この力は数が少なく、露見し難い けれど見境なしに使えば幾らなんでもおかしいとは思われるだろう。」

 「その時僕らは、君が守ろうとしている2人…世間に排斥されるだろうな
 なにしろ 取り上げる事も、禁止する事も出来ない透明な拳銃を僕達は持っていて」

 「ホモ・サピエンスは肌の色だの思想の違いだの、信じる物が違うだけでも殺し合いが出来る種族なんだから。」

爪にヤスリをかけながら続ける、うん、今日も奇麗だな。

 「まあ何が言いたいかと言うと……『2人に関して心配する必要は何もない』って事さ、僕はその為に『アリーナ』の依頼を受けてあそこにいたんだ。」

 「むしろ危険なのは君の方なんだぜ、或いは……『僕達』か。」

彼の明日を脅かすのが、『スタンド使い』とは限らない
もし、どうしようもない理不尽が彼の身に降りかかり、それを彼が『あり得ない力』に頼って退けてしまったばあい
それを恐れて依頼を出すのは、『エクリプス』と『アリーナ』だ、そしてその依頼を受けるのは……。

 「うっかり君の言う、くだらない世間に殺されてくれるなよ?出来れば1人でひっそり死んでくれればなお良い。」

爪に息を吹きかける、完璧だ。

914村田 瑛壱『ディズィー・スティック』【高2】:2020/12/26(土) 02:59:08
>>913

「いろいろと『諦め』てきたからな。
 ・・・せめて、必ず来る『明日』ぐらいは、よりよいものを望んでもバチはあたるまい?」

『銅鍋』の貝殻のように閉じた蓋を開ける。
オリーブオイルとニンニク、それから魚介の出汁の豊かな香りがあたりに立ち込める。

 「だが、俺の欲した明日がよりよくなるために、俺が『いらない』というなら・・・
 その時は、『そうする』だけだ。」

どこからか貝杓子を取り出し、『銅鍋』の中身を皿に盛りつける。

 「ま、おれのことはどうだっていい。『深山兄妹』に危害が加わらないことが分かれば、それで十分だ。
 今日は少し枕を高くして眠ってもよさそうだ。」

ふふんと心底嬉しそうに鼻を鳴らし、口角を吊り上げる。
その顔のまま振り向き、皿に盛った料理を、『斑鳩』の前にある机へ差し出す。

 「『魚介たっぷりのカタプラーナ』だ。『ポルトガル料理』・・・食ったことあるかい?」

915斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』【高2】:2020/12/26(土) 15:51:59
>>914

掌を突き出して指を折り曲げて数える。

 「――調理器具と場所の無断使用だろ?
 飲酒に自暴自棄、暴力行為に贈賄。」

おっと、既に折り曲げる指が足りなくなった
突き出した掌を戻す。
 
 「諦めている割には、自分の事を自由にできると憚らない。
 あまつさえそれを食えって?『生徒会』の僕に!」
 
『村田』を両の瞳で見据える
『自分の事はどうでもいい』『正しければ死んでもいい』『善悪や世間の評価に興味がない』
どうやら不適合者真っ逆さまだ。
  
 「まったく、『くだらない世間』一般の『良い子』とは程遠いな君は!」

……そしてなんとも、一点を除いてよく似ている
皿を受け取り、苦笑しながらやや投げやり気味に台詞を返す。
 
 「……フォーク有る?」

916村田 瑛壱『ディズィー・スティック』【高2】:2020/12/26(土) 19:11:58
>>915

「『調理器具』は全部俺のだぜ。数える指が足りるな。」

にやりと笑って、フォークとスプーンを差し出し・・・

 「『飲酒その他』については、これで目をつぶってもらうとするかね。
 ・・・『魚介料理』には『白ワイン』がぴったりだ。」

グラスにワインを注ぎ、同様に差し出す。

 「美味いメシは、よりよい明日のために欠かせないものだ。
 明日への『活力』、『期待』、そしてもっと美味いものを作るって『野心』のため・・・
 あんたとおれのよりよい明日のために、『乾杯』しようじゃねえか。」

酒はともかく、料理は美味かったはずだ。
手をかけずとも、下ごしらえが十分ならうまく仕上がる・・・
それが『カタプラーナ』という料理であり、よりよい明日もそうして迎えるものなのだから。

917夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2021/01/26(火) 19:35:46

放課後の図書室。
片手にペンを握り、机に向かっている。
『真剣』な表情だ。

           カリカリカリ…………

机に載っているのは、一冊の書籍だった。
『よむ・かく:くりかえし漢字ドリル(小学三年生一学期)』。
勉強中らしい。

918ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/01/26(火) 22:17:00
>>917

「り……ゆう。じそく。はこぶ。はこぶ」


何やら後ろからブツブツ聞こえる。
しかもその内容は、今まさにやっているドリルの漢字だ。


「みじかい。くらい」


ちなみに書いてあるフリガナを読み上げているだけなので
答えを言っているわけではない。

919夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』【高一】:2021/01/27(水) 10:33:50
>>918

   チラ…………

            クルッ

                ――――バッ!

後ろを振り返って、また前を向く。
前を向いたかと思うと、今度は勢いよく振り向いた。
いわゆる『二度見』というヤツだ。

「ナンだ??『よそのスパイ』か??
 ケイカイゲンジュウな『ホウカゴのトショシツ』に、
 この『アリス』いがいに『シンニュウシャ』がいようとは……」

「わたしは、
 この『アンゴウ』をカイドクしているさいちゅうなのだ。
 このナゾのアンゴウブンのなかに、
 『しんへいきのセッケイズのありか』が、
 こうみょうにかくされているという……」

「『セッケイズ』はわたさんぞ!!『よそのスパイ』!!」

即興で捏造した背景を語った。
『しんへいき』のしょうさいは、
『アリス』がしょぞくするホンブでもまだつかめていないが、
てにいれるとセカイをせいするともいわれているモノだ。
それがアクのてにわたらないために、
なんとしても『アンゴウ』をカイドクせねば……!!

920ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/01/27(水) 13:00:42
>>919

「いけん。びょうき……うん?」


背後にいたのは、金髪の子供だった。
やたらと大きめの服を重ね着している。
年齢は小学生低学年くらいだろうか。


「何を言っておるんじゃ?
 よくわからんが、わしは悪くないぞ。
 わ、わしをどうするつもりじゃ?」


突然、怒涛の設定を浴びせられてよく理解できなかったのだろうか。
とはいえ何か友好的でない雰囲気は察したらしい。
キョロキョロとあたりを見回す。厳重な警備とやらを警戒しているのかもしれない。

921夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』【高一】:2021/01/27(水) 17:00:44
>>920

「さては、まだ『ゴクヒジョウホウ』をつかんでいないな??
 ワレワレのほうがさきをいっているというコトか……。
 しかし、こんご『ニンムたっせいのショウガイ』になるカノウセイも、
 ひていはできない……」

         ガタッ

「いまのうちにてをうつべきか……」

漢字ドリルを手にして立ち上がり、
じりじりと少しずつ距離を詰めていく。
特に警備とかはなく、今ここにいるのは、
たまたま二人だけだった。
ほんらいであれば、
『AAAクラスのセキュリティー』がほどこされているのだが、
ついさっき『エージェント・アリス』によって、
すべてカイジョされてしまったからな。
『トクシュカクヘキ』とか『レーザートラップ』とか
『サイミンガス』とかイロイロだ。
そこらへんのシーンは、
『コレクターズエディション』のエイゾウトクテンでみられるぞ。

「だが、イマは『セカイのソンボウ』がかかっている。
 きょうりょくしなければ、
 『ジンルイのキキ』はのりこえられない!!」

「そうはおもわないか??『エージェント・フェアチャイルド』」

         ズィィィィィッ

コードネームを与えつつ、漢字ドリルをグイッと突き出す。
『カンジ』のニガテなアリスに、
『3ねんせいよう』はまだちょっとハードルがたかかった。
『2ねんせいよう』にしときゃよかったな!!

922ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/01/27(水) 17:48:17
>>921

「む?
 よその……? アリス以外に……?」


子供は遅ればせながら気づいた。
この目の前のアリスとやらが自身がシンニュウシャであることに。
つまり、セッケイズを守る側ではなく、奪取に来た側。


(この娘、ワルモノか……?
 いや、人類の危機を乗り越えるということは正義……?
 何か勘違いしているようじゃが、
 わしが無関係であることがバレるとまずい……のか?)


全然状況は掴めないながらも、完全に雰囲気に気圧されてしまっている。
なんか知らないがジリジリ近づいてくるものだから、
同じだけ後ろに下がるが、本棚に背が当たってしまう。
これ以上後ろに行けないというのに、漢字ドリルを突き出される。


「わ、わかった。わかったから落ち着くんじゃあ……」


フェアチャイルドと言われても当然、心当たりは皆無だ。
誰と勘違いしているのだと思いつつも、『きょうりょく』を受諾する。

923夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』【高一】:2021/01/27(水) 18:53:53
>>922

「よしよし、ハナシがわかるな。
 『フェアチャイルド』なら、そういうとおもったぞ!!」

      スタスタスタ

              ――――トスッ

漢字ドリルを引っ込めて、また椅子に座る。
机の上には『ロリポップキャンディー詰め合わせ』が置いてあった。
この前の『パーティー』でもらったヤツだ。

「タチバナシもナンだから、
 とりあえずソコにすわるとイイぞ『フェアチャイルド』」

「ついでに、このアメもくってイイぞ『フェアチャイルド』」

         ヒョイッ

棒付きのキャンディーを口に咥えつつ、
自分の向かいの席を指し示す。
お菓子で懐柔しようという策だ。
たとえ『よそのスパイ』であっても、
かつコトよりあらそわないコトがだいじだ。
ジブンがさきにたべるコトによって、
『アンゼン』であるコトをアピールする。
イチリュウのスパイには、ぬけめなさがダイジなのだ。

「『フェアチャイルド』は、
 さいきんナニかオモシロいコトとかあった??」

そして、さりげなく世間話にシフトしていく。
実の所、漢字の勉強に疲れたので、
ちょっと息抜きしたかったのだ。
ちょうどタイミングよく『フェアチャイルド』が現れたので、
引っ張り込もうという魂胆だった。

924ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/01/27(水) 22:26:22
>>923

 「?」
          「?」


急にすごくフレンドリーになったので混乱しつつ逆にビビる子供。
ペースは握られっぱなしだ。
言われるがままに席に座る。


「書をしまうのか? 解読するのではなかったのか?
 わしの話が何か関係あるのか?
 お、面白い事?
 ……ええと、その、こ、この間、ラッコを撫でたこと、とかじゃろうか」


とりあえず手に取ったキャンディーを手で弄びつつ、
チラチラと顔色をうかがう。

925夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』【高一】:2021/01/27(水) 23:25:21
>>924

「ほうほう――――」

「『ラッコ』か。きいたコトはあるな〜〜〜」

       ズイッ

「――――みたコトはないけど!!」

興味を引く話題が出てきて、思わず身を乗り出す。
アリスはアリスだから、
『見た事がないもの』には目がないのだ。
コイツはみのがせんな!!

「『ラッコ』ってどういうヤツだっけ??
 『ハネ』はえてた??『きのぼり』がトクイとか??」

「あ、せなかに『カイガラ』しょってるヤツだっけ??」

知識にある情報を総動員して、
まだ見ぬ『ラッコ』の姿を頭の中でイメージする。
『視力』を得たのが最近のため、
たとえ情報を知っていたとしても、
それが実際の外見と一致しにくいのだ。
『じめんのした』でくらしてたようなきもするな……。

926ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/01/27(水) 23:40:14
>>925

「ラッコを知らんのか」


と言いつつ、子供だってラッコが世間一般でどの程度の知名度なのか知らない。
知らない方が普通なのかもしれない。
だが今まで気圧されていた分、精神的優位に立てそうと思ったのか口は軽くなる。


「ラッコは……海に住んでおるやつじゃ……確か、多分……
 わしが見たのはパーティ会場じゃったが。
 だから羽が生えてたり木登りとかはせん、と思う。水タイプじゃから。
 灰色っぽくて、見た目は……直立した鼠? と言っても耳は小さくて……
 体の大きさはこう、このくらい」


椅子から飛び降りると、棒付きキャンディーを杖のように振って、ラッコの大きさを表現する。
1mちょっと……この子供より少し小さいくらいか。


「毛が触り心地がよくての。
 あ、貝殻? 背負ってはおらんかったが、
 ラッコが貝殻を持っておるというのは聞いたことがある気がするのう。
 いや、持っておるのは石……?」

927夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』【高一】:2021/01/28(木) 00:43:23
>>926

「しらんのじゃよ、『フェアチャイルド』」

「ほうほう、そんなヤツだったのか。
 おもったよりちいさいんだな。
 で、『イシ』をもってるのか……。
 『フシギなニオイ』がプンプンするな!!」

大きく頷きながら、興味深げに話を聞く。
『ラッコ』……ソレはミチのチョウセイメイタイ……。
パプアニューギニアのおくちで、ゲンチジュウミンによって、
ソンザイがささやかれていたという……。
はたしてジツザイしているのであろうか??
そのシンギをとうべく、カメラはげんちにとんだ!!

「ん??『パーティー』??」

「アリスも、さいきん『パーティー』いったけど。
 もしかして、ソレ??
 『キグルミ』みたいなの、いなかった??」

会場に行った時、ラッコらしきモノは見えなかった。
トイレにでもいってたのか??
それとも、ジツはラッコは『イチリュウのスパイ』で、
たくみにケハイをけしていたのかもしれないな……!!

「アリスは『ウラのほう』にいってたからな〜〜〜。
 ウマいことハメられたか!!」

928ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/01/28(木) 01:09:10
>>927

「着ぐるみ?
 いたかもしれん」


そこらへんは注目していなかったのか、あまり記憶が定かではなさそうだ。
そして話しているうちに、世界の危機やスパイの事はもう忘れたらしい。
この子供の記憶はあまり当てにならないかもしれない。


「パーティは、何の集いなのか知らんが、
 なにか食べ物が並んでおって、勝手に取って食ってよい感じじゃったな。
 ラッコも刺身を食っておった。
 あ、あとプレゼント交換もあったの」


椅子に座り直し、服の毛玉を毟る。


「クッキー食うか? 飴のお返しじゃ。
 ……この飴……何味があるんじゃ?」


と思ったら、毛玉を毟っていたはずの手に、
いつのまにかチョコクッキーを持っていて、渡してきた。
包装を破っていないとはいえ行儀が悪いが、飴は味を選び直そうとしている。

929夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2021/01/28(木) 15:36:03
>>928

「じゃ、ヤッパリおんなじパーティーじゃねーか!!
 ナンだよナンだよ、もっとはやくいくんだったな〜〜〜。
 おもったより『ヘンソウ』にジカンがかかったからな……」

あのパーティーには、『夢見ヶ崎』ではなく、
『アリーナ』のリングネームである、
『アルカラ』として参加したのだ。
出掛ける前の事を思い出す。
白衣を着て、ウィッグを着けて、黒いサングラスを掛けて……。
たいしたコトしてないって??
えらぶジカンがながかったんだよな。

「おっ、いいね〜〜〜。
 よのなか『ギブアンドテイク』だ。
 ギブしたらテイクするのがジョーシキだからな。
 『フェアチャイルド』は、よくわかってる!!
 しょうらい『オオモノ』になれるぞ」

         スッ

遠慮なくクッキーを受け取った。
キャンディーは『詰め合わせ』なだけあって、
多種多様な種類があるようだ。
欲しいヤツは大体見つかるだろう。
ところで、どれくらいオオモノになるとおもう??
タブン『3メートル』くらい??
じゃ、わたしは『4メートル』をめざすぞ。
コンビのなまえは『7メートル』だな。

「おおきくなるには、たべるコトがだいじだ。
 だから『フェアチャイルド』も、よくたべてよくアソブんだぞ」

「ところで――『コレ』、どっからだしたの??」

         ズギュンッ

手に持ったチョコクッキーを指差しながら、
背後に『ドクター・ブラインド』を発現させる。
『両目を閉じている人型スタンド』だ。
両手の『爪』は鋭く尖っており、
手術に使われる『メス』のようだった。

930ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/01/30(土) 10:35:48
>>929

「うむ。大物というか……
 わらしべ長者にわしはなる」


世はまさに大交換時代。
しかし、この子供に地の文を読む能力は無い。
2000万パワーズ的論法のチーム名の話題は
返事されることはなく虚空に飲まれていった。


「イチゴ味か、メロン味か。
 迷うところじゃな……」
「…………」
「……うーむ」
「…………」
「のう、クッキーを2枚やるから飴を2個貰っても……のわ! オバケ!
 のわわ……」


飴を選ぶのに夢中であまり聞いていなかったようだが、
振り向いた瞬間、ビビッて椅子から落ちそうになる。
その時、手から机の上にこぼれ落ちたのは、
一瞬前までは持っていなかったはずの『クッキー』(とセーターの毛玉がいくつか)だった。

931夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2021/01/30(土) 14:37:37
>>930

「『オバケ』だとォ〜〜〜??
 『Sクラスエクソシスト・じょしゅだいり(ふつかめ)』のわしが、
 アレとかコレとかでカイケツしてしんぜよう!!」

         ババッ

                  「『オバケ』は!!」

              ババッ

  「どこだ!?」

『爪のあるスタンド』が素早い動きで周囲を見渡す。
『閉じた両目』で見回している様子は、
奇妙に思えるかもしれない。
いや、まて。
あいてがオバケでも、『ケンカごし』はよくないな。
まずはコミュニケーションをとるコトをためすべきだ。

「オバケさん、ちょっとウチらとハナシでもしませんかね??
 ほらほら、キャンディーとクッキーもあるコトだし。
 ハロウィンには『9ヶげつ』くらいはやいけど。
 あ、オバケってモノたべるんだっけ??」

ついでにハネがはえてて、きのぼりがトクイで、
あとじめんのしたにすんでて……。
あ、そりゃ『ラッコ』か??
ラッコは、さわりごこちがよくて、
イシをもってるちいさいイキモノだろ!!

「おん??クッキーくれるのか。
 ギブアンドテイクのセイシンでオーケーだ。
 スキなのをもっていくとイイぞ、『フェアチャイルド』」

「ところで、このクッキーさぁ。
 たべても『ケダマ』にもどったりしない??」

そう言いつつ、もらったチョコクッキーをかじる。
キャンディーはどれでも取っていいらしい。
『交換成立』だ。

932ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/01/30(土) 22:26:51
>>931

「……なにやっとるんじゃ?
 妙なやつじゃのう」


ヨタヨタと椅子の上で姿勢を安定させる。
芝居がかったコミカルな動きに逆に安心したようだ。
オバケと呼ばれたのが自分の事だとわかっているのかいないのか。
スパイだのエクソシストだの、身分がコロコロ変わるし、
まとめて、変なヤツ、という印象で括られそうである。


「……大丈夫じゃ!」


特に言い訳したり、ごまかしたりもせずに言い切った。
『クッキー』は大丈夫らしい。
返事を聞く前に食べてるあたり豪胆だが、齧っても、
特におかしな所は無く、普通に市販の安売りクッキーとしか思えない。
気になるとするならば、2つのクッキーは同じに見えることだろうか。
量産品なのだから同じで当然と言えばそうだが、包装に貼られた値引きシールの位置まで同じだ。

933夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』【高一】:2021/01/30(土) 23:17:36
>>932

「ん…………??」

クッキーを食べつつ、二つの包装を見比べて首を捻る。
確かに変なものではないようだ。
毛玉の味もしない。
ケダマくったコトあるのかって??
きくな!!

                 ドシュッ

         ドシュッ

『爪のあるスタンド』が、本体を『爪』で軽くつついた。
これによって、『超人的嗅覚』と『超人的味覚』を、
本体に移植する。
その状態で再びクッキーを食する。

 「サクッとしたショッカン……チョコのあまさ……」

        「こ……これは……」

    「『いたってフツーのクッキー』!!」

    バァァァァァ――――――――ンッ!!

「このわたしがいうんだからマチガイない。
 『しるヒトぞしるグルメ・クイーン』とよばれてるからな!!」

「あ、そうだ。
 せっかくだから『フェアチャイルド』にも、
 『グルメのセカイ』をタイケンさせてやろう。
 イマちょうど『キャンペーンちゅう』で、
 ムリョウでおためしできるらしいぞ。
 ツイてるな、『フェアチャイルド』」

        ――――チョンッ

『盲目のスタンド』が、人差し指で子供を軽くつつく。
触れられる感触はあるだろうが、
精密さゆえに痛みは皆無だ。
攻撃ではなく、『超人的味覚』を移植して、
『舌』を肥えさせてやろうという考えだ。

「さぁ、そこの『キャンディー』をたべてみなさい。
 『クッキー』でもイイけど」

『移植』されたなら、超人的に『ブースト』された味覚によって、
『グルメの舌』になっているだろう。
具体的には、『ミネラルウォーターの銘柄』を当てられる程に、
味覚が鋭くなるという事だ。
普段よりも『味』が鮮明に感じられ、
『材料一つ一つの味』さえも識別出来るであろう。

934ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/01/30(土) 23:29:00
>>933

「普通のクッキーじゃが……」

「?」

「なんじゃ?」


普通のクッキーをオーバーリアクションで食うさまを不思議そうに眺める。
とはいえテンションがおかしいのは最初からなので、
特に不信感は増さなかったのか、おとなしくツンツンされた。


「うむ。
 イチゴ味を」    ペロ……

                    「これは!?」

     バキッ
                 ガリガリ バキ


思わず飴を嚙み砕いてバリバリ食べてしまった。


「メロン味の方もじゃ……
 この飴……何かお高い飴だったりするのかの!?」


自分の味覚ではなく飴が特別美味しいものだと思ったらしい。
2個目の飴は大切にペロペロする。

935夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』【高一】:2021/01/31(日) 00:14:41
>>934

「うむうむ。
 『もらいもの』だから、くわしくはしらんが、
 ジツは、たべるタイミングによってアジがかわる、
 『ユメのキャンディー』なのかもしれないな……。
 せけんではムメイであったが、
 じっさいはセカイイチともしょうされる、
 『ここうのオカシショクニン』のウワサを、
 ちまたできいたコトがあるようなないような……!!」

プレゼント交換でもらった品なので、
どんな物かは実際知らない。
もしかすると、実は値打ち物だったのかもしれない。
外見的には、
特にそんな雰囲気は漂っていなかった気がするが、
そっちの方が面白いし、
その可能性もゼロではないだろうと思っておく。

「そういえば『フェアチャイルド』は、
 『わらしべチョウジャ』になるんだっけ??
 『ユメ』をもつのはイイことだ。
 ユメがかなうように、アリスもおうえんするぞ!!
 『フェアチャイルド』もアリスをおうえんしてくれよな!!」

          サクサクサク

「『アリスのユメ』いったっけ??
 『セカイのゼンブをみる』のが『アリスのユメ』だ!!」

普通のクッキーを食べながら、さっき聞いた話を思い出す。
『わらしべ長者になる』という話。
それが自分のでも誰かのでも『夢』は好きだ。


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